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1年目
β様のクリスマス【β×Ω】
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12月24日。
クリスマスムードに沸き立つ世間に便乗して、仁科儀冬弥は恋人との一日デートを取り付けた。普段は休みでも全寮制の学校に引きこもっているせいか、仁科儀グループの傘下にあるショッピングモールしか外出許可は出なかったけれど。
それでも春真とクリスマスの装飾にあふれる施設を巡り、店先をひやかすデートは想像以上に充実した時間になった。普段ラフな格好しかしない恋人が、普段と違う服を着ているだけでも見ていて楽しい。クセになりそうだ。
そんな事を思いながら今日の宿泊先に到着し、モール内の店舗から送ってもらった紙袋をフロントで受け取った。
部屋に入って食事を終え、一息ついた所で先ほどの紙袋を差し出す。すると目の前の顔が不思議そうな表情で固まった。
「な、なにこれ」
「プレゼントだ。開けてみてくれ」
じ、と少しの間こちらを見つめ、春真はそろりと手元に視線を落とす。
やがてその手が取り出したのは、少しゆったりした襟つきのジャケットと、立て襟の白いシャツ。昼間にショッピングモールで試着していた服のひとつだ。
「何を贈れば良いのか決められなくてな。それが似合っていたから、クリスマスプレゼントとして受け取って欲しい」
制服以外でジャケットを着ている所なんて見かけない春真に、これが他よりも突出して似合って見えた。自分と似た雰囲気の服を着てほしいという下心もあって、ずっと決めかねていたクリスマスプレゼントにしようと思い立ったのだ。
……贈り物なのに自分の欲求が多分に含まれているのは、24日が己の誕生日でもあるからという事で勘弁して貰いたい。
「こ、こんなの絶対着こなせないって。変に見られる」
「別に他人に見せてやる必要はない。いっそ俺の前だけでいい」
その方がいつもと違う春真を独占できるし、誰かの好みに刺さってしまう確率も下がる。願ったり叶ったりだ。
試着していた時の様子を思い出して頬を緩ませたまま見つめていると、春真の手が服の袖から引っ込んだ。もぞもぞと着ているパーカーを脱ぎ、下に着ていたシャツのボタンに手を掛ける。
「おや、目の前で着替えるとは。珍しくサービスしてくれ……る……」
ばさりと春真の着ていたシャツがはだけて、視線がその下に釘付けになってしまった。
シャツの下には肌着――ではなく、赤い布が肌に巻き付いていた。
何故か下まで脱ぎ去った春真の裸体は、局部を起点にして伸びるリボンのようなものが包んでいて。最終的には首元の蝶結びでささやかに留められている。
まるでプレゼントの包装のように。
「……大胆だな」
「た、誕生日、なんだろ……何で言わないんだよ」
その言葉に、ようやく合点がいった。
まさしくプレゼントなのだ。恐らく弟あたりに聞いたのだろう、春真からの誕生日祝い。
「いや、その、わざわざ言うのもと思って…………まってくれ……処理が追い付かない……」
まさか春真が自発的にここまでやるとは。願望になかった訳ではないけれど、全く想定出来なかった。
予想の斜め上をいったプレゼントに、見れば見るほど頭が混乱してくる。
「そ、それは自分で……?」
「人に頼めるかこんなのっ」
「これは……まいったな……」
二人で聖夜をのんぴり過ごそうと思っていたのに。
目の前に素肌をリボンで包んだ贈り物が立っているこの状況に、それどころではなくなってしまった。
膨らむ欲望が理性をこれでもかと揺さぶってくる。早く押し倒して食ってしまえと、欲にまみれたもう一人の自分がしきりに囁いてくる。
必死になってそれを黙殺していると、春真がぽつりと言葉をこぼして。
「……悪かったな、リアクションに困ることして」
どこか拗ねたような声音にはっと顔を上げると、春真の手が首元のリボンをほどこうとしている所だった。慌てて手首を掴み、その手を止める。
「こら、外すな。俺の誕生日プレゼントだろう? 俺に開封する権利があるはずだ」
「こ、困るんだろ! だったらさっさと外すし」
……言葉選びを間違ってしまったらしい。せっかくのプレゼントなのに、つまらぬ失態を演じてしまったものだ。
「そうじゃない。春真はとっくに俺のものだと思っていたのに。プレゼントしてくるということは、どうやら違うらしいな?」
押し倒したくてたまらなくなったとは言えず、苦し紛れのからかいで誤魔化す。
けれど。
「え。……い、いや、そういう訳じゃ……」
ぼっと春真の頬が一気に紅潮したのが視界に入り、ぶつんと我慢の糸が切れた。
赤く上気した頬。素肌にも僅かに赤みが差したように見えて、思わず生唾を飲む。
「ぁ、わっ!?」
気がつけば本能のままに春真をベッドに押し倒していて。上にのし掛かり、リボンに包まれた固い局部を握り込んだ。
「ちょっ、どこ触っ」
「くれるんだろう? 春真を、俺に」
「っ……うぁ、っ」
握り込んだそれをゆっくりと擦り上げると、ふるりと春真が震える。何度かこすってやると声に甘さが混ざっていく。
そっと首元のリボンをほどくと、完全に生まれたままの姿になった春真が現れて。もう裸体は何度か見ているはずなのに、周りに散らばるリボンの赤がやけに今日の恋人を艶かしく感じさせる。
「早速頂くとしようか。一晩かけて、じっくりと」
「い、言い方がやらしい! どすけべ!」
「今日ばかりは春真がわるい」
「ううーッ! んぅ、ん……ッ」
顔を真っ赤にして唸る口を唇で塞いでやると、途端に声が甘ったるくなった。リボンの無くなった身体を撫でるほど、吐息と共に感度よく反応が返ってくる。
離した唇の端からは混ざりあった唾液が一筋伝い、とろんと潤んだ瞳がこちらを見ていて。
ついには我慢の限界を超え、着ていた服を一気に脱ぎ捨ててゴムの袋を開けた。
一度では止まれずに何度も抱き合っては果ててを繰り返す。やがて二人とも力尽きて、部屋に積もるのは少し荒い吐息の音だけになった。
登り詰めた余韻に浸って重なりあったまま時を過ごしていると、不意にもぞりと春真が動く。上に乗ったままで苦しかっただろうかと身を起こした所へ伸びてきた手が、頬をそっと撫でた。
「あ、の……誕生日……おめで、とう。とーや先輩」
一瞬、聞こえてきた音が言葉に変わらなくて。少し遅延して理解した言葉に、ぎゅうっと胸が熱くなる。
「……ありがとう。祝って貰えて嬉しい」
鼻先を触れあわせ、唇をまた重ねて、抱きしめ合う。
静かに降り始めた雪に気付くこともなく、ただ互いだけを見つめて一晩を過ごしたのだった。
クリスマスムードに沸き立つ世間に便乗して、仁科儀冬弥は恋人との一日デートを取り付けた。普段は休みでも全寮制の学校に引きこもっているせいか、仁科儀グループの傘下にあるショッピングモールしか外出許可は出なかったけれど。
それでも春真とクリスマスの装飾にあふれる施設を巡り、店先をひやかすデートは想像以上に充実した時間になった。普段ラフな格好しかしない恋人が、普段と違う服を着ているだけでも見ていて楽しい。クセになりそうだ。
そんな事を思いながら今日の宿泊先に到着し、モール内の店舗から送ってもらった紙袋をフロントで受け取った。
部屋に入って食事を終え、一息ついた所で先ほどの紙袋を差し出す。すると目の前の顔が不思議そうな表情で固まった。
「な、なにこれ」
「プレゼントだ。開けてみてくれ」
じ、と少しの間こちらを見つめ、春真はそろりと手元に視線を落とす。
やがてその手が取り出したのは、少しゆったりした襟つきのジャケットと、立て襟の白いシャツ。昼間にショッピングモールで試着していた服のひとつだ。
「何を贈れば良いのか決められなくてな。それが似合っていたから、クリスマスプレゼントとして受け取って欲しい」
制服以外でジャケットを着ている所なんて見かけない春真に、これが他よりも突出して似合って見えた。自分と似た雰囲気の服を着てほしいという下心もあって、ずっと決めかねていたクリスマスプレゼントにしようと思い立ったのだ。
……贈り物なのに自分の欲求が多分に含まれているのは、24日が己の誕生日でもあるからという事で勘弁して貰いたい。
「こ、こんなの絶対着こなせないって。変に見られる」
「別に他人に見せてやる必要はない。いっそ俺の前だけでいい」
その方がいつもと違う春真を独占できるし、誰かの好みに刺さってしまう確率も下がる。願ったり叶ったりだ。
試着していた時の様子を思い出して頬を緩ませたまま見つめていると、春真の手が服の袖から引っ込んだ。もぞもぞと着ているパーカーを脱ぎ、下に着ていたシャツのボタンに手を掛ける。
