16 / 34
学園編一年目
16話 学園編一年目ⅩⅢ
しおりを挟む
(研究出来るようになったのは良いいんだけど、新しい研究を始める前にあれを作っておかないとな)
「W=3、Lv=2【生成】」
俺はロキソプロフェンナトリウムを元素魔法で生成した。ロキソプロフェンナトリウムとは某有名頭痛薬であるロキ〇ニンの主成分である。
こうなったのは訳がある。
いざ、研究!となったところで思わぬ壁にぶち当たったのだ。
すなわち、俺の研究費用はどうする!?
──とまあ、要するに研究にあてるお金が無かったのだ。
某頭痛薬のCMが言う通りロキソプロフェンナトリウムのみだと体内のプロストグランジン類が減ってしまうので、胃では炎症を起こしてしまう。ここはやはり某CMの通りに優しさを与えてあげよう。
「W=3、Lv=2【生成】」
──ここで俺はアラキドン酸を生成した。
何故なら、人間の体内のシクロオキシゲナーゼによってプロストグランジン類になるからだ。これで優しさを与えることが出来た。
一先ずの間はこれで研究費を稼がなければならなかった。
☆☆☆
──商店街に出る。先ず俺は商店街で薬草を扱うお店を探した。
「いらっしゃい!」
店員が明るい声で挨拶。
「あの、すみません。ここって薬を扱うお店ですよね?」
「ああ、そうだよ。坊っちゃん、何か用かい?」
──坊っちゃん!?初めて聞いたぞ!!
それよりも早く用件を伝えないと!
「実は……元素魔法で頭痛薬を生成したんですが、ここで売り出して頂けないでしょうか?」
「どれだ、見せてみろ」
俺はロキソ〇ンを見せる。──勿論、パッケージ付きで。これも紙の主成分、セルロースを元素魔法で生成して作ったものだ。
「G=3、Lv=3【解析】」
店員は知覚魔法が使えたのか。
「はぁ!?なんだこれは!頭痛と胃痛を両方とも抑えてくれる代物じゃないか!普通なら頭痛薬は胃痛を伴うのに……」
──そうなのだ、頭痛薬は基本的に胃痛を伴う。優しさがあるのはアラキドン酸があるためなのだ。
──アラキドン酸、万歳!!
「この薬をロキホニンと名づけました。これを売ってはもらえないでしょうか?」
「もちろんだ!是非売らせてくれ!今から店長を呼んでくる!!」
店員さんは店の奥へ走っていった。──それを見て俺は──
「や っ た ぜ ! !」
としか思えなかった。
これで店長さんと話をつけてくれれば俺のロキホニンがこのお店で売り出すことが出来る!
「君が薬を売りたいと言っていた子供かい?」
「はい」
「君!うちで雇われない?」
「は、はぁ?」
何を言ってるんだ!?俺はまだ10才だぞ!
「君はおそらく、他にも色々と理解があるんだろう?それならうちで雇ぶほっっ!!」
──気がつけばさっきの店員さんが店長さんを殴り飛ばしていた。
「え?何これ……どんな状況?」
「何勝手に雇用しようとしてるんですか!?坊っちゃんは未だ10才ですよッ!?……第一、店長はまだこの薬を見ていないでしょう!」
「いや~そうなんだけどね、薬を創れる知識があるなら是非雇用したいなぁ~と思ってね。じゃあその薬を見せてもらえる?」
「はあ……、どうぞ」
俺はロキホニンを見せた。俺の戸惑いをお構い無しに。
「……これは、どのようにして使うんだい?」
──まあ、聞かれるとは思っていたが。
「これは錠剤といって、水と一緒に飲む薬です。体内で溶けて作用します」
「これは画期的だ!やっぱりうちで雇われないかいッ!」
「え、店長さんさっき注意されてましたよね……?」
「流石にここまでとは思ってもいなかった。坊っちゃん、俺からも頼む。雇われてくれ」
(え~店員さんまで敵に回っちゃったよ……)
「え!?無理ですよ、研究費用を用意するために薬を売ろうと思ったんですから……。レシピも売ってもいいですけど、元素魔法が使えないと出来ないですし……」
嘘は言っていない。この世界で一から機材を作ることは金銭的にほぼ無理だし、そもそもの話……機械に関する知識が少ない。
──だから俺は元素魔法で薬を作っていたのだが。
「ブレンステッド、元素魔法を使える人材を探してきてくれ!僕は彼の話を聞いておくから!」
俺を“坊っちゃん”呼ばわりする店員さんの名前はブレンステッドというらしい。
──あなたはブレンステッド・ローリーの酸・塩基の定義か何かですか?
「では実演します。W=3、Lv=2【生成】」
俺はロキソプロフェンナトリウム二水和物(分子式:C15H17O3・2H2O・Na)を生成してみせる。
「はっ?」「えっ?」
店長さんと今にも店を飛び出しそうだった店員さん──ブレンステッドさんは口をあんぐりと開けて驚いていた。
──何か驚く要素あったかな?
「な、なっ、何故そのような荒業が出来るんだい!?」
「あ、荒業!?」
──これって荒業だったのか?
「いいかい?普通は自然界から物質を抽出してから生成するんだよ?それをこうも元素魔法一発で生成してしまうなんて……。周りにその技術が渡ったら薬屋の需要が無くなるに等しいじゃないか……」
そんなに凄いことだったのか。
──この世界にもっと物質の構造等についての知識を広めるべきなのだろうか。
「因みに、これがさっきの薬の構造になります」
俺は紙にロキソプロフェンナトリウムの構造を書いてみせる。すると店長さんは目を見開いて紙を凝視した。
「なるほど……。あまり構造は大きくはないのか。……あ!レシピを広めるようなことは絶対にしないでよ!それとレシピのお金は後日用意して渡すから三日後にでもここを訪ねてね!」
「分かりました。三日後ですね!」
──そうして俺は薬屋を後にして、学園へ戻った。
「W=3、Lv=2【生成】」
俺はロキソプロフェンナトリウムを元素魔法で生成した。ロキソプロフェンナトリウムとは某有名頭痛薬であるロキ〇ニンの主成分である。
こうなったのは訳がある。
いざ、研究!となったところで思わぬ壁にぶち当たったのだ。
すなわち、俺の研究費用はどうする!?
──とまあ、要するに研究にあてるお金が無かったのだ。
某頭痛薬のCMが言う通りロキソプロフェンナトリウムのみだと体内のプロストグランジン類が減ってしまうので、胃では炎症を起こしてしまう。ここはやはり某CMの通りに優しさを与えてあげよう。
「W=3、Lv=2【生成】」
──ここで俺はアラキドン酸を生成した。
何故なら、人間の体内のシクロオキシゲナーゼによってプロストグランジン類になるからだ。これで優しさを与えることが出来た。
一先ずの間はこれで研究費を稼がなければならなかった。
☆☆☆
──商店街に出る。先ず俺は商店街で薬草を扱うお店を探した。
「いらっしゃい!」
店員が明るい声で挨拶。
「あの、すみません。ここって薬を扱うお店ですよね?」
「ああ、そうだよ。坊っちゃん、何か用かい?」
──坊っちゃん!?初めて聞いたぞ!!
それよりも早く用件を伝えないと!
「実は……元素魔法で頭痛薬を生成したんですが、ここで売り出して頂けないでしょうか?」
「どれだ、見せてみろ」
俺はロキソ〇ンを見せる。──勿論、パッケージ付きで。これも紙の主成分、セルロースを元素魔法で生成して作ったものだ。
「G=3、Lv=3【解析】」
店員は知覚魔法が使えたのか。
「はぁ!?なんだこれは!頭痛と胃痛を両方とも抑えてくれる代物じゃないか!普通なら頭痛薬は胃痛を伴うのに……」
──そうなのだ、頭痛薬は基本的に胃痛を伴う。優しさがあるのはアラキドン酸があるためなのだ。
──アラキドン酸、万歳!!
「この薬をロキホニンと名づけました。これを売ってはもらえないでしょうか?」
「もちろんだ!是非売らせてくれ!今から店長を呼んでくる!!」
店員さんは店の奥へ走っていった。──それを見て俺は──
「や っ た ぜ ! !」
としか思えなかった。
これで店長さんと話をつけてくれれば俺のロキホニンがこのお店で売り出すことが出来る!
「君が薬を売りたいと言っていた子供かい?」
「はい」
「君!うちで雇われない?」
「は、はぁ?」
何を言ってるんだ!?俺はまだ10才だぞ!
「君はおそらく、他にも色々と理解があるんだろう?それならうちで雇ぶほっっ!!」
──気がつけばさっきの店員さんが店長さんを殴り飛ばしていた。
「え?何これ……どんな状況?」
「何勝手に雇用しようとしてるんですか!?坊っちゃんは未だ10才ですよッ!?……第一、店長はまだこの薬を見ていないでしょう!」
「いや~そうなんだけどね、薬を創れる知識があるなら是非雇用したいなぁ~と思ってね。じゃあその薬を見せてもらえる?」
「はあ……、どうぞ」
俺はロキホニンを見せた。俺の戸惑いをお構い無しに。
「……これは、どのようにして使うんだい?」
──まあ、聞かれるとは思っていたが。
「これは錠剤といって、水と一緒に飲む薬です。体内で溶けて作用します」
「これは画期的だ!やっぱりうちで雇われないかいッ!」
「え、店長さんさっき注意されてましたよね……?」
「流石にここまでとは思ってもいなかった。坊っちゃん、俺からも頼む。雇われてくれ」
(え~店員さんまで敵に回っちゃったよ……)
「え!?無理ですよ、研究費用を用意するために薬を売ろうと思ったんですから……。レシピも売ってもいいですけど、元素魔法が使えないと出来ないですし……」
嘘は言っていない。この世界で一から機材を作ることは金銭的にほぼ無理だし、そもそもの話……機械に関する知識が少ない。
──だから俺は元素魔法で薬を作っていたのだが。
「ブレンステッド、元素魔法を使える人材を探してきてくれ!僕は彼の話を聞いておくから!」
俺を“坊っちゃん”呼ばわりする店員さんの名前はブレンステッドというらしい。
──あなたはブレンステッド・ローリーの酸・塩基の定義か何かですか?
「では実演します。W=3、Lv=2【生成】」
俺はロキソプロフェンナトリウム二水和物(分子式:C15H17O3・2H2O・Na)を生成してみせる。
「はっ?」「えっ?」
店長さんと今にも店を飛び出しそうだった店員さん──ブレンステッドさんは口をあんぐりと開けて驚いていた。
──何か驚く要素あったかな?
「な、なっ、何故そのような荒業が出来るんだい!?」
「あ、荒業!?」
──これって荒業だったのか?
「いいかい?普通は自然界から物質を抽出してから生成するんだよ?それをこうも元素魔法一発で生成してしまうなんて……。周りにその技術が渡ったら薬屋の需要が無くなるに等しいじゃないか……」
そんなに凄いことだったのか。
──この世界にもっと物質の構造等についての知識を広めるべきなのだろうか。
「因みに、これがさっきの薬の構造になります」
俺は紙にロキソプロフェンナトリウムの構造を書いてみせる。すると店長さんは目を見開いて紙を凝視した。
「なるほど……。あまり構造は大きくはないのか。……あ!レシピを広めるようなことは絶対にしないでよ!それとレシピのお金は後日用意して渡すから三日後にでもここを訪ねてね!」
「分かりました。三日後ですね!」
──そうして俺は薬屋を後にして、学園へ戻った。
0
お気に入りに追加
86
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ナイナイづくしで始まった、傷物令嬢の異世界生活
天三津空らげ
ファンタジー
日本の田舎で平凡な会社員だった松田理奈は、不慮の事故で亡くなり10歳のマグダリーナに異世界転生した。転生先の子爵家は、どん底の貧乏。父は転生前の自分と同じ歳なのに仕事しない。二十五歳の青年におまるのお世話をされる最悪の日々。転生チートもないマグダリーナが、美しい魔法使いの少女に出会った時、失われた女神と幻の種族にふりまわされつつQOLが爆上がりすることになる――

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

せっかくのクラス転移だけども、俺はポテトチップスでも食べながらクラスメイトの冒険を見守りたいと思います
霖空
ファンタジー
クラス転移に巻き込まれてしまった主人公。
得た能力は悪くない……いや、むしろ、チートじみたものだった。
しかしながら、それ以上のデメリットもあり……。
傍観者にならざるをえない彼が傍観者するお話です。
基本的に、勇者や、影井くんを見守りつつ、ほのぼの?生活していきます。
が、そのうち、彼自身の物語も始まる予定です。

神に異世界へ転生させられたので……自由に生きていく
霜月 祈叶 (霜月藍)
ファンタジー
小説漫画アニメではお馴染みの神の失敗で死んだ。
だから異世界で自由に生きていこうと決めた鈴村茉莉。
どう足掻いても異世界のせいかテンプレ発生。ゴブリン、オーク……盗賊。
でも目立ちたくない。目指せフリーダムライフ!


無能なので辞めさせていただきます!
サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。
マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。
えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって?
残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、
無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって?
はいはいわかりました。
辞めますよ。
退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。
自分無能なんで、なんにもわかりませんから。
カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる