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一年目
12点 三人目
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昨日の女バスの練習を見た帰り、俺は日笠と東堂と共に帰路についていた。どうやら東堂は俺がバスケでは有名人だと勘違いしているようで、よそよそしさが感じ取れた。
それにしても水川学園の女バスのレベルの高さには非常に驚いた。チームの結束力、個々の身体能力の高さ、作戦に合わせた得点方法など想像よりも遥か上に達していた。そのため全国でも名門校の練習を見れたことは二人にとってもプラスになったと思う。
三人で歩いていると東堂が口を開いた。
「俺、バスケやるよ。」
東堂の言葉を聞き、俺と日笠は歩いていた足を止め東堂の肩を掴んだ。
「まじで?!」
「あぁ、やるよ。」
東堂が入部を決意し、ようやく三人になった。バスケは最低でも選手が五人いないと成立しないスポーツであるが、水川学園の規定では『新しく創部するには、最低でも三人の部員を有し、顧問をつけなければならない』という決まりがある。これで一応顧問の先生が見つかれば男子バスケ部を創部することができる。これは大きな一歩である。
「練習見てやりたいと思ったのか?」
俺の問いかけに東堂は予想を超えた返答をしてきた。
「いや、一目惚れした。」
「え?」
俺と日笠は東堂の言葉の意図が全くピンとこなかった。東堂の顔を見ると気持ち悪いにやけ顔をしていた。
「昨日帰り際に話しかけてきた品川さんに心を奪われてしまった。」
どうやら東堂はバスケに一目惚れした訳ではなく、女バスの先輩に一目惚れしていたようだ。そういえば練習中ずっと一直線に誰かを見ていたが、このことだったのか。
「でもよ東堂、あの人一個上の先輩でしかもチームのスタメンだぞ?」
「知ってるよ。でもそんなこと俺には関係ないんだ。一個上?先輩?スタメン?そんなの俺にはなんの壁にもなってないぜ。」
東堂の言葉を聞き、本気なんだということを把握した。
確かあの先輩の名前は品川梨香子さんだったっけな?
ーーーー1日前ーーーー
松乃さんの言葉に一斉に部員の視線が俺に集中した。
「いや、そんな大袈裟なことじゃないですよ。全然ですよ。」
俺が必死に弁明しようとしたが、部員全員は松乃さんの言葉を信じきっていた。ここでの松乃さんの信頼感がとても強いことが分かる。
「どうして男子バスケ部のない水川学園に入学してきたの?あなたみたいな中学でも有名な強豪校にいた選手は北海道だと、全国大会ベスト4の実力のある王閣高校に推薦で入っているのよ。」
松乃さんの質問は止まることがなかった。
「どうしてなの?」
部員全員と松乃さん、沖田さんたちは黙って俺を見ていた。
「俺はそういった強豪校に行く気は特には無いんですよ。ただバスケが出来ればそれでいいんです。まさかここに男子バスケ部が無いってのは意表を突かれましたけど、何とかなると思います。」
松乃さんは少し微笑みながら俺を見つめていた。二個上にも関わらず大人の雰囲気が漂っていた。
それから気まずい空気を感じながら、日笠と東堂と体育館を出ようとすると二人の部員が話しかけてきた。
「ねね、バスケ部作るって本当なの?」
二人とも身長は160前後くらいであり、ショートヘアをしていた。その内の一人が、東堂が一目惚れしたという品川さんであった。
「あぁ、急だったね。こういうときはまず自己紹介しないとね。私は二年の品川 梨香子(しながわ りかこ)よろしくね。」
品川さんはサラサラの髪で、目がキリッとしていて大人の魅力がある人だ。それにしても目にしてしまうのは豊満な胸である。練習着の上からもはっきり大きいことが分かり目のやり場に困る。恐らく東堂はこれでやられてしまったのかもしれない。
「私も同じく二年の山崎 ほのか(やまざき ほのか)、よろしくね。」
品川さんの横にいた山崎さんは安達祐実似の顔で先輩にも関わらずどこか幼い感じがした。
「今はまだ三人しか集まってないの?」
品川さんの質問に東堂がいち早く答えた。
「自分は、まだ確定はして、ないです。」
東堂はあたふたしながら話していた。東堂は動揺が顔や行動に出やすいタイプなんだと分かった。
「えー、そうなの?バスケ楽しいのに。」
品川さんの言葉に東堂は耳をすませていた様子だった。
「先輩たちの練習みてよりやる気になりましたよ!」
日笠の熱意は最高潮にまで達していた。もちろん俺自身もその気満々であった。
「うん、ありがとう!私たちでよければ何でも相談乗るからね。一応、ほのと私はここのスタメンでもあるから。私がSGでほのはPGなの。」
俺は練習を見る限り二人がここのチームのスタメンなような気がしていた。先ほどの練習からも品川さんと山崎さんは他の人よりも無駄のない綺麗な動きをしていた。しかし二人は松乃さんとは違い親しみやすい雰囲気に包まれていた。
「ありがとうこざいます。助かります。」
そして俺たちは品川さんと山崎さんに別れを告げ今に至っている。
「それにしても品川さん、おっぱい大きかったな。」
東堂の言葉に俺と日笠は目を合わせた。
「お前、とうとう本性出してきたな。」
日笠の言葉に東堂はニヤリとして答えた。
それにしても水川学園の女バスのレベルの高さには非常に驚いた。チームの結束力、個々の身体能力の高さ、作戦に合わせた得点方法など想像よりも遥か上に達していた。そのため全国でも名門校の練習を見れたことは二人にとってもプラスになったと思う。
三人で歩いていると東堂が口を開いた。
「俺、バスケやるよ。」
東堂の言葉を聞き、俺と日笠は歩いていた足を止め東堂の肩を掴んだ。
「まじで?!」
「あぁ、やるよ。」
東堂が入部を決意し、ようやく三人になった。バスケは最低でも選手が五人いないと成立しないスポーツであるが、水川学園の規定では『新しく創部するには、最低でも三人の部員を有し、顧問をつけなければならない』という決まりがある。これで一応顧問の先生が見つかれば男子バスケ部を創部することができる。これは大きな一歩である。
「練習見てやりたいと思ったのか?」
俺の問いかけに東堂は予想を超えた返答をしてきた。
「いや、一目惚れした。」
「え?」
俺と日笠は東堂の言葉の意図が全くピンとこなかった。東堂の顔を見ると気持ち悪いにやけ顔をしていた。
「昨日帰り際に話しかけてきた品川さんに心を奪われてしまった。」
どうやら東堂はバスケに一目惚れした訳ではなく、女バスの先輩に一目惚れしていたようだ。そういえば練習中ずっと一直線に誰かを見ていたが、このことだったのか。
「でもよ東堂、あの人一個上の先輩でしかもチームのスタメンだぞ?」
「知ってるよ。でもそんなこと俺には関係ないんだ。一個上?先輩?スタメン?そんなの俺にはなんの壁にもなってないぜ。」
東堂の言葉を聞き、本気なんだということを把握した。
確かあの先輩の名前は品川梨香子さんだったっけな?
ーーーー1日前ーーーー
松乃さんの言葉に一斉に部員の視線が俺に集中した。
「いや、そんな大袈裟なことじゃないですよ。全然ですよ。」
俺が必死に弁明しようとしたが、部員全員は松乃さんの言葉を信じきっていた。ここでの松乃さんの信頼感がとても強いことが分かる。
「どうして男子バスケ部のない水川学園に入学してきたの?あなたみたいな中学でも有名な強豪校にいた選手は北海道だと、全国大会ベスト4の実力のある王閣高校に推薦で入っているのよ。」
松乃さんの質問は止まることがなかった。
「どうしてなの?」
部員全員と松乃さん、沖田さんたちは黙って俺を見ていた。
「俺はそういった強豪校に行く気は特には無いんですよ。ただバスケが出来ればそれでいいんです。まさかここに男子バスケ部が無いってのは意表を突かれましたけど、何とかなると思います。」
松乃さんは少し微笑みながら俺を見つめていた。二個上にも関わらず大人の雰囲気が漂っていた。
それから気まずい空気を感じながら、日笠と東堂と体育館を出ようとすると二人の部員が話しかけてきた。
「ねね、バスケ部作るって本当なの?」
二人とも身長は160前後くらいであり、ショートヘアをしていた。その内の一人が、東堂が一目惚れしたという品川さんであった。
「あぁ、急だったね。こういうときはまず自己紹介しないとね。私は二年の品川 梨香子(しながわ りかこ)よろしくね。」
品川さんはサラサラの髪で、目がキリッとしていて大人の魅力がある人だ。それにしても目にしてしまうのは豊満な胸である。練習着の上からもはっきり大きいことが分かり目のやり場に困る。恐らく東堂はこれでやられてしまったのかもしれない。
「私も同じく二年の山崎 ほのか(やまざき ほのか)、よろしくね。」
品川さんの横にいた山崎さんは安達祐実似の顔で先輩にも関わらずどこか幼い感じがした。
「今はまだ三人しか集まってないの?」
品川さんの質問に東堂がいち早く答えた。
「自分は、まだ確定はして、ないです。」
東堂はあたふたしながら話していた。東堂は動揺が顔や行動に出やすいタイプなんだと分かった。
「えー、そうなの?バスケ楽しいのに。」
品川さんの言葉に東堂は耳をすませていた様子だった。
「先輩たちの練習みてよりやる気になりましたよ!」
日笠の熱意は最高潮にまで達していた。もちろん俺自身もその気満々であった。
「うん、ありがとう!私たちでよければ何でも相談乗るからね。一応、ほのと私はここのスタメンでもあるから。私がSGでほのはPGなの。」
俺は練習を見る限り二人がここのチームのスタメンなような気がしていた。先ほどの練習からも品川さんと山崎さんは他の人よりも無駄のない綺麗な動きをしていた。しかし二人は松乃さんとは違い親しみやすい雰囲気に包まれていた。
「ありがとうこざいます。助かります。」
そして俺たちは品川さんと山崎さんに別れを告げ今に至っている。
「それにしても品川さん、おっぱい大きかったな。」
東堂の言葉に俺と日笠は目を合わせた。
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日笠の言葉に東堂はニヤリとして答えた。
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