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最終章 病める時も健やかなる時も

第五話☆

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 マリアの口内の粘膜は温かく、舌は相変わらず艶めかしい動きを繰り返す。
 まるでアイスクリームでも舐め回している様に舌を出し、唾液を流しながら陰茎を愛撫する。
 真生は久しぶりにマリアに舐められながら、この行為はこんなに気持ちが良かっただろうかと思う。
 マリアは自分の中の疼きに耐え切れないのか、性器を自ら指で弄る。その度に愛液が乱れ、ぐちゅっ、といやらしい音が響く。
 その下品でどうしようもなく破廉恥な様が、真生には扇情的だった。
 
 
「は…………そんなの、また何処で覚えてきたの………??マリア………??」
「んんん…………ごしゅじんさまがみてた、むかしのえろどうがからぁ…………これぇ、きらい、ですか??」
「………すっごい、エロくて堪らない………早く中に入れたくなっちゃう………」
 
 
 真生は床に立ち、マリアの身体を起き上がらせる。自分の性器を癒している手付きが、見下ろすだけでよく見える。
 マリアの口を開かせて其処に陰茎を捩じ込む。喉奥に先端を擦り付けると、マリアの喉がビクンと動いた。
 頭を押え付ける様にしながら、腰を乱して口腔を犯す。唾液が溢れた口元は、愛液を垂れ流す性器を思わせる。
 今日は一回だけで終われそうにないと感じた真生は、マリアの喉奥を激しく突き回す。
 マリアは眉を顰めながら、真生のものを懸命に受け止める。絶頂の感覚を感じた真生は、マリアに問いかけた。
 
 
「…………口もさ、汚していい??今日マリアの事、汚したい………」
 
 
 口淫の最中のマリアは頷き、自ら激しく頭を振る。真生はマリアのプラチナブロンドの髪を軽く握りしめ、口内に白濁を吐き出した。
 真生の陰茎から口を離したマリアは、精液に塗れた舌を突き出す。
 真生の陰茎は精液に塗れたマリアの口元だけで、萎えずにまた起ちあがった。
 
 
「飲んで………」
 
 
 マリアは涙で目を潤ませながら、白い喉を揺らす。
 綺麗に精液を飲み干した事を、舌を出して伝える。真生はマリアに自ら舌を絡ませながら、ベッドに押し倒した。
 愛液で濡れた手をベッドに押さえ付け、白い脚を開かせる。
 真生は塗れた膣口に、一気に陰茎を捩じ込んだ。
 
 
「あぁっ!!!」
「…………愛してるよ、マリア…………!!」
 
 
 腰を動かして最奥を擦り上げる度に、ぱちゅっ、くちゅっ、と音が響き渡る。
 愛液が掻き回される音と、肌と肌がぶつかり合う音が、交じり合って部屋に響いていた。
 五感全てがマリアによって満ち溢れ、ちゃんと帰って来てくれた事を全身全霊で感じる。
 もう失うのも『あの時にこうしておけば良かった』と、後悔するのも絶対に嫌だと真生は思う。
 
 
 例えこの愛が禁忌を犯していようとも、もう決して迷わないと、真生は心に決めていた。
 
 
「あぁぁ………ごしゅじんさまぁ!!あいしてる!!あいしてますぅ!!!」
「んっ………!!俺も、俺も愛してる………!!愛してるよ!!マリアの事…………!!」
 
 
 真生もマリアも愛を囁き合いながら、お互いの身体が絶頂の寸前であると察している。
 きつく絡まる内壁の中で、陰茎が熱を持って膨れ上がってゆく。
 自分の身体を流れてゆく汗を感じながら、最奥目掛けて腰を振り乱す。
 真生がマリアの中に白濁を吐き出すのと、マリアが絶頂を迎えるのは同時だった。
 
 
「ん、あああああ!!!!」
 
 
 射精したばかりの真生の陰茎を、マリアの膣口がひくひくと締め上げる。
 マリアを見下ろすと、とても満たされた表情を浮かべ甘く微笑む。
 真生はマリアの唇に唇を重ね合わせ、甘い声色でまた囁いた。
 
 
「…………世界で一番愛してる…………」
 
 
 マリアは触れ合うだけのキスを繰り返し、照れ臭そうに囁く。
 
 
「ご主人様…………今日は私よりもずっと、ご主人様の方が『愛してる』って言ってます…………!!」
 
 
 マリアから指摘を受けた真生は、繋がった身体の儘で、悪戯っぽい笑みを浮かべる。
 そのまま真生はマリアの身体に覆いかぶさり、深い口付けを始めた。
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