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深行
12.語らい
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水をぶっかけられたあの日の後も、オレは結局こりずに予防活動を続けている。
あれでオレを辞めさせてやったとか武勇伝にされるのは悔しいし。嫌味は相変わらずだけど嫌がらせは殆ど無くなったし。嫌味をわーっと言われても一部のお坊っちゃんがこっそり頭下げにくるようになったったし。動けないΩの情報提供が増えて生徒会のβ部隊が動きやすくなったって聞いたし。
今更引っ込みがつかなくなったってのも……ちょっとある。
人気の無い教室でヒートしかけてたΩの生徒がやっと落ち着いた。タイミング良く相楽先輩が通りかかって、通報する前に一段落したのはラッキーだ。
気を失ってしまったΩの奴を引き取った相楽先輩は、珍しくポツリと言葉をこぼす。
「……仁科儀会長の手助けが出来るお前が羨ましいよ。私はフェロモンの類いに全く鈍感で役に立てないから」
その顔はちょっと寂しそうに見える。こんだけ働かされてるのにまだ役に立ちたいとは……聖人かこの人は。
「相楽先輩は連絡したら一番に駆けつけてくれるじゃないすか。今みたいに巡回してるし、人を運ぶのも上手いし。背たけぇし」
「何だ最後のは」
「最後のは超重要なんで。オレももうちょっと欲しいけど全然伸びないんすよね」
平均突破した辺りで伸びが止まってしまって悔しい思いをしている。女子が居た中学はそこまで気にならなかったけど、ここにきて周りが野郎だらけになると小ささが身に染みてきた。
ど平均なオレだって平均プラス何センチとか言ってみたい。
真面目に言ってるそばから相楽先輩は盛大に噴き出した。いや、オレ真剣なんだけど。
「無い物ねだりだな、お互いに」
「オレはまだ身長諦めてないんで! 成長期は残ってんだし」
「そうか。伸びるといいな」
笑いを堪えながら言うから全然説得力ない。励まされてる感が欠片もない。
「ぜってぇもう伸びないって思ってるだろ……」
この人はマトモだと思ってたのに、やっぱり生徒会の重鎮に毒されてる。いやそんなことは、なんて笑いながら言ってる相楽先輩を見て、珍しくイラッとした。
ひとしきり笑われた後、ふいに真顔になった相楽先輩が見つめてくる。
「……一つ聞きたい事があるんだが」
「なんすか」
「お前は何故仁科儀会長に協力している? ずいぶんと、その……会長に向かって悪態をついているようだが」
遠慮がちだけど生徒会長の話題に触れられて、オレの中でカチッとスイッチが入ってしまった。
「あっちが悪いんすよ! やめろっつってんのにファンクラブの前でオレに絡んでくるから! お陰様で悪口は言われるわイタズラされるわ、こないだなんか頭から水ぶっかけられたし!!」
噴水みたいに勢いよく恨み辛みが噴き出してくる。
あの日神妙な顔でオレをあやしてた生徒会長は、相も変わらずオレにまとわりついてきていた。それはもう何もなかったみたいに普通に。
情けないことに泣きながら、生徒会長のせいで散々な目に遭ってるって訴えたのに。
「ああ……あれは良くなかったな。会長が直接親衛隊へ怒鳴り込みに行かれたそうだが、その後続いているか?」
「……えっ。いや、あれ一回きり、だけど……」
確かにあれから嫌がらせは減った。水ぶっかけられたのもあの一回だけだ。
怒鳴り込みに行ったのか。オレのために。
「悪口は証拠が残らず正直な所どうしようもないが、証拠が掴めるイタズラは報告を受ける度に会長が諌めている」
「そう……なん、すか……いや、会長が無闇やたらに寄ってくるのが悪い。自分のケツ拭いてるだけで恩着せられても困る」
うっかりじーんとしてしまった。危ない危ない。
そもそもオレが悪口言われたり嫌がらせされるのはあの生徒会長が目立つように絡んでくるからなのに。
「まぁそう言うな。あの方もずっと一人で走り回っておられたんだ。背中を預けられる人間が出来て、はしゃいでしまっているんだろう」
「うー……ずっりぃ。皆そうやってクソ会長の肩持つ」
副会長にもそれを言われた。
ずっと一人で無茶してきたんだって。非効率だけどヒート事故が減っているから認めるしかない、多少強引な所はあるけど飲み込んで協力してくれ……みたいな。いや、協力しろ、だったか。
とにかく人前で寄ってくるのはやめさせてほしいのに、ケツも拭いてるし許してやれみたいなことを言う。
皆生徒会長に甘い。甘やかしすぎ。
「近くで見てきたからな。所詮はβと侮られる姿も、見返そうと努力される姿も」
「……凄い人ってことは、分かりますけど。βなのにΩのこと良く知ってるし。助けられたΩもたくさん居るだろうし、オレで役に立つなら協力する」
微笑む相楽先輩は、言ってることはオカンみたいだけど驚くほどイケメンだった。
言ってることは理解できる。生徒会長はΩのオレよりΩが起こす体調不良の対処法を知ってる。授業で教わってる感じでもなさそうだし、自分で勉強して身につけたんだろうなってのは分かる。
オレなんかよりずっと手際が良くて、助けられたって話してるΩの奴も多い。オレも手伝えたらって思ったのは間違いじゃない。
「だからオレはちゃんと手伝うって言った。なのに何であんな変に目立つ嫌がらせしてくんのか意味わかんねぇ」
オレが言いたいのはそこなんだ。あんな目立つ行動しないで普通に接してくれたらいい先輩なのに。
「ああ、行家には嫌がらせに映ってしまっているんだな……お前の活動にはβ様が目をかけているという事実が必要だ」
「は?」
ちょっと意味が分からない。
じっと相楽先輩を見ると、困ったように微笑んだ。
「お前は直々に目をかけられている協力者である必要がある。それを誰の目にも示さなければならない。悪意のある者に協力者を自称され、保護するはずのΩに加害行為をされては活動そのものが成り立たなくなるからな」
何だそれ。
つまり……オレが生徒会長の協力者だって周りにアピールしてるってことか。アレで。いや、もうちょっとやり方ねぇのかよ。
それに物凄く疑り深いことを言ってる。ヒート事故防止は悪いことじゃないのに、妨害する奴が居るって前提になってるのか。
「そんなことする奴なんか」
「居ないとは限らない。Ωの社会的地位はどうしても低いんだ。昔ながらの家風で育ったαにとっては尚更」
何かテレビからたまに聞こえてくるみたいなことを言ってる。遠い世界の人が言ってる言葉と似たようなことを、今目の前の先輩が言ってる。
不思議な気分で聞いてると、はぁ、と先輩は溜め息をついた。
「Ωもβも……踏みつけても痛くも痒くもない、道端の草と同じに映るらしいから。使い捨てにされてからでは遅い」
「……そんな奴最低だろ……」
でもアイツらの、親衛隊の奴らの話を聞いてるとちょっと納得できてしまう。オレに話しかけてきたアイツらの態度はクラスメイトというより雲の上と下々の者だった。
「そうだな。だがすぐには変えられない。変えられない以上、付け入る隙を与える訳にはいかない」
「そういう、もん……なんすかね。うーん」
こないだの親衛隊の奴らは腹立つし嫌いだけど、そこまでの人でなしは居ないと思いたい。でも先輩がここまで警戒してるってのはやっぱり、何かあったってことなんだろうか。
「まぁ、協力者アピールは他にやりようが有りそうなものだが……お前の反応がよほど面白いんだろうな」
「いい話っぽかったのに色々台無しッッ」
最後の一言余計だった! やっぱオレ生徒会長にからかって遊ばれてるんじゃねーか!
