44 / 72
第6章 共に夢を叶えよう
44.プロポーズに驚き
しおりを挟む
「く、クロード様……!」
レベッカは、ひざまづき自分の手の甲にキスをしているクロード見下ろし、耳まで赤くなっていた。
少しずつ仲良くなれた彼と踊ってみたいと欲を出してしまったが、まさかテラスで二人きりの時に、そんなことを言われるなど思っていなかった。
「選んでくれって、どういう……」
動揺してしどろもどろに質問すると、ダークネイビーのタキシードを着た銀髪の公爵は、上目遣いで見つめてきた。
「そのままの意味だ。他の男ではなく、俺を選んでくれ」
透けるように白い肌、深い青の瞳の美形な彼から言われるなんて、なんだか信じられない。
「ぷ、プロポーズってことですか…?」
「そう取ってもらって構わない」
冗談を言っているようには思えない、クロードの真剣な瞳に、思わず息を呑む。
自分は悪役令嬢のレベッカであり、彼が好意を寄せるのはあくまでも正ヒロイン、リリアのはずだが。
自分が転生したことによって、ゲーム自体のシナリオが変わってしまっているのだろうか?
それとも、いちプレイヤーが知らなかっただけで、製作側の裏設定ではクロードとレベッカはその後付き合ったとかなのだろうか?
様々な思いが頭に浮かんでは消え、黙り込んでしまった。
「……すまない。急な話で、困らせるつもりはなかったのだが」
そんなレベッカの様子を見たクロードは、眉を下げ苦笑した。
「だが、俺の気持ちはこれからも変わらない。
急かすつもりはないから、気持ちが決まったら返事をくれ」
そう言うと、ひざまづいていたクロードは姿勢を正し、ゆっくりと立ち上がる。
背の高い彼を見上げる形になった。
クロードからプロポーズをされ、返答に困っても、気長に待ってくれるという。
前世では長らく恋人もおらず、独身だったレベッカは、初めて受けたプロポーズに嬉しいという感情が胸にあふれた。
月の光に照らされたクロードの銀髪が、きらきらと輝く。
彼が本気なのならば、今すぐにでもプロポーズを受けてしまいたい、という気持ちも芽生えたが、一つ引っかかる言葉があった。
『何度も何度も、君と結ばれたくて、人生をやり直していたんだ』
という、彼から漏れた悲痛な叫び。
「あの、クロード様。人生を何度もやり直していたというのは、どういう意味ですの…?」
レベッカが問うと、クロードは口をつぐみ、テラスの手すりに手を置いた。
しばらく何かを考えているかのように目を伏せている。
「信じてもらえないだろうから、黙っているつもりだったんだが。…君には嘘をつきたくないな」
そして意を決したように、口を開いた。
「言葉通りだ。俺は何度も同じ日付、同じ場面を繰り返しては戻っていたんだよ」
クロードは端正な顔をしかめて、思い出しているようだ。
「一度目は、ユリウスとリリアが婚約し、君はリリアをいじめたと追放令を出される。
二度目は、俺とリリアが結婚する。三度目は、君とユリウスが結婚する。
四度目は、最初と同じく君は追放令を出される。
そして…今は五度目だ」
もう暗記してしまったのだろう。
スラスラとループ時の結末を述べるクロード。
(え……? ゲームのキャラが、ゲームの世界の中でずっとループしてるってこと?そんなことあるの……?)
レベッカは驚愕するが、そもそも自分が令和の日本から乙女ゲームの世界に転生したこと自体が信じられない事実なのだし、そういう奇跡もあるのかもしれない。
ゲームの中の世界にも一人一人のキャラの人生があり、思惑や望みがあって、それゆえに彼は何度も人生をやり直してしまっているのだろうか。
レベッカは、ひざまづき自分の手の甲にキスをしているクロード見下ろし、耳まで赤くなっていた。
少しずつ仲良くなれた彼と踊ってみたいと欲を出してしまったが、まさかテラスで二人きりの時に、そんなことを言われるなど思っていなかった。
「選んでくれって、どういう……」
動揺してしどろもどろに質問すると、ダークネイビーのタキシードを着た銀髪の公爵は、上目遣いで見つめてきた。
「そのままの意味だ。他の男ではなく、俺を選んでくれ」
透けるように白い肌、深い青の瞳の美形な彼から言われるなんて、なんだか信じられない。
「ぷ、プロポーズってことですか…?」
「そう取ってもらって構わない」
冗談を言っているようには思えない、クロードの真剣な瞳に、思わず息を呑む。
自分は悪役令嬢のレベッカであり、彼が好意を寄せるのはあくまでも正ヒロイン、リリアのはずだが。
自分が転生したことによって、ゲーム自体のシナリオが変わってしまっているのだろうか?
