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学園編一年目
11話 学園編一年目Ⅷ
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「今日は商店街を案内してくれて、ありがとうございました!まだ入学したばっかりだったのでとても助かりました!」
日用品や娯楽品がどこに売っていて、どのようなものなのか俺は未だに知らないでいた。
それに関してはとても助かったが、一般的な常識等については分からないままであった。
(はぁ~、前世とは何かが違うッ!!……もっとこう……あるだろ、そういうシチュのテンプレとか!)
このようなシチュエーションにおいて、この世界でのテンプレはどのような基準をもって決まっているのか俺には理解不能だった。
(今度調べてみるか……!ちょっと気になるし、腹抉られるし……)
「ちょっといいかな?君たちの名前は“ロジーク・オルト・グラストーン”と“ライラ・シス・マレイン”で合ってるかな?」
ライラ嬢と帰り道を歩いていると学園の正門前で焦げ茶色のローブを羽織った男が話しかけてきた。
「そうですけど……あなたは誰ですか?」
ライラ嬢が俺の代わりに答えてくれた。
──すると男は弁明するように両手をわなわなさせて言った。
「あ、えっと、僕は決して怪しい者じゃありません。君たちへの伝言を預かっているんだ」
(見るからに怪しいじゃねぇか……ッ!)
「ジンってやつから伝言を預かっていてね……」
(ジンってつい最近聞いた名前だな……)
「伝言の内容は“ロジーク・オルト・グラストーン!お前が助けたクラスメイト、ポリメは預かった。返して欲しければ、今日の夜にコロッセオに一人で来い!”」
「ポリメッ……!?」
「では僕はこれで……」
その男の身体は砂になって消えた。
☆☆☆
「ロジーク君!絶対これは罠だからッ!」
ライラ嬢は必死に俺を止める。だが、俺は今とてもむしゃくしゃしている。折角、襲われていたところを助けたのに──これ以上ポリメが襲われたりでもしたら、いつか間違いなく命を落とすだろう。
──それ以前に俺の巻き添えで襲われてはポリメに申し訳が立たないだろう。俺だって元は善良なる日本人だったのだ。クラスメイトであるポリメを見捨てることはできない。
「ロジーク君ッ!!」
「ライラ先輩……ごめんなさい。先輩が止めても俺はポリメを助けに行きます」
俺は自分の本心を伝える。どうしても行かなければならないのだ。前世では薬剤師だったが、異世界に転生して前世での学問がどれだけ危険かも良く分かったし、この知識をどう活かすかも10才にして既に考えてある。
「ではライラ先輩、行ってきます……!」
決意を込めた眼差しで俺はライラ嬢に手を振った。
俺は夜、ジン先輩の待っているというコロッセオに向かった。しかしジン先輩の姿は見えない。
「っ……、ポリメッ!」
俺はポリメがコロッセオの中の柱の一つに鎖で磔にされているのに気づいて彼女の名前を呼ぶ。
──が、ポリメは意識を失っているらしく、俺の呼びかけには応じない。良く見ると磔にしている鎖が紫色に禍々しく光っている。
(!!……やっとつながったのですよ~!はぁ~繋げるのにかなり時間がかかったのですよ~)
「えっ!?神様!?」
思わぬところから助けが来た。転生するときにお世話になった神様から。
(その鎖は【鬼砂縛鎖】といって、鬼砂族が作った意識を操るための鎖なのですよ~)
「鬼砂族って何ですか!?」
(それは自分で調べるのですよ~♪あっ!!そうそう、化野学……いや、今はロジーク君だったか……ロジーク君はその鬼砂族を倒すために転生したのですよ~)
「え、神様!?何故今そんな大事なことを!?」
(私はこれで失礼するのですよ~)
「か、神様!?ちょっと待っ──」
──俺が呼び止めた時には既に遅く、もう神様の声は聞こえなかった。
☆☆☆
「良く来たなぁ!!ロジークゥ!来なかったら殺していたところだったが」
ジン先輩は服の裾から砂をサラサラと落としながら俺のところまで歩いてくる。
「ポリメを返して下さい!」
「それは流石に困るなぁ……!先にお前が潰されないとなァァァ!」
そう言ってジン先輩は俺目掛けて魔法を放つ。
「“あの方”から授かった力……!*****【暗黒雷】」
「……ッ!!?」
見たことのない魔法だった。その魔法は精霊魔法に性質が似ているように見えるが、全く精霊の力を使っている様には見えない。
「ジン先輩……一体何をしたんですか……!」
「さぁな……!先ずこれでも喰らっとけ!!」
ジン先輩が放った【暗黒雷】を間一髪で避ける。
「W=3、Lv=3【飛行】」
俺は以前出来るようになった“空気中の分子の移動で空を飛ぶ魔法”を使い、ジン先輩の【暗黒雷】を避けながら元素魔法でホルムアルデヒドを生成させる。
──生成したホルムアルデヒドをジン先輩の体内に流し込む。
すると、ジン先輩は目を押さえて苦しみ出す。
「ぐわぁぁぁぁぁ────目、目ごがぁぁぁ───」
ホルムアルデヒドは体内に存在すると目を失明させる。俺はそれを狙い、元素魔法でホルムアルデヒドを生成させた。
「ジン先輩……、これで終わりです……!」
「そうか……あの方は……俺を騙したのか……俺は利用されたのか……!」
──俺は元素魔法でジン先輩の首を原子・分子間の結合を切ることによって切断した。
日用品や娯楽品がどこに売っていて、どのようなものなのか俺は未だに知らないでいた。
それに関してはとても助かったが、一般的な常識等については分からないままであった。
(はぁ~、前世とは何かが違うッ!!……もっとこう……あるだろ、そういうシチュのテンプレとか!)
このようなシチュエーションにおいて、この世界でのテンプレはどのような基準をもって決まっているのか俺には理解不能だった。
(今度調べてみるか……!ちょっと気になるし、腹抉られるし……)
「ちょっといいかな?君たちの名前は“ロジーク・オルト・グラストーン”と“ライラ・シス・マレイン”で合ってるかな?」
ライラ嬢と帰り道を歩いていると学園の正門前で焦げ茶色のローブを羽織った男が話しかけてきた。
「そうですけど……あなたは誰ですか?」
ライラ嬢が俺の代わりに答えてくれた。
──すると男は弁明するように両手をわなわなさせて言った。
「あ、えっと、僕は決して怪しい者じゃありません。君たちへの伝言を預かっているんだ」
(見るからに怪しいじゃねぇか……ッ!)
「ジンってやつから伝言を預かっていてね……」
(ジンってつい最近聞いた名前だな……)
「伝言の内容は“ロジーク・オルト・グラストーン!お前が助けたクラスメイト、ポリメは預かった。返して欲しければ、今日の夜にコロッセオに一人で来い!”」
「ポリメッ……!?」
「では僕はこれで……」
その男の身体は砂になって消えた。
☆☆☆
「ロジーク君!絶対これは罠だからッ!」
ライラ嬢は必死に俺を止める。だが、俺は今とてもむしゃくしゃしている。折角、襲われていたところを助けたのに──これ以上ポリメが襲われたりでもしたら、いつか間違いなく命を落とすだろう。
──それ以前に俺の巻き添えで襲われてはポリメに申し訳が立たないだろう。俺だって元は善良なる日本人だったのだ。クラスメイトであるポリメを見捨てることはできない。
「ロジーク君ッ!!」
「ライラ先輩……ごめんなさい。先輩が止めても俺はポリメを助けに行きます」
俺は自分の本心を伝える。どうしても行かなければならないのだ。前世では薬剤師だったが、異世界に転生して前世での学問がどれだけ危険かも良く分かったし、この知識をどう活かすかも10才にして既に考えてある。
「ではライラ先輩、行ってきます……!」
決意を込めた眼差しで俺はライラ嬢に手を振った。
俺は夜、ジン先輩の待っているというコロッセオに向かった。しかしジン先輩の姿は見えない。
「っ……、ポリメッ!」
俺はポリメがコロッセオの中の柱の一つに鎖で磔にされているのに気づいて彼女の名前を呼ぶ。
──が、ポリメは意識を失っているらしく、俺の呼びかけには応じない。良く見ると磔にしている鎖が紫色に禍々しく光っている。
(!!……やっとつながったのですよ~!はぁ~繋げるのにかなり時間がかかったのですよ~)
「えっ!?神様!?」
思わぬところから助けが来た。転生するときにお世話になった神様から。
(その鎖は【鬼砂縛鎖】といって、鬼砂族が作った意識を操るための鎖なのですよ~)
「鬼砂族って何ですか!?」
(それは自分で調べるのですよ~♪あっ!!そうそう、化野学……いや、今はロジーク君だったか……ロジーク君はその鬼砂族を倒すために転生したのですよ~)
「え、神様!?何故今そんな大事なことを!?」
(私はこれで失礼するのですよ~)
「か、神様!?ちょっと待っ──」
──俺が呼び止めた時には既に遅く、もう神様の声は聞こえなかった。
☆☆☆
「良く来たなぁ!!ロジークゥ!来なかったら殺していたところだったが」
ジン先輩は服の裾から砂をサラサラと落としながら俺のところまで歩いてくる。
「ポリメを返して下さい!」
「それは流石に困るなぁ……!先にお前が潰されないとなァァァ!」
そう言ってジン先輩は俺目掛けて魔法を放つ。
「“あの方”から授かった力……!*****【暗黒雷】」
「……ッ!!?」
見たことのない魔法だった。その魔法は精霊魔法に性質が似ているように見えるが、全く精霊の力を使っている様には見えない。
「ジン先輩……一体何をしたんですか……!」
「さぁな……!先ずこれでも喰らっとけ!!」
ジン先輩が放った【暗黒雷】を間一髪で避ける。
「W=3、Lv=3【飛行】」
俺は以前出来るようになった“空気中の分子の移動で空を飛ぶ魔法”を使い、ジン先輩の【暗黒雷】を避けながら元素魔法でホルムアルデヒドを生成させる。
──生成したホルムアルデヒドをジン先輩の体内に流し込む。
すると、ジン先輩は目を押さえて苦しみ出す。
「ぐわぁぁぁぁぁ────目、目ごがぁぁぁ───」
ホルムアルデヒドは体内に存在すると目を失明させる。俺はそれを狙い、元素魔法でホルムアルデヒドを生成させた。
「ジン先輩……、これで終わりです……!」
「そうか……あの方は……俺を騙したのか……俺は利用されたのか……!」
──俺は元素魔法でジン先輩の首を原子・分子間の結合を切ることによって切断した。
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