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第一章 若き天才と高知能AIアンドロイド

第六話☆

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 優しく包み込む様に手のひらで胸を揉みしだくと、その度に腕の中のマリアが、びくびくと痙攣をしながら感じ始める。
 何時もより柔かな高級寝具の上で、夜景を眺めながら愛撫とキスを繰り返す。
 マリアの身体から溢れた人工愛液が、性器から溢れてシーツを汚し、小さな滲みが出来ている。
 触れたら糸を引く粘液は、人間の愛液そのものだ。
 間接照明の暖かい光に照らされて、呼吸する度に上下する胸を見つめる。
 生きている人間より、ずっと蠱惑的だと真生は思っていた。
 
 
「は………ご主人様………」
 
 
 後ろから抱き抱える様にしながら、唇を唇で塞ぐ。
 震えながら真生の身体に自分の身体を預けるマリアは、とても華奢で儚く感じられる。
 この日のマリアの身体から漂う香りは、カモミールとレモングラス。
 マリアの肉体をベッドに寝かせ、細い脚を開き、濡れた性器に指を這わせる。
 その瞬間、マリアの身体が露骨にびくん、と跳ねた。
 
 
「あっ!!」
 
 
 マリアの快楽の感じ方は、ネット上からダウンロードした『データ』だ。
 人間の女性がアンドロイドと交わった際、とれた快感データが今や、インターネット上で販売されている。
 それが今や金儲けのコンテンツの一つだ。プロからアマチュアの人間のデータまで、一頻りネット上に揃っている。
 女性の肉体の筋肉の収縮の感覚も、内壁が陰茎に絡まる感触も、全てがアンドロイドを通して再現される。
 今のアンドロイドはデータをダウンロードしてしまえば、それが行動に直ぐに反映されるのだ。
 
 
 マリアの身体には、様々な卑猥なもののデータを入れた。
 上手いフェラチオのデータと、陰茎に絡みつく感じやすい女性の内壁のデータ。とても可愛らしい感じ方のする女性のデータ。
 そして一番興奮する絶頂の仕方のデータ。
 真生はマリアの身体に性のデータを、理想の女性を作るかの様に装備させた。
 煽り文句の言葉の引き出しは、学習して自分で身に付けてくれる。
 AIアンドロイドというものは、高性能ダッチワイフの役割さえ、果たしてくれる様な便利な存在だ。
 
 
「ご主人様………だめ、だめです………!!」
 
 
 濡れた内壁の動きを指先で感じ取りながら、マリアの絶頂が近いことを察する。
 人工愛液を指先で弄べば、くちゅっ、ぴちゃっ、といやらしい音が部屋の中に響き渡った。
 マリアを抱く様になってから、性器の細部に至る仕組みまで真生は拘り始める。
 快感で収縮をする内壁の柔らかさと、溢れて絡まる愛液の質。性器の見映えも一際美しいものを選ぶ。
 全てが完璧な女性に仕上がったマリアは、愛撫の度に腰を淫らに揺らしていた。
 
 
「あぁっ…………!!も、だめ…………!!だめです……………!!いく、いきます………!!」
 
 
 ハァハァと息を荒げて目を潤ませるマリアを、真生はじっと見つめる。
 自分がプログラムした設定のAIではあるが、扇情的な仕草はまさに人間そのものだ。
 羞じらいから戸惑い、悦びに至るまでも自分が手掛けた存在。
 それを頭で解っているのに、どうしても更に感じさせてみたくなる。
 
 
「……………良いよ、マリア。もっと良くしてあげる…………」
 
 
 真生はマリアの性器に、顔を近付け中を指先で探る。そしてそのまま陰核を唇で啄んだ。
 最近のアンドロイドは性器にも、細かな細工が施されている。
 感じる場所を弄れば、その通りに反応する様に電気信号が走るのだ。
 
 
「あァっ!!!!もうっ、もうむりぃ…………!!!」
 
 
 マリアの目から涙が流れ、眉を潜めて顔を恥ずかしそうに叛ける。
 真生の指先をマリアの内壁がきつく締め上げると、だらだらと人工愛液が溢れ出す。
 甘い匂いのするそれを舐め上げると、女の味が舌先に広がった。
 マリアは乱れた息を整えながら、絶頂を迎えたばかりの内壁をひくつかせる。
 真生はマリアの膣口から指を抜き、愛液にまみれた指先を見せ付けた。
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