「おや、目の前で着替えるとは。珍しくサービスしてくれ……る……」
ばさりと春真の着ていたシャツがはだけて、視線がその下に釘付けになってしまった。
シャツの下には肌着――ではなく、赤い布が肌に巻き付いていた。
何故か下まで脱ぎ去った春真の裸体は、局部を起点にして伸びるリボンのようなものが包んでいて。最終的には首元の蝶結びでささやかに留められている。
まるでプレゼントの包装のように。
「……大胆だな」
「た、誕生日、なんだろ……何で言わないんだよ」
その言葉に、ようやく合点がいった。
まさしくプレゼントなのだ。恐らく弟あたりに聞いたのだろう、春真からの誕生日祝い。
「いや、その、わざわざ言うのもと思って…………まってくれ……処理が追い付かない……」
まさか春真が自発的にここまでやるとは。願望になかった訳ではないけれど、全く想定出来なかった。
予想の斜め上をいったプレゼントに、見れば見るほど頭が混乱してくる。
「そ、それは自分で……?」
「人に頼めるかこんなのっ」
「これは……まいったな……」
二人で聖夜をのんぴり過ごそうと思っていたのに。
目の前に素肌をリボンで包んだ贈り物が立っているこの状況に、それどころではなくなってしまった。
膨らむ欲望が理性をこれでもかと揺さぶってくる。早く押し倒して食ってしまえと、欲にまみれたもう一人の自分がしきりに囁いてくる。
必死になってそれを黙殺していると、春真がぽつりと言葉をこぼして。
「……悪かったな、リアクションに困ることして」
どこか拗ねたような声音にはっと顔を上げると、春真の手が首元のリボンをほどこうとしている所だった。慌てて手首を掴み、その手を止める。
「こら、外すな。俺の誕生日プレゼントだろう? 俺に開封する権利があるはずだ」
「こ、困るんだろ! だったらさっさと外すし」
……言葉選びを間違ってしまったらしい。せっかくのプレゼントなのに、つまらぬ失態を演じてしまったものだ。
「そうじゃない。春真はとっくに俺のものだと思っていたのに。プレゼントしてくるということは、どうやら違うらしいな?」
押し倒したくてたまらなくなったとは言えず、苦し紛れのからかいで誤魔化す。
けれど。
「え。……い、いや、そういう訳じゃ……」
ぼっと春真の頬が一気に紅潮したのが視界に入り、ぶつんと我慢の糸が切れた。
赤く上気した頬。素肌にも僅かに赤みが差したように見えて、思わず生唾を飲む。
「ぁ、わっ!?」
気がつけば本能のままに春真をベッドに押し倒していて。上にのし掛かり、リボンに包まれた固い局部を握り込んだ。
「ちょっ、どこ触っ」
「くれるんだろう? 春真を、俺に」
「っ……うぁ、っ」
握り込んだそれをゆっくりと擦り上げると、ふるりと春真が震える。何度かこすってやると声に甘さが混ざっていく。
そっと首元のリボンをほどくと、完全に生まれたままの姿になった春真が現れて。もう裸体は何度か見ているはずなのに、周りに散らばるリボンの赤がやけに今日の恋人を艶かしく感じさせる。
「早速頂くとしようか。一晩かけて、じっくりと」
「い、言い方がやらしい! どすけべ!」
「今日ばかりは春真がわるい」
「ううーッ! んぅ、ん……ッ」
顔を真っ赤にして唸る口を唇で塞いでやると、途端に声が甘ったるくなった。リボンの無くなった身体を撫でるほど、吐息と共に感度よく反応が返ってくる。
離した唇の端からは混ざりあった唾液が一筋伝い、とろんと潤んだ瞳がこちらを見ていて。
ついには我慢の限界を超え、着ていた服を一気に脱ぎ捨ててゴムの袋を開けた。
一度では止まれずに何度も抱き合っては果ててを繰り返す。やがて二人とも力尽きて、部屋に積もるのは少し荒い吐息の音だけになった。
登り詰めた余韻に浸って重なりあったまま時を過ごしていると、不意にもぞりと春真が動く。上に乗ったままで苦しかっただろうかと身を起こした所へ伸びてきた手が、頬をそっと撫でた。
「あ、の……誕生日……おめで、とう。とーや先輩」
一瞬、聞こえてきた音が言葉に変わらなくて。少し遅延して理解した言葉に、ぎゅうっと胸が熱くなる。
「……ありがとう。祝って貰えて嬉しい」
鼻先を触れあわせ、唇をまた重ねて、抱きしめ合う。
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