40 / 62
国中総てに虐げられてた私は未来の皇后?
妖精の泉(レイファ)
しおりを挟む「大丈夫? レイファちゃん。落ち着いたかしら? わたくしの手作りのハーブティーは如何」
大分落ち着いた私へ、フレア様がハーブティーを自らの手で入れてくれている。
「フレア様がハーブティーを入れるのですか?」
「この離宮に来て、わたくし四年になりますのよ。
色々な事にチャレンジしてみたいと思いまして、最近はシェフに教えを請い。お菓子作りも始めましたの。レイファちゃんがいただいてくれると嬉しいわ。冷めないうちに召し上がって」
「いただきます。とても良い香りです」
「わたくしの薔薇も入れてみましたのよ」
「だから、ほんのりピンクなのですね。
暖かくてほのかに甘くとても美味しいです」
「嬉しいわ~ ありがとうレイファちゃん」
私は美味しいハーブティーをいただき、心も落ち着きました。
「レオン様フレア様、色々ありがとうございます。私も……今日起こっている出来事は、自分でも信じられない事ばかりで……
お二人にも信じていただけるか判りません。ですが、真実をありのままお話ししたいと思います。多少おかしな事を言うかも知れませんが聞いて下さい」
私は、お二人を前に出来るだけ落ち着いて冷静にを心がけ、私が産まれ落ちた時からの話をさせていただきました。話終えると。
「レイファちゃん……此処は、サーフウィカ王国ですのよ。
国民は茶色の髪や瞳等は黒も多いの、貴女の瞳の左右対称は珍しいけれども、とても綺麗ですから羨む方は居るでしょうが、危害を加える方は居ないと思いますわよ。
漆黒の髪は珍しい物では無いですし、我が国は禁忌の色など無いですわ。
国によっては様々な掟はあるけれど、嫌ならば出れば宜しいのではなくて? レイファちゃんはもう、サーフウィカ王国にいらっしゃるじゃないの! わたくしは歓迎いたしますわよ。
昔と違い、今では人が国を移動する等普通の事ですわ。厳しくは無いのよ。それにレイファちゃんは、妖精の泉に選ばれ、此処に運ばれたのではないかしら?」
「妖精の泉ですか?」
「母上、私もそれは初めて聞きます」
レオン様と私は、2人で顔を見合わせて首を傾げます。
「まあ! 仲がよろしいのね~ レオンの気取らない雰囲気と柔らかな表情は、最近珍しいですわね~ 昔はさて置きこの頃又、貴方ピリピリしていましたわよ。
何か悩んでいて、わたくしで力になれるのなら今度話して貰えると嬉しいですわ、レオン。
あっごめんなさいね……妖精の泉の事ですわよね。わたくしも見た事は無いのだけれども、本当に存在するのかも定かでは無いお話なのだけれど……
妖精の泉に選ばれた者は、引き寄せられ、その者に必要なモノを与えられると、言われていますのよ。
与えられた者は、慎み深い方が多いみたいで誰も言わないので詳しくは、判らないのですが、言い伝えみたいになっているのよ。
レイファちゃんは、呼ばれて此処に運ばれ、何かを与えられている筈ですわ。レイファちゃんさえ良ろしければ、此処に住めば良いのではなくて? 部屋は余っていますし、わたくしの話し相手をしていただけると嬉しいわ。どうかしら?」
「私が、何か与えられた……」
私は先程の、シリスさんとのやりとりを思い出してしまった。少し考えていると。
「レイファすまないが、私はこれから王宮へ行かないとならなくてな。半月前に、サーフウィカ王国に一年ぶりに帰って来たばかりなので、当分は王宮での仕事をしなければいけないのだよ。
此処に連れて来たのは私なのに、すまない。
母上慌ただしくしてしまい申し訳ありませんが、レイファの事宜しくお願いします。仕事が落ち着きましたら又、此方に参ります」
レオン様が、私の為に……こんな価値の無い私の為に……優しい言葉を。私は涙がポロポロポロポロ止まらなくて。レオン様が頭を優しく撫でてくれました。
「レイファ大丈夫だよ。此処は安全だから、美味しい物を食べて大きくなりなさい。先程の話で、レイファが16歳と聞いて驚いたよ。忘れる事は出来ないだろうが前には進めるだろう、なっ」
レオン様は、王宮へシリスさんに乗って行かれた。お見送りした時シリスさんが。
(レイファまたあいましょうね。あなたは、いろいろなことができるわよ。ためしてみなさいな)
どう言う事なのかしら?
