疼痛溺愛ロジック~嗜虐的Dom×被虐的Subの恋愛法則~

如月緋衣名

文字の大きさ
上 下
14 / 28
Ⅴ.

Ⅴ 第一話

しおりを挟む
 リビングのテーブルの上には、食べ散らかした食事の残骸が散らばっている。
 二・三枚だけ残して食べつくされたピザの箱と、無駄に海苔巻きの類が残っているプラスチックの寿司桶。
 食事を食い尽くした俺たちは、性急に服を脱ぎ散らかして肌と肌を触れ合わせた。
 
 
 食ってただヤるなんて動物みたいだ。
 
 
「てか、髪大分短くなったんじゃない?髪の毛掴めねぇじゃん……」
 
 
 遊歩がそう囁きながら、ソファーの上で俺の首筋を舐める。
 後ろから抱かかえられるようにされながら、ソファーで二人で寝そべっていた。
 対して面白くもないテレビ番組をライト代わりにしながら、遊歩に身体を触られる。
 珍しく焦らす様な愛撫を落としながら、俺の項に軽いキスをした。
 
 
 ちゅっ、という唇の音が響き渡り、淡い快楽を与えてくれるのが愛しい。
 俺の身体をじっくりと撫でる遊歩の手の温かさに、思わず息が漏れた。
 
 
「は……んっ………!!また髪引っ張るつもり………?それで切ったのに?」
 
 
 揶揄するように笑ってみれば、遊歩が俺の背中に噛み付く。
 鋭い痛みに思わず蹲れば、俺の背後で遊歩が甘い声色で囁いた。
 
 
「でも、これはこれでそそるかも……今噛み跡付けたら隠せないね」
 
 
 遊歩が俺の身体をきつく抱き寄せたままで、何度も何度も首から肩のラインに歯を立ててゆく。
 その鋭い痛みがとても心地よくて、このまま食われても良いと迄感じていた。
 
 
 遊歩の方に振り返りながら、強請るように舌を突き出す。
 すると遊歩は俺の舌に自分の舌を重ねる様に絡ませた。
 遊歩が俺の身体を自分の方に転がせながら、向かい合う形になる。そのまま唇は遊歩の唇に塞がれた。
 
 
 ぐちゃぐちゃ響く唾液の絡まる下品な音と、舌と舌が絡まる熱の感覚。
 俺と遊歩の間にはお互いの吐息以外聞こえない。
 ゆっくりと唇を離せば、遊歩が俺の胸元を淡く噛み始める。すると遊歩が強請るように囁いた。
 
 
「ねぇ、俺の名前呼んで?」
 
 
 遊歩からの命令コマンドだというのに、珍しく可愛らしい内容だ。
 テレビの光に照らされて遊歩の顔が明るく見える。
 この時に視界に入った遊歩の顔が、余りに綺麗で息を呑んだ。
 
 
「………遊歩」
 
 
 確かめる様に名前を呼べば、遊歩が淡い笑みを浮かべる。
 俺の肌に顔を擦り付ける様にして、甘い吐息を吐き出す。
 
 
「もっと、呼んで………今、一希のこと誰が抱いてるか理解して」
「っ………!!遊歩!!」
 
 
 この時にやっと遊歩が今、俺に名前を呼ばせる意図を理解する。
 遊歩は俺を日向の所に行かせたくないのだ。
 遊歩の唇が更に下に下がってゆき、俺のものまで舐め上げる。
 そそり立ってしまったそれに舌を這わされれば、遊歩の吐息が吹きかかった。
 
 
「ん……!!ゆうほ……そこ、だめぇ………!!」
「駄目じゃないでしょ?本当の事教えて?」
Say本当は?
 
 
 遊歩がそう問いかけながら、俺のものを自分の口内に含む。
 暑い粘膜とぬめる舌が絡まった瞬間、遊歩の髪を撫でる手が強くなった。
 息を乱して身体をくねらせれば、上目遣いの遊歩が俺を見る。
 その瞬間に俺の唇は動き出した。
 
 
「きもちいい……!!ゆうほのくち、きもちよすぎてばかになるぅ……!!!」
 
 
 恥ずかしい事を口走っている。とてもとてもはしたない、いやらしい事を。
 すると遊歩が俺の股に顔を突っ込んだままで、思いっきり噴き出した。
 
 
「…………ふぶ!!!もう、俺たち十分馬鹿だろ!?」
 
 
 そう言いながら俺のものを舐めしゃぶる遊歩に、俺も思わず小さく笑う。
 
 
「く……!!あは!!そうだ……くく……ん………!!!」
 
 
 俺が笑う度に遊歩が上手く舌を使い、俺の爪先が震えだす。
 そんないっぱいいっぱいの俺を目掛けて、遊歩が揶揄するように笑った。
 
 
「喘いだり笑ったり随分忙しいんじゃない??生まれたての小鹿じゃん?」
「だって……ゆうほのなめかた、じょうず………あ!!!う!!!」
 
 
 思わずイキそうになるのを耐えながら、俺を弄る遊歩の顔を覗き込む。
 遊歩も一緒に気持ちいいのがいい。遊歩と気持ちよくなりたい。
 
 
「ゆうほの、なめたい……いっしょになめちゃだめ?」
 
 
 俺が遊歩に問いかければ、ほんの少しだけ照れ臭そうに遊歩が呟く。
 
 
「っ、別にいい、けどぉ?」
 
 
 遊歩がそう言いながら俺の身体を抱き起こす。
 それからソファーの上に寝そべり、俺に向かって手を広げた。
 
 
Present俺の顔の方に乗って
 
 
 そう言われた瞬間にものすごい恥ずかしい気持ちになる。
 一緒に舐めるという事は遊歩の顔の間近に、自分の恥部を近付けなくてはならないのか。
 顔を真っ赤に染め上げた俺を見ながら、遊歩がケラケラ笑いだした。
 
 
「顔、茹蛸みたいじゃん!?」
Come来いよ
 
 
 導かれるままに震える脚で遊歩の顔を跨ぐ。すると遊歩が俺の腰を引き寄せた。
 慌てて遊歩のものを咥えようと口を開けた瞬間、俺の入口に何か柔らかいヌラヌラとした感触が触れる。
 
 
「っひ……!?」
 
 
 思わず身体を跳ね上げれば、俺の下で遊歩が笑う。
 遊歩が俺の入口を舐めたことに気付いた瞬間、どうしていいか解らない位に恥ずかしい気持ちになった。
 
 
「あ……や……!!まってゆうほ……!!そこだめ………!!」
「……テメェで舐めたいって言ってた癖に、随分怠けてない?」
 
 
 遊歩がそう言いながら笑うのに煽られながら、遊歩のものに舌を這わせる。
 懸命に遊歩のものを舐め回せば、遊歩の吐息が俺の入口に吹きかかった。
 気持ちいいと恥ずかしいの混ざり合った感覚が、触れ合いたい感情に更に拍車をかける。
 
 
 今俺が咥えている熱いものを、早く中に欲しい。
 
 
「ゆうほぉ………ダメかも…………もう、なかほしい………」
 
 
 遊歩の脚に絡まりつくように腕を回し、遊歩の方を振り返る。
 すると遊歩が俺の身体をソファーの肘掛けに押し出した。
 
 
「……いいよ、あげる」
 
 
 ソファーの肘掛けに身体を凭れかければ、俺の入口に冷たいものが塗られる。
 背中に遊歩の手が置かれた時に、遊歩が穏やかな声色で呟いた。
 
 
Kissこっちむいて
 
 
 遊歩の方に顔を向けようとすれば、後ろから抱き抱える様に遊歩が俺を見る。
 唇と唇を重ね合わせた瞬間に、遊歩が俺の中に入ってきた。
 
 
「は……あ…………っ!!」
 
 
 遊歩が俺の中に自分を埋めて、動かずに俺を抱き締める。
 それから静かに俺の耳の軟骨を噛んだ。
 偶然にも遊歩が噛んだその場所は、嘗て日向がカラーを付ける為にあけたピアスと同じ場所だった。
 まるで遊歩が全てを上書きしているようで、切なくて愛しい気持ちになる。
 
 
 俺はまだ死ねない。死ねそうにない。
 
 
 明日死んで良い位の気持ちでずっと生きてきたのに。
 玩具だろうが何だろうが遊歩は俺に死ねない理由をくれるから、裏切って俺だけ死ぬ訳にいかなくなってしまった。
 
 
「っ…………ゆうほのせいだからね…………?」
 
 
 俺がそう言いながら笑えば、遊歩が不思議そうな顔をする。
 
 
「え?何が?一希のケツにすぐチンコ入る様になった事?」
「ぶふっ……………そうじゃないから」
 
 
 遊歩の言葉に喘ぎながら笑い、静かに唇を重ねる。
 俺の中が遊歩のものに絡まるのを感じながら、理性を手放した。
 
 
「あ………は……!!ああっ………!!」
 
 
 遊歩が俺の腰を押さえながら、ゆっくりと揺さぶってゆく。
 身体中がゾクゾクと震え出すのを感じながら、快楽に溺れた。
 気持ち良くて温かくて、遊歩で身体が満ちてゆく。
 
 
「ふ……ぁ!!……んんんん……!!ゆうほ……ゆうほ………!!」
 
 
 遊歩の名前を呼びながらソファーの肘掛けに爪を立てる。
 荒い呼吸を吐きながら、遊歩が甘い声色でこう言った。
 
 
「……こうやって俺の名前だけ呼んでてよ…………」
 
 
 遊歩が俺の顔を自分の方に向かせながら、俺の唇を開かせる。
 舌を差し出せば、遊歩が俺の舌に噛み付いた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

家事代行サービスにdomの溺愛は必要ありません!

