盲目でも異世界転移出来るってよ

十六夜月

文字の大きさ
上 下
8 / 8
1章 異世界に来たってよ

7話 情報収集は無理だってよ

しおりを挟む
 私は鍛冶場を出て訓練場に向かう。

 因みに作った武器達は鍛治場にあった木箱になるべく綺麗に入れて自分の部屋に隠しておいた。なんかメイドさんに渡すと取られて国の為に使われそうで嫌だった。
 リライアス…ライアの話じゃお偉いさんはクズらしいしね。ライアの話が嘘の可能性もあるけど。


 さて、訓練場では騎士団らしき人が訓練していた。
 他にもちょくちょくクラスメイトも訓練している。

 私は人が少なく空いているところで訓練をし始めた。

 
 まずは【刀術】から試してみよう。先ほどメイドから受け取った木刀を振ってみる。

 一度木刀を振ってみると、なんと無く刀の使い方が分かった。

 それからは、縦、横、斜めに木刀をまるで目に見えない何かを切るかの様に振っていく。


 ‘もっと綺麗に’ 

 ‘もっと素早く’

‘もっとキレがある様に’

 その様に自分に課題を出して、ひたすらその課題をクリアしていった。


◇◆◇

 《スキル【刀術】がLvアップしました》
 《Lvアップに伴い、【チャージ】が使用可能になりました》

 《スキル【刀術】がLvアップしました》
 《Lvアップに伴い、【飛斬】が使用可能になりました》

 《スキル【刀術】がLvアップしました》
 《Lvアップに伴い、【居合】が使用可能になりました》

「ふぅ、疲れた~」

 あれから1時間もの間、私は木刀をひたすら振っていた。

 現在【刀術】のLvは4。新しく増えた能力はこちら!

ーーーーーーーーーー
Lv2 【チャージ】 力を溜めておき、その後強
                        力な一撃を放つ技。

Lv3 【飛斬】 魔力を消費して斬撃を飛ばす  
                  技。

Lv4 【居合】 居合斬りが可能になる技。鞘に
                  刀を入れなければ発動しない。
ーーーーーーーーーー

 いやぁ【鍛治】と言い、【刀術】と言い、Lvがサクサク上がり過ぎじゃないか?これが称号やら加護やらのおかげなのかな。


 もちろん試させて頂きました!【居合】は流石に木刀じゃできなかったけどね。その影響で床や近くの壁には斬撃の跡が…



 …ま、まぁそれは置いておいて、現在時刻が五時。夕焼けも見えてくるけど微妙に時間が空いている。


 メイドに何か時間が潰せる場所はないか聞いたら、書庫に行ったらどうかと言われ、場所も教えてもらった。


 ◇◆◇◆◇



 はい、書庫に着きました!訓練場から歩いて五分ほど。道中宝物庫がちらっと見えたりした。


 書庫には壁一面が本棚になっており、本の整理をしていたメイドに聞くと1万からは数えていないそう。「こんなに本があるんですから、持ち帰ってもOKですよ!」と言われた。警備大丈夫なのかと思うけどヤバい本は別で厳重に保管されているらしい。


書庫で本を読む人は少なく、才賀君くらいしか見当たらない。他の人はスキルを試しているか部屋でガクブルしてるらしい。


 さて、なんの本読むかな~




 って、文字読めない!なんで!


 …そういえば異世界人の詳細説明に『言葉がわかる』としか書かれていなかった様な、あれって文字はわからないのか?




 上等じゃねぇか!自力で覚えてやるよ!


 ◇◆◇◆◇



 覚えられるわけないじゃないですかやだー!

 ただでさえ日本語もぼんやりとしか文字が認識できず、中学でやっと英語と日本語両方慣れてきたって言うのに、新しい言語だなんて無理じゃないですか!


 私は開いていた植物図鑑に突っ伏し、ギブアップしていた。

 しかも植物の違いとか、同じくぼんやりとしか認識できないのにどうしろと?


 
 

 「……………苦労している様だな」


 突然、才賀君が私に話しかけてくる。

 顔を上げなくてもわかる。そもそも普段から目の前真っ暗だからね!音には敏感な方だよ?


 まあ流石に顔を上げるけど。


 「文字が読めないのか?」

 「……はい、言葉はわかりますが文字を読む能力は無い様ですので。そちらは読める様ですが?」


 さっきまで才賀君は読書をしていたから、文字が読める事は間違いないだろう。


 言い忘れていたが、私は今までぼっちだったからか、接し方が分からずつい丁寧な口調になる。脳内ではこんなにはっちゃけてるのにね。


 「このスキルとやらのおかげでな。にわかに信じられんが、実際にある以上受け入れるしかあるまい」

 「そうですか。それは羨ましい事で。私はこの通り頭はいい方ではありませんからね」


 「…だったら、翻訳書を作ったんだが、使うか?」


 おおっと、これは予想外の言葉。

 万年ぼっちの私がクラスメイトから物を借りるだなんて、何年ぶりか?


 「失礼ながら、私に親しい人はいないと自負しているのですが、どういう風の吹きまわしで?」

 「ただ馬鹿な事をして欲しくないだけだ。それでうっかり詐欺に巻き込まれたら目も当てられん。そうなると勇者として活動する俺にも被害が出てしまうかもしれないからな」


 …おや?なぜか勇者として活動する気満々な様だが。


 「…これから勇者として活動するのですか?」

 「するも何も、それしか道はないだろう。あの天河バカが了承してしまったからな」

 「なら、抜け出せばいいじゃないですか」

 「そこまでする得が見当たらない」


 ……何かおかしい。才賀君ならこの王国に搾取される可能性もわかる筈。

 ライアも才賀君が出て行くと言っていたし。



 もしかして…………ビンゴ。


 才賀君にうっすらと召喚された時に姫様の目の辺りにあったピンクの魔力が漂っている。多分魅了とか洗脳とか、そんな感じだろう。


 「……翻訳書、有り難くお借りしますね」

 「いや、別に返さなくても………」

 「では一つ、お礼としてある事を教えましょうか」


 「……なんだ?」


 「あなた、魔法をかけられていますよ?」


 「………は?」

 「あとおまけでアドバイスを。早く城…いや、この国を出る事をお勧めします」


 ……彼ならこれでわかってくれるだろう。私と違って天才だから。



 私は言葉を告げるなり手元の図鑑と翻訳書を持って書庫を出て行く。

 

  

 才賀君の返事は待たなかった。


 
しおりを挟む
感想 2

この作品の感想を投稿する

みんなの感想(2件)

夕顔
2019.08.18 夕顔

盲目と呼ぶにはちょっと最初からチートすぎるような?小説の根幹である盲目の必要性?…感覚で文字の読み書きもできるとか孤児設定なのに?誰に教えて貰ったんだろう?と疑問がいくつか有りますが、チート主人公と言ってしまえば何でも有りかな…とも思うので、今後とも応援しております。

解除
未夏
2018.11.15 未夏

続きをお待ちしてます🙋

解除

あなたにおすすめの小説

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

絶対に間違えないから

mahiro
恋愛
あれは事故だった。 けれど、その場には彼女と仲の悪かった私がおり、日頃の行いの悪さのせいで彼女を階段から突き落とした犯人は私だと誰もが思ったーーー私の初恋であった貴方さえも。 だから、貴方は彼女を失うことになった私を許さず、私を死へ追いやった………はずだった。 何故か私はあのときの記憶を持ったまま6歳の頃の私に戻ってきたのだ。 どうして戻ってこれたのか分からないが、このチャンスを逃すわけにはいかない。 私はもう彼らとは出会わず、日頃の行いの悪さを見直し、平穏な生活を目指す!そう決めたはずなのに...……。

いっとう愚かで、惨めで、哀れな末路を辿るはずだった令嬢の矜持

空月
ファンタジー
古くからの名家、貴き血を継ぐローゼンベルグ家――その末子、一人娘として生まれたカトレア・ローゼンベルグは、幼い頃からの婚約者に婚約破棄され、遠方の別荘へと療養の名目で送られた。 その道中に惨めに死ぬはずだった未来を、突然現れた『バグ』によって回避して、ただの『カトレア』として生きていく話。 ※悪役令嬢で婚約破棄物ですが、ざまぁもスッキリもありません。 ※以前投稿していた「いっとう愚かで惨めで哀れだった令嬢の果て」改稿版です。文章量が1.5倍くらいに増えています。

絶対婚約いたしません。させられました。案の定、婚約破棄されました

toyjoy11
ファンタジー
婚約破棄ものではあるのだけど、どちらかと言うと反乱もの。 残酷シーンが多く含まれます。 誰も高位貴族が婚約者になりたがらない第一王子と婚約者になったミルフィーユ・レモナンド侯爵令嬢。 両親に 「絶対アレと婚約しません。もしも、させるんでしたら、私は、クーデターを起こしてやります。」 と宣言した彼女は有言実行をするのだった。 一応、転生者ではあるものの元10歳児。チートはありません。 4/5 21時完結予定。

聖女の、その後

六つ花えいこ
ファンタジー
私は五年前、この世界に“召喚”された。

[完結] 邪魔をするなら潰すわよ?

シマ
ファンタジー
私はギルドが運営する治療院で働く治療師の一人、名前はルーシー。 クエストで大怪我したハンター達の治療に毎日、忙しい。そんなある日、騎士の格好をした一人の男が運び込まれた。 貴族のお偉いさんを魔物から護った騎士団の団長さんらしいけど、その場に置いていかれたの?でも、この傷は魔物にヤられたモノじゃないわよ? 魔法のある世界で亡くなった両親の代わりに兄妹を育てるルーシー。彼女は兄妹と静かに暮らしたいけど何やら回りが放ってくれない。 ルーシーが気になる団長さんに振り回されたり振り回したり。 私の生活を邪魔をするなら潰すわよ? 1月5日 誤字脱字修正 54話 ★━戦闘シーンや猟奇的発言あり 流血シーンあり。 魔法・魔物あり。 ざぁま薄め。 恋愛要素あり。

5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?

gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。 そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて 「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」 もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね? 3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。 4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。 1章が書籍になりました。

私と母のサバイバル

だましだまし
ファンタジー
侯爵家の庶子だが唯一の直系の子として育てられた令嬢シェリー。 しかしある日、母と共に魔物が出る森に捨てられてしまった。 希望を諦めず森を進もう。 そう決意するシャリーに異変が起きた。 「私、別世界の前世があるみたい」 前世の知識を駆使し、二人は無事森を抜けられるのだろうか…?

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。