「レイファちゃんいらっしゃい、離宮で働いてくれている者達を、紹介いたしますわね。の、前に少し髪が長過ぎて歩くのも大変そうなので、切りましょうね。
セベル誰か、器用な人は居るかしら?」
「はい、フレア様。そうでございますね、メイド頭のメルは良く頼まれて他の者の髪等を、切っております」
「そうなの。それでは、メルを呼んでちょうだい」
「はい。かしこまりました」
なんだが、色々話が進んでいってますが、髪は本当に邪魔なので嬉しいです。
その後、メイド頭のメルさんに長い髪をお尻の下辺りに揃えて切って貰いました。前髪も自然な感じに整えて貰い助かりました。
先程のセベルさんは執事さんでした。
後は、メイドさん達と庭師の方。シェフ達と一通りの説明を受けました。
皆様優しくて、慈愛のこもった瞳で私をみてくれました。本当に妖精の泉があるのなら、感謝しかありません。ありがとう。
0
お気に入りに追加
1,324
あなたにおすすめの小説
【書籍化確定、完結】私だけが知らない
綾雅(要らない悪役令嬢1/7発売)
ファンタジー
書籍化確定です。詳細はしばらくお待ちください(o´-ω-)o)ペコッ
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。
優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。
やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。
記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。
【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2024/12/26……書籍化確定、公表
2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位
2023/12/19……番外編完結
2023/12/11……本編完結(番外編、12/12)
2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位
2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」
2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位
2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位
2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位
2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位
2023/08/14……連載開始
【1/21取り下げ予定】悲しみは続いても、また明日会えるから
gacchi
恋愛
愛人が身ごもったからと伯爵家を追い出されたお母様と私マリエル。お母様が幼馴染の辺境伯と再婚することになり、同じ年の弟ギルバードができた。それなりに仲良く暮らしていたけれど、倒れたお母様のために薬草を取りに行き、魔狼に襲われて死んでしまった。目を開けたら、なぜか五歳の侯爵令嬢リディアーヌになっていた。あの時、ギルバードは無事だったのだろうか。心配しながら連絡することもできず、時は流れ十五歳になったリディアーヌは学園に入学することに。そこには変わってしまったギルバードがいた。電子書籍化のため1/21取り下げ予定です。
冷淡だった義兄に溺愛されて結婚するまでのお話
水瀬 立乃
恋愛
陽和(ひより)が16歳の時、シングルマザーの母親が玉の輿結婚をした。
相手の男性には陽和よりも6歳年上の兄・慶一(けいいち)と、3歳年下の妹・礼奈(れいな)がいた。
義理の兄妹との関係は良好だったが、事故で母親が他界すると2人に冷たく当たられるようになってしまう。
