1 / 1
幼馴染みの恋
しおりを挟む
俺は近所の私立高校に通う男子高校生だ。彼女いない歴年齢という悲しい男だよ。
でも、不細工と言うわけでも変な趣味等も持っていない! 至って普通の高二だ。告白も何度かされた事はあるけども、全て断っている。
理由は隣に住む幼馴染みが昔から好きで、あいつに彼氏ができるまでは俺も一人で居ようと決めているからだ。
あいつに彼氏ができれば諦めがつくから……
昔は良く遊んでたけど、中学入ったくらいからだんだん疎遠になり、高校もあいつは女子校へ俺は共学へと分かれたからもっと疎遠になった。
今では偶に朝家を出た時に会う位だ。俺はチャリで駅までで、あいつは近くのバス停からバスだから、家を出たらすぐ反対方向だ。
あいつの情報は、母親からの無駄話に入ってるのを聞くだけだ。今は彼氏は居ないらしい。どうせなら諦められるから作って欲しい気もするが、作ったらかなり凹みそうだ。
俺は結構一途だったんだと自分で感心してしまう。他の女の子を見てもなんとも思わないんだから仕方ないんだよな。
「拓弥! 今暇ーーー? ちょっと降りてらっしゃい」
自室で好きなバンドのライブ中継をYouTubeで見ていたら、下から母さんの叫び声が聞こえてくる。
同じ家にいて、下から叫ぶのはどうかと毎回思うがそれを言うと途端に機嫌が悪くなるから俺は言わない。弟か父さんでも言ってくれたら良いのに。
いつか近所から通報されそうで心配だ。俺は仕方なく階下に降りた。
「なに?俺今忙しい」
「なに言ってんのよ、どーせYouTubeかゲームでもしてたんでしょうが! 勉強もせずに!! 」
「で、なに?」
「お使い行って頂戴よ」
「やだ」
「えー!お母さん、今からドラマが最終回でどうしてもリアルタイムで見たいのよ! お願い行ってきて。隣だからすぐでしょ!」
「隣?」
「そう!今ね、結婚式でご夫婦で県外に行ってるんだけど、雪ちゃんだけがお留守番なのよ。
でもね、今朝から雪ちゃん体調崩してね、お母さん隣の奥さんからのLINEでお願いされちゃって、薬とか持ってったりしててね。やっと熱もだいぶ下がって症状も安定したのよ。
そろそろご飯じゃない。持って行きたいんだけど、お母さんドラマがね……
臨時でお小遣いあげるから持っていってあげて。鍵はこれね。預かってきたから、開けて二階の雪ちゃんの部屋までおかゆ持っていって。
それだけでお小遣い貰えるのよ。ほれ! 行ってらっしゃい。冷めたら美味しくないから」
問答無用で手に持たされ背中を押されて家を出された。
「うー 5月なのに外は未だ寒いな。夕方だからか?気温差の所為で体調崩したのか? 仕方ない持って行くか」
俺は家を出て、すぐ隣の家の玄関の前へ着いた。
「ヤベッ部屋着のままで、髪も寝起きの状態できちまった。せめてセットすれば良かった……
まあ、向こうも体調悪いんだろうし、置いてさっと帰ればいいか」
俺は、鍵で扉を開けて中に入った。中は静まり返っており、人の気配がしない。他人の家に勝手に入るのに抵抗はあるが、入らない事には渡せないから小さくお邪魔しますと、呟き靴を脱ぎ入った。
できるだけ静かに二階に登って、雪の部屋の前に来た。軽く数回ノックしたが、何の応答も無い。暫く悩んで、又ノックして返答無いから仕方なくドアを開けた。
「おい。雪飯持ってきたぞ」
言いながら中を覗くと、目の前にあるベッドの上で毛布に包まりマスクをして、苦しげに寝ている雪が居た。
「雪! 大丈夫か?」
「……みず……」
雪が苦しそうに訴えた。俺は部屋を見回すとテーブルにペットボトルの水と薬が置いてあった。
水を手に取り雪を抱き起こし、マスクを外して水を飲ませた。
「大丈夫か? 」
「ありがとうたっくん。喉渇いてでも、動けなくて……」
「でも何でマスクしてんだ?」
「おばちゃんが来てくれてたから、移さない様にしてた」
「相変わらず、人の事ばかり心配するよな、雪は」
「今はお前が第一だろうが、こんな息苦しいのつけて寝てるなよ」
「うん……ごめんね」
「あやまんなよ……飯持ってきたんだ食べれるか?そのあと薬も飲んだ方がいいだろ」
「うー……食べれるかな?起き上がるのも苦しいから」
「大丈夫だ。俺が横で支えててやるし、少しでも良いから口に入れろ」
「う……ん」
俺は近くに粥を持って来た。雪の背後に座り、俺の肩に頭をもたれさせて安定させ、粥を一すくいして息を吹きかけ冷まして雪の口入れた。
それを数回繰り返すと、雪からもう良いと首を振られた。
まあ、半分は食べたから大丈夫だろう。俺は少し安心して、薬と水を手に取り雪の口元へ持っていった。
雪は、少し躊躇しながらも薬もちゃんと飲んだ。
「これで少しは落ち着くと良いな」
「ありがとうたっくん」
「俺は何も……」
冷静になって考えたら、俺は何ということをしたんだ。
今現在雪は少し荒い息をしながら、俺の肩に顔を埋めている。ヤバイ何だこの距離は……今更ながら俺は……
「雪は安静にしてろ」
出来るだけ冷静な声を出して、肩から雪の頭を外しゆっくりベッドへ横たえた。毛布を首まで掛けて隙間を無くした後。
「じゃあ俺帰るな。なんかあったらうちの親にでも言ったらすぐ来るから」
俺は立ち上がり、お盆を持って部屋を出ようとした。
「たっくん……あのね……もう少しでいいから、そばにいて欲しい……」
俺の心臓は急にバクバクし始めた。さっきまでこれでも意識しない様に頑張ったんだ。これ以上は無理だし我慢できない。
「あー……あのさ……俺さ……雪の事好きなんだわ。これ以上居るとさ……わかるだろ。悪いが帰るわ」
「待って。私もたっくんの事好きだったの。ずーっと前から好きだったの。私を……恋人にしてください」
the end
でも、不細工と言うわけでも変な趣味等も持っていない! 至って普通の高二だ。告白も何度かされた事はあるけども、全て断っている。
理由は隣に住む幼馴染みが昔から好きで、あいつに彼氏ができるまでは俺も一人で居ようと決めているからだ。
あいつに彼氏ができれば諦めがつくから……
昔は良く遊んでたけど、中学入ったくらいからだんだん疎遠になり、高校もあいつは女子校へ俺は共学へと分かれたからもっと疎遠になった。
今では偶に朝家を出た時に会う位だ。俺はチャリで駅までで、あいつは近くのバス停からバスだから、家を出たらすぐ反対方向だ。
あいつの情報は、母親からの無駄話に入ってるのを聞くだけだ。今は彼氏は居ないらしい。どうせなら諦められるから作って欲しい気もするが、作ったらかなり凹みそうだ。
俺は結構一途だったんだと自分で感心してしまう。他の女の子を見てもなんとも思わないんだから仕方ないんだよな。
「拓弥! 今暇ーーー? ちょっと降りてらっしゃい」
自室で好きなバンドのライブ中継をYouTubeで見ていたら、下から母さんの叫び声が聞こえてくる。
同じ家にいて、下から叫ぶのはどうかと毎回思うがそれを言うと途端に機嫌が悪くなるから俺は言わない。弟か父さんでも言ってくれたら良いのに。
いつか近所から通報されそうで心配だ。俺は仕方なく階下に降りた。
「なに?俺今忙しい」
「なに言ってんのよ、どーせYouTubeかゲームでもしてたんでしょうが! 勉強もせずに!! 」
「で、なに?」
「お使い行って頂戴よ」
「やだ」
「えー!お母さん、今からドラマが最終回でどうしてもリアルタイムで見たいのよ! お願い行ってきて。隣だからすぐでしょ!」
「隣?」
「そう!今ね、結婚式でご夫婦で県外に行ってるんだけど、雪ちゃんだけがお留守番なのよ。
でもね、今朝から雪ちゃん体調崩してね、お母さん隣の奥さんからのLINEでお願いされちゃって、薬とか持ってったりしててね。やっと熱もだいぶ下がって症状も安定したのよ。
そろそろご飯じゃない。持って行きたいんだけど、お母さんドラマがね……
臨時でお小遣いあげるから持っていってあげて。鍵はこれね。預かってきたから、開けて二階の雪ちゃんの部屋までおかゆ持っていって。
それだけでお小遣い貰えるのよ。ほれ! 行ってらっしゃい。冷めたら美味しくないから」
問答無用で手に持たされ背中を押されて家を出された。
「うー 5月なのに外は未だ寒いな。夕方だからか?気温差の所為で体調崩したのか? 仕方ない持って行くか」
俺は家を出て、すぐ隣の家の玄関の前へ着いた。
「ヤベッ部屋着のままで、髪も寝起きの状態できちまった。せめてセットすれば良かった……
まあ、向こうも体調悪いんだろうし、置いてさっと帰ればいいか」
俺は、鍵で扉を開けて中に入った。中は静まり返っており、人の気配がしない。他人の家に勝手に入るのに抵抗はあるが、入らない事には渡せないから小さくお邪魔しますと、呟き靴を脱ぎ入った。
できるだけ静かに二階に登って、雪の部屋の前に来た。軽く数回ノックしたが、何の応答も無い。暫く悩んで、又ノックして返答無いから仕方なくドアを開けた。
「おい。雪飯持ってきたぞ」
言いながら中を覗くと、目の前にあるベッドの上で毛布に包まりマスクをして、苦しげに寝ている雪が居た。
「雪! 大丈夫か?」
「……みず……」
雪が苦しそうに訴えた。俺は部屋を見回すとテーブルにペットボトルの水と薬が置いてあった。
水を手に取り雪を抱き起こし、マスクを外して水を飲ませた。
「大丈夫か? 」
「ありがとうたっくん。喉渇いてでも、動けなくて……」
「でも何でマスクしてんだ?」
「おばちゃんが来てくれてたから、移さない様にしてた」
「相変わらず、人の事ばかり心配するよな、雪は」
「今はお前が第一だろうが、こんな息苦しいのつけて寝てるなよ」
「うん……ごめんね」
「あやまんなよ……飯持ってきたんだ食べれるか?そのあと薬も飲んだ方がいいだろ」
「うー……食べれるかな?起き上がるのも苦しいから」
「大丈夫だ。俺が横で支えててやるし、少しでも良いから口に入れろ」
「う……ん」
俺は近くに粥を持って来た。雪の背後に座り、俺の肩に頭をもたれさせて安定させ、粥を一すくいして息を吹きかけ冷まして雪の口入れた。
それを数回繰り返すと、雪からもう良いと首を振られた。
まあ、半分は食べたから大丈夫だろう。俺は少し安心して、薬と水を手に取り雪の口元へ持っていった。
雪は、少し躊躇しながらも薬もちゃんと飲んだ。
「これで少しは落ち着くと良いな」
「ありがとうたっくん」
「俺は何も……」
冷静になって考えたら、俺は何ということをしたんだ。
今現在雪は少し荒い息をしながら、俺の肩に顔を埋めている。ヤバイ何だこの距離は……今更ながら俺は……
「雪は安静にしてろ」
出来るだけ冷静な声を出して、肩から雪の頭を外しゆっくりベッドへ横たえた。毛布を首まで掛けて隙間を無くした後。
「じゃあ俺帰るな。なんかあったらうちの親にでも言ったらすぐ来るから」
俺は立ち上がり、お盆を持って部屋を出ようとした。
「たっくん……あのね……もう少しでいいから、そばにいて欲しい……」
俺の心臓は急にバクバクし始めた。さっきまでこれでも意識しない様に頑張ったんだ。これ以上は無理だし我慢できない。
「あー……あのさ……俺さ……雪の事好きなんだわ。これ以上居るとさ……わかるだろ。悪いが帰るわ」
「待って。私もたっくんの事好きだったの。ずーっと前から好きだったの。私を……恋人にしてください」
the end
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
4
この作品の感想を投稿する
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる