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第二話 いい子で大人しく
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連続幼女殺害事件というものの本を読んでいれば、それに対して友人のAが不思議そうな表情を浮かべる。
そして私が読んでいた本を、わざわざ指で摘み上げながら嘆いた。
「俺さぁ、この犯人の事、ちょっとだけ人より詳しいんだ。俺さ、この事件あった場所の出身なんだよね」
そう言われてみれば彼は確かに事件があった県の出身だ。
私はこの事件に関しての書物を買う位に、その事件に関してとても気になっていた。
とても興味のそそる言葉を言われたと感じながら、思わずニヤニヤと笑みを浮かべる。
「へー、そういう事言われたら気になるじゃん?勿体ぶらないで教えてよ」
煽るようにAに問いかければ、彼は満更でもなさそうに笑う。
そしてゆっくりと語り始めた。
「この事件の犯人ってさぁ、俺の小学校で滅茶苦茶有名だったんだよね。
クラスの女の子の一部は彼と話した事がある位」
連続幼女殺害事件のRは、事件発覚前も子供たちの間でとても有名だった。
彼は幼い少女を連れ帰りお小遣いを与えて、彼女たちの肉体に触れていたのだ。
彼の家に行った少女の中には、彼と淫らな行為に迄及んだ子もいた。
彼が逮捕をされた後で、彼女たちは口々にこう答える。
『あの人は良い子に大人しくさえしておけば、殺したりなんてしないのに』
私はその話を聞いたその時に、純粋に恐ろしいと感じた。
何故なら彼女たちは「殺されるかもしれない事を解っている上で、その男の家に行っている」からだ。
怪しい人にはついていかないようにしましょうと、幼い頃に良く言われた事がある。
私はそんな当たり前の事を、言われる理由がさっぱり解らなかった。
けれど殺されるかも知れない事を解っていながら、怪しい男についていった少女たちの存在がある。
私は彼女たちがRについていった理由の目当てが、お小遣いにあった訳ではないと感じた。
これは好奇心なのだ。危険な事をしたいと思う、悪い悪い好奇心。
思わず吐き気が込み上げてくるのを懸命に抑えれば、深く溜め息を吐いたAが嘆く。
「渡されてた小遣いなんてさ、高々多くて五千円だぜ?
………それでもついていくなんてさ、今でも俺全然理解出来ないんだよ………」
そう言いながら苦笑いを浮かべた彼は、私に奥さんの妊娠の事も教えてくれた。
今丁度三か月目で、この話をする前日に彼も知ったばかりだ。
「…………生まれてくる子供は、男の子がいいって思ってる。
女の子と違って、変な事件に巻き込まれる事だって少ないだろうし………」
彼はそう言いながら、身体をほんの少しだけ震わせてみせた。
そして私が読んでいた本を、わざわざ指で摘み上げながら嘆いた。
「俺さぁ、この犯人の事、ちょっとだけ人より詳しいんだ。俺さ、この事件あった場所の出身なんだよね」
そう言われてみれば彼は確かに事件があった県の出身だ。
私はこの事件に関しての書物を買う位に、その事件に関してとても気になっていた。
とても興味のそそる言葉を言われたと感じながら、思わずニヤニヤと笑みを浮かべる。
「へー、そういう事言われたら気になるじゃん?勿体ぶらないで教えてよ」
煽るようにAに問いかければ、彼は満更でもなさそうに笑う。
そしてゆっくりと語り始めた。
「この事件の犯人ってさぁ、俺の小学校で滅茶苦茶有名だったんだよね。
クラスの女の子の一部は彼と話した事がある位」
連続幼女殺害事件のRは、事件発覚前も子供たちの間でとても有名だった。
彼は幼い少女を連れ帰りお小遣いを与えて、彼女たちの肉体に触れていたのだ。
彼の家に行った少女の中には、彼と淫らな行為に迄及んだ子もいた。
彼が逮捕をされた後で、彼女たちは口々にこう答える。
『あの人は良い子に大人しくさえしておけば、殺したりなんてしないのに』
私はその話を聞いたその時に、純粋に恐ろしいと感じた。
何故なら彼女たちは「殺されるかもしれない事を解っている上で、その男の家に行っている」からだ。
怪しい人にはついていかないようにしましょうと、幼い頃に良く言われた事がある。
私はそんな当たり前の事を、言われる理由がさっぱり解らなかった。
けれど殺されるかも知れない事を解っていながら、怪しい男についていった少女たちの存在がある。
私は彼女たちがRについていった理由の目当てが、お小遣いにあった訳ではないと感じた。
これは好奇心なのだ。危険な事をしたいと思う、悪い悪い好奇心。
思わず吐き気が込み上げてくるのを懸命に抑えれば、深く溜め息を吐いたAが嘆く。
「渡されてた小遣いなんてさ、高々多くて五千円だぜ?
………それでもついていくなんてさ、今でも俺全然理解出来ないんだよ………」
そう言いながら苦笑いを浮かべた彼は、私に奥さんの妊娠の事も教えてくれた。
今丁度三か月目で、この話をする前日に彼も知ったばかりだ。
「…………生まれてくる子供は、男の子がいいって思ってる。
女の子と違って、変な事件に巻き込まれる事だって少ないだろうし………」
彼はそう言いながら、身体をほんの少しだけ震わせてみせた。
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