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第六章 正しい、が解らない
第五話
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マリアが研究室の手伝いに入る様になり早三日。山積みになっていたやるべき作業は、気が付けばかなりの量が減っていた。
作業をするマリアの横顔を見ていると、時折真生に向かってわざと頬を膨らませる。
マリアは相変わらず研究室の中では不機嫌だ。
「……………マリアー?」
真生は露骨に困った表情を浮かべ、掛けている眼鏡を押し上げる。
するとマリアはふんと鼻を鳴らし、プラチナブロンドの髪を散らす様に、わざとそっぽを向いた。
マリアが露骨に不機嫌な態度をとる理由はたった一つ。綾香がマリアに対してしつこいからである。
「あっ!!マリアちゃんおはよう!!これ飲んで!!ドライいちごの入ってるハーブティー!!」
研究室に入って来るなり、綾香はマリアの元に飛んでくる。
綾香の様子はまるで、餌を目の前に出された仔犬の様だ。
マリアは今、綾香のお気に入り。綾香はマリアが可愛くて可愛くて仕方ない。
マリアは綾香に気を使い、怯えながらも優しい対応をしていた。
「……………お気遣い有難うございます…………」
目を点にしながらハーブティーを受け取るマリアと、マリアの様子を見ながらニコニコと笑う綾香。
そんな二人を遠巻きに、ロイが呆れた様に溜め息を吐いた。
「……………綾香さん、大分マリアさんの事気に入っちゃって」
真生は苦笑いを浮かべ、助けを乞う眼差しを送るマリアに、ぎこちない笑みを浮かべた。
***
紙コップの中にティーパックを入れ、紐が落ちない様に指で押さえる。
中にお湯を注ぎ込むと、ふわふわ苺の匂いが漂った。
給湯室の前のソファーにはマリアが腰掛け、相変わらず不機嫌そうな様子で真生を待っている。
真生はマリアの機嫌を取るために、綾香から受け取ったハーブティーを入れていた。
「………マリア、お待たせ」
マリアに紙コップを手渡せば、眉をしかめながらも両手で受け取る。
ちびちびとハーブティーを飲み始めると、急に表情が柔らかくなり始めた。
真生はマリアの表情の変化を感じ取りながら、胸を撫で下ろす。
深呼吸しながらソファーに腰掛けると、マリアが真生の肩に自分の身体を預けた。
「………マリア?」
マリアは甘える様に真生の肩に頭を暫く擦り付け、またしっかりと座り直す。
甘えたかったことに気が付くと、愛しさが胸に溢れ返った。
プラチナブロンドの髪に指を絡ませ、ゆっくりと撫で上げてゆく。
マリアは頬を上気させながら、空色の虹彩で真生の目を覗き込む。
キスをしそうな距離感で見つめ合う二人。その背後から、わざとらしい咳払いの音がする。
慌てて振り返ると、其処には幹彦が立っていた。
「………………穂積君が女の子とイチャイチャしてる、って思ったら、今日マリアちゃんと一緒だったの?」
幹彦はそう言いながら、真生にゆっくりと近付いてくる。真生は慌てて取り繕い頷いた。
「あ、ああ…………今、研究室に人が足らなくてね…………」
幹彦は『ふぅん』と鼻を鳴らし、真生の隣に腰掛ける。マリアに聞こえない位に小さな声で、幹彦は話し始めた。
「…………あれから、まともに綾香と話せてないんだ………。今研究室にいったら、綾香と少し話せるかな?」
作業をするマリアの横顔を見ていると、時折真生に向かってわざと頬を膨らませる。
マリアは相変わらず研究室の中では不機嫌だ。
「……………マリアー?」
真生は露骨に困った表情を浮かべ、掛けている眼鏡を押し上げる。
するとマリアはふんと鼻を鳴らし、プラチナブロンドの髪を散らす様に、わざとそっぽを向いた。
マリアが露骨に不機嫌な態度をとる理由はたった一つ。綾香がマリアに対してしつこいからである。
「あっ!!マリアちゃんおはよう!!これ飲んで!!ドライいちごの入ってるハーブティー!!」
研究室に入って来るなり、綾香はマリアの元に飛んでくる。
綾香の様子はまるで、餌を目の前に出された仔犬の様だ。
マリアは今、綾香のお気に入り。綾香はマリアが可愛くて可愛くて仕方ない。
マリアは綾香に気を使い、怯えながらも優しい対応をしていた。
「……………お気遣い有難うございます…………」
目を点にしながらハーブティーを受け取るマリアと、マリアの様子を見ながらニコニコと笑う綾香。
そんな二人を遠巻きに、ロイが呆れた様に溜め息を吐いた。
「……………綾香さん、大分マリアさんの事気に入っちゃって」
真生は苦笑いを浮かべ、助けを乞う眼差しを送るマリアに、ぎこちない笑みを浮かべた。
***
紙コップの中にティーパックを入れ、紐が落ちない様に指で押さえる。
中にお湯を注ぎ込むと、ふわふわ苺の匂いが漂った。
給湯室の前のソファーにはマリアが腰掛け、相変わらず不機嫌そうな様子で真生を待っている。
真生はマリアの機嫌を取るために、綾香から受け取ったハーブティーを入れていた。
「………マリア、お待たせ」
マリアに紙コップを手渡せば、眉をしかめながらも両手で受け取る。
ちびちびとハーブティーを飲み始めると、急に表情が柔らかくなり始めた。
真生はマリアの表情の変化を感じ取りながら、胸を撫で下ろす。
深呼吸しながらソファーに腰掛けると、マリアが真生の肩に自分の身体を預けた。
「………マリア?」
マリアは甘える様に真生の肩に頭を暫く擦り付け、またしっかりと座り直す。
甘えたかったことに気が付くと、愛しさが胸に溢れ返った。
プラチナブロンドの髪に指を絡ませ、ゆっくりと撫で上げてゆく。
マリアは頬を上気させながら、空色の虹彩で真生の目を覗き込む。
キスをしそうな距離感で見つめ合う二人。その背後から、わざとらしい咳払いの音がする。
慌てて振り返ると、其処には幹彦が立っていた。
「………………穂積君が女の子とイチャイチャしてる、って思ったら、今日マリアちゃんと一緒だったの?」
幹彦はそう言いながら、真生にゆっくりと近付いてくる。真生は慌てて取り繕い頷いた。
「あ、ああ…………今、研究室に人が足らなくてね…………」
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