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第一章 若き天才と高知能AIアンドロイド
第五話
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ご褒美のキス、という名目で重ねた唇。それで欲情している自分が恥ずかしい。
唇に唇を重ね合わせるだけで、ふにゅり、と形を返る柔らかな感触。
もっと長く触れていたいと思う度『しっかりしろ』と己に言い聞かせる。
真生は生唾を飲み込み、マリアから目を逸らした。
「あ………じゃあ………今日の、ご褒美は………ここまで、だから………」
マリアに背を向けた真生は、物凄い勢いでモニター画面に向かって、キーボードを指先で叩いてゆく。
懸命に性欲から気を逸らす為に、真生は必死になっていた。
研究に打ち込み現実を見ないふりをする。そうすることによって、自分で自分の身を守る。
けれどその努力も空しく、ある事が起きた。綾香が幹彦との交際を始めたのだ。
真生は自分が綾香の事を、忘れることができていると思っていた。
けれどいざ恋人が出来た姿を目の当たりにした瞬間、言い知れぬ寂しさが沸き上がる。
真生はそんなに自分は綾香の事を、愛していたのだろうかと自問自答を繰り返す。
この時既にマリアは、真生に元気がないのを察していた。
最近のAIは持ち主の肌に触れるだけで、健康状態も精神状態も予想が出来る。
真生に元気がないと察したマリアは、真生の身体を抱き締めた。
「ご主人様、何かありましたか………?」
マリアはそう云いながら、ベッドに横たえた真生の隣に寝転がる。
ふわふわと漂う甘い匂いは、設定されたフレーバー。マリアにハーブティーを飲ませると、その香りが漂う様になる。
この日のマリアの香りはローズヒップ。仄かに漂う甘い匂いは蜂蜜だ。
マリアは真生の髪を優しく撫でながら、あやす様にキスをした。
「………ん、ちょっと、ね………」
真生はマリアの身体の温度を、とても心地良いと思った。
滑らかな肌の感触も、抱き寄せたら柔らかい肉体も、怖いくらいに心地が良い。
何度も何度も繰り返しされるキスに応え、柔かな唇を唇で啄む。
マリアの身体の温度が上昇しているのが、キスを繰り返す度に解る。この時に真生は魔が差した。
キスを繰り返すマリアの唇の隙間に、舌を這わせる。
抱き締めていたマリアの身体が、びくん、と大きく跳ね上がった。
マリアの口の中は仄かに甘い。舌の感触も人間と同じで背筋が震える。
真生はマリアに深い口付けをするのが、止められなくなっていた。
マリアはこの時、この日の真生のキスが、何時もと違うものだと感じる。
何度も何度も計算を繰り返し、そのキスがどんな時にするものかを導き出す。
そのキスは『セックス』の時にすると察した瞬間、マリアの造られた性器から人工愛液が漏れた。
辿々しく舌を絡ませるマリアに、真生は罪悪感を抱く。
『これ以上の事をしてはいけない』と唇を離そうと考える。
息継ぎをするのと同時に、このまま舌を絡ませる様なキスを止めよう。
最期の理性を振り絞り、マリアの身体から離れようと試みる。
すると真生の腕の中のマリアは目を潤ませ、甘える様にすがり付いた。
「…………………ご主人様、やめないで……………」
マリアの懇願する様な甘い声色に、全ての理性は粉々になる。
そして真生とマリアはこの日、一線を超えてしまったのだ。
唇に唇を重ね合わせるだけで、ふにゅり、と形を返る柔らかな感触。
もっと長く触れていたいと思う度『しっかりしろ』と己に言い聞かせる。
真生は生唾を飲み込み、マリアから目を逸らした。
「あ………じゃあ………今日の、ご褒美は………ここまで、だから………」
マリアに背を向けた真生は、物凄い勢いでモニター画面に向かって、キーボードを指先で叩いてゆく。
懸命に性欲から気を逸らす為に、真生は必死になっていた。
研究に打ち込み現実を見ないふりをする。そうすることによって、自分で自分の身を守る。
けれどその努力も空しく、ある事が起きた。綾香が幹彦との交際を始めたのだ。
真生は自分が綾香の事を、忘れることができていると思っていた。
けれどいざ恋人が出来た姿を目の当たりにした瞬間、言い知れぬ寂しさが沸き上がる。
真生はそんなに自分は綾香の事を、愛していたのだろうかと自問自答を繰り返す。
この時既にマリアは、真生に元気がないのを察していた。
最近のAIは持ち主の肌に触れるだけで、健康状態も精神状態も予想が出来る。
真生に元気がないと察したマリアは、真生の身体を抱き締めた。
「ご主人様、何かありましたか………?」
マリアはそう云いながら、ベッドに横たえた真生の隣に寝転がる。
ふわふわと漂う甘い匂いは、設定されたフレーバー。マリアにハーブティーを飲ませると、その香りが漂う様になる。
この日のマリアの香りはローズヒップ。仄かに漂う甘い匂いは蜂蜜だ。
マリアは真生の髪を優しく撫でながら、あやす様にキスをした。
「………ん、ちょっと、ね………」
真生はマリアの身体の温度を、とても心地良いと思った。
滑らかな肌の感触も、抱き寄せたら柔らかい肉体も、怖いくらいに心地が良い。
何度も何度も繰り返しされるキスに応え、柔かな唇を唇で啄む。
マリアの身体の温度が上昇しているのが、キスを繰り返す度に解る。この時に真生は魔が差した。
キスを繰り返すマリアの唇の隙間に、舌を這わせる。
抱き締めていたマリアの身体が、びくん、と大きく跳ね上がった。
マリアの口の中は仄かに甘い。舌の感触も人間と同じで背筋が震える。
真生はマリアに深い口付けをするのが、止められなくなっていた。
マリアはこの時、この日の真生のキスが、何時もと違うものだと感じる。
何度も何度も計算を繰り返し、そのキスがどんな時にするものかを導き出す。
そのキスは『セックス』の時にすると察した瞬間、マリアの造られた性器から人工愛液が漏れた。
辿々しく舌を絡ませるマリアに、真生は罪悪感を抱く。
『これ以上の事をしてはいけない』と唇を離そうと考える。
息継ぎをするのと同時に、このまま舌を絡ませる様なキスを止めよう。
最期の理性を振り絞り、マリアの身体から離れようと試みる。
すると真生の腕の中のマリアは目を潤ませ、甘える様にすがり付いた。
「…………………ご主人様、やめないで……………」
マリアの懇願する様な甘い声色に、全ての理性は粉々になる。
そして真生とマリアはこの日、一線を超えてしまったのだ。
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