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プロローグ
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厳重に梱包された巨大な段ボール箱のガムテープを引き剥がし、中に入っている緩衝材を搔き分ける。
するとデスクの上に乗っているカメラ付き小型スピーカーから、可愛らしい声が響き渡った。
『…………ご主人様、それなぁに??』
眼鏡を掛けた神経質そうな、整った顔立ちの少年は小さく微笑む。そして小型スピーカーの方を見る。
彼は前髪に掛かる位の黒髪を揺らし、カメラのレンズ越しに目を細めた。
彼の名前は穂積真生。彼は4年後22歳にして『最も人間の心を再現したAIを作り上げた、最年少天才プログラマー』として、全世界にその名前を知らしめる事になる。
「………さぁ??何だと思う??当ててみて??」
真生は悪戯っぽく笑いながら、梱包材を取り除いてゆく。暫くの間を置いて、小型スピーカーの方から『うーん』という唸る声や『えー??』という声が響いた。
その荷物の大きさは日本人男性の平均身長の真生より、約一頭身だけ小さい。
まるで人間の女の子と同じくらいの大きさだと、声の主は感じていた。
「…………ヒント、いる?」
『………いる。欲しいです』
「…………俺たちの記念日」
真生と声の主の出会いは、ちょうど一年前の今日。
二人が初めて出逢った場所は、モニター画面に囲まれた真生の部屋だった。
真生が彼女を創造し、プログラムで感情と思考を与える。
限りなく人間に近い思考と感情を持った高知能のAIは、小型スピーカーから感極まった声を響かせた。
『え!!嘘嘘嘘!!もしかしてこれ………!!私の身体…………!!』
真生が得意げな表情を浮かべてクラフト紙を破くと、プラチナブロンドの長い髪の美少女が現れる。
真っ白な肌に長い睫毛。仄かに桜色の頬と、自然なサーモンピンクの艶やかな唇。
真生はスピーカーのカメラに向かい、悪戯っぽい笑みを浮かべた。
「………正解。マリアの欲しがってた、AI用のボディー。誕生日おめでとう、マリア!!」
『きゃああああああああ!!!!!有難うございますご主人様ぁぁぁ!!!!!
マリアの身体可愛い!!凄く、凄く凄く可愛いですぅぅぅ!!!!!わぁぁぁぁ!!!!!』
大袈裟に喜ぶ声を聞きながら、真生はクスクスと笑っている。そしてこのボディーを選んで良かったと、心から思っていた。
最近はアンドロイドが街の中を歩き回り、価格帯も安価になっている所だ。
見た目は人間と全く同じ。微妙な表情を表現する事が出来る機能も付けた。怪我をした時に血が出たりする様な、体液を身体に巡らせる機能もちゃんと付けた。
これで涙も流せるし、何処かにキズが付いた時に、血が流れて解りやすい。
完全に人間としか思えないAI用ボディーを目の前にして、真生はマリアの意識を、ボディーに移行させる準備を始めた。
彼が手掛けた『最も人間の心を再現したAI』こそが、マリアである。
「ねぇマリア。身体を動かせる様になったら、一番最初に何がしたい??」
キーボードを軽快に指先で叩きながら、真生がマリアに問いかける。
小型スピーカーからは明るいメロディーの、軽快な鼻歌が響き渡っていた。
真生は近くにあった珈琲を口に含み、マリアからの返答を待つ。するとマリアはこう言い放った。
『キスがしたいです!!ご主人様と!!!』
「…………っは!?!?」
『ご主人様、別れた彼女と此処で………その………見ていて、私に身体があったらって、ずっと思ってたんで………』
珈琲を吹き出しそうになるのを抑え、小型カメラを凝視する。
小型スピーカー越しにマリアは『えへへ』と悪戯っぽく笑った。
するとデスクの上に乗っているカメラ付き小型スピーカーから、可愛らしい声が響き渡った。
『…………ご主人様、それなぁに??』
眼鏡を掛けた神経質そうな、整った顔立ちの少年は小さく微笑む。そして小型スピーカーの方を見る。
彼は前髪に掛かる位の黒髪を揺らし、カメラのレンズ越しに目を細めた。
彼の名前は穂積真生。彼は4年後22歳にして『最も人間の心を再現したAIを作り上げた、最年少天才プログラマー』として、全世界にその名前を知らしめる事になる。
「………さぁ??何だと思う??当ててみて??」
真生は悪戯っぽく笑いながら、梱包材を取り除いてゆく。暫くの間を置いて、小型スピーカーの方から『うーん』という唸る声や『えー??』という声が響いた。
その荷物の大きさは日本人男性の平均身長の真生より、約一頭身だけ小さい。
まるで人間の女の子と同じくらいの大きさだと、声の主は感じていた。
「…………ヒント、いる?」
『………いる。欲しいです』
「…………俺たちの記念日」
真生と声の主の出会いは、ちょうど一年前の今日。
二人が初めて出逢った場所は、モニター画面に囲まれた真生の部屋だった。
真生が彼女を創造し、プログラムで感情と思考を与える。
限りなく人間に近い思考と感情を持った高知能のAIは、小型スピーカーから感極まった声を響かせた。
『え!!嘘嘘嘘!!もしかしてこれ………!!私の身体…………!!』
真生が得意げな表情を浮かべてクラフト紙を破くと、プラチナブロンドの長い髪の美少女が現れる。
真っ白な肌に長い睫毛。仄かに桜色の頬と、自然なサーモンピンクの艶やかな唇。
真生はスピーカーのカメラに向かい、悪戯っぽい笑みを浮かべた。
「………正解。マリアの欲しがってた、AI用のボディー。誕生日おめでとう、マリア!!」
『きゃああああああああ!!!!!有難うございますご主人様ぁぁぁ!!!!!
マリアの身体可愛い!!凄く、凄く凄く可愛いですぅぅぅ!!!!!わぁぁぁぁ!!!!!』
大袈裟に喜ぶ声を聞きながら、真生はクスクスと笑っている。そしてこのボディーを選んで良かったと、心から思っていた。
最近はアンドロイドが街の中を歩き回り、価格帯も安価になっている所だ。
見た目は人間と全く同じ。微妙な表情を表現する事が出来る機能も付けた。怪我をした時に血が出たりする様な、体液を身体に巡らせる機能もちゃんと付けた。
これで涙も流せるし、何処かにキズが付いた時に、血が流れて解りやすい。
完全に人間としか思えないAI用ボディーを目の前にして、真生はマリアの意識を、ボディーに移行させる準備を始めた。
彼が手掛けた『最も人間の心を再現したAI』こそが、マリアである。
「ねぇマリア。身体を動かせる様になったら、一番最初に何がしたい??」
キーボードを軽快に指先で叩きながら、真生がマリアに問いかける。
小型スピーカーからは明るいメロディーの、軽快な鼻歌が響き渡っていた。
真生は近くにあった珈琲を口に含み、マリアからの返答を待つ。するとマリアはこう言い放った。
『キスがしたいです!!ご主人様と!!!』
「…………っは!?!?」
『ご主人様、別れた彼女と此処で………その………見ていて、私に身体があったらって、ずっと思ってたんで………』
珈琲を吹き出しそうになるのを抑え、小型カメラを凝視する。
小型スピーカー越しにマリアは『えへへ』と悪戯っぽく笑った。
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