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第五章 冷たい鉄の塊
第八話
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真生が立ち直ったのは一時間後の事だった。
やっと真生はこの日、泥の様に疲れ果てて眠る。穏やかな寝息が聞こえて来る迄も、多少時間を要した。
マリアは健やかに眠る真生を見届けてから、自分用のノートパソコンを開く。
真生の疲弊具合を考えると、絶対に何か悪い事が起きているに違いない。マリアはそう思いながら記憶を辿る。
すると記憶データ内の、テレビを付けた時に垣間見えた、真生の反応を思い返した。
マリアはニュースを探り、真生が一番見たくなかったものを探し当てる。
暫く検索を続けると、男女二人がAIアンドロイドに襲われた事件が出てきた。
事件現場の写真を見ながら、場所の特定を急ぐ。そしてその場所が、真生の友人の博嗣の家であるとマリアは気付いた。
もしもこの事件に巻き込まれたのが博嗣であれば、暴れたアンドロイドはエナに違いない。
マリアは更に詳細なニュースを調べる為に、SNSを調べてゆく。
そして被害者と問題の凶暴化したアンドロイドが、良く知った博嗣とエナである確信をしたのだ。
マリアは懸命に計算を繰り返し、自分の中にあるデータを丹念に調べてゆく。
最近の博嗣とエナの情報は、これといって大した情報がない。LILITH6にエナをグレードアップした事位しか、マリアの中からは情報が出てこないのだ。
今の儘では何も解らないとマリアは感じる。念のため自分の『警戒対象』のアルゴリズムに、LILITH6を入れておく。
警戒をする必要性がなければ、削除をしようとマリアは思った。
ノートパソコンの電源を切り、静かに閉じる。
パソコンをキッチンのテーブルの上に片付けようと思い、マリアはベッドから立ち上がった。
ベッドのスプリングが軋み、ほんの少しだけマットレスが上下する。
するとマリアの細い腕を、寝惚け眼の真生が掴んだ。
驚いたマリアが真生の方を見ると、真生は今にも泣きだしそうな表情を浮かべていた。
「…………マリア、どこにいくの…………??」
子供の様に話す真生を見て、マリアは思わず息を飲む。
寝起きの真生の所作が、たまらなく可愛くて仕方が無い。真生はこういう瞬間に、自棄に幼い行動をする。
その所作がとてもマリアは大好きなのだ。
マリアは思わず笑みを浮かべ表情を綻ばせる。真生を甘やかす様な猫撫で声で囁いた。
「パソコンを仕舞おうと思ってましたよぉ!!片付けが終わり次第、すぐ添い寝に戻りますねぇ…………!!」
けれど真生はマリアの腕を離さず、愚図る子供の様に頭を左右に振る。
そのままマリアの腕を軽く引っ張り、甘えながら頬擦りをした。
「……………片付けなんて明日でいいよ。今は俺の傍から離れないで…………」
この時マリアは甘える真生が可愛すぎて、それだけでショートしそうになっていた。
こんなに可愛らしく甘えてくれるだなんて、AIアンドロイド冥利に尽きるとさえ思う。
マリアはノートパソコンをベッドの下に突っ込み『起床と同時にパソコンの片付け』と頭のデータに書き留めた。
真生のベッドにマリアが横になり、抱きしめる様に腕を回す。
すると真生は腕枕をされるかの様な体勢で、すやすやと眠りに付き始めた。
「…………おやすみなさい。愛してます、ご主人様…………」
マリアは真生にそう囁いて、起こさない様に優しいキスをする。
そしてマリアも目を閉じ、自分自身の電源を落とした。
やっと真生はこの日、泥の様に疲れ果てて眠る。穏やかな寝息が聞こえて来る迄も、多少時間を要した。
マリアは健やかに眠る真生を見届けてから、自分用のノートパソコンを開く。
真生の疲弊具合を考えると、絶対に何か悪い事が起きているに違いない。マリアはそう思いながら記憶を辿る。
すると記憶データ内の、テレビを付けた時に垣間見えた、真生の反応を思い返した。
マリアはニュースを探り、真生が一番見たくなかったものを探し当てる。
暫く検索を続けると、男女二人がAIアンドロイドに襲われた事件が出てきた。
事件現場の写真を見ながら、場所の特定を急ぐ。そしてその場所が、真生の友人の博嗣の家であるとマリアは気付いた。
もしもこの事件に巻き込まれたのが博嗣であれば、暴れたアンドロイドはエナに違いない。
マリアは更に詳細なニュースを調べる為に、SNSを調べてゆく。
そして被害者と問題の凶暴化したアンドロイドが、良く知った博嗣とエナである確信をしたのだ。
マリアは懸命に計算を繰り返し、自分の中にあるデータを丹念に調べてゆく。
最近の博嗣とエナの情報は、これといって大した情報がない。LILITH6にエナをグレードアップした事位しか、マリアの中からは情報が出てこないのだ。
今の儘では何も解らないとマリアは感じる。念のため自分の『警戒対象』のアルゴリズムに、LILITH6を入れておく。
警戒をする必要性がなければ、削除をしようとマリアは思った。
ノートパソコンの電源を切り、静かに閉じる。
パソコンをキッチンのテーブルの上に片付けようと思い、マリアはベッドから立ち上がった。
ベッドのスプリングが軋み、ほんの少しだけマットレスが上下する。
するとマリアの細い腕を、寝惚け眼の真生が掴んだ。
驚いたマリアが真生の方を見ると、真生は今にも泣きだしそうな表情を浮かべていた。
「…………マリア、どこにいくの…………??」
子供の様に話す真生を見て、マリアは思わず息を飲む。
寝起きの真生の所作が、たまらなく可愛くて仕方が無い。真生はこういう瞬間に、自棄に幼い行動をする。
その所作がとてもマリアは大好きなのだ。
マリアは思わず笑みを浮かべ表情を綻ばせる。真生を甘やかす様な猫撫で声で囁いた。
「パソコンを仕舞おうと思ってましたよぉ!!片付けが終わり次第、すぐ添い寝に戻りますねぇ…………!!」
けれど真生はマリアの腕を離さず、愚図る子供の様に頭を左右に振る。
そのままマリアの腕を軽く引っ張り、甘えながら頬擦りをした。
「……………片付けなんて明日でいいよ。今は俺の傍から離れないで…………」
この時マリアは甘える真生が可愛すぎて、それだけでショートしそうになっていた。
こんなに可愛らしく甘えてくれるだなんて、AIアンドロイド冥利に尽きるとさえ思う。
マリアはノートパソコンをベッドの下に突っ込み『起床と同時にパソコンの片付け』と頭のデータに書き留めた。
真生のベッドにマリアが横になり、抱きしめる様に腕を回す。
すると真生は腕枕をされるかの様な体勢で、すやすやと眠りに付き始めた。
「…………おやすみなさい。愛してます、ご主人様…………」
マリアは真生にそう囁いて、起こさない様に優しいキスをする。
そしてマリアも目を閉じ、自分自身の電源を落とした。
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