10 / 31
第三章 Parlez-moi d'amour
第三話 ☆
しおりを挟む
朝日に照らされながら玲央はルネと肩を並べて、女社長をタクシー迄見送る。
走り去ってゆく車の後ろをぼんやりと眺めながら、ルネは玲央に囁いた。
「玲央さん、今日お疲れ様でした。明日からお休みなんですよね??
………何かありました??」
玲央がルネの方を見れば、とても心配そうな表情を浮かべて此方を見ている。
彼の身体からは時折、ヴァニラシトロンのネメシアの香りのフェロモンが漂うのだ。
その瞬間玲央は何時も、ルネが自分に思いを寄せている事に気が付く。
玲央はルネの事を、とても可愛らしい後輩だと思っている。
だからこそその恋には決して、気付いてはいけないのだ。
「……ちょっと実家で不幸があってね。心配かけてすまないね」
家で愛しい人が発情で待っているなんて、ルネには言う訳にいかないと玲央は思う。
玲央は自分を慕う可愛い後輩を、人としてとても好いていた。
ルネの小さな形の良い頭を撫でながら、玲央は微笑む。するとヴァニラシトロン独特の甘い香りが漂う。
今ルネは触られて嬉しいんだろうと思いながら、玲央は優しい気持ちになる。
頬を赤く染めたルネが感極まった笑みを浮かべ、可愛らしく首を傾げた。
「………僕、全然玲央さんの売り上げに及ばないけど……玲央さんお留守の間、頑張りますね………!!」
「………有難うルネ!宜しく頼むよ!」
そう言いながらルネは玲央に手を振り去ってゆく。玲央はルネの後ろ姿を見送り、タクシーの中に乗り込んだ。
Ωのフェロモンの匂いは、ネメシアに似ているものが多い。大体がヴァニラシトロンか、ヴァニラチェリーの香りのもの。
紫苑のフェロモンだけが常に独特な匂いを放っているのだ。
朝日に照らされながら、タクシーの窓から見える景色を眺める。
そしてその最中に、ペルフェクションの味が解らなかったことを思い返す。
あの時誰も自分の味覚が無いことを、疑いもしなかったと玲央は思う。
とても嘘が上手くなってしまったと心から寂しくなった。
こんな自分だからこそ、紫苑に愛を向ける時は正直で居たい。そう感じながら自宅へと急いでいた。
玲央が部屋に戻ると同時に、紫苑のフリージアに似たフェロモンの匂いに当てられる。
フリージアの香りの中に、さらにヴァニラの芳香を感じるのだ。
寝室から小さく喘ぎ声が漏れているのに気付いた瞬間、理性が吹き飛ぶ位の強いラットに襲われる。
くらくらする頭を押さえながら玲央は寝室のドアを開く。
何もしていないのに息が上がるのを、玲央はこの時感じていた。
ラットで死んでしまうんじゃないかと、不安に思う位の勢いだ。心臓がいやにバクバクと鳴り響く。
ベッドの上には足を開いて、泣きながら自慰を繰り返す紫苑が居た。
いやらしい水の音を響かせながら秘部に自ら手を這わせる。
その都度に強く芳香が漂い、部屋中に香りが充満する。
流石の玲央も今迄見たことがない程の紫苑の痴態に、思わずたじろいだ。
「すっごい事になってるね…………」
汗で湿った紫苑が息を乱しながら、一心不乱に自分の入り口付近を指で弄る。
シーツには汗と愛液で出来た染みがあった。
思わず玲央が生唾を飲み込めば、紫苑は玲央を見て更に目から涙を流す。
「………ごめんなさい……ほんとに、ごめんなさい……ひとりじゃじょうずにいけないの………」
泣きながら謝罪の言葉を口にする紫苑を、懸命に目に焼き付ける。
紫苑はまた薬が切れてしまっていたようで、完全に記憶を飛ばしている状態になっていた。
玲央の目の前で淫らに自慰を繰り返す紫苑を眺めながら、着ている服を脱いで紫苑を抱く準備を始める。
この時に玲央は一つだけ悪い事を思いついたのだ。
紫苑に歩み寄ってから飛び切り甘い声色で囁く。
優しく髪を撫でながら、縋るように瞳を覗き込んだ。
「………愛してるって沢山言ってくれるなら、触ってあげる」
紫苑には記憶が残らない。それならほんの少しだけ甘い夢を見てみたい。
愛してると口にする紫苑を一度、見てみたいと玲央は思っていたのだ。
今の紫苑は本当に愛してくれていたとしても、それを口に出すのは遠い遠い未来になるだろう。
記憶なく理性のない紫苑を騙すようだが、それくらいは良いかなと玲央は思った。
玲央を潤んだ瞳で見上げた紫苑は、一切躊躇せずに愛らしい唇から言葉を漏らす。
「………あいしてる………………」
本心からではないとはいえ、紫苑の唇から漏れる愛の言葉はとてもクるものがある。
玲央は思わず微笑んで、紫苑の唇に唇を重ね合わせた。
啄ばむ様に唇を重ね合わせる合間に、紫苑の中に指を這わせる。
するとその時紫苑が身体を震わせながら、飛び切り甘い声色で叫んだ。
「あっ………!!れお、れおだいすき………!!!あいしてる………!!!」
余りの衝撃に玲央は紫苑に這わせる手を止める。
紫苑が今、自ら大好きと言った。愛してるは言ってと頼んだけれど、大好きは決して頼んでいない。
似たような意味を持つ言葉だからなのか、本心なのかは解らない。
玲央は顔を真っ赤に染め上げて思わず言葉を失った。
紫苑は腰を自ら動かしながら、玲央の指に気持ちの良い場所を擦り付ける。
その度にぐちゃぐちゃと淫らに濡れた音が響いた。
渇く間を一切与えられずに乱れる紫苑の秘部は、溢れた愛液で汚れている。
そしてキスを繰り返しながら、譫言の様に囁き続けた。
「あいしてる…………あいしてるの………とけちゃう………もう、からだこわれちゃう…………。
だからして………たくさんして………たくさんちょうだい……………」
だらしなく開いた唇から溢れた唾液が、紫苑の唇を濡らしてゆく。
発情期の犬の様に腰を乱して狂う紫苑を、玲央は組み敷いて抱いた。
「僕も愛してるよ………」
小さくフフッと声に出して微笑み、紫苑の入り口に自らを宛がう。
愛してるという言葉は、まるで呪文の様だと玲央は思う。
この言葉を言い交わせば言い交わす程、神聖な儀式をしている気持ちにさせられる。
紫苑の腕が玲央の背中に回り、ぴったりと肌を合わせて熱を分け合う。
玲央のものをゆっくりと飲み干した紫苑の中は、とても柔らかくて熱くて吸い付く様に纏わりついてきた。
「あ………!!あいしてる、れお…………!!!」
繋がった身体で紫苑と向かい合いながら、花の香りに溺れてゆく。
濡れた粘膜を紫苑の中が物欲しそうにひくひくと、玲央のものを締め上げる。
玲央は悩ましげに眉をひそめ邯鄲の息を漏らした。
「僕、も…………愛してるよ、紫苑…………」
「ん………れお、あいしてる、れお………たくさんして…………」
紫苑の掌に玲央が掌を重ねれば、力なく指先を紫苑は絡ませる。
玲央は紫苑の手をきつく握り締め、馴染ませるように腰を動かした。
「あっ…………!!」
気持ちの良い場所を擦った瞬間、紫苑の身体が仰け反り手を握る力が強くなる。
其処に狙いを定めて更に駆り立てながら、玲央は飛び切り甘く囁いた。
「愛してるよ紫苑………世界で一番………一番愛してる!!」
愛してると囁く度に、中が畝って絡み付く。
どろどろに溶けただらしない表情の紫苑が、玲央に向かって微笑んだ。
「んぅ……れお……あいしてる、よ………!」
紫苑の笑顔はとても愛くるしく、まるで天使が地上に降りてきたとさえ玲央は感じる。
玲央の理性はその瞬間に崩壊した。
「………っは!!あ………!!いく!いっちゃう………!!」
杭を打ち込むかの様に腰を揺らせば、玲央の下の紫苑が激しく跳ねる。
紫苑の腰が小刻みに震えた瞬間、絶頂を迎えたことに玲央は気付いた。
イケばイク程に強くなるΩの芳香に、くらくら眩暈がする。
ベッドの上で果てた様に天井を仰ぐ紫苑に、玲央は囁いた。
「………発情期終わるまで、沢山愛し合おうね………」
紫苑の頬を優しく撫でながら唇を寄せて玲央は微笑む。
玲央の下で汗ばんだ表情を浮かべた紫苑が、甘える様な声色で囁いた。
「…………たくさん、あいして……………?」
返事の代わりにキスを落として、紫苑の身体を激しく揺さぶる。
するとまた紫苑の身体から絶頂の時の芳香が滲み出た。
紫苑が何時もの紫苑に戻ったのは、これから三日後の事。
玲央は紫苑に初めて「大好き」と「愛している」を言われたことを、一生の思い出にしようと思った。
発情期が終わったと同時に、紫苑はまたテレビゲームに没頭する。
ブルーライトを浴びながら、テレビ画面をじっと見つめていた。
そんな紫苑の背中をじっと眺めていると、それに気付いた紫苑が玲央に振り返る。
玲央と視線を絡ませ合いながら紫苑は小さく囁いた。
「………今日も気持ち悪」
またテレビ画面を見てゲームを続ける紫苑に対し、玲央は謎の安心を感じた。
何時もの紫苑だ。其処にいるのは紛れもない、何時も通りの紫苑である。
「………ねぇ紫苑、愛してるよ」
玲央がそう囁けば、背中を向けた儘で紫苑は舌打ちを返す。
愛してるを返してくれる紫苑も可愛かったし、記憶がなくなる程自分を求めてくれる紫苑も新鮮だった。
けれど玲央が一番平伏したい紫苑は、紛れもなくこの紫苑である。
そして紫苑は舌打ちに対して満面の笑みを浮かべる玲央を、何時もながらに気持ちが悪いと思ったのだった。
走り去ってゆく車の後ろをぼんやりと眺めながら、ルネは玲央に囁いた。
「玲央さん、今日お疲れ様でした。明日からお休みなんですよね??
………何かありました??」
玲央がルネの方を見れば、とても心配そうな表情を浮かべて此方を見ている。
彼の身体からは時折、ヴァニラシトロンのネメシアの香りのフェロモンが漂うのだ。
その瞬間玲央は何時も、ルネが自分に思いを寄せている事に気が付く。
玲央はルネの事を、とても可愛らしい後輩だと思っている。
だからこそその恋には決して、気付いてはいけないのだ。
「……ちょっと実家で不幸があってね。心配かけてすまないね」
家で愛しい人が発情で待っているなんて、ルネには言う訳にいかないと玲央は思う。
玲央は自分を慕う可愛い後輩を、人としてとても好いていた。
ルネの小さな形の良い頭を撫でながら、玲央は微笑む。するとヴァニラシトロン独特の甘い香りが漂う。
今ルネは触られて嬉しいんだろうと思いながら、玲央は優しい気持ちになる。
頬を赤く染めたルネが感極まった笑みを浮かべ、可愛らしく首を傾げた。
「………僕、全然玲央さんの売り上げに及ばないけど……玲央さんお留守の間、頑張りますね………!!」
「………有難うルネ!宜しく頼むよ!」
そう言いながらルネは玲央に手を振り去ってゆく。玲央はルネの後ろ姿を見送り、タクシーの中に乗り込んだ。
Ωのフェロモンの匂いは、ネメシアに似ているものが多い。大体がヴァニラシトロンか、ヴァニラチェリーの香りのもの。
紫苑のフェロモンだけが常に独特な匂いを放っているのだ。
朝日に照らされながら、タクシーの窓から見える景色を眺める。
そしてその最中に、ペルフェクションの味が解らなかったことを思い返す。
あの時誰も自分の味覚が無いことを、疑いもしなかったと玲央は思う。
とても嘘が上手くなってしまったと心から寂しくなった。
こんな自分だからこそ、紫苑に愛を向ける時は正直で居たい。そう感じながら自宅へと急いでいた。
玲央が部屋に戻ると同時に、紫苑のフリージアに似たフェロモンの匂いに当てられる。
フリージアの香りの中に、さらにヴァニラの芳香を感じるのだ。
寝室から小さく喘ぎ声が漏れているのに気付いた瞬間、理性が吹き飛ぶ位の強いラットに襲われる。
くらくらする頭を押さえながら玲央は寝室のドアを開く。
何もしていないのに息が上がるのを、玲央はこの時感じていた。
ラットで死んでしまうんじゃないかと、不安に思う位の勢いだ。心臓がいやにバクバクと鳴り響く。
ベッドの上には足を開いて、泣きながら自慰を繰り返す紫苑が居た。
いやらしい水の音を響かせながら秘部に自ら手を這わせる。
その都度に強く芳香が漂い、部屋中に香りが充満する。
流石の玲央も今迄見たことがない程の紫苑の痴態に、思わずたじろいだ。
「すっごい事になってるね…………」
汗で湿った紫苑が息を乱しながら、一心不乱に自分の入り口付近を指で弄る。
シーツには汗と愛液で出来た染みがあった。
思わず玲央が生唾を飲み込めば、紫苑は玲央を見て更に目から涙を流す。
「………ごめんなさい……ほんとに、ごめんなさい……ひとりじゃじょうずにいけないの………」
泣きながら謝罪の言葉を口にする紫苑を、懸命に目に焼き付ける。
紫苑はまた薬が切れてしまっていたようで、完全に記憶を飛ばしている状態になっていた。
玲央の目の前で淫らに自慰を繰り返す紫苑を眺めながら、着ている服を脱いで紫苑を抱く準備を始める。
この時に玲央は一つだけ悪い事を思いついたのだ。
紫苑に歩み寄ってから飛び切り甘い声色で囁く。
優しく髪を撫でながら、縋るように瞳を覗き込んだ。
「………愛してるって沢山言ってくれるなら、触ってあげる」
紫苑には記憶が残らない。それならほんの少しだけ甘い夢を見てみたい。
愛してると口にする紫苑を一度、見てみたいと玲央は思っていたのだ。
今の紫苑は本当に愛してくれていたとしても、それを口に出すのは遠い遠い未来になるだろう。
記憶なく理性のない紫苑を騙すようだが、それくらいは良いかなと玲央は思った。
玲央を潤んだ瞳で見上げた紫苑は、一切躊躇せずに愛らしい唇から言葉を漏らす。
「………あいしてる………………」
本心からではないとはいえ、紫苑の唇から漏れる愛の言葉はとてもクるものがある。
玲央は思わず微笑んで、紫苑の唇に唇を重ね合わせた。
啄ばむ様に唇を重ね合わせる合間に、紫苑の中に指を這わせる。
するとその時紫苑が身体を震わせながら、飛び切り甘い声色で叫んだ。
「あっ………!!れお、れおだいすき………!!!あいしてる………!!!」
余りの衝撃に玲央は紫苑に這わせる手を止める。
紫苑が今、自ら大好きと言った。愛してるは言ってと頼んだけれど、大好きは決して頼んでいない。
似たような意味を持つ言葉だからなのか、本心なのかは解らない。
玲央は顔を真っ赤に染め上げて思わず言葉を失った。
紫苑は腰を自ら動かしながら、玲央の指に気持ちの良い場所を擦り付ける。
その度にぐちゃぐちゃと淫らに濡れた音が響いた。
渇く間を一切与えられずに乱れる紫苑の秘部は、溢れた愛液で汚れている。
そしてキスを繰り返しながら、譫言の様に囁き続けた。
「あいしてる…………あいしてるの………とけちゃう………もう、からだこわれちゃう…………。
だからして………たくさんして………たくさんちょうだい……………」
だらしなく開いた唇から溢れた唾液が、紫苑の唇を濡らしてゆく。
発情期の犬の様に腰を乱して狂う紫苑を、玲央は組み敷いて抱いた。
「僕も愛してるよ………」
小さくフフッと声に出して微笑み、紫苑の入り口に自らを宛がう。
愛してるという言葉は、まるで呪文の様だと玲央は思う。
この言葉を言い交わせば言い交わす程、神聖な儀式をしている気持ちにさせられる。
紫苑の腕が玲央の背中に回り、ぴったりと肌を合わせて熱を分け合う。
玲央のものをゆっくりと飲み干した紫苑の中は、とても柔らかくて熱くて吸い付く様に纏わりついてきた。
「あ………!!あいしてる、れお…………!!!」
繋がった身体で紫苑と向かい合いながら、花の香りに溺れてゆく。
濡れた粘膜を紫苑の中が物欲しそうにひくひくと、玲央のものを締め上げる。
玲央は悩ましげに眉をひそめ邯鄲の息を漏らした。
「僕、も…………愛してるよ、紫苑…………」
「ん………れお、あいしてる、れお………たくさんして…………」
紫苑の掌に玲央が掌を重ねれば、力なく指先を紫苑は絡ませる。
玲央は紫苑の手をきつく握り締め、馴染ませるように腰を動かした。
「あっ…………!!」
気持ちの良い場所を擦った瞬間、紫苑の身体が仰け反り手を握る力が強くなる。
其処に狙いを定めて更に駆り立てながら、玲央は飛び切り甘く囁いた。
「愛してるよ紫苑………世界で一番………一番愛してる!!」
愛してると囁く度に、中が畝って絡み付く。
どろどろに溶けただらしない表情の紫苑が、玲央に向かって微笑んだ。
「んぅ……れお……あいしてる、よ………!」
紫苑の笑顔はとても愛くるしく、まるで天使が地上に降りてきたとさえ玲央は感じる。
玲央の理性はその瞬間に崩壊した。
「………っは!!あ………!!いく!いっちゃう………!!」
杭を打ち込むかの様に腰を揺らせば、玲央の下の紫苑が激しく跳ねる。
紫苑の腰が小刻みに震えた瞬間、絶頂を迎えたことに玲央は気付いた。
イケばイク程に強くなるΩの芳香に、くらくら眩暈がする。
ベッドの上で果てた様に天井を仰ぐ紫苑に、玲央は囁いた。
「………発情期終わるまで、沢山愛し合おうね………」
紫苑の頬を優しく撫でながら唇を寄せて玲央は微笑む。
玲央の下で汗ばんだ表情を浮かべた紫苑が、甘える様な声色で囁いた。
「…………たくさん、あいして……………?」
返事の代わりにキスを落として、紫苑の身体を激しく揺さぶる。
するとまた紫苑の身体から絶頂の時の芳香が滲み出た。
紫苑が何時もの紫苑に戻ったのは、これから三日後の事。
玲央は紫苑に初めて「大好き」と「愛している」を言われたことを、一生の思い出にしようと思った。
発情期が終わったと同時に、紫苑はまたテレビゲームに没頭する。
ブルーライトを浴びながら、テレビ画面をじっと見つめていた。
そんな紫苑の背中をじっと眺めていると、それに気付いた紫苑が玲央に振り返る。
玲央と視線を絡ませ合いながら紫苑は小さく囁いた。
「………今日も気持ち悪」
またテレビ画面を見てゲームを続ける紫苑に対し、玲央は謎の安心を感じた。
何時もの紫苑だ。其処にいるのは紛れもない、何時も通りの紫苑である。
「………ねぇ紫苑、愛してるよ」
玲央がそう囁けば、背中を向けた儘で紫苑は舌打ちを返す。
愛してるを返してくれる紫苑も可愛かったし、記憶がなくなる程自分を求めてくれる紫苑も新鮮だった。
けれど玲央が一番平伏したい紫苑は、紛れもなくこの紫苑である。
そして紫苑は舌打ちに対して満面の笑みを浮かべる玲央を、何時もながらに気持ちが悪いと思ったのだった。
0
お気に入りに追加
16
あなたにおすすめの小説
【完結】幼馴染から離れたい。
June
BL
隣に立つのは運命の番なんだ。
βの谷口優希にはαである幼馴染の伊賀崎朔がいる。だが、ある日の出来事をきっかけに、幼馴染以上に大切な存在だったのだと気づいてしまう。
番外編 伊賀崎朔視点もあります。
(12月:改正版)
読んでくださった読者の皆様、たくさんの❤️ありがとうございます😭
1/27 1000❤️ありがとうございます😭
大嫌いだったアイツの子なんか絶対に身籠りません!
みづき
BL
国王の妾の子として、宮廷の片隅で母親とひっそりと暮らしていたユズハ。宮廷ではオメガの子だからと『下層の子』と蔑まれ、次期国王の子であるアサギからはしょっちゅういたずらをされていて、ユズハは大嫌いだった。
そんなある日、国王交代のタイミングで宮廷を追い出されたユズハ。娼館のスタッフとして働いていたが、十八歳になり、男娼となる。
初めての夜、客として現れたのは、幼い頃大嫌いだったアサギ、しかも「俺の子を孕め」なんて言ってきて――絶対に嫌! と思うユズハだが……
架空の近未来世界を舞台にした、再会から始まるオメガバースです。

【完結】何一つ僕のお願いを聞いてくれない彼に、別れてほしいとお願いした結果。
N2O
BL
好きすぎて一部倫理観に反することをしたα × 好きすぎて馬鹿なことしちゃったΩ
※オメガバース設定をお借りしています。
※素人作品です。温かな目でご覧ください。
【完結】伴侶がいるので、溺愛ご遠慮いたします
*
BL
3歳のノィユが、カビの生えてないご飯を求めて結ばれることになったのは、北の最果ての領主のおじいちゃん……え、おじいちゃん……!?
しあわせの絶頂にいるのを知らない王子たちが吃驚して憐れんで溺愛してくれそうなのですが、結構です!
めちゃくちゃかっこよくて可愛い伴侶がいますので!
本編完結しました!
リクエストの更新が終わったら、舞踏会編をはじめる予定ですー!
完結・オメガバース・虐げられオメガ側妃が敵国に売られたら激甘ボイスのイケメン王から溺愛されました
美咲アリス
BL
虐げられオメガ側妃のシャルルは敵国への貢ぎ物にされた。敵国のアルベルト王は『人間を食べる』という恐ろしい噂があるアルファだ。けれども実際に会ったアルベルト王はものすごいイケメン。しかも「今日からそなたは国宝だ」とシャルルに激甘ボイスで囁いてくる。「もしかして僕は国宝級の『食材』ということ?」シャルルは恐怖に怯えるが、もちろんそれは大きな勘違いで⋯⋯? 虐げられオメガと敵国のイケメン王、ふたりのキュン&ハッピーな異世界恋愛オメガバースです!

僕の番
結城れい
BL
白石湊(しらいし みなと)は、大学生のΩだ。αの番がいて同棲までしている。最近湊は、番である森颯真(もり そうま)の衣服を集めることがやめられない。気づかれないように少しずつ集めていくが――
※他サイトにも掲載

美貌の騎士候補生は、愛する人を快楽漬けにして飼い慣らす〜僕から逃げないで愛させて〜
飛鷹
BL
騎士養成学校に在席しているパスティには秘密がある。
でも、それを誰かに言うつもりはなく、目的を達成したら静かに自国に戻るつもりだった。
しかし美貌の騎士候補生に捕まり、快楽漬けにされ、甘く喘がされてしまう。
秘密を抱えたまま、パスティは幸せになれるのか。
美貌の騎士候補生のカーディアスは何を考えてパスティに付きまとうのか……。
秘密を抱えた二人が幸せになるまでのお話。

【完結】ぎゅって抱っこして
かずえ
BL
幼児教育学科の短大に通う村瀬一太。訳あって普通の高校に通えなかったため、働いて貯めたお金で二年間だけでもと大学に入学してみたが、学費と生活費を稼ぎつつ学校に通うのは、考えていたよりも厳しい……。
でも、頼れる者は誰もいない。
自分で頑張らなきゃ。
本気なら何でもできるはず。
でも、ある日、金持ちの坊っちゃんと心の中で呼んでいた松島晃に苦手なピアノの課題で助けてもらってから、どうにも自分の心がコントロールできなくなって……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる