君だけに捧ぐメロディ【高校生天才作曲家の俺が夢破れて売り専ボーイになり同じ境遇のイケメンと本気で恋をしちゃう迄の物語】

如月緋衣名

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第三話 

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 夏樹と二人でシャワーを浴びて身を清めてから、髪を乾かす間もなくベッドに雪崩込む。
 余りにも性急な俺を見ながら、夏樹が口を開いた。
 
 
「どうしたの今日。なんか自棄に感傷的じゃない?」
 
 
 俺の下にいる夏樹が笑い、俺の濡れた髪に指先を通す。
 自分の長くのばした襟足の髪が、肌に触れる度に冷たい。けれど、乾かす時間も勿体無いのだ。
 今すぐ夏樹に触れたい。夏樹に中に入りたい。足らないものをそれで補いたい位、今の俺には余裕がない。
 
 
「……はは、そうかも。俺今日もうアンタに入れたい位には余裕ないや」
 
 
 そう言いながら作り笑いを浮かべた瞬間、俺の身体を夏樹がベッドに押し付ける。
 そのまま馬乗りになった彼は、蠱惑的な表情を浮かべて舌舐めずりをしてみせた。
 さっぱり状況が呑み込めないまま天井と夏樹の顔を仰げば、甘ったるい誘い文句が落ちてくる。
 
 
「………じゃー、今日は俺が悠哉のカラダ、気持ちよくしてあげる………」
 
 
 ………あれ?これもしかして俺、押し倒されてない………???
 
 
 夏樹の腕が俺の首の後ろに周り、慣れた手付きで唇を引き寄せる。この時に直感的に夏樹が『抱く方』にも慣れていることを感じた。
 戸惑う間も一切与えて貰えない儘で、夏樹の舌が俺の口内を侵す。器用に上顎に舌を這わされた瞬間、俺の身体から吐息が漏れた。
 
 
「う…………!!ん!!」
 
 
 俺のを舐め回された時から気付いてはいたが、夏樹は物凄く舌が器用だ。絶妙な触れ方をしてくる。
 
 
「………あは!!悠哉やっぱり感じやすい!!」
 
 
 やっぱり?やっぱりって何?コイツ俺の身体ずっと感じやすそうだって値踏みしてたの!?
 
 
 そう思いながらも大人しく夏樹に身体を預ければ、今度は指先が俺の首筋を撫でる。
 身体に電流が走るみたいにびくりと跳ね上がれば、夏樹が満足そうな笑みを浮かべた。
 
 
「ん………!!え、何?何これ………!!」
 
 
 思わず驚いて声を上げた瞬間、俺の首筋に彼は頭を埋める。
 何かが這い回る感覚がした瞬間、俺とは一切思えない声が声帯から漏れた。
 
 
「ひぅ…………ッ!!ああ………んっ!!」
 
 
 思わず慌てて口を手で塞げば、俺の身体に舌を這わせた夏樹と目が合う。
 物凄く満たされた表情を浮かべた夏樹が、邪悪な笑みを浮かべて笑った。
 
 
 ……………ヤバい、今日俺犯される。
 
 
「………女の子みたいに可愛い声で感じちゃおうね………!!」
 
 
 夏樹の舌がそのまま段々降下してゆき、胸元の突起を吸い上げ、脇を通って脇腹を舐め上げる。
 時折肌を吸う様にしながら滑ってゆく唇に、頭が真っ白になりそうだ。
 
 
 受け手で身体を売っていた時でさえ、こんなに声は出なかった。自分の意思で声を出すのを止められない。
 気持ちがいい。感じてしまっている自分がいる。けれど滅茶苦茶恥ずかしい。
 
 
「や………!!夏樹………まっ………!!はぁっ………!!も、だめ………!!それ………!!」
 
 
 夏樹の頭を押え付けようと手を伸ばした瞬間、鋭い眼光で俺を見つめる。
 口元を拭いながら彼はこう囁いた。
 
 
「だぁめ………いい子にシーツ握ってて??」
 
 
 夏樹に気圧されるかの様にスーツを握り締めれば、母性丸出しの表情を浮かべた夏樹が俺を見下ろす。
 その瞬間に地味に屈辱感さえ味わった。主導権をこんなに握られた事なんて無い。此処まで来ると最早悔しい位だ。
 
 
 夏樹の舌が太ももの辺りを這い回ったかと思えば、だんだん俺のものに近付いてくる。
 次に夏樹が舌を這わせたところは陰嚢だった。
 身体が激しく跳ね上がる位のくすぐったさと、ぞわぞわせり上がってくるような快感。
 余りの恥ずかしさとくすぐったさに、涙が出そうになってしまう。
 
 
「あ!!やあっ……!!んっ!!ふ……ぅっ………!!!」
 
 
 物凄い恥ずかしい!!なんなのこれ!!!なんでこんなに声出るの!!!訳が解らない!!!
 何時も俺に抱かれている人たちは、こんな恥ずかしい思いをしているのだろうか。
 自分が今どんな表情を浮かべているのかなんて、全く想像も出来ない。
 慌てて身体を起こした瞬間に、夏樹が俺の身体をベッドに抑え付けた。
 
 
「だーめ!!まだ我慢!!」
 
 
 そう言いながら俺に微笑んだ夏樹を見ながら、内心コイツは俺よりタチが悪い攻め方をすると思う。
 目を爛々と輝かせながら、そそり立ってしまった俺のものに指先を這わせる。
 先走りごと裏側の筋を撫でられれば、俺の腰がガクンと揺れた。
 
 
 そんな俺の様を見ながら夏樹が声を上げて笑っている。そしてそのまま俺のものに舌を這わせ始めた。
 
 
「あ!!んんんっ!!!ほんと、まっ………!!やだぁ!!まってなつき!!まって!!!」
 
 
 体中にぞわぞわ鳥肌が立って、我ながら情けない声が出ていると思う。
 そのまま夏樹の口内に俺の先端が包み込まれれば、今度は畝った舌が俺のものに絡まる。
 グチャグチャ唾液の音を響かせながら、夏樹が頭を振り乱す。
 柔らかな半乾きの髪に触れた瞬間、喉の奥に俺の先端が飲まれた。
 
 
「え!?あっ!?なっにっ!?!?これぇ!!!」
 
 
 今にもイキそうな位の感覚に襲われた時、唾液塗れの夏樹が俺のものから口を外す。
 涙目でグチャグチャの顔の彼は、満面の笑みを浮かべて笑った。その表情が余りにも綺麗過ぎて、胸が高鳴って体中が熱くなる。
 
 
「悠哉かわいーーー!!!そんな声出ちゃうんだねぇ!!!」
 
 
 そのときめきの体感は空蘭さんの歌声を始めて聞いた時以来だった。
 揶揄う様に愛でられた瞬間に、俺の中で何かが弾ける。この時俺はいよいよヤバイと思った。
 もしかしたら俺はコイツに異常な程に、情が湧きかけているのではなかろうか。
 だから今コイツの愛撫で、滅茶苦茶感じてしまっていたのではなかろうか。
 
 
 急に絶句してしまった俺を見ながら夏樹が首を傾げる。
 良いか俺しっかり考えろ。幾ら弱っているからとはいえ、相手は3Pが自分との初めてしたプレイな位に荒んでる男だ。
 幾ら可愛いとは言え、誰かのモノになりたくないと迄公言しているクソ野郎だ。
 そう軽率にときめいてるんじゃねぇよ!!!
 
 
「………ムカついてきたからお前絶対今日、イキ地獄にさせる…………!!」
 
 
 思わずそう呟いて夏樹の身体を押し倒せば、慌てた様に目を丸くする。
 
 
「え!?なんでなんで!?!?気持ちよさそうにしてたのに!?!?どうして!?!?」
 
 
 狼狽える夏樹を押え付けながら、いつも通りにラテックスグローブを装着する。
 慣れた手付きで潤滑剤を弄びながら、夏樹の入り口に塗り込んだ。
 
 
「………喘がされるのは、俺には性に合わないの!!!!」
 
 
 何時も通りに夏樹の中に指を這わせれば、愛撫に慣れた身体が揺れる。
 一瞬にして余裕が消失した表情で俺を見て、今にも溶けだしそうな声色で囁いた。
 
 
「っ………でもぉ……!!ちょっと元気でたみたいだねぇ……!!よかった………!!!」
 
 
 そういって余裕ないままで無理矢理笑う夏樹の可愛さに、さらに俺の胸にカウンターアタックが入る。
 可愛い。物凄い可愛い。どうしようコイツ滅茶苦茶に可愛い。
 
 
「っ………!!お陰様で………!!!!」
 
 
 何時も通りに夏樹の身体の良いところを指で探れば、すぐに彼の素肌に汗が滲みだす。
 身体をくねらせて感じる夏樹を見ていれば、身体の奥底から情欲ばかりが溢れ出した。
 
 
「ねぇ、だめ!!ゆうやぁ……いきそう……!!もうそれいきそう………!!!」
「いって……イク顔見せて………」
 
 
 余裕ある素振りを演出しながらも、兎にも角にもコイツが愛しくならないように必死である。
 ………これは近日内に榊さんにお願いして、3Pの予定でも組まないといけないと思う。
 誰かに抱かれている夏樹を見れば、頭が冷えるかもしれない。
 
 
 俺の下でガクガク震える夏樹を見下ろしながら、本気で焦る心を抑え付ける。
 そんな俺の感情なんてお構いなしに、夏樹は俺を引き寄せて甘える様にキスをした。
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