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第七章 あれは、うさぎだった

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「新入生の皆さん、ご入学おめでとうございます。在校生を代表し、生徒会長として心よりお祝い申し上げます。皆さんと出会えるこの日を、待っていました。俺もこの春より、生徒会長になったばかりです。二年五組相原愁と申します。皆と同じ、新人です、よろしくお願いいたします」

 パチパチというまばらな拍手に、顔をあげたら一組から八組までの新入生の顔が並んでいた。
 ちょうど一年前、俺もその席でこうして夏海先輩の挨拶を見上げていたっけ。
 それにしても緊張しているのか、みんな表情が固い。
 ゴホンと一つ大袈裟に咳払いして、生徒会長から新入生への挨拶を続ける。

「さて、堅苦しい話はここまでとし、本日より、この学園で新しい生活が始まるわけですが、皆さんは今どんなお気持ちですか? 同じ小学校出身の人を見つけて安心した人や、新しい生活に希望と期待を抱いている人、初めての世界に何となく不安を抱いている人、それぞれの思いを抱きながら、入学式を迎えたと思います。ぶっちゃけ言うと、一年前の俺は期待よりも不安だらけでした。皆、俺より頭良さそうだし、賢そうだし」

 さざ波みたいな、クスクスという笑い声があちこちから聞こえてきた事に気を良くする。
 よし、掴みはオッケーだな。

「期待を抱きながらも新しいクラス、新しい仲間、新しい環境の中で少し不安を抱えていましたが、皆きっと同じだと思います。今日出逢ったここに集う人たちは、この学園に導かれてやってきた仲間たちです。一期一会という言葉を知ってますか? 一生に一度限りの機会、出会いのこと。 何度も会う機会がある人に対しても、常に『これが最後かもしれない』と考え、そのときを大切にすべき、という教えです。皆さんと出逢えたこの日を、俺は生涯忘れることはないと思いますので、皆さんも忘れないでくださいね。一方的に約束です!」

 さっきよりも笑い声が聞こえることに安心し、新入生を見回す。
 一番前に座る女子が、俺の顔を見上げポカンと口を開けていた。その子と目を合わせたままで。

「時には迷うことや悩むこともあるでしょう。そんな時は、周りの仲間、私達在校生、先生方に声をかけてください。常に皆さんを優しく見守っていてくれております。それでも尚、どうしたって不安、これはマズイというキミには一つアドバイス! 我が校の生徒会は、常に皆さんのお悩み相談を受け付けています。詳細は生徒手帳に書かれておりますので、皆様お気軽にご相談下さい」

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