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第17話【参上】日光の聖戦士サンライトマスク
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「ルシエル。恵まれない人たちへのピザの空中配達はサボってはいけませんよ。これはあなたに課せられた贖罪なのです」
「はーい。ねえねえそれよりアズラエル様、日光の英雄の話って知ってますか?」
「ええ、知ってます。聖戦士サンライトマスクですね」
「そうです。ちまたで機械虫達を撃退している謎のスーパーヒーローらしいですよ。ピザの空中配達中に噂を聞きました」
「一度会ってみたいですね。同業者なら枠について取り決めないといけません」
枠って何だろう。二人の天使がヒーローなる者について話してる。
「この世界って魔法少女だけでなくスーパーヒーローの人も派遣されてたの?」
「あ、カグヤさん。今日もお疲れ様でーす!」
「そのようです。しかしながら、ヒーローは我々と管轄が違うので詳細はよくわかりません。なぜこのような中世魔法世界にヒーローを送ったのでしょう。不思議です」
私の質問にアズラエルは考え込む。
「あはは、ナイス天界ジョーク! アズラエル様もカグヤさんをこの世界に送り込んでしまったではないですか」
アズラエルを両手で指差し笑顔を見せる堕天使。そう言われると私がここにいるのは間違ってるように思えてくる。
「ルシエルよ、決して間違えで送ったのではありませんと説明したはずです」
「ねえアズラエル、私も最近自分が魔法少女なのか自信無くなってきたんだけど」
「カグヤまでどうしたというのですか。あなたは大天使である私が認めた正当な魔法少女です。堕天使の戯言に心を乱してはいけません。カグヤ、あなたは魔法少女、常に信じることです。信じる者は必ず救われるのですから」
「あーん、アズラエル様ー、私は堕天使ではありませんよー」
堕天使呼ばわりされて泣く元天使。
「魔法少女に疑心暗鬼の念を抱かせるのは悪い堕天使のすることです。残念ながら堕天使を天界に帰すことはできませんね」
「わ、私が悪かったですから許してください。発言は取り消します。カグヤさんは誰が見ても暗黒中世の魔法世界に相応しい魔法少女です。はい、議論は終わり。これで良いですか……?」
「わかってくれれば良いのです。もう魔法少女によけいなことを吹き込んではいけませんよ、わかりましたか?」
「はーい、前向きに善処しまーす。よくよく考えればヒーローがこの世界に派遣されているならアズラエル様の判断に狂いはなかった証明になりますね」
「今ルシエルがとても良いことを言いました。元よりヒーローと魔法少女は隣り合った枠に生きる存在です。ですからヒーローがこの世界にいるならば魔法少女の存在もまた肯定されるべきです」
私をじっと見つめながら天使は持論を展開した。なんだか色々と私は騙されている気がするけど、でもアズラエルは親友だし……。
「わかった、わかったって。私は魔法少女です。それでヒーローに会いに行くの? 私達って魔王軍側の人間だけどケンカになったりしないかなあ」
「カグヤさん、心配せずとも私達天使がいるのですから大丈夫です! その時はどっちが上か剣と拳でわからせてあげましょう。ね、アズラエル様」
「なぜ戦う必要があるのです。ルシエル、あなたの考えは戦争を誘発する危険思想ですから改めてください。たとえ我々が魔王軍側に属する集団だとしてもその人物がダークヒーローなら別に問題ないはずです。最近ではダークヒーローも多いですから、ダーク魔法少女があっても良いと私は考えています」
「アズラエルの考えも危ない気がするけど……」
「ダーク魔法少女ってかっこいいじゃあないですか! まったく、アズラエル様のセンスにはいつも驚かされます。あーあ、私もダーク魔法少女のナビゲーターやりたいなあ」
「ルシエルってやっぱり堕天使寄りの思想してない?」
「あーん、カグヤさんまでひどーい!」
「とりあえずそのダークヒーロー探しに今から行く?」
「街の人によると夕方ぐらいからあちこち見回りをしてるらしいですよ」
とりあえず夕方の城下町にまで飛んだ。箒に乗った私の横を二人の天使がついてくる。
「そういえばルシエルって羽を生やせたんだね。この前まで人間やってたのに」
「私の羽を食べさせました。1枚食べさせると元天使の転生者なら翼が生えてきます」
「アズラエル様の羽めっちゃ美味しかったですよ。フライドチキンみたいな味がしました。もう1枚良いですか? お腹空いちゃって」
「ダメです。もうあなたは翼があるでしょう。それを食べてください」
「私もちょっと食べたい」
「どうぞカグヤさん、私の羽で良ければ」
「ほんとだ! フライドチキンみたいな味がする!」
「二人とも食事を後にしてください。どうやらヒーローがいましたよ」
屋根の上をすごいスピードとジャンプ力で走っていく人影が見える。私たちは先回りして降り立った。
「うわっ!? 君たちは何者!?」
「よくぞ聞いてくれた! 我は天より落ちて女王に転生し天使、ルシエル!」
「て、天使の子!?」
「ルシエル、あなたは脇役なのですから目立たないでください。私は魔法少女カグヤのナビゲーター、死を司る大天使アズラエル」
「私がその魔法少女のカグヤです。はじめましてヒーローさん」
「そ、そうなんだ……。天使さんが地上にいるなんて初耳だから驚いちゃった……。目立たないように夜活動してたんだけど見つかっちゃったね……。私は日光の聖戦士サンライトマスクって自称して……」
その人は男の子が好きそうな戦隊モノの女性ヒーローのようだった。顔をフルフェイスのマスクで隠してオレンジ色のぴっちりとしたスーツ的な服を着ている。
「日光の聖戦士であるのに夜型のヒーローとはお珍しい。ぜひうちの魔法少女であるカグヤと共闘していただきたいと思っています」
「あ、あはは……。それは嬉しいお申しでだけど。え、えっと、私そろそろ帰らなくちゃ。ほら、夜明けまでに帰らないと家の人が心配するし」
やたら挙動不審だけどこの人本当にヒーローなのかな。
「大丈夫、まだ真っ暗だから夜明けまで時間はあるよ。せっかくだから魔王城でゆっくりして行かない?」
「行こう! 行こう! 魔王城って結構楽しよー!」
「ま、魔王城……。それ、私が行っていいところなのかな」
戦隊モノの女ヒーローを城まで持ち帰った。
「はーい。ねえねえそれよりアズラエル様、日光の英雄の話って知ってますか?」
「ええ、知ってます。聖戦士サンライトマスクですね」
「そうです。ちまたで機械虫達を撃退している謎のスーパーヒーローらしいですよ。ピザの空中配達中に噂を聞きました」
「一度会ってみたいですね。同業者なら枠について取り決めないといけません」
枠って何だろう。二人の天使がヒーローなる者について話してる。
「この世界って魔法少女だけでなくスーパーヒーローの人も派遣されてたの?」
「あ、カグヤさん。今日もお疲れ様でーす!」
「そのようです。しかしながら、ヒーローは我々と管轄が違うので詳細はよくわかりません。なぜこのような中世魔法世界にヒーローを送ったのでしょう。不思議です」
私の質問にアズラエルは考え込む。
「あはは、ナイス天界ジョーク! アズラエル様もカグヤさんをこの世界に送り込んでしまったではないですか」
アズラエルを両手で指差し笑顔を見せる堕天使。そう言われると私がここにいるのは間違ってるように思えてくる。
「ルシエルよ、決して間違えで送ったのではありませんと説明したはずです」
「ねえアズラエル、私も最近自分が魔法少女なのか自信無くなってきたんだけど」
「カグヤまでどうしたというのですか。あなたは大天使である私が認めた正当な魔法少女です。堕天使の戯言に心を乱してはいけません。カグヤ、あなたは魔法少女、常に信じることです。信じる者は必ず救われるのですから」
「あーん、アズラエル様ー、私は堕天使ではありませんよー」
堕天使呼ばわりされて泣く元天使。
「魔法少女に疑心暗鬼の念を抱かせるのは悪い堕天使のすることです。残念ながら堕天使を天界に帰すことはできませんね」
「わ、私が悪かったですから許してください。発言は取り消します。カグヤさんは誰が見ても暗黒中世の魔法世界に相応しい魔法少女です。はい、議論は終わり。これで良いですか……?」
「わかってくれれば良いのです。もう魔法少女によけいなことを吹き込んではいけませんよ、わかりましたか?」
「はーい、前向きに善処しまーす。よくよく考えればヒーローがこの世界に派遣されているならアズラエル様の判断に狂いはなかった証明になりますね」
「今ルシエルがとても良いことを言いました。元よりヒーローと魔法少女は隣り合った枠に生きる存在です。ですからヒーローがこの世界にいるならば魔法少女の存在もまた肯定されるべきです」
私をじっと見つめながら天使は持論を展開した。なんだか色々と私は騙されている気がするけど、でもアズラエルは親友だし……。
「わかった、わかったって。私は魔法少女です。それでヒーローに会いに行くの? 私達って魔王軍側の人間だけどケンカになったりしないかなあ」
「カグヤさん、心配せずとも私達天使がいるのですから大丈夫です! その時はどっちが上か剣と拳でわからせてあげましょう。ね、アズラエル様」
「なぜ戦う必要があるのです。ルシエル、あなたの考えは戦争を誘発する危険思想ですから改めてください。たとえ我々が魔王軍側に属する集団だとしてもその人物がダークヒーローなら別に問題ないはずです。最近ではダークヒーローも多いですから、ダーク魔法少女があっても良いと私は考えています」
「アズラエルの考えも危ない気がするけど……」
「ダーク魔法少女ってかっこいいじゃあないですか! まったく、アズラエル様のセンスにはいつも驚かされます。あーあ、私もダーク魔法少女のナビゲーターやりたいなあ」
「ルシエルってやっぱり堕天使寄りの思想してない?」
「あーん、カグヤさんまでひどーい!」
「とりあえずそのダークヒーロー探しに今から行く?」
「街の人によると夕方ぐらいからあちこち見回りをしてるらしいですよ」
とりあえず夕方の城下町にまで飛んだ。箒に乗った私の横を二人の天使がついてくる。
「そういえばルシエルって羽を生やせたんだね。この前まで人間やってたのに」
「私の羽を食べさせました。1枚食べさせると元天使の転生者なら翼が生えてきます」
「アズラエル様の羽めっちゃ美味しかったですよ。フライドチキンみたいな味がしました。もう1枚良いですか? お腹空いちゃって」
「ダメです。もうあなたは翼があるでしょう。それを食べてください」
「私もちょっと食べたい」
「どうぞカグヤさん、私の羽で良ければ」
「ほんとだ! フライドチキンみたいな味がする!」
「二人とも食事を後にしてください。どうやらヒーローがいましたよ」
屋根の上をすごいスピードとジャンプ力で走っていく人影が見える。私たちは先回りして降り立った。
「うわっ!? 君たちは何者!?」
「よくぞ聞いてくれた! 我は天より落ちて女王に転生し天使、ルシエル!」
「て、天使の子!?」
「ルシエル、あなたは脇役なのですから目立たないでください。私は魔法少女カグヤのナビゲーター、死を司る大天使アズラエル」
「私がその魔法少女のカグヤです。はじめましてヒーローさん」
「そ、そうなんだ……。天使さんが地上にいるなんて初耳だから驚いちゃった……。目立たないように夜活動してたんだけど見つかっちゃったね……。私は日光の聖戦士サンライトマスクって自称して……」
その人は男の子が好きそうな戦隊モノの女性ヒーローのようだった。顔をフルフェイスのマスクで隠してオレンジ色のぴっちりとしたスーツ的な服を着ている。
「日光の聖戦士であるのに夜型のヒーローとはお珍しい。ぜひうちの魔法少女であるカグヤと共闘していただきたいと思っています」
「あ、あはは……。それは嬉しいお申しでだけど。え、えっと、私そろそろ帰らなくちゃ。ほら、夜明けまでに帰らないと家の人が心配するし」
やたら挙動不審だけどこの人本当にヒーローなのかな。
「大丈夫、まだ真っ暗だから夜明けまで時間はあるよ。せっかくだから魔王城でゆっくりして行かない?」
「行こう! 行こう! 魔王城って結構楽しよー!」
「ま、魔王城……。それ、私が行っていいところなのかな」
戦隊モノの女ヒーローを城まで持ち帰った。
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