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喋喋喃喃
喋喋喃喃 第三話
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身体が熱い。熱くて熱くて仕方がない。奥が疼いてどうにかなってしまいそうだ。
「………きょうじょうさ………なか………なかがもうダメ………」
棒に手足を括りつけられるような形の拘束具に、手足を拘束されて足を閉じることが出来ない。
俺の入り口は京條さんの目の前に晒されて、ただ淫らに物欲しそうに蠢いている。
「ゼノちゃんほんと絶景………ほんの少しだけ触ってあげる………」
京條さんの指がねじ込まれた瞬間に、体中がぞわぞわする。いかせてほしい。気持ちいい場所を擦ってほしい。そう思うのに京條さんは触ってくれない。
「あ……ああ………きょうじょうさ………いきたい………いきたい………!!!」
俺が強請った瞬間に京條さんは俺から指を抜く。そして俺を見下ろしながら意地悪に笑うのだ。
「ダメ。まだイかせてあげない」
そう言いながら煙草を咥えて火を付ける。煙草の煙を燻らせながら、俺の身体を弄り回す。
何度もイかされることも辛いが、これだけ焦らされることも辛い。ずっとこの調子のままで、俺は犯してもらえない。
「………もぉ……あたまおかしくなりそ………」
ずっと身体が熱くて呼吸の乱れが止まらない。はぁはぁ息を荒げながら、京條さんが俺の中を探ってくれるのを待っている。
俺のものはさっきからずっと立ち上がったままで、ダラダラとはしたなく先走りを溢していた。
汗が身体から滲み出て、シーツをびちゃびちゃに濡らしている。
多分今湿ったシーツからや、俺の体液から、甘い匂いが漂っているに違いない。
「ゼノちゃんすっごい匂いがしてんね………ほんといやらしい………欲しくて欲しくて堪んないんだろ?」
京條さんが俺の耳元で甘く囁いて、嬉しそうに笑う。俺はそれに乗せられるかの様に頷いた。
俺の入り口を指先で撫で上げながら、京條さんが囁く。
「ほらゼノちゃん………ちんぽください、って言ってよ」
卑猥な言葉を言うように仕向けられた瞬間に、急に恥ずかしい気持ちになる。
何時も強要された言葉なんかよりもいやらしい事をしているし、いやらしい事をされている。けれど改めてそう言われてしまえば、恥ずかしさで死んでしまいそうになるのだ。
「きょうじょうさん…………はずかしい…………」
思わず恥じらいの言葉を口にした瞬間に、京條さんは満面の笑みを浮かべる。その瞬間に京條さんの瞳孔が開いた。
息も絶え絶えの状態で、懸命に言葉を紡ぐ。
「いれてください………ちんぽ…………きょうじょうさんの………なか、いっぱい……こすって………」
京條さんは俺の手足の拘束具に手を伸ばし、慣れた手付きで外してゆく。そして俺が自由になった瞬間に、京條さんは着ていたバスローブを脱ぎ捨てた。
「………これが欲しい?」
俺の目の前に京條さんのものが出され、俺は京條さんのものにしゃぶりつく。
自ら喉奥に擦り付けて、何度も何度も頭を動かす。これが欲しい。中に欲しい早くこれでグチャグチャになるまで犯されたい。
「んんっ!!ほしい……!!ほしいですっ……!!ください……くださいこれ……!!」
呼吸の合間にそう言って、また京條さんのものを卑しく貪る。飢えた獣のように京條さんの性器を舐め回せば、京條さんが俺の口から性器を抜いた。
京條さんのものに俺の唾液が絡みついて、淫らに糸を引いている。
そしてほんの少しだけ京條さんも、乱れた呼吸を整えた。
「……俺がゼノちゃんに喰われるかと思った。そんなに欲しかったなんて、ホントにはしたないね」
京條さんに身体をベッドに倒されて、入り口に性器を宛がわれる。京條さんの唇が俺の唇に重なった瞬間、俺の身体に京條さんが入り込んできた。