灯璃
BL
家事代行サービスで働く鏑木(かぶらぎ) 慧(けい)はある日、高級マンションの一室に仕事に向かった。だが、住人の男性は入る事すら拒否し、何故かなかなか中に入れてくれない。 何度かの押し問答の後、なんとか慧は中に入れてもらえる事になった。だが、男性からは冷たくオレの部屋には入るなと言われてしまう。 仕方ないと気にせず仕事をし、気が重いまま次の日も訪れると、昨日とは打って変わって男性、秋水(しゅうすい) 龍士郎(りゅうしろう)は慧の料理を褒めた。 思ったより悪い人ではないのかもと慧が思った時、彼がdom、支配する側の人間だという事に気づいてしまう。subである慧は彼と一定の距離を置こうとするがーー。 みたいな、ゆるいdom/subユニバース。ふんわり過ぎてdom/subユニバースにする必要あったのかとか疑問に思ってはいけない。 ※完結しました!ありがとうございました!

黒とオメガの騎士の子育て〜この子確かに俺とお前にそっくりだけど、産んだ覚えないんですけど!?〜

せるせ
BL
王都の騎士団に所属するオメガのセルジュは、ある日なぜか北の若き辺境伯クロードの城で目が覚めた。 しかも隣で泣いているのは、クロードと同じ目を持つ自分にそっくりな赤ん坊で……? 「お前が産んだ、俺の子供だ」 いや、そんなこと言われても、産んだ記憶もあんなことやこんなことをした記憶も無いんですけど!? クロードとは元々険悪な仲だったはずなのに、一体どうしてこんなことに? 一途な黒髪アルファの年下辺境伯×金髪オメガの年上騎士 ※一応オメガバース設定をお借りしています

平凡な俺が双子美形御曹司に溺愛されてます

ふくやまぴーす
BL
旧題:平凡な俺が双子美形御曹司に溺愛されてます〜利害一致の契約結婚じゃなかったの?〜 名前も見た目もザ・平凡な19歳佐藤翔はある日突然初対面の美形双子御曹司に「自分たちを助けると思って結婚して欲しい」と頼まれる。 愛のない形だけの結婚だと高を括ってOKしたら思ってたのと違う展開に… 「二人は別に俺のこと好きじゃないですよねっ?なんでいきなりこんなこと……!」 美形双子御曹司×健気、お人好し、ちょっぴり貧乏な愛され主人公のラブコメBLです。 🐶2024.2.15 アンダルシュノベルズ様より書籍発売🐶 応援していただいたみなさまのおかげです。 本当にありがとうございました!

いっぱい命じて〜無自覚SubはヤンキーDomに甘えたい〜

きよひ
BL
無愛想な高一Domヤンキー×Subの自覚がない高三サッカー部員 Normalの諏訪大輝は近頃、謎の体調不良に悩まされていた。 そんな折に出会った金髪の一年生、甘井呂翔。 初めて会った瞬間から甘井呂に惹かれるものがあった諏訪は、Domである彼がPlayする様子を覗き見てしまう。 甘井呂に優しく支配されるSubに自分を重ねて胸を熱くしたことに戸惑う諏訪だが……。 第二性に振り回されながらも、互いだけを求め合うようになる青春の物語。 ※現代ベースのDom/Subユニバースの世界観(独自解釈・オリジナル要素あり) ※不良の喧嘩描写、イジメ描写有り 初日は5話更新、翌日からは2話ずつ更新の予定です。

ド天然アルファの執着はちょっとおかしい

のは
BL
一嶌はそれまで、オメガに興味が持てなかった。彼らには托卵の習慣があり、いつでも男を探しているからだ。だが澄也と名乗るオメガに出会い一嶌は恋に落ちた。その瞬間から一嶌の暴走が始まる。 【アルファ→なんかエリート。ベータ→一般人。オメガ→男女問わず子供産む(この世界では産卵)くらいのゆるいオメガバースなので優しい気持ちで読んでください】

ヤンデレエリートの執愛婚で懐妊させられます

沖田弥子
恋愛
職場の後輩に恋人を略奪された澪。終業後に堪えきれず泣いていたところを、営業部のエリート社員、天王寺明夜に見つかってしまう。彼に優しく慰められながら居酒屋で事の顛末を話していたが、なぜか明夜と一夜を過ごすことに――!? 明夜は傷心した自分を慰めてくれただけだ、と考える澪だったが、翌朝「責任をとってほしい」と明夜に迫られ、婚姻届にサインしてしまった。突如始まった新婚生活。明夜は澪の心と身体を幸せで満たしてくれていたが、徐々に明夜のヤンデレな一面が見えてきて――執着強めな旦那様との極上溺愛ラブストーリー!

オッサン、エルフの森の歌姫【ディーバ】になる

クロタ
BL
召喚儀式の失敗で、現代日本から異世界に飛ばされて捨てられたオッサン(39歳)と、彼を拾って過保護に庇護するエルフ(300歳、外見年齢20代)のお話です。

処理中です...