優秀リケジョは化学教師に溺愛される

りり

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一年生

間章④ 見崎side

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「あ、いたいた」
私は文化祭の鐘がなる中、放送室でとある人物を見つけた。
「あら?どうしたの?」
「とぼけないでください。先輩でしょ?鐘の時間をずらしたの」
「バレちゃった?」
いたずらしました、みたいなノリでこの学校の伝統をずらさないでいただきたい。
「だって、報われないでしょ?」
そういって指で放送室の鍵を回す。
「その鍵って…」
「ん?あぁ…彼氏にお願いしたら貸してくれたの」
教師しか持ってないしな。
「一応、処分を考えなきゃなんだが…。今回ばかりは先輩が一枚上手だった。とりあえず彼氏に迎えに来てもらおう」
「その必要はないよ。もう来てるみたい」
ガチャッ
静かに放送室のドアが開いた。
「もうしたいことは済んだの?」
「うん!鍵ありがとう」
笑顔で彼氏に先輩は抱きつく。付き合った当時の様子からはまるで想像もつかない。
「いいよ。ほら、桜先輩の処分もするんだろ?」
「それは見崎会長に任せることにしたの。私はもう生徒会長ではないのだから」
「そっか。じゃ、クラスに帰ろう」
「うん。ってことでじゃあね、見崎会長。桜先輩の処分よろしく~」
「ま、待ってくれ」
「?」
放送室のドアに手をかける先輩を呼び止める。
「何?」
「どうして、あの子達を気にかけているんですか?」
瀬田先生への贖罪?それとも単なる興味?
「………瀬田先生への感謝。それとね」
先輩は隣にいる彼氏を見つめる。
「過去の私を見ているようで、じれったくなっちゃった」
遠い過去を思い出すように先輩の口から言葉が出た。
「若葉ちゃんが瀬田先生のこと好きじゃなかったらこんなことしなかったよ?けどね、あの時の場面から私は直感的にこの2人はくっつくって思ったんだ」
「あの時の場面?」
「うん。若葉ちゃんが入学して間もないとき。瀬田先生と若葉ちゃん、ぶつかりかけたんだよ?」
初耳だ。いや、知る由もないんだが。
「なんで知ってるんですか…?」
「丁度生徒会への引き継ぎの書類を持ってく途中だったの。瀬田先生の声が聞こえたから見てみたら…ね」
「そうですか」
偶然とは思えない奇跡か?
「じゃ、私はこれで」
「はぁ……」
なんだこの先輩。
「あ、見崎会長!ひとつ言っておいてあげる」
「?」
先輩は長いサイドテールを風になびかせ、私の瞳を真っ直ぐに見つめる。あぁ、これだ。この視線、この重圧、この空気。私には程遠い。これが歴代最強の生徒会長。
「あの子は物事の中心にいる、主人公みたいな子だよ。これからたくさんの困難に巻き込まれてく。それには見崎会長の助けも必須だから。それに、いつか………」
「いつか?」
「……なんでもない。またね」
先輩はそういうと、放送室から出て行ってしまった。放送室には体よく面倒ごとを押し付けられてしまった私が残った。最後のはなんだったのだろう
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