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第14話【消毒】悪鬼及び疫病を駆逐するには爆竹を使う
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「これは前回の話の続きです。異次元から来たりし魔法少女カグヤ、またの名を爆薬聖女トリニトロトルエンは砂漠の横断鉄道に乗車していた。途中にある枯れたオアシスを復活させれば魔法少女へ人々は感謝することでしょう」
「ねえ、アズラエル。誰に向かって言ってるの?」
「誰でも良いです。とにかく、その元オアシスへ着いたらカグヤの爆薬魔法で岩盤を破壊して地下水脈を地上へ導きましょう」
「天使様、この砂漠には機械虫と呼ばれる謎の生物が大量発生して人々を困らせています。そいつらはどういうわけか死霊教会の奥義である『即死』の奇跡が通用しないのです」
「なるほど。『即死』が通用しないであればそれは生物ではないのでしょう。戦って破壊することにしましょう。カグヤ、出番ですよ」
「これって魔法少女の仕事なの? 別に良いけどさあ」
水が枯れたオアシスで機械虫が来るのを待つ。しばらくすると砂の中から無数の生き物、いや機械が現れた。
ガシーン、ガシーン。
巨大なアリ型ロボットがこちらに迫ってくる。私達は地面に掘った溝に隠れていた。
「ど、どうしよう」
うろたえる私にダレンは冷静に言った。
「大丈夫です魔女様。あの鉄のアリはこちらの塹壕には気がついていません。頭を低く。魔王様も見学のために無理やり連れてきました」
「なぜ余が無理やり召喚されて連れてこらなければならないのだ!」
ダレンが無理やり召喚して魔王くんを城から連れてきた。
「領民のためですよ。魔王様は普段暇そうだからたまには働いてください」
「し、失礼な! 余は玉座に座り部下に指示をする仕事をしているぞ! それより機械虫は病魔が動かしているんだ。あいつにはカグヤ、爆死の魔女の魔法が効く」
「病魔? 病原菌かウィルスみたいなの?」
「説明が面倒だ。見ればわかるさ」
「カグヤ、燃える聖水を二分の一ガロンこのポーションの空き瓶につめてください。この呪術書のこの呪文で良いはずです」
天使も冷静に戦うつもりだ。あなたは魔法少女のナビゲーターなはずだけど。天使の要望に答える。
「なになに『メチルアルコール』? 半ガロンって日本だといくつ?」
「ジパングの単位でおよそ1升です」
「ごめん、リットルでお願い」
「リッターで言えば……、約1.9リッターです」
「2リットルぐらいね。異界魔法『メチルアルコール』! これで良い?」
「天使様、何をなさるおつもりですか?」
「シスター、ここに瓶があります。栓代わりの布に着火してください。ここですよ」
「え? それは構いませんが……、教会奇跡『線香の火』」
天使は修道女の指を瓶の蓋代わりの布へ向けさせ着火魔法、いや奇跡を唱えさせた。
「魔王よ、これを標的に向かって思いっきり投げてください。当たれば燃える聖水が飛び散り聖火の海と化します」
「ほう、聖火を使ったナフサの火か。これならば鉄の虫相手でも甲冑の隙間に入り込み燃やせる」
「十分に引きつけてから投げつけてください」
「ああ、わかってる。一度やり過ごしてから背面に投げつけよう。天使よ、そなたも手伝え」
「私はナビゲーターであって戦闘要員ではありませんが仕方ありません。カグヤ、シスターと共に聖水カクテルを作ってくれますか」
「わかった、量産しとく。聖水カクテルって名前なんだねこれ」
「飲めない聖水カクテルならば未成年禁酒の戒律には背きませんね。魔女様、準備をよろしくお願いします」
ガシーン! ガシーン!
穴の中にもアリが歩く振動が伝わってくる。いよいよ近づいてきた。ビクビク震えながら待ってると魔王くんと目が合った。
「大丈夫」
小さな声で魔王くんは言った。すると頭上を影が覆った。アリが私達の穴を越えたのだ。
「今だ、投げろ。残りの瓶も全部点火しろ」
通過したアリの背後へ魔王と天使は火の着いた瓶を投げつけた。
ブンッ、ガチャンッ! ボッ。
投げつけた瓶が割れると同時に火が飛び散った。
ガチャン、ガチャン、ボオォー!
続け様に瓶を投げつけるとロボットアリは聖なる炎に包まれた。しばらく動き続けたがやがてバーンと小さな爆発を起こして動きを止めた。
「左だ、アズラエルは左から回り込め。気をつけろ、機械虫の乗員はまだいるぞ」
塹壕を出て魔王くんは右に、天使は左からロボットアリを囲む。
「カグヤ、爆竹魔法を。『ニトロセルロース』の魔法は念じれば音響兵器として利用できます。機械虫から乗員の病魔を追い立てましょう。シスターは続けて点火をお願いします」
「任せて、異界魔法『ニトロセルロース』!」
「爆発するわよー! 教会奇跡『線香の火』!」
パンッ! パパパンッ! パパパパッ!
私の呪文に続いて奇跡が唱えられると激しい音と光を伴い炸裂した。
「キーッ! キーッ!」
彼らが苦手とする爆竹に恐れをなした病魔が飛び出してきた。バイキンをデフォルメした感じのデザインだった。ちょっと可愛い。
そこをすかさず魔王くんと天使が退治する。
「良いぞ、爆死の魔女カグヤよくやった。完璧ではないが上出来だ」
「魔王はこう言っていますが私は100点、いや、120点だと思います。いよいよ魔法少女らしくなってきましたね」
「そうかな?」
「さすがは魔女様です! 天使様もナイス投擲でした! 私達3人いれば魂のない鉄の虫なんてイチコロですね」
機械虫と病魔を倒した後、元オアシスに『トリニトロトルエン』の魔法を唱えると噴水のように水が湧き出た。
「ねえ、アズラエル。誰に向かって言ってるの?」
「誰でも良いです。とにかく、その元オアシスへ着いたらカグヤの爆薬魔法で岩盤を破壊して地下水脈を地上へ導きましょう」
「天使様、この砂漠には機械虫と呼ばれる謎の生物が大量発生して人々を困らせています。そいつらはどういうわけか死霊教会の奥義である『即死』の奇跡が通用しないのです」
「なるほど。『即死』が通用しないであればそれは生物ではないのでしょう。戦って破壊することにしましょう。カグヤ、出番ですよ」
「これって魔法少女の仕事なの? 別に良いけどさあ」
水が枯れたオアシスで機械虫が来るのを待つ。しばらくすると砂の中から無数の生き物、いや機械が現れた。
ガシーン、ガシーン。
巨大なアリ型ロボットがこちらに迫ってくる。私達は地面に掘った溝に隠れていた。
「ど、どうしよう」
うろたえる私にダレンは冷静に言った。
「大丈夫です魔女様。あの鉄のアリはこちらの塹壕には気がついていません。頭を低く。魔王様も見学のために無理やり連れてきました」
「なぜ余が無理やり召喚されて連れてこらなければならないのだ!」
ダレンが無理やり召喚して魔王くんを城から連れてきた。
「領民のためですよ。魔王様は普段暇そうだからたまには働いてください」
「し、失礼な! 余は玉座に座り部下に指示をする仕事をしているぞ! それより機械虫は病魔が動かしているんだ。あいつにはカグヤ、爆死の魔女の魔法が効く」
「病魔? 病原菌かウィルスみたいなの?」
「説明が面倒だ。見ればわかるさ」
「カグヤ、燃える聖水を二分の一ガロンこのポーションの空き瓶につめてください。この呪術書のこの呪文で良いはずです」
天使も冷静に戦うつもりだ。あなたは魔法少女のナビゲーターなはずだけど。天使の要望に答える。
「なになに『メチルアルコール』? 半ガロンって日本だといくつ?」
「ジパングの単位でおよそ1升です」
「ごめん、リットルでお願い」
「リッターで言えば……、約1.9リッターです」
「2リットルぐらいね。異界魔法『メチルアルコール』! これで良い?」
「天使様、何をなさるおつもりですか?」
「シスター、ここに瓶があります。栓代わりの布に着火してください。ここですよ」
「え? それは構いませんが……、教会奇跡『線香の火』」
天使は修道女の指を瓶の蓋代わりの布へ向けさせ着火魔法、いや奇跡を唱えさせた。
「魔王よ、これを標的に向かって思いっきり投げてください。当たれば燃える聖水が飛び散り聖火の海と化します」
「ほう、聖火を使ったナフサの火か。これならば鉄の虫相手でも甲冑の隙間に入り込み燃やせる」
「十分に引きつけてから投げつけてください」
「ああ、わかってる。一度やり過ごしてから背面に投げつけよう。天使よ、そなたも手伝え」
「私はナビゲーターであって戦闘要員ではありませんが仕方ありません。カグヤ、シスターと共に聖水カクテルを作ってくれますか」
「わかった、量産しとく。聖水カクテルって名前なんだねこれ」
「飲めない聖水カクテルならば未成年禁酒の戒律には背きませんね。魔女様、準備をよろしくお願いします」
ガシーン! ガシーン!
穴の中にもアリが歩く振動が伝わってくる。いよいよ近づいてきた。ビクビク震えながら待ってると魔王くんと目が合った。
「大丈夫」
小さな声で魔王くんは言った。すると頭上を影が覆った。アリが私達の穴を越えたのだ。
「今だ、投げろ。残りの瓶も全部点火しろ」
通過したアリの背後へ魔王と天使は火の着いた瓶を投げつけた。
ブンッ、ガチャンッ! ボッ。
投げつけた瓶が割れると同時に火が飛び散った。
ガチャン、ガチャン、ボオォー!
続け様に瓶を投げつけるとロボットアリは聖なる炎に包まれた。しばらく動き続けたがやがてバーンと小さな爆発を起こして動きを止めた。
「左だ、アズラエルは左から回り込め。気をつけろ、機械虫の乗員はまだいるぞ」
塹壕を出て魔王くんは右に、天使は左からロボットアリを囲む。
「カグヤ、爆竹魔法を。『ニトロセルロース』の魔法は念じれば音響兵器として利用できます。機械虫から乗員の病魔を追い立てましょう。シスターは続けて点火をお願いします」
「任せて、異界魔法『ニトロセルロース』!」
「爆発するわよー! 教会奇跡『線香の火』!」
パンッ! パパパンッ! パパパパッ!
私の呪文に続いて奇跡が唱えられると激しい音と光を伴い炸裂した。
「キーッ! キーッ!」
彼らが苦手とする爆竹に恐れをなした病魔が飛び出してきた。バイキンをデフォルメした感じのデザインだった。ちょっと可愛い。
そこをすかさず魔王くんと天使が退治する。
「良いぞ、爆死の魔女カグヤよくやった。完璧ではないが上出来だ」
「魔王はこう言っていますが私は100点、いや、120点だと思います。いよいよ魔法少女らしくなってきましたね」
「そうかな?」
「さすがは魔女様です! 天使様もナイス投擲でした! 私達3人いれば魂のない鉄の虫なんてイチコロですね」
機械虫と病魔を倒した後、元オアシスに『トリニトロトルエン』の魔法を唱えると噴水のように水が湧き出た。
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