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国中総てに虐げられてた私は未来の皇后?

皇帝陛下(レイファ)

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舞踏会への道を歩いていると、人のざわめきと楽器の演奏が、聴こえてきました。

 着飾った方々が、すれ違う事も多くなり、レオン様達は威厳の有る対応をされています。私はどうすれば良いのでしょうか? 緊張でガチガチになりそうです。

 目の端に映る、ラティラさんのドレスからチラリチラリと見えている美脚も眩し過ぎます。

 着る前のドレスは脚が凄くと見えるのではと心配したのですが、着用されると横の布地が全面に出てきて、上手い具合に歩くと美脚が覗く感じに計算されています。流石はアンさんですね。


「それでは、私達は王族専用の控え室にいく、会場で又会おう」

「レイファちゃん、会場に先に入っているわね。中で待ってるわ」

「はい、ラティラさんルラック君も後でお会いしましょう」

(ルラックは大丈夫、隠れるの上手なんだよ。美味しいもの食べ放題~)


私達は、それぞれ分かれ別の場所へ向かう事になりました。私は着いていくだけです。

 レオン様の近くには二名の騎士様がついています。やはりこの方は王族なのだと、王宮に来て再確認する事が多く、少し寂しいです。レオン様との距離を感じてしまいます。


「レイファ、これからいく場所には、皇帝陛下達が居られるが、離宮の様に普通にして居れば大丈夫だからな。特別にする必要は無い。母上に対するみたいにすれば良いからな」


「はい、頑張ります」


レオン様は笑っています。私は笑い事では無いのに……エドウィンさんが来てからのレオン様は、雰囲気が落ち着いて何だか楽しそうです。ラティラさんとルラック君も仲が良いですし、私もお友達が欲しいです。


(わたしは、おともだちよ)

(ぼくも)

(わたしだってレイファちゃんのおともだちだもん、まいあさおはなししてるでしょ)

(おれだってはなしてるもん)


声が聴こえてきて小窓を見ると、小鳥さん達が話しかけてくれています。ありがとう皆さん、嬉しいです。そうですよね私には皆んなが居ます。


「レイファ着いた。此処だ」


レオン様が扉の横に居られる騎士様に合図をされると、その騎士様が中の方に取り次ぎ、目の前の重厚な扉が音を立て開きました。

 レオン様に連れられて中に入ると、奥に年配の男性と女性が居られて、その近くに若い男性が二人居られます。

 朗らかな雰囲気で会話をされていました。


「皇帝陛下、エバニス・レイファ公爵令嬢です。離宮に滞在しており、今宵私がエスコートをさせて頂く令嬢でございます」


レオン様が、紹介してくださいました。私は……緊張してしまいます。皆様の視線が怖いです。その時、肩に暖かい温もりが。


(レイファだいじょうぶ、わたしたちがいるわ)


小鳥さん……ありがとう。私は、笑顔を浮かべて皆様に心を込めて挨拶をしました。


「初めてお目に掛かります。今宵は宜しくお願い致します」


大丈夫かしら? 短かったかしら? もう少し長めに何か話した方が……


「陛下何かお言葉を返して差し上げなければ、レイファ嬢がお困りになっておられますよ」

「ああ、済まないレイファ嬢。裏の無い素直な笑み等、久しぶりに見たものでの、皇后やレオンが気にいる訳だな。今宵は楽しい時間を過ごしてくれ」


皇帝陛下は優しい方でした。安心しました。隣の女性も気さくに話しかけて下さいました。


「貴女が兄上の……私は次期皇帝ヴァントです。貴女にお目に掛かれて、良かったです。話には聞いていたので、会ってみたかったのです」

「ヴァント殿下、その様な御言葉頂けて嬉しく思います」

「さあさあ! そろそろお時間です。舞踏会への参加者の皆様も集まった様ですよ、ご準備お願い致します」


先程私が困っていた時、皇帝陛下へ一言告げてくれた方はどなたかしら? 私の視線に気づいたのか、目が合いました。


「私の紹介は未だでしたね。宰相のアルベルト・デイビーズです。

 貴女の事は、妹のラティラから聞いておりますよ。あんな妹ですが、仲良くしてやって下さい。貴女には、小鳥が付いているのですね。何とも楽しそうです」


ラティラさんのお兄様!! そう言われると、雰囲気が似ております。と思っていた時、外から慌ただしい雰囲気が漂って来たと思ったら、扉が勢いよく開きました。


「大変です。舞踏会に参加されている方々が、次々に血を吐き倒れられています!」

「「「「なんだと!!」」」」
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