恋する電脳Cybernetics~君の名はMARIA~【若き天才プログラマー×高知能AIアンドロイド美少女】

如月緋衣名

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第八章 核心に触れる

第七話

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 500mlペットボトルサイズの小型のアンドロイドを二体並べ、双方が双方にプログラムされた感情を向ける様に仕向ける。
 パソコン室の隅の机にそれを置くと、前嶋が物珍しそうな目をした。
 
 
「…………これは一体………」
「これは実験用のラットみたいなものです。小型なので、万が一危険なプログラムが設定されていても、被害は全く出ない。
感情のプログラムの予想実験によく使ってます」
 
 
 アンドロイドが起動して動き始めると、マリアはとても冷ややかな表情を浮かべる。
 そして自分が組み上げた、AIのソースコードについて説明を始めた。
 
 
「…………幾つかご参考までに、AIソフトのソースコードは読んで頭に入っています。
LILITHの大本のデータに関しては、エナというアンドロイドとの接触で触れていました。
LILITH5の方のデータ記録の中になく、LILITH6の方にあるデータを今、抜き出して更にをピックアップした組み合わせです」
 
 
 マリアがそう言い切ると、机の上のアンドロイドが取っ組み合いの喧嘩を始める。
 お互いにお互いを激しく傷付けるような、激しい暴力を奮うアンドロイドを、真生と前嶋はただ見つめる事しか出来なかった。
 マリアは眉を顰めて俯き唇を噛み締める。グッと目を閉じて顔を叛けた瞬間、男性型のアンドロイドが女性型の首を捥いだ。
 
 
 小さな火花を上げながら、小型のアンドロイドは二体共ショートする。
 真生はこの時にマリアが睨んでいた観点が、正しかった事を理解した。
 
 
「……………こんな感情のソースコード、人間が束になって掛かったって絶対見付からない…………!!
物凄く深層の中に入ってた…………!!!リリスは………リリスは一体何なの…………!!!」
 
 
 マリアが悲痛な叫びを口にすると、さっき迄使っていたパソコンから警告音が響き渡る。
 画面上に浮かび上がった文字はTRESPASSER侵害者だった。
 パソコン室の中でモニター画面を見ていたアンドロイドが、一斉に席を立ち真生の方を見る。
 切れ長の一重のアンドロイドは、口角を釣り上げて同じ顔で笑った。
 彼らは物凄い勢いで真生達の方に駆けてくる。前嶋は真生とマリアの前に立ち、拳銃を構えた。
 
 
「…………下がって!!!」
 
 
 パソコン室の中を銃声が鳴り響き、真生は頭を下げる。
 今いるアンドロイドたちの動きの速さに、真生は戦慄する。真生はこの場にいるアンドロイドが、軍事用戦闘データをインストールしたものであると気付いた。
 AIアンドロイドはデータをインストール出来れば、どんな行動も自由自在に出来る様になる。
 接客や性行為だけではない。インストールさえしてしまえば戦闘も可能になる。
 アンドロイドには人間の様な身体づくりが必要ない。既に肉体は整ってしまっているものだ。
 
 
 前嶋は何発も銃の弾をアンドロイドに打ち込むが、全く倒れる気配を感じない。
 この時、真生と前嶋はアンドロイドに殺されると感じた。
 絶体絶命の極地に立たされている中で、マリアが小さく囁く。マリアだけは頭を回転させる事を辞めていなかった。

 
 
「……………AIアンドロイドの軍事用戦闘データ、今ダウンロードできますか??」
 
 
 マリアがそう叫ぶと前嶋が我に返る。そしてマリアに向かって、自分の警察手帳を投げつけた。
 
 
「…………その中にインストールコードが入っている!!!」
 
 
 マリアは警察手帳を受け取り、物凄い勢いで近くのパソコンを起動させる。
 慌てて自分の身体の配線を繋ぎながら、軍事用データのインストールを開始した。
 真生は全くその場から動けず、果敢に立ち向かう二人を見ている。
 その時に自分が如何に無力なのかを、痛い程思い知っていた。
 
 
 軍事用戦闘データを身体に入れたマリアは、乱暴に配線を自分から引き抜き宙を舞う。
 自分目掛けて向かってくるアンドロイドに、真正面から飛び掛かった。
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