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国中総てに虐げられてた私は未来の皇后?
支度中(レイファ)
しおりを挟む「レイファちゃんも起きた事だし、着替えましょう。舞踏会に間に合わなくなるわよ。さあ! レオン殿下達も、お支度なさって」
ラティラさんは、レオン様とエドウィンさんを部屋から追い出し、ルラック君を風呂場にポイってしました。
「さあ! 着替えましょう! ミミさん、大変でしょうが2人分のお手伝いお願いするわね」
「かしこまりました」
ミミさんは深々とお辞儀をし、素早く準備を始めました。
ラティラさんは、部屋の隅に置いてあった見覚えのある箱を、抱えて来て開き、中から出てきた煌びやかな衣装を、フワリと持ち上げベッドの上へ広げました。
ドレスの箱の横にはもう一つ小さな箱があり、その箱をラティラさんは、手慣れた手つきで開いた。
中には、真っ白な細いヒールの靴と、ウエストの黒の宝石と同じ宝石のネックレスと、イヤリングがとても輝き、存在感を発揮していました。
それにしても、ラティラさんって……辺境伯夫人なのに、自身の支度をするなんて。
それも手慣れて、素早い動きです。不思議で魅力的な方です。私の支度……ミミさんが、総てしてくださってました。反省です。
「化粧は私、苦手なのでお願いしていいかしら?」
「お任せください」
「薄くで良いわよ。あまり、塗りたくるの好きじゃないのよ」
「はい」
ミミさんは、凄いです! ラティラさんの綺麗なお顔が、妖艶な美女に早変わりしました。
あのドレスを着たら、すっごく映えると思います。早く見たいです!ワクワクします。
「髪はいかが致しますか?」
「昨日、旦那様からいただいた。これをつけて貰えるかしら」
ラティラさんの掌には、虹色に輝く紐?リボンの様な長めの布が丸まってありました。
「お任せください」
ミミさんはしばらく考えたのち、光り輝くシルバーのラティラさんの、ふんわりウエーブの長髪を、輝く紐で編み込み結い上げ瞬く間に色気のあるカッコいい髪に仕上げてしまいました。
ぼーっと眺めていた私を、ミミさんが椅子に座らせて。いつの間にか、化粧と髪を終わらせてしまいました。またまた反省。
「あらまあ! 可愛らしいわね。レイファちゃんは、本当に妖精に好かれるだけあって、なんていうのかしら? 澄んだ空気が取り囲んでいる感じがするわね。
その空気感は、鋭い人には何となく察知できるんだと思うのよ…… ホッとする人と、自分と違うものに対して警戒してしまう人。
その人の心の在り方で、貴女に対する態度に変化があるように思うわ……難しい問題ね」
「そうですね……なんとなく言われていることは解ります……自分では、どうすることもできないものだと言うことも」
少し、落ち込んだ私に対してラティラさんが。
「ごめんなさい! 褒め言葉が、変な感じになっちゃったわね。大丈夫よ。私も、周りの人とは異質な感じに育ってるから、色々苦労してきたの。
でもね、解ってくれる人もいるのよ!
大勢の人の中に入れなくとも、1人でも理解してくれる人がいれば、どうにかなるわ。仮に1人もいなくても、明日にはその人に出逢うかも知れないと考えたら、生きていけるのよ」
私は泣きそうになりながら……
「わかります。誰も信用できなくて、辛く諦めそうになった時が、何度もありますから。
私は今、その時諦めなくて良かったと、思っています。
現在……離宮の方達やラティラさん達、動物達に出逢えて、とてもとても幸せです」
私の瞳から涙が、溢れると。
「ラティラ様。お話中失礼します。これ以上は、レイファ様のお化粧が台無しになってしまわれます」
ミミさんが、ハンカチで優しく目元を押し当ててくれました。
「ごめんなさいねミミさん。レイファちゃん。歳はとりたく無いわね、説教くさくなっちゃうわね。そろそろレオン殿下達が迎えに来ちゃうわね。ドレスに着替えましょうか」
ラティラさんのドレス姿が、とうとう見れます。楽しみで涙なんて引っ込んでしまいました。
私のドレスをミミさんが準備してくれていたので、私はそれを着るだけで良いのですが……
「ミミさん、普通の下着だけでドレスを着ても良いのですか? よくは解らないけど、ドレスの下に色々なものを着ていたような気がしますが」
「それはね、アン創作のドレスだからよ。普通のドレスなら、下に矯正する物を何着か着ないといけないわね。アンのドレスはこう見えて、身体のラインを綺麗に魅せる様作られているのよ。これ一枚でしっかりキープしてくれるの、なおかつ苦しくないのよ」
ラティラさんが自身も着替えつつ話してくれました。自然と目線はラティラさんへ移り、私が目にしたのは下着姿のラティラさん。
「凄っ…………」
「凄いよね。ほんっとアンのドレスを一度着たら、他のドレスなど着れないのよ。
私基本的に、ごちゃごちゃしたの嫌いだから、シンプルな服ばかり着てたんだけどね。アンの服なら多少はスカートが長かろうが袖が邪魔になろうが、すんなりと着れるのよ。不思議よね~」
ラティラさん……アンさんの服も凄いですが、私は貴女のスタイルが凄過ぎて……
胸のボリューム感、ウエストの細さ、身体全体痩せているわけでは無く、筋肉もあり、とても綺麗なラインで造られているスタイルです。
私は無理でしょうが、憧れます。
ボーッと見てるうちに、またもやミミさんに勝手に着付けられていました。ふと気付くと、最後のリボンを結ばれていました。反省ばかりです。
「ありがとうございます、ミミさん。私見惚れてしまって」
「大丈夫ですよ。お気持ち察しますから」
ミミさんは黙々と、片付けながらも一言言葉を返してくれました。
「あら! レイファちゃん可愛らしいわ~ 妖精の泉から出てきた、妖精さんね」
「ラティラさんもとてもお似合いです。騎士団長様は、目が離せませんね。取られてしまう心配をされるのでは?」
「あははははは~ 無いわよ。レイファちゃん、私これでも旦那様とは恋愛結婚なのよ。それに、すこ~しだけ強いのよ。そこら辺の男など切り刻んで差し上げるわ」
ラティラさんは、スカートを少し上げて脚を出し太腿の方迄いくと、何か小さな物が太腿に括り付けてあります。
「ラティラさんそれは?」
「これはね、私の開発した愛剣よ。折り畳んであるけどね。何かあれば私の近くに来なさい、護ってあげるわ」
「格好良いですラティラさん」
「お二人共そろそろお時間です。お迎えの方々が来ております。それとラティラ様、ルラック様は宜しいのですか?」
「あーーー 忘れてたわ。ルラックごめんね!」
ラティラさんは急いで、ルラック君をお風呂場に、迎えにいかれました。
同時に扉を叩く音が聴こえてきて、ミミさんが扉の方へ歩いていきます。
ラティラさんは寝てるルラック君を、胸に抱いて優しく撫でながら、歩いて近づいて来ています。
「デイビーズ夫人、レイファ。二人ともとても似合っている」
「本当だ! 凄い変わったな。女は化けるよな」
「おい、エドウィンその言い方は駄目だ。お前ちゃんとしろよ、王族だろうが」
「レオン大丈夫だって、俺は表に出ればきちんとするから、安心しろよ。それに王族である事は、言わないから平気だよ。言うと面倒だからな」
相変わらずお二人は仲良く言い合いをしながらこちらに近づいて来てます。
「レオン殿下にも、お友達がいて良かった」
ラティラさんが、ボソリと呟いたのが私の耳に聞こえました。何だか安心した声でした。
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「おう! 任せてくれ。デイビーズ夫人行こうか」
「宜しくお願いします。エドウィン様」
エドウィンさんが、ラティラさんをエスコートすべく手を差し出し、ラティラさんはその手の上にスッと載せました。
私も、いつにも増して煌びやかなレオン様に、エスコートされて部屋をでました。
さあ! 舞踏会に行きますよ。
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