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第二章 人間とアンドロイドの「最期の一線」
第七話
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シャワーの音を聞きながら、リモコンを片手にテレビのチャンネルを変えてゆく。
時折身体を重ね合う男女の映像になりつつも、真面目なニュース番組に画面がやっと落ち着いた。
真生が一番見たかったのは『LILITH6』についての情報である。
アダム社の情報を真生が知りたかった理由は、単純な興味だけの話ではない。
今、真生は人生に措ける、とても大事な局面に差し掛かっていた。
大学四年生という時期。真生は大学院に進学するべきか、就職活動をするべきなのかで悩んでいた。
その理由はアダム社の方から、直々にヘッドハンティングをされたからだ。
授賞式の約二週間前に、東郷慎一という男が真生を訪ねてきた。彼はアダム社の代表だった。
真生の記憶が確かであれば、アダム社の代表は一昨年変わったばかりである。
新しい代表直々に、真生はアダム社に来て欲しいと言われたのだ。
真生位AIに対する知識と情熱をもつ人間は居ない。それは真生自身にも自覚がある。
真生にはもう少しだけ、大学院でAIについて学びたい感情があった。
けれど、長年の憧れのアダム社からのヘッドハンティングである。
このチャンスを逃してしまえば、アダム社と御近付きになれるチャンスはもうないかもしれない。
AIについてもっと研究を進めていくべきなのか、AIの開発に携わり社会に貢献すべきなのか、真生はとても真剣に悩んでいた。
けれどそのニュース番組の中でも、LILITH6の詳細は解らない。結局何も解らない儘で、そのニュースは終わってしまった。
つまらないニュースを見ていた所で、身に入るものは何もない。真生はまたリモコンを手にして、チャンネルを延々と変え始める。
真生の背後からぱたんという音が聞こえ、濡れた身体のマリアがタオルを巻いてやってきた。
ソファーに腰かけたマリアは、無防備に性器を見せながら、両脚をソファーのマットレスに上げる。
真生はマリアの性器を横目にしながら、さっきの交わりを思い返す。
「…………マリア、その恰好はだめ。足を下げて。全部俺にみえてるから」
さっきこの割れ目の中に、二回も白濁を注ぎ込んだ。溢れた白濁がシーツを汚す光景が、真生の頭でフラッシュバックする。
膣口の痙攣と濡れた内壁の絡まる感覚。思い出した瞬間にまた、劣情が沸き上がるのを真生は感じていた。
マリアの身体は飽きない。何回抱いてもリビドーは収まってくれない。真生の女性に対する不慣れさと若さが、欲を何処までも駆り立てる。
自分の欲望の赴くままに抱いてしまいたい気持ちはあるが、延々と生産性のないアンドロイドとの性行為を繰り返すのは、良くない事だと真生は思っている。
快楽に溺れるのは堕落そのものだ。その行為をして子供が出来るならまだ目的があるから許される。
けれど真生の場合は『大がかりな自慰行為』に過ぎないのだ。
「あっ…………」
マリアは慌てた様子で脚を下げ、頬をほんのり赤く染め上げる。性器を慌てて手で覆い隠す仕草が、更に扇情的に感じられた。
マリアはとても美しい。そしてとても艶っぽく、真生の中での完璧な女性像そのものだ。
けれどこの存在を作り上げたのは、何処の誰でもない自分なんだと真生は思った。
どんなに愛しく感じても、どんなに深く愛しても、相手は自分の作った女の幻である。
真生は自分自身の事を、救いようのない位に馬鹿だと感じた。
時折身体を重ね合う男女の映像になりつつも、真面目なニュース番組に画面がやっと落ち着いた。
真生が一番見たかったのは『LILITH6』についての情報である。
アダム社の情報を真生が知りたかった理由は、単純な興味だけの話ではない。
今、真生は人生に措ける、とても大事な局面に差し掛かっていた。
大学四年生という時期。真生は大学院に進学するべきか、就職活動をするべきなのかで悩んでいた。
その理由はアダム社の方から、直々にヘッドハンティングをされたからだ。
授賞式の約二週間前に、東郷慎一という男が真生を訪ねてきた。彼はアダム社の代表だった。
真生の記憶が確かであれば、アダム社の代表は一昨年変わったばかりである。
新しい代表直々に、真生はアダム社に来て欲しいと言われたのだ。
真生位AIに対する知識と情熱をもつ人間は居ない。それは真生自身にも自覚がある。
真生にはもう少しだけ、大学院でAIについて学びたい感情があった。
けれど、長年の憧れのアダム社からのヘッドハンティングである。
このチャンスを逃してしまえば、アダム社と御近付きになれるチャンスはもうないかもしれない。
AIについてもっと研究を進めていくべきなのか、AIの開発に携わり社会に貢献すべきなのか、真生はとても真剣に悩んでいた。
けれどそのニュース番組の中でも、LILITH6の詳細は解らない。結局何も解らない儘で、そのニュースは終わってしまった。
つまらないニュースを見ていた所で、身に入るものは何もない。真生はまたリモコンを手にして、チャンネルを延々と変え始める。
真生の背後からぱたんという音が聞こえ、濡れた身体のマリアがタオルを巻いてやってきた。
ソファーに腰かけたマリアは、無防備に性器を見せながら、両脚をソファーのマットレスに上げる。
真生はマリアの性器を横目にしながら、さっきの交わりを思い返す。
「…………マリア、その恰好はだめ。足を下げて。全部俺にみえてるから」
さっきこの割れ目の中に、二回も白濁を注ぎ込んだ。溢れた白濁がシーツを汚す光景が、真生の頭でフラッシュバックする。
膣口の痙攣と濡れた内壁の絡まる感覚。思い出した瞬間にまた、劣情が沸き上がるのを真生は感じていた。
マリアの身体は飽きない。何回抱いてもリビドーは収まってくれない。真生の女性に対する不慣れさと若さが、欲を何処までも駆り立てる。
自分の欲望の赴くままに抱いてしまいたい気持ちはあるが、延々と生産性のないアンドロイドとの性行為を繰り返すのは、良くない事だと真生は思っている。
快楽に溺れるのは堕落そのものだ。その行為をして子供が出来るならまだ目的があるから許される。
けれど真生の場合は『大がかりな自慰行為』に過ぎないのだ。
「あっ…………」
マリアは慌てた様子で脚を下げ、頬をほんのり赤く染め上げる。性器を慌てて手で覆い隠す仕草が、更に扇情的に感じられた。
マリアはとても美しい。そしてとても艶っぽく、真生の中での完璧な女性像そのものだ。
けれどこの存在を作り上げたのは、何処の誰でもない自分なんだと真生は思った。
どんなに愛しく感じても、どんなに深く愛しても、相手は自分の作った女の幻である。
真生は自分自身の事を、救いようのない位に馬鹿だと感じた。
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