陽和は秘かに恋心を抱いていた慶一と関係を持つことになるが、彼は陽和に愛情がない様子で、彼女は叶わない初恋だと諦めていた。
しかしある日を境に素っ気なかった慶一の態度に変化が現れ始める。
秘密の多い令嬢は幸せになりたい
完菜
恋愛
前髪で瞳を隠して暮らす少女は、子爵家の長女でキャスティナ・クラーク・エジャートンと言う。少女の実の母は、7歳の時に亡くなり、父親が再婚すると生活が一変する。義母に存在を否定され貴族令嬢としての生活をさせてもらえない。そんなある日、ある夜会で素敵な出逢いを果たす。そこで出会った侯爵家の子息に、新しい生活を与えられる。新しい生活で出会った人々に導かれながら、努力と前向きな性格で、自分の居場所を作り上げて行く。そして、少女には秘密がある。幻の魔法と呼ばれる、癒し系魔法が使えるのだ。その魔法を使ってしまう事で、国を揺るがす事件に巻き込まれて行く。
完結が確定しています。全105話。
助けた騎士団になつかれました。
藤 実花
恋愛
冥府を支配する国、アルハガウンの王女シルベーヌは、地上の大国ラシュカとの約束で王の妃になるためにやって来た。
しかし、シルベーヌを見た王は、彼女を『醜女』と呼び、結婚を保留して古い離宮へ行けと言う。
一方ある事情を抱えたシルベーヌは、鮮やかで美しい地上に残りたいと思う願いのため、異議を唱えず離宮へと旅立つが……。
☆本編完結しました。ありがとうございました!☆
番外編①~2020.03.11 終了
ヤンデレ騎士団の光の聖女ですが、彼らの心の闇は照らせますか?〜メリバエンド確定の乙女ゲーに転生したので全力でスキル上げて生存目指します〜
たかつじ楓*LINEマンガ連載中!
恋愛
攻略キャラが二人ともヤンデレな乙女ーゲームに転生してしまったルナ。
「……お前も俺を捨てるのか? 行かないでくれ……」
黒騎士ヴィクターは、孤児で修道院で育ち、その修道院も魔族に滅ぼされた過去を持つ闇ヤンデレ。
「ほんと君は危機感ないんだから。閉じ込めておかなきゃ駄目かな?」
大魔導師リロイは、魔法学園主席の天才だが、自分の作った毒薬が事件に使われてしまい、責任を問われ投獄された暗黒微笑ヤンデレである。
ゲームの結末は、黒騎士ヴィクターと魔導師リロイどちらと結ばれても、戦争に負け命を落とすか心中するか。
メリーバッドエンドでエモいと思っていたが、どっちと結ばれても死んでしまう自分の運命に焦るルナ。
唯一生き残る方法はただ一つ。
二人の好感度をMAXにした上で自分のステータスをMAXにする、『大戦争を勝ちに導く光の聖女』として君臨する、激ムズのトゥルーエンドのみ。
ヤンデレだらけのメリバ乙女ゲーで生存するために奔走する!?
ヤンデレ溺愛三角関係ラブストーリー!
※短編です!好評でしたら長編も書きますので応援お願いします♫
【完結】婚約破棄される前に私は毒を呷って死にます!当然でしょう?私は王太子妃になるはずだったんですから。どの道、只ではすみません。
つくも茄子
恋愛
フリッツ王太子の婚約者が毒を呷った。
彼女は筆頭公爵家のアレクサンドラ・ウジェーヌ・ヘッセン。
なぜ、彼女は毒を自ら飲み干したのか?
それは婚約者のフリッツ王太子からの婚約破棄が原因であった。
恋人の男爵令嬢を正妃にするためにアレクサンドラを罠に嵌めようとしたのだ。
その中の一人は、アレクサンドラの実弟もいた。
更に宰相の息子と近衛騎士団長の嫡男も、王太子と男爵令嬢の味方であった。
婚約者として王家の全てを知るアレクサンドラは、このまま婚約破棄が成立されればどうなるのかを知っていた。そして自分がどういう立場なのかも痛いほど理解していたのだ。
生死の境から生還したアレクサンドラが目を覚ました時には、全てが様変わりしていた。国の将来のため、必要な処置であった。
婚約破棄を宣言した王太子達のその後は、彼らが思い描いていたバラ色の人生ではなかった。
後悔、悲しみ、憎悪、果てしない負の連鎖の果てに、彼らが手にしたものとは。
「小説家になろう」「カクヨム」「ノベルバ」にも投稿しています。
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる