盲目でも異世界転移出来るってよ

十六夜月

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日常の終わり

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 此処は、どこかの森の中。そこに、私はいた。

 私は腰に刀とナイフを付け、ローブを着ている。

 どんどん私は森の中を進む。

 
 突然、近くの茂みがガサガサと音を立てる。
 そしてその直後、人の様な姿をした、緑色で、小さなつのを生やしていて、醜い姿をした化け物が現れた。

 此処が地球だったら、どれだけ驚いた事だろう。
 だが、此処ではこれは普通。あまり驚かない。

 腰に付けていた刀を抜き、目の前の化け物の首を跳ねる。その事に恐怖も罪悪感も抱かず、只化け物を殺した。

 
 …いつから私はこんな事をする様になったのだろう。
 

 ふと、そんな事を考える。


 ついこの間まで学校に通い、平和に暮らしていたはずなのに。

 今は刀を持ち、目の前の化け物を殺している。


 もうこの間まであった平和な日常に戻れないのだろう。

 そして、この非日常が、すぐに日常に変わってしまうのだろう。


 ーーもう、私はこの世界で生きなければならない。


 私ことーーー月宮 零つきみや しずくは、当たり前だった日常が非日常に変わってしまった、あの日を思い出す。
 

◇◆◇◆◇


 朝、目を覚ましたら、支度をし、朝ご飯を食べる。

 私には親も親戚もいない為一人暮らし。幼い頃は孤児院にいたが親の遺産で一人暮らしが出来ている。

 私の名前は月宮 零。肩にギリギリかからない黒髪が特長。後、私の目って細目って思われているけど、実際は盲目なんだよね。もちろん目の前が見えない。

 でもなんとなく周りに何があるか形や色まで分かるし、文字だって普通に読み書き出来る。盲目って思われる訳ないね。そのおかげで普通の学校に通えている訳だけど。

 
◇◆◇


 家を出て学校に行き、教室に入る。
 私はぼっちなので誰も話しかけて来ない。…自分で言って悲しくなってきた。

 話は変わるが、私のクラスは本当に個性的な人がいる。

 例えば、イケメンで、文武両道、カリスマ性もあり、性格もとても良い天河 晃也あまかわ こうやに、
 学校の三大美女と呼ばれる、
 天使の様な聖川 光里ひじりかわ ひかり
 生徒会長の桐島 凛きりしま りん
 スポーツ大好き武藤 飛香むとう あすか
 他にも、オタクにいじめられっ子、不良や授業中ずっと寝ている人までいる。
 更に盲目の私もいるんだよ?個性的と言うか色んなキャラを詰め込み過ぎたクラスだよね。

 因みに私が盲目って事はクラスの中で誰も知らない。一応先生達はわかっているけど、いじめが発生する可能性があるから言わないでもらっている。

 おっと、色々と考えていたらそろそろ授業が始まる時間だ。

 「はーい、授業を始めますよ~」
 
 この声は佐藤 志穂さとう しほ先生。よく私の事を心配してくれている。とても優しく、生徒の間で一番人気がある先生だ。

  まあそんな小説みたいな考え事してないで、授業をちゃんと受けますか。

  
  ーーーと、その時、いきなり床が光り出した。

 私は盲目だから光とか感じるだけで目くらましとか全然効かないから『あっ突然光り出した』ぐらいにしか思わないよ?

 目を凝らして見ると、というか私盲目だし“見る”と言うか“感じる”だから、“目を凝らす”じゃなくて“感覚を研ぎ澄ます”だね。

 って、そうじゃなくて、床に魔方陣らしき物が描かれていて、それが光っているという感じらしい。そして魔方陣と光の中に『何か』がある。固形物ではないけど、私が知らないモノ。だけど感覚的には色んな色に輝いているからとても綺麗だ。

 それは置いておいて、他の人は、

 「きゃっ、何これ‼︎」
 「これはどういう事だ⁈」
 「ま、まさかこれは、異世界転移⁉︎俺の時代キターー‼︎」

 などなど。
 皆んなパニックになっているね。

 色々と考えていると、いつの間にか光が強くなっているようだ。

 しばらくして、私達は、



 教室から、消えていた。
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