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第6章 共に夢を叶えよう

47.モンブランが好物

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「お待たせしてしまったかしら」

「いや、俺も今来たばかりだ」


 クロードはそう言うと、レベッカの横に並び立つ。
今日は学園の制服でも、舞踏会のタキシードでもない。
 私服を見るのは初めてで、洗礼された姿に思わず見惚れてしまった。


「ボルドー色、似合ってます! パーソナルカラーにもピッタリですわ」


 レベッカが拍手をしながら告げると、クロードは小さく口角を上げる。


「そう言ってもらいたくて、選んだんだ。良かった」


 少しホッとしたような様子に、レベッカもつられて笑顔になる。


「君が好きって言っていた3番街のカフェ、予約したから行かないか」


 デートコースは選ばせてくれと言っていたが、どうやらレベッカのお気に入りのカフェに連れて行ってくれるらしい。

 レベッカが頷くと、暖かい日差しの下、冷徹侯爵と悪役令嬢は並び、店へと向かった。




 煉瓦造りの外観、店内はアンティーク調の可愛らしいカフェの、窓側の一番景色のいい席に案内された。

 メニューに書かれた紅茶を頼むと、ティーカップとポットが目の前に置かれる。

 ウェイターが、トレイに乗せた全種類のケーキを席まで運んでくれ、どれが良いか尋ねられた。

 ガトーショコラにミルフィーユ、洋梨のタルトにショートケーキ、カヌレにモンブラン。

 見た目も可愛らしく、美味しそうなケーキを前に、レベッカはどれにしようか迷ってしまったが、悩んだ後モンブランを指差す。

 ウェイターは頷くとモンブランを皿に乗せ、フォークと共にレベッカの前に並べた。

 クロードはガトーショコラを選ぶ。


「美味しそうですわね!」

「ああ。レベッカはモンブランが好きだと言っていたから、選ぶと思ってたよ」


 その言葉にドキ、と一瞬固まってしまう。

 転生前のレベッカも、たまたまモンブランが好きだったようだ。

 愛想笑いをしながら、マロンクリームを掬い口へと運ぶと、甘さが舌の上でとろける。

 温かい紅茶の渋みが、ケーキと相まってとても美味しい。

 クロードがティーカップの取っ手を掴み、唇をつけ、再び置くその仕草が、非常に洗練されていて優雅で、思わず目を奪われてしまう。

 そんな彼が自分を好きなんだという事実が、いまだに信じられない。


「いい香りの紅茶だな」

「ええ」


 こういう穏やかな時間を、彼とずっと過ごしていきたい、とレベッカは思った。

 しかし、そのためには目下の問題を解決しなければいけない。

 彼が何度も人生をやり直している、ループ問題からの脱出だ。
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