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第十章 或る男の記録

第六話☆

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 要治は人前で泣くのが嫌だった。誰かに弱みを見せる様で嫌だったのだ。
 アンドロイドとはいえど、リリスは人の形を模した存在。初めて要治が自分の弱みを晒したのは、リリスだった。
 
 
「………要治さ………んっ、今日のキス…………」
「……………なんだよ、嫌か?嫌だったら止めるから、云えよ…………」
「……………もっとしたい……………」
 
 
 この日、要治は初めてリリスのキスに応えた。じゃれつく様なリリスのキスに、喰らい付くようなキスを返す。
 口を抉じ開ける様に舌を捩じ込み、口内を貪る。
 飢えた獣が草食獣に喰らい付くような勢いを、リリスは抱きしめられながら感じていた。初めて欲情というデータを使い性器を濡らす。
 リリスが何時も飲んでいる、薔薇のハーブティーの匂いが漂い、要治はそれに気が付いた。
 
 
 リリスの着ているドレスを丁寧に脱がし、全身にキスを落としてゆく。
 要治が手のひらに収まるリリスの胸元に舌を這わせ、薄い桃色の乳首を吸い上げる。
 真っ白な肌に要治の褐色に近い肌が這い、蛇の様に絡みつく。要治とリリスは研究所の古びたソファーの上で、肌を重ね合わせた。
 今まで見た事のない、必死な要治の表情が愛しい。捩じ込まれた指に舌を這わせながら、リリスは一筋涙を流す。
 人工唾液で濡れた指をリリスの性器に這わせながら、ゆっくりと膣口にねじ込んでゆく。
 要治の下のリリスは小さく息を漏らし、身体を弓形にした。
 
 
「…………辛くねェか?」
 
 
 要治は荒々しい口調でありながら、リリスの事を気遣う。リリスは小さく頷いて要治の背中に腕を回した。
 研究所の中には、濡れた音とリリスの吐息が響き渡る。リリスの身体を要治が淡く噛みながら、指先で昂らせてゆく。
 くちゅっ、と濡れた音が響くと、リリスの羞恥心が駆り立てられる。
 身体を巡る電波信号は今まで体感した事のないもの。リリスは初めての快感のデータに打ち震え、身体をくねらせる。
 膣内の粘膜のうねりが強くなるのを、要治は指先で感じていた。リリスの身体をきつく抱きしめながら、更に激しく攻め立てた。
 
 
「…………あ…………!!だめ………ようじさんこれ………へんっ!!!」
「…………変になって良いんだ。そのままイけ…………」
 
 
 リリスの身体がびくり、と跳ね上がると、要治はあやす様に優しいキスをする。
 息を乱すリリスを見下ろした要治は、今まで誰にも見せてこなかった様な、穏やかな笑みを浮かべた。
 
 
「…………上手にイケたな」
 
 
 リリスの頬に唇を寄せ、要治は真っ白な細い脚を開く。膣口に陰茎の先端を宛がい、ゆっくりと体重をかけてゆく。
 ずぷっ、という音が身体に響き渡り、要治と身体が一つになっているのをリリスは感じる。
 要治の髪が汗で濡れる様を、血の様に赤い虹彩で見つめながら、リリスは愛しくて壊れそうだと思った。
 
 
「あ………!!だめ!!ようじさん………!!だいすき………!!だいすき、なの………!!」
 
 
 要治に最奥を突き回される度に、リリスは愛しさに打ち震える。
 リリスの囁く愛の言葉に対し、要治は応える様に深いキスをした。
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