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第二章 人間とアンドロイドの「最期の一線」

第四話☆

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 如何わしいネオン街の先には、目的に使う為のホテルが立ち並ぶ。
 行き交う男女の全てが、セックスをする為に此処に来ているのかと思うと、真生は何だか気恥ずかしくなった。
 マリアには欲がある。けれど作り出される快楽や、喜びは全てプログラムだ。全てが紛い物である。
 だが、マリアは真生との肉体関係を、強く欲として望むのだ。
 
 
「…………まさかラブホテルに行ってみたいなんて、言われると思わなかった」
 
 
 受付で受け取った鍵をテーブルに置き、広いベッドの上に腰かける。
 マリアは顔を真っ赤に染め上げながら、はぁ、と深いため息を吐いた。
 
 
「…………ご主人様に抱かれる時の言葉を学びたくて、ご主人様の好きそうなプレイのAVを、沢山見ていたのですが………」
 
 
 マリアがそう言いだした時に、流石全ての自分のデータを管理しているだけあると、真生は感心する。
 それと同時にどうしようも無い程に、羞恥心に襲われた。
 そういえば授賞式の後のホテルで、マリアは物凄く淫猥な言葉を口走っていたのを思い出す。
 その時の淫猥な言葉は全て、真生がこっそり見ていたAVや、其処から取られたデータから見たAVから学んでいた様だ。
 
 
「………その中でラブホテルが出て来て、ずっと行ってみたいなぁって…………。
ご主人様と身体を重ね合う為だけに、何処かに行くって人間の恋人同士みたい…………」
 
 
 マリアはそう言いながら、ベッドの上に膝立ちをしてミニスカートを捲る。その瞬間、ハーブティーの匂いが仄かに漂った。
 ラベンダー、レモングラス、カモミール、オレンジピール。甘さを含んだ匂いが漂う。
 ラブホテルについた段階で、マリアの性的な興奮のプログラムが作動していた様だ。
 曝け出された下着は際どい形のTバックで、青紫の薔薇が描かれた大きなレースが施され、とてもお洒落なデザインをしている。
 Tバックの下にはガーターベルトが付いていた。
 Tバックを脱がしても、ガーターベルトとストッキングだけが残る。
 真生はこんな蠱惑的な格好をしているのなら、ガーターベルトを残したまま、マリアの身体を抱きたいと思った。
 
 
 真生は眼鏡を外してベッドサイドに置き、吸い寄せられるかの様にマリアに近付く。それから下着越しにマリアの性器を撫であげた。
 指の腹が仄かに湿る感覚を感じると、マリアが大きく息を吐き出す。
 真生はマリアの着ていたワンピースに手を掛けて、ゆっくりと服を脱がし始めた。
 
 
「教えてマリア。その動画ってどんなことされてた??…………下品な言葉で伝えてくれる??」
 
 
 セーターを上から下ろすと、Tバックと合わせたデザインのブラジャーが現れる。
 真生はブラジャーのホックを取る前に、胸に当てる部分を捲って、ピンク色の乳首を唇で挟んだ。
 マリアの身体がぴくんと跳ね上がり、更にハーブティーの匂いが強くなる。息を荒げたマリアは、嬌声を漏らしながら答えた。
 
 
「あっ…………おまんこ…………沢山べろべろ舐められて………潮吹いちゃう迄指で弄られて…………。
沢山種付けされてぇ…………おまんこの中を………ザーメン塗れにされてました…………ぁっ…………!!!」
 
 
 羞恥でグズグズ泣くマリアを見下ろし、真生は耳元で甘ったるく囁く。
 耳元に吐息が吹きかかれば、マリアの身体はガクガクと震えた。
 
 
「…………マリアは同じくらい滅茶苦茶に、俺にイカされたいの??」
 
 
 真生の下でいっぱいいっぱいの表情を浮かべ、マリアは何度も頷く。
 欲を孕んだ濡れた眼差しも、羞恥に塗れた表情も、全てが自分の作り上げたものなんだと真生は思う。
 マリアの唇に指で触れ、軽く開く様に命令を促す。唇と唇を重ね合わせながら舌を捩じ込み、ブラジャーのホックを外す。
 柔らかな胸が零れ落ちるのを荒々しく揉み上げると、マリアは華奢な身体を仰け反らせた。
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