「んっうんんん!!!!」
俺の身体がキスの最中に弓形になり痙攣を始める。入れられただけなのに、俺の身体はイっていた。
乱れた息を整えながら、俺に覆い被さる京條さんを見上げる。
そう言えばこんな体制で、オグロにチョコレートを食べさせたんだった。
今は俺が、京條さんに喰いつくされている。
「は………甘い……!!ゼノちゃん美味しい………!!ほんとゼノちゃんは期待を裏切らないね………!!!」
京條さんに身体をひたすら揺さぶられながら、快楽の中に沈み込む。そして俺はこの日に、奏太の事を思い出さずにイケたのだ。
ただ代わりに何故か、オグロとの穏やかな逢瀬を思い返していた。
***
赤いフェラーリの助手席から、夜の街並みを眺めている。京條さんが向かう先が、今夜は何処なのか解らない。
「京條さん、今日は何処に行くの?」
そう言って問いかければ、京條さんはただ笑う。
その時に正直、何かろくでもない事を考えている事だけは解っていた。
「さー、何処に行くでしょうか?」
そう言いながら京條さんはご機嫌な様子でハンドルを切る。だから俺はもう何も考えず、ただ夜景を見る事にした。
京條さんの車が停まった場所は、オグロのいる会員制のバーだった。
正直俺はその時に嫌な予感が当たったような気持ちになったのだ。
今出来れば、オグロに対して嫌な感情を抱きたくない。出来たらオグロのイメージを、何時もプレイルームの中で俺と眠るオグロから変えたくない。
俺は出来たら、ケーキを殺すオグロの姿を見たくない。
それに出来たら、見てあげたくないのだ。
「京條さん………待って…………俺、ここは………」
京條さんに気持ちを伝えようと口を開いて、京條さんの方を見る。すると京條さんはニタニタと不気味な笑みを浮かべていた。
「どうしたのゼノちゃん?何か不都合でもあるの??」
この人は何もかも解ってやっている。そして異常な程の悪意が、今此処に存在している。
俺はそれに気付いた瞬間に、黙る事に決めた。
「………やっぱりいいです。大丈夫」
そう言って気丈に振る舞って見せれば、京條さんがほんの少しだけつまらなさそうな表情を浮かべる。
「そう、じゃあいこうか」
俺は京條さんに笑い、静かに車から降りた。
以前オグロのショーを見た席に座り、京條さんに肩を抱かれる。周りからは好奇の視線を寄せられて、ヒソヒソ何かを話されている。
この場所では俺以外皆フォークだという事くらい、もうよく理解している。
けれど此処まで来てしまえば、見知らぬフォークの事なんて正直どうだって良かった。
「ゼノちゃん今日は随分鬼気迫るもんがあるねぇ?」
探るように俺の顔色を眺めている京條さんに、不敵に笑い言葉を返す。
「だって此処、俺以外皆フォークでしょ?それなら堂々としてようかなって」
フォークの扱いなら俺は良く解ってる。長らくフォークを乗りこなしてうまくやってきた。うまく上手にかわしてきたのだ。
だから怯える必要なんてない。
俺が言い返した言葉に対して京條さんは面白いものを見たような目をして、俺の肩を抱き寄せる。俺は京條さんにわざと凭れ掛かりながら、ステージの方を見た。
真っ暗になったステージの上に、前と同じように少女が出される。すると京條さんが俺の耳元で小さく囁いた。
「今日の子は少し珍しい。チョコレートにベルガモット」
マズルガードにチェーンソーの姿のオグロが暗闇から出てきて、少女の首を飛ばす。その時に俺は目を軽く伏せる。
正直オグロが解体をしている姿を見ると、ほんの少しだけ悲しい気持ちになる。
ゆっくりとオグロの方を見れば、ステージ上のオグロが此方を見ていた。オグロが着ている真っ黒な作業着には、大量の血が掛かっていた。
俺は何も気にしないふりをしながらステージを見て、オグロも俺に気付かないふりをしながら解体を続ける。
