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第1章 美しい君に素敵な服を贈る
7、ブルベ冬な彼
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「な・の・に……! ブルベ冬の良さを消す、そのパステルカラーの服は許せません……!
しかも淡いエメラルドグリーン!? クロード様にはその青い瞳を生かす、黒や濃紺、深い赤などのパキッとした色が絶対に似合います……!」
クロードが着ているのは春らしくパステルカラーの淡いエメラルドグリーンで、それがレベッカからしたら許せなかったのだ。
キリッとした顔立ちが薄まってしまい、彼の持つ洗練された雰囲気も散ってしまうのだ。
「そうなのか。侍従に、春らしくて良いのではないかと言われたので着たのだが」
「いえ、服自体はとても素敵です。素材もさすが高級ですし、ボタンやポケットチーフもおしゃれです。
ただ、クロード様にはもっと似合う服があるはずです…!」
淡いパステルカラーは、むしろ優しくて柔和なイエベ春のユリウスの方が似合うはずだ。
逆にユリウスが濃紺の服を着ていたので、逆逆!と内心叫ばざるを得ない。
「もしよければ、私が作ります! お体、採寸させてください」
「お、おい。近いぞ……」
「失礼します!」
火がついてしまったレベッカは、ずいとクロードに近づくと、彼の背中に回った。
彼の肩の線に親指と小指を広げ、左の方から右の端までのサイズを測っていく。
そのあとは腰周りを触り、最後はかがみ込み足の長さを測る。
「肩幅は58センチ。ウエストは73センチから75センチ。細いわね。
股下は……え、90センチ!? パリコレモデル? スタイル良すぎでしょ」
あまりのスタイルの良さに、独り言が漏れてしまう。
メジャーが手元になかった時のために、自分の手の幅や、肘から腕の長さで相手を採寸する癖があるため、大体のサイズはわかる。
転生しても、前世の自分とレベッカは身長も服のサイズも一緒だったのが幸いだった。
「くすぐったい。あと、他の者に見られたら……」
庭の真ん中で、女性から身体中を触られている状況なので、さすがの冷徹公爵も人目が気になったのか辺りを見回している。
しかし、花で埋め尽くされた庭には、クロードとレベッカ以外の人影はない。
手元にメモはないので、レベッカは頭の中で彼の服のサイズを何度も反芻し、記憶した。
「それでは、今度クロード様にぴったりのお洋服を作って差し上げますね!」
レベッカが宣言すると、採寸が終わってほっと息をついたクロードは、銀髪を掻いている。
「服なんてそんな簡単に作れるものなのか。それに、もらうなんて悪いだろう」
「趣味なので気にしないでください。素敵な庭園を案内してくださったお礼です。いや、お礼ですわよ!」
思い出し、おほほほ、と取ってつけたように悪役令嬢の口調で笑う。
クロードは珍しく目を丸くしながらレベッカを見ていたが、小さく声を出して笑った。
「つくづく……」
喉の奥で笑いながら、クロード・ライネス公爵は今までで一番楽しそうな表情を浮かべた。
「君は今までと別人のようだ。楽しみにしてるよ」
「はい!」
レベッカは強く頷き、冷徹公爵と悪役令嬢の二人の間に、温かい空気が流れた。
しかも淡いエメラルドグリーン!? クロード様にはその青い瞳を生かす、黒や濃紺、深い赤などのパキッとした色が絶対に似合います……!」
クロードが着ているのは春らしくパステルカラーの淡いエメラルドグリーンで、それがレベッカからしたら許せなかったのだ。
キリッとした顔立ちが薄まってしまい、彼の持つ洗練された雰囲気も散ってしまうのだ。
「そうなのか。侍従に、春らしくて良いのではないかと言われたので着たのだが」
「いえ、服自体はとても素敵です。素材もさすが高級ですし、ボタンやポケットチーフもおしゃれです。
ただ、クロード様にはもっと似合う服があるはずです…!」
淡いパステルカラーは、むしろ優しくて柔和なイエベ春のユリウスの方が似合うはずだ。
逆にユリウスが濃紺の服を着ていたので、逆逆!と内心叫ばざるを得ない。
「もしよければ、私が作ります! お体、採寸させてください」
「お、おい。近いぞ……」
「失礼します!」
火がついてしまったレベッカは、ずいとクロードに近づくと、彼の背中に回った。
彼の肩の線に親指と小指を広げ、左の方から右の端までのサイズを測っていく。
そのあとは腰周りを触り、最後はかがみ込み足の長さを測る。
「肩幅は58センチ。ウエストは73センチから75センチ。細いわね。
股下は……え、90センチ!? パリコレモデル? スタイル良すぎでしょ」
あまりのスタイルの良さに、独り言が漏れてしまう。
メジャーが手元になかった時のために、自分の手の幅や、肘から腕の長さで相手を採寸する癖があるため、大体のサイズはわかる。
転生しても、前世の自分とレベッカは身長も服のサイズも一緒だったのが幸いだった。
「くすぐったい。あと、他の者に見られたら……」
庭の真ん中で、女性から身体中を触られている状況なので、さすがの冷徹公爵も人目が気になったのか辺りを見回している。
しかし、花で埋め尽くされた庭には、クロードとレベッカ以外の人影はない。
手元にメモはないので、レベッカは頭の中で彼の服のサイズを何度も反芻し、記憶した。
「それでは、今度クロード様にぴったりのお洋服を作って差し上げますね!」
レベッカが宣言すると、採寸が終わってほっと息をついたクロードは、銀髪を掻いている。
「服なんてそんな簡単に作れるものなのか。それに、もらうなんて悪いだろう」
「趣味なので気にしないでください。素敵な庭園を案内してくださったお礼です。いや、お礼ですわよ!」
思い出し、おほほほ、と取ってつけたように悪役令嬢の口調で笑う。
クロードは珍しく目を丸くしながらレベッカを見ていたが、小さく声を出して笑った。
「つくづく……」
喉の奥で笑いながら、クロード・ライネス公爵は今までで一番楽しそうな表情を浮かべた。
「君は今までと別人のようだ。楽しみにしてるよ」
「はい!」
レベッカは強く頷き、冷徹公爵と悪役令嬢の二人の間に、温かい空気が流れた。
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