それとも、いちプレイヤーが知らなかっただけで、製作側の裏設定ではクロードとレベッカはその後付き合ったとかなのだろうか?
様々な思いが頭に浮かんでは消え、黙り込んでしまった。
「……すまない。急な話で、困らせるつもりはなかったのだが」
そんなレベッカの様子を見たクロードは、眉を下げ苦笑した。
「だが、俺の気持ちはこれからも変わらない。
急かすつもりはないから、気持ちが決まったら返事をくれ」
そう言うと、ひざまづいていたクロードは姿勢を正し、ゆっくりと立ち上がる。
背の高い彼を見上げる形になった。
クロードからプロポーズをされ、返答に困っても、気長に待ってくれるという。
前世では長らく恋人もおらず、独身だったレベッカは、初めて受けたプロポーズに嬉しいという感情が胸にあふれた。
月の光に照らされたクロードの銀髪が、きらきらと輝く。
彼が本気なのならば、今すぐにでもプロポーズを受けてしまいたい、という気持ちも芽生えたが、一つ引っかかる言葉があった。
『何度も何度も、君と結ばれたくて、人生をやり直していたんだ』
という、彼から漏れた悲痛な叫び。
「あの、クロード様。人生を何度もやり直していたというのは、どういう意味ですの…?」
レベッカが問うと、クロードは口をつぐみ、テラスの手すりに手を置いた。
しばらく何かを考えているかのように目を伏せている。
「信じてもらえないだろうから、黙っているつもりだったんだが。…君には嘘をつきたくないな」
そして意を決したように、口を開いた。
「言葉通りだ。俺は何度も同じ日付、同じ場面を繰り返しては戻っていたんだよ」
クロードは端正な顔をしかめて、思い出しているようだ。
「一度目は、ユリウスとリリアが婚約し、君はリリアをいじめたと追放令を出される。
二度目は、俺とリリアが結婚する。三度目は、君とユリウスが結婚する。
四度目は、最初と同じく君は追放令を出される。
そして…今は五度目だ」
もう暗記してしまったのだろう。
スラスラとループ時の結末を述べるクロード。
(え……? ゲームのキャラが、ゲームの世界の中でずっとループしてるってこと?そんなことあるの……?)
レベッカは驚愕するが、そもそも自分が令和の日本から乙女ゲームの世界に転生したこと自体が信じられない事実なのだし、そういう奇跡もあるのかもしれない。
ゲームの中の世界にも一人一人のキャラの人生があり、思惑や望みがあって、それゆえに彼は何度も人生をやり直してしまっているのだろうか。
0
お気に入りに追加
139
あなたにおすすめの小説
仲の良かったはずの婚約者に一年無視され続け、婚約解消を決意しましたが
ゆらゆらぎ
恋愛
エルヴィラ・ランヴァルドは第二王子アランの幼い頃からの婚約者である。仲睦まじいと評判だったふたりは、今では社交界でも有名な冷えきった仲となっていた。
定例であるはずの茶会もなく、婚約者の義務であるはずのファーストダンスも踊らない
そんな日々が一年と続いたエルヴィラは遂に解消を決意するが──
処刑された王女は隣国に転生して聖女となる
空飛ぶひよこ
恋愛
旧題:魔女として処刑された王女は、隣国に転生し聖女となる
生まれ持った「癒し」の力を、民の為に惜しみなく使って来た王女アシュリナ。
しかし、その人気を妬む腹違いの兄ルイスに疎まれ、彼が連れてきたアシュリナと同じ「癒し」の力を持つ聖女ユーリアの謀略により、魔女のレッテルを貼られ処刑されてしまう。
同じ力を持ったまま、隣国にディアナという名で転生した彼女は、6歳の頃に全てを思い出す。
「ーーこの力を、誰にも知られてはいけない」
しかし、森で倒れている王子を見過ごせずに、力を使って助けたことにより、ディアナの人生は一変する。
