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インモラル
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俺は知っているのだ。
黒縁眼鏡の『堅物』と言われている少年の睫毛が、本当はとても長い事を。
きっちりと詰襟さえ留めて着こなした制服の下の、身体がとても美しい事を。
そして意外に、キスが好きだという事を。
「…………んっ」
声変りがまだ始まったばかりの声帯から、甘い吐息が漏れる。
真っ白な肌を夕焼けが茜色に染めるのを眺めながら、舌を絡ませる大人のキスを続けていく。
きっと俺の目が開いている事を彼が知れば、機嫌を損ねる事位解っている。
けれど一分一秒でさえ惜しい程に、彼のこの姿をこの目に焼き付けておきたいのだ。
ゆっくりと彼の瞳が開き、俺の顔を見つめる。
そしてほんの少しだけ怒ったような表情を浮かべてこういうのだ。
「先生、また目を閉じてくれなかったんですか?……先生が僕に教えたくせに。
キスの時には目を閉じなさいって……」
そう言って怒る表情も愛くるしくて、俺は思わず笑ってしまう。
夢中、という言葉がきっと、今の俺の心には合っている。
全てが愛しくて、仕方がないのだ。
放課後の資料室に尋ねてくる生徒がいないこと位、とっくの昔に解っている。
この場所は逢瀬にはとてもぴったりなロケーションだ。
詰襟の制服を後ろから抱きしめながら脱がせていけば、ほんの少しだけ戸惑うような眼差しで俺をみる。
彼とキスをするようになったのは五か月前。キス以上の関係になったのは三か月前。最後までしたのはまだ先週。
まだまだ不慣れな空気を醸し出しながらもその眼差しには、不安だけじゃなく期待を孕んでいる事位解ってる。
「………今日は……どうするんですか……先生」
まだ幼さの残る中性的な唇から漏れる『先生』という呼び名が好きだ。
この声を聞くたびに、道徳心なんてものは全くの無意味であることを思い知る。
「……お前が望むなら、最後までしたいと思ってる」
そういうと恥ずかしそうに顔を叛ける。そして甘える様に囁いた。
「あれをすると………おかしくなってしまうんじゃないかって怖いんです」
おかしくなってしまえばいいのに。もっと乱れてしまえばいいのに。
そう思いながら、資料室の大きな机の上に身体を倒す。そうすれば彼の身体は完全に机の上に乗り上げた。
はだけた詰襟の制服から覗く、真っ白なYシャツ。そして熱を帯びてゆく眼差し。
まるで実験をされる動物のようにテーブルに乗せられた彼へ一つ、命令をする。
「………自分で脱いでごらん。この机の上で」
彼は戸惑いながら目を少しだけ開いて、ゆっくりと詰襟の制服を脱いでゆく。
Yシャツのボタンを外す指先が震えているのが、とても不慣れで愛おしい。
このままの彼を閉じ込めて永遠に出来たら、どれだけ素敵な事だろう。
けれどきっと、永遠のものでないからこそ美しい。
彼の肢体は夕焼けが茜色に染めている。少年独特の美しい肢体はまるで陶器で出来た人形を思い返させるのだ。
その唇に手を伸ばせば彼が手を取って引き寄せる。指先を口に含ませながら誘うように舌を這わす。
躾けた通りに彼が動くたびに、俺の中にある独占欲が満たされる。
きっと彼はこれから俺以外の誰かとこうなる度に、俺の命令通りの誘い方で誘うのだろう。俺の教えたままにきっと。
それなら俺は彼の中で『永遠』で居られる。
胸元を舌で弄られる事を彼はとても良く気に入っているようで、それをすれば彼のものがそそり立つ。
白くて形の綺麗なそれは、彼が無智で無垢であった証明だ。
それを手で撫でれば、彼の身体が小さく仰け反る。
快楽をまだ覚えたての彼の反応は少し大げさな気もするが、それが更に俺を掻き立てるのだ。
「せんせ………そこ、さわりすぎたら……だめ、です」
途切れ途切れに嬌声を紡ぎながら、息を吐いて必死に手で制してくるたび、もっと意地悪がしたくなる。
彼が其処を入り口だと認識したのはつい最近の場所に、滑りを良くする潤滑剤を塗り込んでゆく。
すると彼が顔を覆って両の脚を震わせた。
「あ………あああ……せんせ……だめ………まってくださ………!!」
そう囁いておきながらも、彼の其処は俺の指を飲み込んでは締め付ける。
身体と心が明らかに裏腹な様子に笑えば、潤んだ彼の目が俺を見た。
熱のこもったふしだらな視線。顔にはもう書いてあるのだ。欲しくて欲しくて仕方ないと。
「………どうした?」
そう言って笑って見せれば、彼が溶けた表情で譫言のように囁いた。
「……こわいです………きもちよすぎて……とても……」
そう囁いて目に涙を溜めながら、必死に声を殺す姿が愛しい。
彼は良い子だ。とってもいい子だ。だからもっといけない事を、背徳の味を教えたい。
