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キンダム伯爵領地 (マシェリー)
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高く高く高く高く高く高く高く高く高く昇り……月ってこんなに綺麗で大きく怖い物だったのかと、ふと気付いた。
我に返って下を見ると、さっきまで居た城がとても小さく見えている。街がキラキラ光る星の様……
「此処まで昇ったのは初めてだわ。かなり怖い。風も冷たく強いし、ドレスと髪が捲き上るわね。これからどうしよう? お城には帰りたく無いわ……辛いもの」
わたくしはとにかく、遠くへ行く事にした。少しづつ下に降りながら、かなりの距離進んでいると、何だか見たことのある景色が。
「この可愛らしい景色は……色とりどりの明るい色彩の、鮮やかな感じは! ニコラス君の領地だわ! 確か、お屋敷は山の上にあったから、あっ!あったわ。こんな夜中に起きてるかしらね。ニコラス君」
わたくしはお屋敷の上に降りて行き、大きなベランダがあったのでそこに降り立った。
「どうしましょう? これって、不法侵入ですわよね?」
「誰?」
部屋に灯りがついた様で、カーテン越しに明るくなった。多分、月の明かりでわたくしの影がカーテンに映ったのかしら? どうしましょう? 逃げましょうか? あたふたしてたら、カーテンが音を立てて開いた。
「誰ですか? こんな夜更けに人の屋敷に忍び込むなど! 直ぐに立ち去りなさい!」
「ニコラス君?」
寝ていたのだろう、簡単な服を着ているので体型が良くわかりますわ。スラーっとした鍛えた身体に、茶色の瞳がキリッとして鮮やかな紫色の髪は、少し長めに遊ばせている。なんて爽やかな少年に育って……
わたくしの寝ていた、月日の流れに驚きですわ。
「貴女はどちら様ですか? 見た目は、女神様の様ですが? もしかして、本当に女神様ですか? だから空から降りてきた……」
「違う違う違う! わたくしマシェリーですわ! ニコラス君のお姉様ですわよ! 覚えていますよね?」
ニコラス君は、少し考えてわたくしをジッと見た後、ポロポロ涙を零しましたの……
「マシェリーお姉ちゃん……」
わたくしはニコラス君に近寄って、自然と頭を撫でていましたわ。暫くの間、泣いていました。とても凛々しく大きくなっても、やっぱりニコラス君はわたくしの天使ですわね。
「マシェリーお姉様、僕は一緒に学園に通う事を楽しみに勉強に鍛錬に励んでいたんです。なのに、いきなり病気になったって聞かされて、王宮に隔離なんて……会わせても、もらえなくて僕は、どれだけ心配したか……」
「そうね、ごめんなさい心配かけたわね。わたくしも今日、目覚めたの。それまでは、ずーっと寝ていたのよ。詳しくは中で話しても良いかしら? ニコラス君、叔父様と叔母様は?」
「父上と母上は、王宮の舞踏会に行きました。
僕はまだ年齢的に無理だから、お屋敷に留守番です。学園も今は、お休みだから領地に帰って来てたんです」
「ニコラス君。今日、此方に泊めてもらってもいいかしら? 辺境のお祖母様の所に、わたくし行きたいのですが……」
「じゃあ僕も、一緒に行きます。早い方が良いですよね。屋敷の者に伝えて、明日には出発出来るようにします。今夜は、すぐにお部屋の用意をさせますので、ゆっくりして下さい。詳しいお話は、明日からの馬車の中でキチンと教えていただけますよね? マシェリーお姉様」
「はい……ニコラス君」
とても成長してますわね……
……バージル様の事は、今は考えない……泣きたくなるから……
我に返って下を見ると、さっきまで居た城がとても小さく見えている。街がキラキラ光る星の様……
「此処まで昇ったのは初めてだわ。かなり怖い。風も冷たく強いし、ドレスと髪が捲き上るわね。これからどうしよう? お城には帰りたく無いわ……辛いもの」
わたくしはとにかく、遠くへ行く事にした。少しづつ下に降りながら、かなりの距離進んでいると、何だか見たことのある景色が。
「この可愛らしい景色は……色とりどりの明るい色彩の、鮮やかな感じは! ニコラス君の領地だわ! 確か、お屋敷は山の上にあったから、あっ!あったわ。こんな夜中に起きてるかしらね。ニコラス君」
わたくしはお屋敷の上に降りて行き、大きなベランダがあったのでそこに降り立った。
「どうしましょう? これって、不法侵入ですわよね?」
「誰?」
部屋に灯りがついた様で、カーテン越しに明るくなった。多分、月の明かりでわたくしの影がカーテンに映ったのかしら? どうしましょう? 逃げましょうか? あたふたしてたら、カーテンが音を立てて開いた。
「誰ですか? こんな夜更けに人の屋敷に忍び込むなど! 直ぐに立ち去りなさい!」
「ニコラス君?」
寝ていたのだろう、簡単な服を着ているので体型が良くわかりますわ。スラーっとした鍛えた身体に、茶色の瞳がキリッとして鮮やかな紫色の髪は、少し長めに遊ばせている。なんて爽やかな少年に育って……
わたくしの寝ていた、月日の流れに驚きですわ。
「貴女はどちら様ですか? 見た目は、女神様の様ですが? もしかして、本当に女神様ですか? だから空から降りてきた……」
「違う違う違う! わたくしマシェリーですわ! ニコラス君のお姉様ですわよ! 覚えていますよね?」
ニコラス君は、少し考えてわたくしをジッと見た後、ポロポロ涙を零しましたの……
「マシェリーお姉ちゃん……」
わたくしはニコラス君に近寄って、自然と頭を撫でていましたわ。暫くの間、泣いていました。とても凛々しく大きくなっても、やっぱりニコラス君はわたくしの天使ですわね。
「マシェリーお姉様、僕は一緒に学園に通う事を楽しみに勉強に鍛錬に励んでいたんです。なのに、いきなり病気になったって聞かされて、王宮に隔離なんて……会わせても、もらえなくて僕は、どれだけ心配したか……」
「そうね、ごめんなさい心配かけたわね。わたくしも今日、目覚めたの。それまでは、ずーっと寝ていたのよ。詳しくは中で話しても良いかしら? ニコラス君、叔父様と叔母様は?」
「父上と母上は、王宮の舞踏会に行きました。
僕はまだ年齢的に無理だから、お屋敷に留守番です。学園も今は、お休みだから領地に帰って来てたんです」
「ニコラス君。今日、此方に泊めてもらってもいいかしら? 辺境のお祖母様の所に、わたくし行きたいのですが……」
「じゃあ僕も、一緒に行きます。早い方が良いですよね。屋敷の者に伝えて、明日には出発出来るようにします。今夜は、すぐにお部屋の用意をさせますので、ゆっくりして下さい。詳しいお話は、明日からの馬車の中でキチンと教えていただけますよね? マシェリーお姉様」
「はい……ニコラス君」
とても成長してますわね……
……バージル様の事は、今は考えない……泣きたくなるから……
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