会話が途切れたところで近付いてくる足音に気が付いた。
「ここにいたのか相楽。……行家? 二人で何をしている」
姿を現したのは相楽先輩を探しに来たらしい生徒会長だった。オレに気付いて少し驚いたような顔をしてる。悪かったな先輩より目立たない大きさで。
「少し話をしておりました」
「何を話していた」
ちょっと不機嫌そうな声。隠れてサボってたみたいに見えたのかもしれない。そうだったら先輩に悪いことしたかも。
「別に何でもいいじゃないすか。じゃあオレ行くんで」
「おい、行家!」
「ありがとうございました、相楽先輩。ちょっとスッキリしました」
「役に立てたなら何よりだ。またな」
手を振ってくれる相楽先輩に会釈して説教モードの生徒会長から逃げるようにその場を離れた。濡れ衣着せた上に置いてって申し訳ないけど、ちゃんと働いてるのに説教くらうのはゴメンだ。
オレだとすぐ噛みついた言葉の揚げ足取られるって学習したから遠慮せずに先輩に投げる。手伝える事があったら言ってくれって言われたし。
何より、生徒会長に少し腹を立てている。
「……ちゃんと理由あんなら言えばいいだろーが。人付き合い下手くそかよ」
迷惑行為の理由を相楽先輩から初めて聞いた。そういうのは本当なら生徒会長がするやつだと思う。
何も言わずにやり過ごそうとする態度にもやもやしながら、教室まで真っ直ぐ戻った。
あれでオレを辞めさせてやったとか武勇伝にされるのは悔しいし。嫌味は相変わらずだけど嫌がらせは殆ど無くなったし。嫌味をわーっと言われても一部のお坊っちゃんがこっそり頭下げにくるようになったったし。動けないΩの情報提供が増えて生徒会のβ部隊が動きやすくなったって聞いたし。
今更引っ込みがつかなくなったってのも……ちょっとある。
人気の無い教室でヒートしかけてたΩの生徒がやっと落ち着いた。タイミング良く相楽先輩が通りかかって、通報する前に一段落したのはラッキーだ。
気を失ってしまったΩの奴を引き取った相楽先輩は、珍しくポツリと言葉をこぼす。
「……仁科儀会長の手助けが出来るお前が羨ましいよ。私はフェロモンの類いに全く鈍感で役に立てないから」
その顔はちょっと寂しそうに見える。こんだけ働かされてるのにまだ役に立ちたいとは……聖人かこの人は。
「相楽先輩は連絡したら一番に駆けつけてくれるじゃないすか。今みたいに巡回してるし、人を運ぶのも上手いし。背たけぇし」
「何だ最後のは」
「最後のは超重要なんで。オレももうちょっと欲しいけど全然伸びないんすよね」
平均突破した辺りで伸びが止まってしまって悔しい思いをしている。女子が居た中学はそこまで気にならなかったけど、ここにきて周りが野郎だらけになると小ささが身に染みてきた。
ど平均なオレだって平均プラス何センチとか言ってみたい。
真面目に言ってるそばから相楽先輩は盛大に噴き出した。いや、オレ真剣なんだけど。
「無い物ねだりだな、お互いに」
「オレはまだ身長諦めてないんで! 成長期は残ってんだし」
「そうか。伸びるといいな」
笑いを堪えながら言うから全然説得力ない。励まされてる感が欠片もない。
「ぜってぇもう伸びないって思ってるだろ……」
この人はマトモだと思ってたのに、やっぱり生徒会の重鎮に毒されてる。いやそんなことは、なんて笑いながら言ってる相楽先輩を見て、珍しくイラッとした。
ひとしきり笑われた後、ふいに真顔になった相楽先輩が見つめてくる。
「……一つ聞きたい事があるんだが」
「なんすか」
「お前は何故仁科儀会長に協力している? ずいぶんと、その……会長に向かって悪態をついているようだが」
遠慮がちだけど生徒会長の話題に触れられて、オレの中でカチッとスイッチが入ってしまった。
「あっちが悪いんすよ! やめろっつってんのにファンクラブの前でオレに絡んでくるから! お陰様で悪口は言われるわイタズラされるわ、こないだなんか頭から水ぶっかけられたし!!」
噴水みたいに勢いよく恨み辛みが噴き出してくる。
あの日神妙な顔でオレをあやしてた生徒会長は、相も変わらずオレにまとわりついてきていた。それはもう何もなかったみたいに普通に。
情けないことに泣きながら、生徒会長のせいで散々な目に遭ってるって訴えたのに。
「ああ……あれは良くなかったな。会長が直接親衛隊へ怒鳴り込みに行かれたそうだが、その後続いているか?」
「……えっ。いや、あれ一回きり、だけど……」
確かにあれから嫌がらせは減った。水ぶっかけられたのもあの一回だけだ。
怒鳴り込みに行ったのか。オレのために。
「悪口は証拠が残らず正直な所どうしようもないが、証拠が掴めるイタズラは報告を受ける度に会長が諌めている」
「そう……なん、すか……いや、会長が無闇やたらに寄ってくるのが悪い。自分のケツ拭いてるだけで恩着せられても困る」
うっかりじーんとしてしまった。危ない危ない。
そもそもオレが悪口言われたり嫌がらせされるのはあの生徒会長が目立つように絡んでくるからなのに。
「まぁそう言うな。あの方もずっと一人で走り回っておられたんだ。背中を預けられる人間が出来て、はしゃいでしまっているんだろう」
「うー……ずっりぃ。皆そうやってクソ会長の肩持つ」
副会長にもそれを言われた。
ずっと一人で無茶してきたんだって。非効率だけどヒート事故が減っているから認めるしかない、多少強引な所はあるけど飲み込んで協力してくれ……みたいな。いや、協力しろ、だったか。
とにかく人前で寄ってくるのはやめさせてほしいのに、ケツも拭いてるし許してやれみたいなことを言う。
皆生徒会長に甘い。甘やかしすぎ。
「近くで見てきたからな。所詮はβと侮られる姿も、見返そうと努力される姿も」
「……凄い人ってことは、分かりますけど。βなのにΩのこと良く知ってるし。助けられたΩもたくさん居るだろうし、オレで役に立つなら協力する」
微笑む相楽先輩は、言ってることはオカンみたいだけど驚くほどイケメンだった。
言ってることは理解できる。生徒会長はΩのオレよりΩが起こす体調不良の対処法を知ってる。授業で教わってる感じでもなさそうだし、自分で勉強して身につけたんだろうなってのは分かる。
オレなんかよりずっと手際が良くて、助けられたって話してるΩの奴も多い。オレも手伝えたらって思ったのは間違いじゃない。
「だからオレはちゃんと手伝うって言った。なのに何であんな変に目立つ嫌がらせしてくんのか意味わかんねぇ」
オレが言いたいのはそこなんだ。あんな目立つ行動しないで普通に接してくれたらいい先輩なのに。
「ああ、行家には嫌がらせに映ってしまっているんだな……お前の活動にはβ様が目をかけているという事実が必要だ」
「は?」
ちょっと意味が分からない。
じっと相楽先輩を見ると、困ったように微笑んだ。
「お前は直々に目をかけられている協力者である必要がある。それを誰の目にも示さなければならない。悪意のある者に協力者を自称され、保護するはずのΩに加害行為をされては活動そのものが成り立たなくなるからな」
何だそれ。
つまり……オレが生徒会長の協力者だって周りにアピールしてるってことか。アレで。いや、もうちょっとやり方ねぇのかよ。
それに物凄く疑り深いことを言ってる。ヒート事故防止は悪いことじゃないのに、妨害する奴が居るって前提になってるのか。
「そんなことする奴なんか」
「居ないとは限らない。Ωの社会的地位はどうしても低いんだ。昔ながらの家風で育ったαにとっては尚更」
何かテレビからたまに聞こえてくるみたいなことを言ってる。遠い世界の人が言ってる言葉と似たようなことを、今目の前の先輩が言ってる。
不思議な気分で聞いてると、はぁ、と先輩は溜め息をついた。
「Ωもβも……踏みつけても痛くも痒くもない、道端の草と同じに映るらしいから。使い捨てにされてからでは遅い」
「……そんな奴最低だろ……」
でもアイツらの、親衛隊の奴らの話を聞いてるとちょっと納得できてしまう。オレに話しかけてきたアイツらの態度はクラスメイトというより雲の上と下々の者だった。
「そうだな。だがすぐには変えられない。変えられない以上、付け入る隙を与える訳にはいかない」
「そういう、もん……なんすかね。うーん」
こないだの親衛隊の奴らは腹立つし嫌いだけど、そこまでの人でなしは居ないと思いたい。でも先輩がここまで警戒してるってのはやっぱり、何かあったってことなんだろうか。
「まぁ、協力者アピールは他にやりようが有りそうなものだが……お前の反応がよほど面白いんだろうな」
「いい話っぽかったのに色々台無しッッ」
最後の一言余計だった! やっぱオレ生徒会長にからかって遊ばれてるんじゃねーか!
会話が途切れたところで近付いてくる足音に気が付いた。
「ここにいたのか相楽。……行家? 二人で何をしている」
姿を現したのは相楽先輩を探しに来たらしい生徒会長だった。オレに気付いて少し驚いたような顔をしてる。悪かったな先輩より目立たない大きさで。
「少し話をしておりました」
「何を話していた」
ちょっと不機嫌そうな声。隠れてサボってたみたいに見えたのかもしれない。そうだったら先輩に悪いことしたかも。
「別に何でもいいじゃないすか。じゃあオレ行くんで」
「おい、行家!」
「ありがとうございました、相楽先輩。ちょっとスッキリしました」
「役に立てたなら何よりだ。またな」
手を振ってくれる相楽先輩に会釈して説教モードの生徒会長から逃げるようにその場を離れた。濡れ衣着せた上に置いてって申し訳ないけど、ちゃんと働いてるのに説教くらうのはゴメンだ。
オレだとすぐ噛みついた言葉の揚げ足取られるって学習したから遠慮せずに先輩に投げる。手伝える事があったら言ってくれって言われたし。
何より、生徒会長に少し腹を立てている。
「……ちゃんと理由あんなら言えばいいだろーが。人付き合い下手くそかよ」
迷惑行為の理由を相楽先輩から初めて聞いた。そういうのは本当なら生徒会長がするやつだと思う。
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