真っ白なキャンバスを滅茶苦茶に絵具で染めるように、彼の身体に俺を刻み付けたいのだ。
「いい子だね、とても可愛い」
そう言って甘く囁きながら、彼の感じる場所を撫でる。
其処を指の腹で押し上げたのと同時に、彼の身体が跳ね上がった。
「あ!!!!ああ……はっ!!!う………んっ………!!!」
白い肌の上に薄っすらと汗が滲む様を見ながら、もっと壊してしまいたいと思う。
この子をもっと俺の手で、悪い子にしてしまいたい。
いけない事をしている。ずっと二人で悪いことを。不道徳な事を繰り返してる。
彼の形の良いものから白濁が漏れ出すのを見れば、何だか心が満足した。
小さく胸を上下させながら、彼は机の上で絶頂に浸っている。
この体にもっともっと、いけない事を教えてあげたい。
彼はもうすぐ違う県にある進学校への進学が決まってしまっている。
きっと彼が其処に行ってしまえば、もう二度と会う事が無い事位解っているのだ。
青春時代の恋の思い出なんてものは、大人になってしまえばどんなことでも、ただのいい思い出にしかならない。
だからせめてまだ、彼が恋に恋をして夢を観ているこの時間だけは、俺を刻み付けていたい。
何時か君が俺を思い返すその時に、悪い男に出会ったと笑ってほしい。
だから今は俺の中にも、君を刻み付けて居たい。恋に恋する多感な季節の美しい君の姿を。
彼の頬に手を伸ばして、覆い被さるように顔を覗き込む。
軽い口付けを落としてから、今日はもう一つ悪いことを教えてあげる事にした。
「どうしたい?続きが欲しいなら、ちゃんと自分で強請るんだよ?」
今にも泣きだしそうな表情を浮かべて、彼は茜に染まっている。
潤んだ瞳は物欲しそうで、ただただ与えられた熱に浮かされていた。
そして彼は真っ白で綺麗な指先を此方に伸ばし、甘い声色で囁いた。
「せんせいのが……なかにほしい……です………」
嗚呼なんて可愛らしい。俺の望んだままに背徳を貪る。
「良く出来ました……」
耳元でそう囁いて、彼の身体に己を重ねる。
抱きしめたら壊れてしまいそうな彼を抱きながら、彼の熱を、声を、肌の感触を染みつける。
絶対に忘れる事なんて無いように。彼といたことを風化なんてさせないように。
悪い事を教えてあげる。いけない事をしてあげる。背徳を君に教えてあげる。
さよならを告げなければならない、その日まで。
俺は知っているのだ。誰も知らない彼のことを。
そして俺はあの頃の彼の事を、心から愛していたのだ。
黒縁眼鏡の『堅物』と言われている少年の睫毛が、本当はとても長い事を。
きっちりと詰襟さえ留めて着こなした制服の下の、身体がとても美しい事を。
そして意外に、キスが好きだという事を。
「…………んっ」
声変りがまだ始まったばかりの声帯から、甘い吐息が漏れる。
真っ白な肌を夕焼けが茜色に染めるのを眺めながら、舌を絡ませる大人のキスを続けていく。
きっと俺の目が開いている事を彼が知れば、機嫌を損ねる事位解っている。
けれど一分一秒でさえ惜しい程に、彼のこの姿をこの目に焼き付けておきたいのだ。
ゆっくりと彼の瞳が開き、俺の顔を見つめる。
そしてほんの少しだけ怒ったような表情を浮かべてこういうのだ。
「先生、また目を閉じてくれなかったんですか?……先生が僕に教えたくせに。
キスの時には目を閉じなさいって……」
そう言って怒る表情も愛くるしくて、俺は思わず笑ってしまう。
夢中、という言葉がきっと、今の俺の心には合っている。
全てが愛しくて、仕方がないのだ。
放課後の資料室に尋ねてくる生徒がいないこと位、とっくの昔に解っている。
この場所は逢瀬にはとてもぴったりなロケーションだ。
詰襟の制服を後ろから抱きしめながら脱がせていけば、ほんの少しだけ戸惑うような眼差しで俺をみる。
彼とキスをするようになったのは五か月前。キス以上の関係になったのは三か月前。最後までしたのはまだ先週。
まだまだ不慣れな空気を醸し出しながらもその眼差しには、不安だけじゃなく期待を孕んでいる事位解ってる。
「………今日は……どうするんですか……先生」
まだ幼さの残る中性的な唇から漏れる『先生』という呼び名が好きだ。
この声を聞くたびに、道徳心なんてものは全くの無意味であることを思い知る。
「……お前が望むなら、最後までしたいと思ってる」
そういうと恥ずかしそうに顔を叛ける。そして甘える様に囁いた。
「あれをすると………おかしくなってしまうんじゃないかって怖いんです」
おかしくなってしまえばいいのに。もっと乱れてしまえばいいのに。
そう思いながら、資料室の大きな机の上に身体を倒す。そうすれば彼の身体は完全に机の上に乗り上げた。
はだけた詰襟の制服から覗く、真っ白なYシャツ。そして熱を帯びてゆく眼差し。
まるで実験をされる動物のようにテーブルに乗せられた彼へ一つ、命令をする。
「………自分で脱いでごらん。この机の上で」
彼は戸惑いながら目を少しだけ開いて、ゆっくりと詰襟の制服を脱いでゆく。
Yシャツのボタンを外す指先が震えているのが、とても不慣れで愛おしい。
このままの彼を閉じ込めて永遠に出来たら、どれだけ素敵な事だろう。
けれどきっと、永遠のものでないからこそ美しい。
彼の肢体は夕焼けが茜色に染めている。少年独特の美しい肢体はまるで陶器で出来た人形を思い返させるのだ。
その唇に手を伸ばせば彼が手を取って引き寄せる。指先を口に含ませながら誘うように舌を這わす。
躾けた通りに彼が動くたびに、俺の中にある独占欲が満たされる。
きっと彼はこれから俺以外の誰かとこうなる度に、俺の命令通りの誘い方で誘うのだろう。俺の教えたままにきっと。
それなら俺は彼の中で『永遠』で居られる。
胸元を舌で弄られる事を彼はとても良く気に入っているようで、それをすれば彼のものがそそり立つ。
白くて形の綺麗なそれは、彼が無智で無垢であった証明だ。
それを手で撫でれば、彼の身体が小さく仰け反る。
快楽をまだ覚えたての彼の反応は少し大げさな気もするが、それが更に俺を掻き立てるのだ。
「せんせ………そこ、さわりすぎたら……だめ、です」
途切れ途切れに嬌声を紡ぎながら、息を吐いて必死に手で制してくるたび、もっと意地悪がしたくなる。
彼が其処を入り口だと認識したのはつい最近の場所に、滑りを良くする潤滑剤を塗り込んでゆく。
すると彼が顔を覆って両の脚を震わせた。
「あ………あああ……せんせ……だめ………まってくださ………!!」
そう囁いておきながらも、彼の其処は俺の指を飲み込んでは締め付ける。
身体と心が明らかに裏腹な様子に笑えば、潤んだ彼の目が俺を見た。
熱のこもったふしだらな視線。顔にはもう書いてあるのだ。欲しくて欲しくて仕方ないと。
「………どうした?」
そう言って笑って見せれば、彼が溶けた表情で譫言のように囁いた。
「……こわいです………きもちよすぎて……とても……」
そう囁いて目に涙を溜めながら、必死に声を殺す姿が愛しい。
彼は良い子だ。とってもいい子だ。だからもっといけない事を、背徳の味を教えたい。
真っ白なキャンバスを滅茶苦茶に絵具で染めるように、彼の身体に俺を刻み付けたいのだ。
「いい子だね、とても可愛い」
そう言って甘く囁きながら、彼の感じる場所を撫でる。
其処を指の腹で押し上げたのと同時に、彼の身体が跳ね上がった。
「あ!!!!ああ……はっ!!!う………んっ………!!!」
白い肌の上に薄っすらと汗が滲む様を見ながら、もっと壊してしまいたいと思う。
この子をもっと俺の手で、悪い子にしてしまいたい。
いけない事をしている。ずっと二人で悪いことを。不道徳な事を繰り返してる。
彼の形の良いものから白濁が漏れ出すのを見れば、何だか心が満足した。
小さく胸を上下させながら、彼は机の上で絶頂に浸っている。
この体にもっともっと、いけない事を教えてあげたい。
彼はもうすぐ違う県にある進学校への進学が決まってしまっている。
きっと彼が其処に行ってしまえば、もう二度と会う事が無い事位解っているのだ。
青春時代の恋の思い出なんてものは、大人になってしまえばどんなことでも、ただのいい思い出にしかならない。
だからせめてまだ、彼が恋に恋をして夢を観ているこの時間だけは、俺を刻み付けていたい。
何時か君が俺を思い返すその時に、悪い男に出会ったと笑ってほしい。
だから今は俺の中にも、君を刻み付けて居たい。恋に恋する多感な季節の美しい君の姿を。
彼の頬に手を伸ばして、覆い被さるように顔を覗き込む。
軽い口付けを落としてから、今日はもう一つ悪いことを教えてあげる事にした。
「どうしたい?続きが欲しいなら、ちゃんと自分で強請るんだよ?」
今にも泣きだしそうな表情を浮かべて、彼は茜に染まっている。
潤んだ瞳は物欲しそうで、ただただ与えられた熱に浮かされていた。
そして彼は真っ白で綺麗な指先を此方に伸ばし、甘い声色で囁いた。
「せんせいのが……なかにほしい……です………」
嗚呼なんて可愛らしい。俺の望んだままに背徳を貪る。
「良く出来ました……」
耳元でそう囁いて、彼の身体に己を重ねる。
抱きしめたら壊れてしまいそうな彼を抱きながら、彼の熱を、声を、肌の感触を染みつける。
絶対に忘れる事なんて無いように。彼といたことを風化なんてさせないように。
悪い事を教えてあげる。いけない事をしてあげる。背徳を君に教えてあげる。
さよならを告げなければならない、その日まで。
俺は知っているのだ。誰も知らない彼のことを。
そして俺はあの頃の彼の事を、心から愛していたのだ。
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