8 / 18
一年目
8点 3日目
しおりを挟む
入学式から3日経過し、高校で初めての授業が始まった。俺は元々は暗記力は得意な方ではあるが、数学などはまるで出来ない。しかもここ水川学園は進学校としても有名で、勉強の内容もかなりレベルが高い。xの関数やら連立だの俺にはお手上げだ。
俺が頭を抱えていると沖田さんが小声で教えてくれる。しかしそもそもの部分を把握しきれてないため、さっぱり分からない。それにしても沖田さんは何から何まで優しいな。だいたいの男ならこの優しさに勘違いしそうである。
午前の授業が終わり昼休憩の時間になった。
「菊川、一緒に飯食おうぜ。」
後ろから日笠が弁当を右手に持ちながら歩いてきた。
「いいよ。あれ、千田は一緒じゃないの?」
「あぁ、千田はサッカー部の先輩のとこ行くってよ。」
日笠は俺の隣に座り弁当の蓋をあけた。
「とりあえず飯食い終わったら他の一年のクラスに行くか。一人でもバスケに興味持ってくれたらいいけど。」
今朝、担任の横山から聞いた話だと今年の一年男子は俺と日笠、千田を合わせて15人しかいないらしい。
バスケは最低でも5人いないと試合出来ないためあと三人は欲しい。
「5組には男子はいないらしいから、1組から声かけて行くか。」
俺と日笠の話す内容が聞こえてきたのか、隣にいた沖田さんが声をかけてきた。
「男子部員を探してるの?」
俺が沖田さんに目を向けると柳井さんが目の前にいた。
「どうも、菊川くん日笠くん。」
なんともお嬢様のような口調である。
「えっと、沖田さんもう柳井さんと仲良くなったんだね。」
「うん!一緒の部活に入るわけだし、仲良くしたかったから。昨日二人で女バスの様子見に行ってきたの。」
すごいな、女子のコミュ力は。まだ三日しか経過していないのに。
「バスケ部は創部出来そうなのかしら。」
柳井さんが不思議な雰囲気を纏いながら話しかけてきた。
「まだ俺と日笠しか集まってないから、なんとも言えない感じかな。」
「そう。」
柳井さんは視線を落とし、タコのウインナーを口に入れた。
俺は入学式のころから気になっていたことを柳井さんに聞いてみた。
「柳井さんさ、一人一人の自己紹介の時にさ、俺に声かけてきたよね。俺のこと知ってるの?」
柳井さんは星型の人参を食べて箸を置いた。
「もちろん知ってますよ。中学一年のときに神奈川の名門・横川第一中学のスタメンに抜擢され、二年の時にチームを全中優勝に導いた人ですからね。しかも決勝では絶対的に優勝候補であった、京都の名門・静学中学に対して25点差をつけ圧倒的な強さで優勝し、また個人としても平均得点30点以上の成績でしたからね。」
柳井さんの言葉に沖田さんと日笠は驚愕した反応をしていた。
「ですが最後の三年生の大会では何故だかベンチメンバーにも選ばれていなかったので、不思議でしたけど。」
話し終えると再び星型の人参を食べ始めていた。
「おいおいおい、菊川ってそんなすごいやつだったのかよ!?」
日笠が身を乗り出してきた。
「う、うん。一応は。」
日笠は興奮を抑えられず俺の中学の時の話を聞いてきた。
俺が日笠の質問攻めをされていると、柳井さんが口を開いた。
「またあの時のプレーを見てみたいものですね。」
柳井さんはおしぼりで口と手を拭きながら席を立った。
なんとも不思議な雰囲気を纏った人である。
俺が頭を抱えていると沖田さんが小声で教えてくれる。しかしそもそもの部分を把握しきれてないため、さっぱり分からない。それにしても沖田さんは何から何まで優しいな。だいたいの男ならこの優しさに勘違いしそうである。
午前の授業が終わり昼休憩の時間になった。
「菊川、一緒に飯食おうぜ。」
後ろから日笠が弁当を右手に持ちながら歩いてきた。
「いいよ。あれ、千田は一緒じゃないの?」
「あぁ、千田はサッカー部の先輩のとこ行くってよ。」
日笠は俺の隣に座り弁当の蓋をあけた。
「とりあえず飯食い終わったら他の一年のクラスに行くか。一人でもバスケに興味持ってくれたらいいけど。」
今朝、担任の横山から聞いた話だと今年の一年男子は俺と日笠、千田を合わせて15人しかいないらしい。
バスケは最低でも5人いないと試合出来ないためあと三人は欲しい。
「5組には男子はいないらしいから、1組から声かけて行くか。」
俺と日笠の話す内容が聞こえてきたのか、隣にいた沖田さんが声をかけてきた。
「男子部員を探してるの?」
俺が沖田さんに目を向けると柳井さんが目の前にいた。
「どうも、菊川くん日笠くん。」
なんともお嬢様のような口調である。
「えっと、沖田さんもう柳井さんと仲良くなったんだね。」
「うん!一緒の部活に入るわけだし、仲良くしたかったから。昨日二人で女バスの様子見に行ってきたの。」
すごいな、女子のコミュ力は。まだ三日しか経過していないのに。
「バスケ部は創部出来そうなのかしら。」
柳井さんが不思議な雰囲気を纏いながら話しかけてきた。
「まだ俺と日笠しか集まってないから、なんとも言えない感じかな。」
「そう。」
柳井さんは視線を落とし、タコのウインナーを口に入れた。
俺は入学式のころから気になっていたことを柳井さんに聞いてみた。
「柳井さんさ、一人一人の自己紹介の時にさ、俺に声かけてきたよね。俺のこと知ってるの?」
柳井さんは星型の人参を食べて箸を置いた。
「もちろん知ってますよ。中学一年のときに神奈川の名門・横川第一中学のスタメンに抜擢され、二年の時にチームを全中優勝に導いた人ですからね。しかも決勝では絶対的に優勝候補であった、京都の名門・静学中学に対して25点差をつけ圧倒的な強さで優勝し、また個人としても平均得点30点以上の成績でしたからね。」
柳井さんの言葉に沖田さんと日笠は驚愕した反応をしていた。
「ですが最後の三年生の大会では何故だかベンチメンバーにも選ばれていなかったので、不思議でしたけど。」
話し終えると再び星型の人参を食べ始めていた。
「おいおいおい、菊川ってそんなすごいやつだったのかよ!?」
日笠が身を乗り出してきた。
「う、うん。一応は。」
日笠は興奮を抑えられず俺の中学の時の話を聞いてきた。
俺が日笠の質問攻めをされていると、柳井さんが口を開いた。
「またあの時のプレーを見てみたいものですね。」
柳井さんはおしぼりで口と手を拭きながら席を立った。
なんとも不思議な雰囲気を纏った人である。
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説


ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

切り札の男
古野ジョン
青春
野球への未練から、毎日のようにバッティングセンターに通う高校一年生の久保雄大。
ある日、野球部のマネージャーだという滝川まなに野球部に入るよう頼まれる。
理由を聞くと、「三年の兄をプロ野球選手にするため、少しでも大会で勝ち上がりたい」のだという。
そんな簡単にプロ野球に入れるわけがない。そう思った久保は、つい彼女と口論してしまう。
その結果、「兄の球を打ってみろ」とけしかけられてしまった。
彼はその挑発に乗ってしまうが……
小説家になろう・カクヨム・ハーメルンにも掲載しています。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
セーラー服美人女子高生 ライバル同士の一騎討ち
ヒロワークス
ライト文芸
女子高の2年生まで校内一の美女でスポーツも万能だった立花美帆。しかし、3年生になってすぐ、同じ学年に、美帆と並ぶほどの美女でスポーツも万能な逢沢真凛が転校してきた。
クラスは、隣りだったが、春のスポーツ大会と夏の水泳大会でライバル関係が芽生える。
それに加えて、美帆と真凛は、隣りの男子校の俊介に恋をし、どちらが俊介と付き合えるかを競う恋敵でもあった。
そして、秋の体育祭では、美帆と真凛が走り高跳びや100メートル走、騎馬戦で対決!
その結果、放課後の体育館で一騎討ちをすることに。

AGAIN 不屈の挑戦者たち
海野 入鹿
青春
小3の頃に流行ったバスケ漫画。
主人公がコート上で華々しく活躍する姿に一人の少年は釘付けになった。
自分もああなりたい。
それが、一ノ瀬蒼真のバスケ人生の始まりであった。
中3になって迎えた、中学最後の大会。
初戦で蒼真たちのチームは運悪く、”天才”がいる優勝候補のチームとぶつかった。
結果は惨敗。
圧倒的な力に打ちのめされた蒼真はリベンジを誓い、地元の高校へと進学した。
しかし、その高校のバスケ部は去年で廃部になっていた―
これは、どん底から高校バスケの頂点を目指す物語
*不定期更新ですが、最低でも週に一回は更新します。
ひょっとしてHEAVEN !?
シェリンカ
青春
【第13回ドリーム小説大賞奨励賞受賞】
三年つきあった彼氏に、ある日突然ふられた
おかげで唯一の取り柄(?)だった成績がガタ落ち……
たいして面白味もない中途半端なこの進学校で、私の居場所っていったいどこだろう
手をさし伸べてくれたのは――学園一のイケメン王子だった!
「今すぐ俺と一緒に来て」って……どういうこと!?
恋と友情と青春の学園生徒会物語――開幕!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる