やがて目は覚める

レモン飴

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第1幕 やがて目は覚める

悪夢11

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 気がつくと、僕は丘の上に立っていた。

 丘とは言っても、青空が広がっているわけでもなく、草原や森が広がっているわけでもなく、高低差のある場所に道が通っているだけの、丘かなとギリギリわかるくらいの丘だ。

 僕の右側には、自転車があった。

 僕はその自転車にまたがって、坂道を滑り降りるようにくだる。

 風も無いのに、短い髪がなびくのを感じる。

 その道の先に何がかるのか、まだ見えないけれど、僕はそのまま坂道をくだって行く。

 やがて、坂道が平坦になり、自転車を漕がなければ前に進まなくなってくると、遠くの方にポツンと何かがあるのが見えた。

 僕は今度は、その何かに向かって自転車を漕いで行った。

 はじめは小さな点のように見えていたそれは、近づいて行くにつれてだんだんと大きな点になり、形が点から変化して、箱のような形になった。

 それから間も無く、僕はその箱のようなモノの横を通りかかったので、自転車を停めて近づいてみた。

 それは小さなプラスチック製の箱で、コインを乗せるスイッチが付いていた。

 貯金箱なのだろうな。

 僕はポケットの中を探ってみた。

 すると、100円玉くらいのサイズのメダルが出て来た。

 そう言えば、昔、たまに遊んでいたゲームセンターのメダルが、こんな感じの絵柄だったような気がする。

 僕は貯金箱の前にしゃがんで、メダルをスイッチの上にある窪みに乗せると、スイッチを押した。

 貯金箱の中の仕掛けが動いて、プラスチック製の蓋の片側がゆっくりと持ち上がる。

 その隙間を見つめて2~3秒が過ぎた時、大きな腕が飛び出して来て、僕の体を掴んだ。

 ものすごい力で僕の体はしめあげられ、肋骨や腕の骨が砕ける感触がした。

 流れを失い、行き場のなくなった血液が、口から噴き出す。

 まるで、握り潰して満足したかのように、僕を地面に落とし、大きな腕は、小さな貯金箱の中に戻って行く。

 途中で、真っ赤になった指先が、小さなメダルを持って行った。

 貯金箱の側面には、「開けるな、キケン」と書かれていた。




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