《完結》《異世界アイオグリーンライト・ストーリー》でブスですって!女の子は変われますか?変われました!!

皇子(みこ)

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辺境伯領地にて

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[三人称視点で進みます]






サーフウィカ王国の辺境の地に膨大な敷地を持つ、ディビーズ辺境伯令嬢ラティラは、怒り狂っていた。辺境伯である父親が座っている机の前に、仁王立ちして父親を睨みつけている。


「なーんで、今更王都なんて行かないといけないのよ。お父様! 6歳の未だ幼い私に、あいつ等が何を言ったのか、私は忘れないわ! 一語一句違わず憶えているもの、私は執念深いのよ!!」


ラティラは思いっきり、父親の書斎の机を掌でぶっ叩いた。するとピキッと頑丈であるはずの机にヒビが…


「…ラティラ机が…」

「何ですか!?」


「嫌…何もないよ…ラティラ私は、君の気持ちは痛い程良く分かるよ。けれども、我が家は辺境の地に膨大な土地を持っているとは言え。

 この平和な世の中、昔と違い武力重視の我が領土は何かと弱くてね、かといって武力を弱めると、もしもという事も起こり得る訳だ。

 今までも、畜産業は盛んで、加工や乳製品も国内でも主要食品とされているのだが。土地だけはあるから、色々青果物の栽培を試行錯誤で頑張っている途中なんだよ。だんだんそちらの方も需要が見込める様になった矢先だから、君に王都で愛想を振りまき、この地の肉の加工品、青果物等を紹介して欲しいと思ってね。

 丁度王都で、お年頃の王太子様と第二王子と第三王子のお披露目やら、もろもろの事情の為の舞踏会が開かれるので、ラティラ宛にも招待状が来たんだよね。君は6歳から辺境に籠って一度も王都には行ってないだろ、そろそろどうかと考えてね」


「お父様は? 行かれるの?」


可愛らしく首を傾げても、微妙な威圧感を感じるらしく、辺境伯は少し蒼褪めながら。


「えっ? 私は行かないよ。あまり王都は好きではないのでね。自然の中で剣や弓を構え、農作業や育成を考えていきたいんだよ。

 アルベルトが一緒に行くし、王都では、私の姉のバルサが色々指導してくれると思うよ。今着ている動きやすさ重視のワンピースや、運動や稽古中に着るピッタリした形の下上の服もとてもよく似合って可愛いが、たまにはふんわりしたドレス姿も観たいと思う訳だよ」

「お父様、観たいと言っても舞踏会こないんでしょ。私も王都は嫌、お兄様は大好きだけどお父様も行かないんじゃないの!私だけ酷いわよ」


「ドレスは持って帰る様に言うから、それで見せてくれれば良いよ。私も若い頃は王都に行ってたよ。メルとも、舞踏会で運命的な出会いをしてすぐ結婚したしね。
君もそろそろ結婚相手を探さないとね。バルサが色々お相手探してくれたのに、君が自分で探すと言い張ったんだよ」


「だって叔母様、碌な相手紹介して来ないもの。先月なんてヒョロっとした、頼りないモジモジしてるのと合わせたのよ。私は自分よりも強い男が良いのよ!」


「君より強いのは、なかなか居ないかと…6歳から君は毎朝走り剣を振り回して弓を構え、この辺境の傭兵軍にも一目おかれているだろう」


「じゃあ結婚なんてしない!」

「ラティラ」


辺境伯は頭に人差し指を折り曲げ、トントン軽く叩きながら考え込んだ。暫くして、ハッと目を開けて!


「そうだ! ラティラ君は、6歳の時侮辱された子達とはあれ以来会って居ないだろう。多分あの子達も今回の舞踏会に参加しているだろう。年齢も確か同じぐらいだと思うのだが君が17だから、20未満の子達なのだろう。見返してはどうだろう?

 辺境から出ない君は、王都では6歳のイメージのままではないのかい、さぞかし驚くのでは! 6歳の君は、チリチリ巻き毛に顔はお肉がたっぷりで目がとても細く、身体もまん丸で可愛かったよね」


「……あの頃は辺境のお肉が美味しくて、皆んなでワイワイ食べる夕御飯が止まらなくて……」


「それは君だけが傭兵達と気が合い、仲間に入ってたからだろう。私達はびっくりしたが……傭兵軍と同じ物を食べてそれ程運動しなければ太りもするだろうと思うがね。可愛いかったけど」


「それです! その可愛いが私があそこまでぷくぷく太る原因の一つでは無いかと。そりゃ太っていましたが…太っていましたよ!でも、あの子達は棒でつついたり、暴言を吐き続けたり、池に落としたり周りの大人も見て見ぬ振りでした!太ってたり見目が悪いと、そこまで悪なのですか?

 王都にいた間一か月でしたが、ずーっと虐められると、流石に近寄りたくはないと思う私の気持ちわかりませんか?」


「だからラティラは、とても美しくなったではないか? この国は平民は茶髪や金髪、目も茶色や黒色が主だろ。貴族はその血筋で色々違うがそこまで派手なのは無いよね。王族は瞳がブルー系が多く、髪はブルーやグリーン系の方が多い。

 君は私の母親が隣国出身なので、其方の血筋を継いだのか髪は光り輝くシルバーで髪質もチリチリだったものが、自然とふんわりウエーブの女神の様な長髪になったではないか。瞳はルビーの様な真紅でとても魅力的だしね。それだけでも美しいのに、6歳から心身ともに鍛え上げた、そのスリムなのにボリュームのあるラインは圧倒されるよ」


ラティラは、父親にそこまで褒められると悪い気はしなくて、シルバーの髪を人差し指でクルクル纏わりつかせながら。


「うーん、見返すねぇ? 馬鹿にされたままでは、癪にさわりますよね。ドレスアップして身惚れさせてから、領地を宣伝し豊かにできて、こちらに帰ってのんびり暮らす…良いですねぇ~

 お父様!乗りましょう!その提案是非私が成功させましょう!」


雄叫びを上げるラティラの前で、それを見上げながら、我が娘ながらなんて思い込みの激しい子なのだろう。その激しさで、あの幼少時の体形をここまで改善できたのだろうな~ と、しみじみ思う父親なのである。




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