「どうか、この国で聖女になってくれませんか。貴女の力が必要なんです」
これは、理不尽に生涯を終わらされた一人の少女が、生まれ変わって幸福を掴む物語。
拝啓 お顔もお名前も存じ上げない婚約者様
オケラ
恋愛
15歳のユアは上流貴族のお嬢様。自然とたわむれるのが大好きな女の子で、毎日山で植物を愛でている。しかし、こうして自由に過ごせるのもあと半年だけ。16歳になると正式に結婚することが決まっている。彼女には生まれた時から婚約者がいるが、まだ一度も会ったことがない。名前も知らないのは幼き日の彼女のわがままが原因で……。半年後に結婚を控える中、彼女は山の中でとある殿方と出会い……。
[完結]婚約破棄してください。そして私にもう関わらないで
みちこ
恋愛
妹ばかり溺愛する両親、妹は思い通りにならないと泣いて私の事を責める
婚約者も妹の味方、そんな私の味方になってくれる人はお兄様と伯父さんと伯母さんとお祖父様とお祖母様
私を愛してくれる人の為にももう自由になります
兄を溺愛する母に捨てられたので私は家族を捨てる事にします!
ユウ
恋愛
幼い頃から兄を溺愛する母。
自由奔放で独身貴族を貫いていた兄がようやく結婚を決めた。
しかし、兄の結婚で全てが崩壊する事になった。
「今すぐこの邸から出て行ってくれる?遺産相続も放棄して」
「は?」
母の我儘に振り回され同居し世話をして来たのに理不尽な理由で邸から追い出されることになったマリーは自分勝手な母に愛想が尽きた。
「もう縁を切ろう」
「マリー」
家族は夫だけだと思い領地を離れることにしたそんな中。
義母から同居を願い出られることになり、マリー達は義母の元に身を寄せることになった。
対するマリーの母は念願の新生活と思いきや、思ったように進まず新たな嫁はびっくり箱のような人物で生活にも支障が起きた事でマリーを呼び戻そうとするも。
「無理ですわ。王都から領地まで遠すぎます」
都合の良い時だけ利用する母に愛情はない。
「お兄様にお任せします」
実母よりも大事にしてくれる義母と夫を優先しすることにしたのだった。
婚約者に毒を飲まされた私から【毒を分解しました】と聞こえてきました。え?
こん
恋愛
成人パーティーに参加した私は言われのない罪で婚約者に問い詰められ、遂には毒殺をしようとしたと疑われる。
「あくまでシラを切るつもりだな。だが、これもお前がこれを飲めばわかる話だ。これを飲め!」
そう言って婚約者は毒の入ったグラスを渡す。渡された私は躊躇なくグラスを一気に煽る。味は普通だ。しかし、飲んでから30秒経ったあたりで苦しくなり初め、もう無理かも知れないと思った時だった。
【毒を検知しました】
「え?」
私から感情のない声がし、しまいには毒を分解してしまった。私が驚いている所に友達の魔法使いが駆けつける。
※なろう様で掲載した作品を少し変えたものです
妹がいなくなった
アズやっこ
恋愛
妹が突然家から居なくなった。
メイドが慌ててバタバタと騒いでいる。
お父様とお母様の泣き声が聞こえる。
「うるさくて寝ていられないわ」
妹は我が家の宝。
お父様とお母様は妹しか見えない。ドレスも宝石も妹にだけ買い与える。
妹を探しに出掛けたけど…。見つかるかしら?
公爵令嬢を虐げた自称ヒロインの末路
八代奏多
恋愛
公爵令嬢のレシアはヒロインを自称する伯爵令嬢のセラフィから毎日のように嫌がらせを受けていた。
王子殿下の婚約者はレシアではなく私が相応しいとセラフィは言うが……
……そんなこと、絶対にさせませんわよ?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる