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Andreと言う店は地下に降りるタイプのお店で、暗い中降りて行くと複雑な模様の焼印みたいなのが付いた木製の扉があった。
真ん中に鉄製の西洋の扉に付いているような輪っかがあったからそれを動かしてみたら、コツコツ音が響いた後、ギギギッと重い音を鳴らしながら内側に扉が開いたの。
中からふわっと何とも言えない嗅いだことのない異国の香りがした。
嫌いな香りでは無く、何だろう不思議な感じの香り。あれ? 開いたのに何も起こらない。
入って良いのだろうか? 誰かが中から開けたのに誰も出てこない? 恐る恐る一歩一歩進んでいくと、何処かの西洋風のお城の中みたいだった。
ゲーム、ファンタジーの世界に居るみたい、よく出来てるわね。
「すごい。ここ」
「お嬢様。ようこそお越しくださいました」
びっくりした! 前から騎士? みたいな軍服? 私あんまりよくわからないけどそんな感じの格好の男の人? が、私に騎士みたいに頭を下げて挨拶してる。
その人は、頭を上げてバチッと視線が合うと。
「あれ? あなた新しい子? 出勤時間早くない。まあ良いけどさっ
今日すっごく忙しいのよー! 助かったわ。こっちに来て早く服着替えて接客してね」
「あの、私……違う」
「早く来てよ。説明するから! こっちがバックヤードね。
衣装は色々あるから好きなの選んで。うちのオーナー社長コスプレーヤでね。
店の衣装は全て社長の手作りなのよ。凄く有名な人なの。
ビジュアルも最高だし! 私もね憧れてるの。
そうねぇ貴女は高貴な顔してるから王子様が良いわね。
これなんて良いんじゃない? 貴女のかっこいい顔に銀と蒼の煌びやかな衣装! 最高の組み合わせ」
騎士さんは、私が話しかける隙間の無いほどペラペラ説明してくれる。
うんうん頷きながら、服を私に強引に渡して着替える様に進めてくる。
私はバイト探してるけど、きっとこの人は違う人と勘違いしてるから、断りたいけど、言える雰囲気じゃない……
私は強引にされると断れない性格で……どう切り出せば良いのかさえも判らない。
今日はもう疲れたわ……本当なら家に帰って寝たいのに。着替える様に目で訴えて来るし……
「あのー私」
「あー恥ずかしいのね。じゃあ私は接客して来るから着替えたら出て来てね。
着替えて出たらキリッとした視線で言葉も注意してね。貴女は高貴な王子様なの! わかった!!
女言葉禁止だからね。成り切るのよ!名前はきめてる?」
「いえ、名前も何も私は」
「そうねーアイザックはどう? かっこいいわぁ! 似合うじゃないの。どう」
「はあ……」
「もう、威厳を持ってね。貴女はアイザック! 王子様なんだから!
じゃあ着替えて出て来てね。化粧とかそこの鏡の方に色々あるから使ってね。社長の趣味で色々あるから。
じゃあ俺はお嬢様達を惚れさせてくるからな!」
騎士さんは颯爽と勘違いして、出て行った。
「どうしよう? 帰っても良いのかな?でも忙しいって言ってたし……着替えて出る?
でも、私ここのバイトじゃないし……勝手に働いても良いものなのかな? うーーーどうしよう!」
「ねえ! 新人! アイザック。さっきダンが着替えてるって言ってたけど、遅いけど大丈夫?」
「あっはい……着替えます」
「早くしろよ。ぶっつけ本番だけど頑張ってな!」
「はい」
外から誰かに、催促された。逃げられない……
着替えようかな……私はよくわからない煌びやかな衣装をどうにか着た。
外に出るとそこからは別世界で、訳の分からないまま無我夢中で時間はあっという間に過ぎた。
どうしてこうなったの、私…………
真ん中に鉄製の西洋の扉に付いているような輪っかがあったからそれを動かしてみたら、コツコツ音が響いた後、ギギギッと重い音を鳴らしながら内側に扉が開いたの。
中からふわっと何とも言えない嗅いだことのない異国の香りがした。
嫌いな香りでは無く、何だろう不思議な感じの香り。あれ? 開いたのに何も起こらない。
入って良いのだろうか? 誰かが中から開けたのに誰も出てこない? 恐る恐る一歩一歩進んでいくと、何処かの西洋風のお城の中みたいだった。
ゲーム、ファンタジーの世界に居るみたい、よく出来てるわね。
「すごい。ここ」
「お嬢様。ようこそお越しくださいました」
びっくりした! 前から騎士? みたいな軍服? 私あんまりよくわからないけどそんな感じの格好の男の人? が、私に騎士みたいに頭を下げて挨拶してる。
その人は、頭を上げてバチッと視線が合うと。
「あれ? あなた新しい子? 出勤時間早くない。まあ良いけどさっ
今日すっごく忙しいのよー! 助かったわ。こっちに来て早く服着替えて接客してね」
「あの、私……違う」
「早く来てよ。説明するから! こっちがバックヤードね。
衣装は色々あるから好きなの選んで。うちのオーナー社長コスプレーヤでね。
店の衣装は全て社長の手作りなのよ。凄く有名な人なの。
ビジュアルも最高だし! 私もね憧れてるの。
そうねぇ貴女は高貴な顔してるから王子様が良いわね。
これなんて良いんじゃない? 貴女のかっこいい顔に銀と蒼の煌びやかな衣装! 最高の組み合わせ」
騎士さんは、私が話しかける隙間の無いほどペラペラ説明してくれる。
うんうん頷きながら、服を私に強引に渡して着替える様に進めてくる。
私はバイト探してるけど、きっとこの人は違う人と勘違いしてるから、断りたいけど、言える雰囲気じゃない……
私は強引にされると断れない性格で……どう切り出せば良いのかさえも判らない。
今日はもう疲れたわ……本当なら家に帰って寝たいのに。着替える様に目で訴えて来るし……
「あのー私」
「あー恥ずかしいのね。じゃあ私は接客して来るから着替えたら出て来てね。
着替えて出たらキリッとした視線で言葉も注意してね。貴女は高貴な王子様なの! わかった!!
女言葉禁止だからね。成り切るのよ!名前はきめてる?」
「いえ、名前も何も私は」
「そうねーアイザックはどう? かっこいいわぁ! 似合うじゃないの。どう」
「はあ……」
「もう、威厳を持ってね。貴女はアイザック! 王子様なんだから!
じゃあ着替えて出て来てね。化粧とかそこの鏡の方に色々あるから使ってね。社長の趣味で色々あるから。
じゃあ俺はお嬢様達を惚れさせてくるからな!」
騎士さんは颯爽と勘違いして、出て行った。
「どうしよう? 帰っても良いのかな?でも忙しいって言ってたし……着替えて出る?
でも、私ここのバイトじゃないし……勝手に働いても良いものなのかな? うーーーどうしよう!」
「ねえ! 新人! アイザック。さっきダンが着替えてるって言ってたけど、遅いけど大丈夫?」
「あっはい……着替えます」
「早くしろよ。ぶっつけ本番だけど頑張ってな!」
「はい」
外から誰かに、催促された。逃げられない……
着替えようかな……私はよくわからない煌びやかな衣装をどうにか着た。
外に出るとそこからは別世界で、訳の分からないまま無我夢中で時間はあっという間に過ぎた。
どうしてこうなったの、私…………
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