俺はただ、一緒にチョコレートを食べた日を思い返して正気を保っていた。
「………きょうじょうさ………なか………なかがもうダメ………」
棒に手足を括りつけられるような形の拘束具に、手足を拘束されて足を閉じることが出来ない。
俺の入り口は京條さんの目の前に晒されて、ただ淫らに物欲しそうに蠢いている。
「ゼノちゃんほんと絶景………ほんの少しだけ触ってあげる………」
京條さんの指がねじ込まれた瞬間に、体中がぞわぞわする。いかせてほしい。気持ちいい場所を擦ってほしい。そう思うのに京條さんは触ってくれない。
「あ……ああ………きょうじょうさ………いきたい………いきたい………!!!」
俺が強請った瞬間に京條さんは俺から指を抜く。そして俺を見下ろしながら意地悪に笑うのだ。
「ダメ。まだイかせてあげない」
そう言いながら煙草を咥えて火を付ける。煙草の煙を燻らせながら、俺の身体を弄り回す。
何度もイかされることも辛いが、これだけ焦らされることも辛い。ずっとこの調子のままで、俺は犯してもらえない。
「………もぉ……あたまおかしくなりそ………」
ずっと身体が熱くて呼吸の乱れが止まらない。はぁはぁ息を荒げながら、京條さんが俺の中を探ってくれるのを待っている。
俺のものはさっきからずっと立ち上がったままで、ダラダラとはしたなく先走りを溢していた。
汗が身体から滲み出て、シーツをびちゃびちゃに濡らしている。
多分今湿ったシーツからや、俺の体液から、甘い匂いが漂っているに違いない。
「ゼノちゃんすっごい匂いがしてんね………ほんといやらしい………欲しくて欲しくて堪んないんだろ?」
京條さんが俺の耳元で甘く囁いて、嬉しそうに笑う。俺はそれに乗せられるかの様に頷いた。
俺の入り口を指先で撫で上げながら、京條さんが囁く。
「ほらゼノちゃん………ちんぽください、って言ってよ」
卑猥な言葉を言うように仕向けられた瞬間に、急に恥ずかしい気持ちになる。
何時も強要された言葉なんかよりもいやらしい事をしているし、いやらしい事をされている。けれど改めてそう言われてしまえば、恥ずかしさで死んでしまいそうになるのだ。
「きょうじょうさん…………はずかしい…………」
思わず恥じらいの言葉を口にした瞬間に、京條さんは満面の笑みを浮かべる。その瞬間に京條さんの瞳孔が開いた。
息も絶え絶えの状態で、懸命に言葉を紡ぐ。
「いれてください………ちんぽ…………きょうじょうさんの………なか、いっぱい……こすって………」
京條さんは俺の手足の拘束具に手を伸ばし、慣れた手付きで外してゆく。そして俺が自由になった瞬間に、京條さんは着ていたバスローブを脱ぎ捨てた。
「………これが欲しい?」
俺の目の前に京條さんのものが出され、俺は京條さんのものにしゃぶりつく。
自ら喉奥に擦り付けて、何度も何度も頭を動かす。これが欲しい。中に欲しい早くこれでグチャグチャになるまで犯されたい。
「んんっ!!ほしい……!!ほしいですっ……!!ください……くださいこれ……!!」
呼吸の合間にそう言って、また京條さんのものを卑しく貪る。飢えた獣のように京條さんの性器を舐め回せば、京條さんが俺の口から性器を抜いた。
京條さんのものに俺の唾液が絡みついて、淫らに糸を引いている。
そしてほんの少しだけ京條さんも、乱れた呼吸を整えた。
「……俺がゼノちゃんに喰われるかと思った。そんなに欲しかったなんて、ホントにはしたないね」
京條さんに身体をベッドに倒されて、入り口に性器を宛がわれる。京條さんの唇が俺の唇に重なった瞬間、俺の身体に京條さんが入り込んできた。
「んっうんんん!!!!」
俺の身体がキスの最中に弓形になり痙攣を始める。入れられただけなのに、俺の身体はイっていた。
乱れた息を整えながら、俺に覆い被さる京條さんを見上げる。
