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きゅう 私の逃げていた日々の最終日
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7月7日曇り、今日私の人生が変わった
「華、迎えに来た。行くぞ」
私がお化けの役を終えて、顔を白く塗りたくっていたものを水で流していたら、
橘が迎えに来た……
嫌だってあれ程言ったのに、私のお化け出演時刻も断固として言わなかったのに、何処で調べたんだろう?
橘と一緒に歩くなんて、皆んなに注目されるのわかりきってる。本当に嫌だ。そっと逃げようかな……
「華待て、逃げるなよ。先ずは落ち着いてちゃんと顔洗えよ。首元や額にまだ残ってんぞ白いのが。洗顔料使わねーと落ちねーぞそれ。ほら、これ使って落とせ」
先に使った人が、違う場所に持っていっていた洗顔料を橘が持ってきてくれた。自分でも、何か付けないと落ちないとは思ったんだよね。でも見つからなくて探せなくて……その洗顔料はありがたく使わせて貰おう。
「ありがとう」
「おう。その代わり一緒にまわるぞ」
「……嫌よ」
綺麗に顔を洗えてスッキリしたところで素早く逃げようとした。けど、捕まった。逃げないように手を掴まれて何処かへ連行されていった。
もうこの時点で、周りからヒソヒソ言われてるじゃん最悪だ……
連れてこられた場所は科学準備室?こんな所の鍵なんてなんで持ってるんだろう。橘って不思議な奴、手のひら開けたらキャンディとかぽんぽん出てきそう。
「何にやにやしてんだ? ほらここ座って」
「何すんの」
「顔洗った後で、お前の髪ビッチャビッチャだろうが、ついでに俺が纏めてやるから。この前の父親の髪型よりもバッチリ決めてやるよ」
櫛とゴムを持って何やら私の髪を触り始めた。私は不器用で綺麗にできないし、今まで支障が無かったから気にもしてなかった髪型。
皆んな良く髪のこと話すけど、そんなに大事かな?よくわかんない……乾かしてそれでおしまい。
そろそろ鬱陶しくなったから短く切った方が良いかな? よくわかんない髪なんて興味ないし。
「できたぞ!どうだ?」
「うん。スッキリした」
「それだけかよ! もっとこう何かないのか? この前よりも可愛くなったとか華のシャープな顔にあったスッキリしてるけど、可愛いとか。」
「楽になった。さっきまで濡れた髪が冷たかったから、頬に当たらなくていいよ」
「……わかった。お前に聞いた俺が馬鹿だったんだよな。切り替えて、腹も減ってきたし、何か食いに行こうぜ! 何食う華?」
「たこ焼き、焼きそば、かき氷」
「おっ!いいねえ。行くか食いに」
「行くか食いに」
私達はクスクス笑いながら科学室を出た。うん。髪は結ぶか短い方が楽で良い。
裏庭の花壇で私は両手に特大ジュースを持って座ってる。食べ物類は橘が調達してきてくれるらしいから、私は場所と飲み物確保の役目を仰せつかった。
ボーッと周りを見ながらジュースを飲んでたらこの前の愛って子が近寄ってきた。
「ねえ! 飯田さんよね貴女」
「……」
「貴女そんな顔してたのね。いっつも前髪垂らして汚らしい髪してたからわかんなかったわ。
それ誰にしてもらったの? 貴女、晶君とずーっと一緒だったわよね。まさか!晶君にして貰ったとか言わないわよね!そう!そうなのね!」
「……」
「うーーーーーーーま、まあいいわ。今は許してあげるわ。ちょっと急いでるのよこっちに来なさいよ」
「今、動けないから」
「うっさい!とにかく急いでるのよ!来なさい」
私は拒否をしたが、数人の女の子達が横から出てきて強引に何処かに連れて行かれた。勿論ジュースはそのまま。
強引に連れて行かれたのは、体育館の裏手。靴を脱がされて、裏口から中に入れられて、周りが暗闇になった。
そして、何処かに連れて行かれてる。司会者みたいな声がマイク越しで響いてるから、何かやってるんだと思う。キョロキョロしてたら、暗い中急に髪の毛が引っ張られた。
「痛い!」
「しっ!黙って!こんな髪型アンタには似合わないのよ!何時もの汚らしい髪で上等よ」
強引に髪を解かれ。肩に髪がバサリと落ちてきた。橘が綺麗に結んでくれたものを解かれた。少し遅れて前髪も目の前に被さってきた。
「愛、次来たよ」
「了解」
「じゃあね! 恥晒して来なさい。明日からアンタは恥ずかしくて学校来れないから!と言うか、もう来んな」
その言葉の後、ドンと背中を押されたら、ゴツいカーテンの前が開き、私は光り輝く舞台の上だった。
さっきまで騒がしかった観客達は、突然舞台の真ん中のカーテンから出て来た私に驚き無音の時間が……
「え~っとお! 次の挑戦者は、二年C組の飯田華さんです!
奇想天外な出方をしてくれた飯田さんは! な! なんとあの! 難易度一位のハイトーンの曲です! 落差の激しいこの難曲を選んで歌うなんて! 僕は是非聴きたいですね!
さあ! 歌ってもらいましょう! 飯田華さんで、◯◯ど~~~~ぞぉぉぉ!!!!!」
「…………………………………………………………」
会場はザワザワしてる。野次も飛んでる。ど、どうしよう! 逃げようか!!!! この場から逃げよう!!
「「「「「華ちゃん!」」」」」
「華ちゃんの唄、久しぶりに私聴きたいな」
「僕達も飯田さんの唄聴きたい。中学の頃は良く歌ってくれてたじゃないか」
「華!!!!」
飛び込んで来たのは、橘。そして、観客の中には中学や小学校の同級生達も居た。懐かしいな~
大勢の前で思いっきり想いを込めて唄ったら気持ちいいのかな? 何か変われるかな? 一歩でも前進できるかな。
私は中央にあるマイクに近づき、司会者を見た。司会者は、裏方に合図をして曲をもう一度頭出ししてくれた。
この唄は、私のその当時の気持ちに合っていたので、唄ったことはないけど良く聴いていた曲だから……本当に良く聴いていたから……きっと唄える。
私は前髪を後ろの髪に引っかかっていたゴムで雑に結び。前を向いた。
光輝く舞台の上、人々に向かって私の今できる精一杯の想いを込めて思いっきり唄った。
7月7日曇り、今日私の人生が変わった
ありがとう
「華、迎えに来た。行くぞ」
私がお化けの役を終えて、顔を白く塗りたくっていたものを水で流していたら、
橘が迎えに来た……
嫌だってあれ程言ったのに、私のお化け出演時刻も断固として言わなかったのに、何処で調べたんだろう?
橘と一緒に歩くなんて、皆んなに注目されるのわかりきってる。本当に嫌だ。そっと逃げようかな……
「華待て、逃げるなよ。先ずは落ち着いてちゃんと顔洗えよ。首元や額にまだ残ってんぞ白いのが。洗顔料使わねーと落ちねーぞそれ。ほら、これ使って落とせ」
先に使った人が、違う場所に持っていっていた洗顔料を橘が持ってきてくれた。自分でも、何か付けないと落ちないとは思ったんだよね。でも見つからなくて探せなくて……その洗顔料はありがたく使わせて貰おう。
「ありがとう」
「おう。その代わり一緒にまわるぞ」
「……嫌よ」
綺麗に顔を洗えてスッキリしたところで素早く逃げようとした。けど、捕まった。逃げないように手を掴まれて何処かへ連行されていった。
もうこの時点で、周りからヒソヒソ言われてるじゃん最悪だ……
連れてこられた場所は科学準備室?こんな所の鍵なんてなんで持ってるんだろう。橘って不思議な奴、手のひら開けたらキャンディとかぽんぽん出てきそう。
「何にやにやしてんだ? ほらここ座って」
「何すんの」
「顔洗った後で、お前の髪ビッチャビッチャだろうが、ついでに俺が纏めてやるから。この前の父親の髪型よりもバッチリ決めてやるよ」
櫛とゴムを持って何やら私の髪を触り始めた。私は不器用で綺麗にできないし、今まで支障が無かったから気にもしてなかった髪型。
皆んな良く髪のこと話すけど、そんなに大事かな?よくわかんない……乾かしてそれでおしまい。
そろそろ鬱陶しくなったから短く切った方が良いかな? よくわかんない髪なんて興味ないし。
「できたぞ!どうだ?」
「うん。スッキリした」
「それだけかよ! もっとこう何かないのか? この前よりも可愛くなったとか華のシャープな顔にあったスッキリしてるけど、可愛いとか。」
「楽になった。さっきまで濡れた髪が冷たかったから、頬に当たらなくていいよ」
「……わかった。お前に聞いた俺が馬鹿だったんだよな。切り替えて、腹も減ってきたし、何か食いに行こうぜ! 何食う華?」
「たこ焼き、焼きそば、かき氷」
「おっ!いいねえ。行くか食いに」
「行くか食いに」
私達はクスクス笑いながら科学室を出た。うん。髪は結ぶか短い方が楽で良い。
裏庭の花壇で私は両手に特大ジュースを持って座ってる。食べ物類は橘が調達してきてくれるらしいから、私は場所と飲み物確保の役目を仰せつかった。
ボーッと周りを見ながらジュースを飲んでたらこの前の愛って子が近寄ってきた。
「ねえ! 飯田さんよね貴女」
「……」
「貴女そんな顔してたのね。いっつも前髪垂らして汚らしい髪してたからわかんなかったわ。
それ誰にしてもらったの? 貴女、晶君とずーっと一緒だったわよね。まさか!晶君にして貰ったとか言わないわよね!そう!そうなのね!」
「……」
「うーーーーーーーま、まあいいわ。今は許してあげるわ。ちょっと急いでるのよこっちに来なさいよ」
「今、動けないから」
「うっさい!とにかく急いでるのよ!来なさい」
私は拒否をしたが、数人の女の子達が横から出てきて強引に何処かに連れて行かれた。勿論ジュースはそのまま。
強引に連れて行かれたのは、体育館の裏手。靴を脱がされて、裏口から中に入れられて、周りが暗闇になった。
そして、何処かに連れて行かれてる。司会者みたいな声がマイク越しで響いてるから、何かやってるんだと思う。キョロキョロしてたら、暗い中急に髪の毛が引っ張られた。
「痛い!」
「しっ!黙って!こんな髪型アンタには似合わないのよ!何時もの汚らしい髪で上等よ」
強引に髪を解かれ。肩に髪がバサリと落ちてきた。橘が綺麗に結んでくれたものを解かれた。少し遅れて前髪も目の前に被さってきた。
「愛、次来たよ」
「了解」
「じゃあね! 恥晒して来なさい。明日からアンタは恥ずかしくて学校来れないから!と言うか、もう来んな」
その言葉の後、ドンと背中を押されたら、ゴツいカーテンの前が開き、私は光り輝く舞台の上だった。
さっきまで騒がしかった観客達は、突然舞台の真ん中のカーテンから出て来た私に驚き無音の時間が……
「え~っとお! 次の挑戦者は、二年C組の飯田華さんです!
奇想天外な出方をしてくれた飯田さんは! な! なんとあの! 難易度一位のハイトーンの曲です! 落差の激しいこの難曲を選んで歌うなんて! 僕は是非聴きたいですね!
さあ! 歌ってもらいましょう! 飯田華さんで、◯◯ど~~~~ぞぉぉぉ!!!!!」
「…………………………………………………………」
会場はザワザワしてる。野次も飛んでる。ど、どうしよう! 逃げようか!!!! この場から逃げよう!!
「「「「「華ちゃん!」」」」」
「華ちゃんの唄、久しぶりに私聴きたいな」
「僕達も飯田さんの唄聴きたい。中学の頃は良く歌ってくれてたじゃないか」
「華!!!!」
飛び込んで来たのは、橘。そして、観客の中には中学や小学校の同級生達も居た。懐かしいな~
大勢の前で思いっきり想いを込めて唄ったら気持ちいいのかな? 何か変われるかな? 一歩でも前進できるかな。
私は中央にあるマイクに近づき、司会者を見た。司会者は、裏方に合図をして曲をもう一度頭出ししてくれた。
この唄は、私のその当時の気持ちに合っていたので、唄ったことはないけど良く聴いていた曲だから……本当に良く聴いていたから……きっと唄える。
私は前髪を後ろの髪に引っかかっていたゴムで雑に結び。前を向いた。
光輝く舞台の上、人々に向かって私の今できる精一杯の想いを込めて思いっきり唄った。
7月7日曇り、今日私の人生が変わった
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