そう言えばこんな体制で、オグロにチョコレートを食べさせたんだった。
今は俺が、京條さんに喰いつくされている。
「は………甘い……!!ゼノちゃん美味しい………!!ほんとゼノちゃんは期待を裏切らないね………!!!」
京條さんに身体をひたすら揺さぶられながら、快楽の中に沈み込む。そして俺はこの日に、奏太の事を思い出さずにイケたのだ。
ただ代わりに何故か、オグロとの穏やかな逢瀬を思い返していた。
***
赤いフェラーリの助手席から、夜の街並みを眺めている。京條さんが向かう先が、今夜は何処なのか解らない。
「京條さん、今日は何処に行くの?」
そう言って問いかければ、京條さんはただ笑う。
その時に正直、何かろくでもない事を考えている事だけは解っていた。
「さー、何処に行くでしょうか?」
そう言いながら京條さんはご機嫌な様子でハンドルを切る。だから俺はもう何も考えず、ただ夜景を見る事にした。
京條さんの車が停まった場所は、オグロのいる会員制のバーだった。
正直俺はその時に嫌な予感が当たったような気持ちになったのだ。
今出来れば、オグロに対して嫌な感情を抱きたくない。出来たらオグロのイメージを、何時もプレイルームの中で俺と眠るオグロから変えたくない。
俺は出来たら、ケーキを殺すオグロの姿を見たくない。
それに出来たら、見てあげたくないのだ。
「京條さん………待って…………俺、ここは………」
京條さんに気持ちを伝えようと口を開いて、京條さんの方を見る。すると京條さんはニタニタと不気味な笑みを浮かべていた。
「どうしたのゼノちゃん?何か不都合でもあるの??」
この人は何もかも解ってやっている。そして異常な程の悪意が、今此処に存在している。
俺はそれに気付いた瞬間に、黙る事に決めた。
「………やっぱりいいです。大丈夫」
そう言って気丈に振る舞って見せれば、京條さんがほんの少しだけつまらなさそうな表情を浮かべる。
「そう、じゃあいこうか」
俺は京條さんに笑い、静かに車から降りた。
以前オグロのショーを見た席に座り、京條さんに肩を抱かれる。周りからは好奇の視線を寄せられて、ヒソヒソ何かを話されている。
この場所では俺以外皆フォークだという事くらい、もうよく理解している。
けれど此処まで来てしまえば、見知らぬフォークの事なんて正直どうだって良かった。
「ゼノちゃん今日は随分鬼気迫るもんがあるねぇ?」
探るように俺の顔色を眺めている京條さんに、不敵に笑い言葉を返す。
「だって此処、俺以外皆フォークでしょ?それなら堂々としてようかなって」
フォークの扱いなら俺は良く解ってる。長らくフォークを乗りこなしてうまくやってきた。うまく上手にかわしてきたのだ。
だから怯える必要なんてない。
俺が言い返した言葉に対して京條さんは面白いものを見たような目をして、俺の肩を抱き寄せる。俺は京條さんにわざと凭れ掛かりながら、ステージの方を見た。
真っ暗になったステージの上に、前と同じように少女が出される。すると京條さんが俺の耳元で小さく囁いた。
「今日の子は少し珍しい。チョコレートにベルガモット」
マズルガードにチェーンソーの姿のオグロが暗闇から出てきて、少女の首を飛ばす。その時に俺は目を軽く伏せる。
正直オグロが解体をしている姿を見ると、ほんの少しだけ悲しい気持ちになる。
ゆっくりとオグロの方を見れば、ステージ上のオグロが此方を見ていた。オグロが着ている真っ黒な作業着には、大量の血が掛かっていた。
俺は何も気にしないふりをしながらステージを見て、オグロも俺に気付かないふりをしながら解体を続ける。
俺はただ、一緒にチョコレートを食べた日を思い返して正気を保っていた。
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