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一年生
間章① 若葉side
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うー…。借りちゃったよ、服とタオル。アイロンはかけたけどさぁ…。なんかしらお礼のもの持ってかないとだよね。
「いらっしゃいませ」
私は雑貨屋さんへ足を踏み入れていた。男性に渡すものってどうすれば……。
「あ…」
ふと、目に入ったのは黒いハンカチにフラスコや試験管のマークが入ったものだ。これなら先生も喜びそう。私はそのハンカチを手に取り、レジへ向かった。
「瀬田先生が気に入ってくれればいいんだけど…」
少しだけ不安になりつつ、私は袋をバッグにしまった。
「はぁ……どこにいったんだろ」
呟かれたほうを見ると水色の綺麗な髪をサイドテールにした女性が周りを見渡していた。誰か探してるのかな?
「あの、どうかしました?」
「あぁ…彼氏とはぐれちゃって」
そこにいたのは私そんなに歳が変わらなさそうな女の子だった。もしかして、同じ学校かな…?
「スマホは……?」
「充電切れちゃって」
「えぇ…」
困ってそうだし、一緒に探すか。
「あの、一緒に探しましょうか?」
「いいの!?」
「はい。丁度買い物は済ませたので」
「ありがとう~!」
先輩、なのかな?
「私は透雨。あなたは……」
「あ、不宮です」
「よろしくね!もしかして花ヶ丘高校の人?」
「あ、そうです」
「わぁ、一緒だ」
やっぱり同じ高校だったか。
「何の部活なの?」
「すみません。部活などはしてなくて」
「そっか」
「あ、彼氏さんってどんな人ですか?」
「うーんとね……背が高くて、髪の毛ボサボサな少しだらしない人」
いや、彼氏さんのことそんなふうに言っていいのか…?
「年上で成人済みの人なんだ」
「はぁ……?」
パパ活かなんかなのか?いや、失礼な考え方だ。やめよう。
「どこに行ったか心当たりは……?」
「うーん…」
「雫!」
どこからか男性が走ってきた。背が高くて、髪がボサボサで……。
「あ、海斗くん」
「どこいってたの!?近くの雑貨屋にいるって言ったのに中々来ないから探してみたら…」
「え、そうだっけ?」
「やっぱり聞いてなかった…」
とりあえず見つかったらしい。にしてもこの男の人、どこかで見たことあるような…。割と直近で。
「この子は?」
「不宮さん。海斗くんのこと探すの手伝ってくれたの」
「そっか。雫が迷惑をかけてごめんね」
「あ、いえ」
見つかってよかったし。
「なんでオフはこんなに抜けてるかな…」
「学校ではしっかりしてるからいいでしょう?」
「この差って……?」
そろそろお暇しようかな。うん。
「私はこれで」
「あぁ、ありがとう」
「ありがとうね」
私は一人で出口に向かって歩いた。
「あの子だって」
「いい子だったよ」
人が変わったように透雨は顔つきを変える。そこにはバカップルだった面影はなく、どこかを仕切っていたような風格がある。
「瀬田先生には少し悪いことしたし、できる限りサポートするか」
「そうだね」
二人は不宮の後ろ姿を見つめる。
「ま、今はデートだから僕のこと見て欲しいけど」
「海斗くんは黙ってて」
「ひどいっ」
「いらっしゃいませ」
私は雑貨屋さんへ足を踏み入れていた。男性に渡すものってどうすれば……。
「あ…」
ふと、目に入ったのは黒いハンカチにフラスコや試験管のマークが入ったものだ。これなら先生も喜びそう。私はそのハンカチを手に取り、レジへ向かった。
「瀬田先生が気に入ってくれればいいんだけど…」
少しだけ不安になりつつ、私は袋をバッグにしまった。
「はぁ……どこにいったんだろ」
呟かれたほうを見ると水色の綺麗な髪をサイドテールにした女性が周りを見渡していた。誰か探してるのかな?
「あの、どうかしました?」
「あぁ…彼氏とはぐれちゃって」
そこにいたのは私そんなに歳が変わらなさそうな女の子だった。もしかして、同じ学校かな…?
「スマホは……?」
「充電切れちゃって」
「えぇ…」
困ってそうだし、一緒に探すか。
「あの、一緒に探しましょうか?」
「いいの!?」
「はい。丁度買い物は済ませたので」
「ありがとう~!」
先輩、なのかな?
「私は透雨。あなたは……」
「あ、不宮です」
「よろしくね!もしかして花ヶ丘高校の人?」
「あ、そうです」
「わぁ、一緒だ」
やっぱり同じ高校だったか。
「何の部活なの?」
「すみません。部活などはしてなくて」
「そっか」
「あ、彼氏さんってどんな人ですか?」
「うーんとね……背が高くて、髪の毛ボサボサな少しだらしない人」
いや、彼氏さんのことそんなふうに言っていいのか…?
「年上で成人済みの人なんだ」
「はぁ……?」
パパ活かなんかなのか?いや、失礼な考え方だ。やめよう。
「どこに行ったか心当たりは……?」
「うーん…」
「雫!」
どこからか男性が走ってきた。背が高くて、髪がボサボサで……。
「あ、海斗くん」
「どこいってたの!?近くの雑貨屋にいるって言ったのに中々来ないから探してみたら…」
「え、そうだっけ?」
「やっぱり聞いてなかった…」
とりあえず見つかったらしい。にしてもこの男の人、どこかで見たことあるような…。割と直近で。
「この子は?」
「不宮さん。海斗くんのこと探すの手伝ってくれたの」
「そっか。雫が迷惑をかけてごめんね」
「あ、いえ」
見つかってよかったし。
「なんでオフはこんなに抜けてるかな…」
「学校ではしっかりしてるからいいでしょう?」
「この差って……?」
そろそろお暇しようかな。うん。
「私はこれで」
「あぁ、ありがとう」
「ありがとうね」
私は一人で出口に向かって歩いた。
「あの子だって」
「いい子だったよ」
人が変わったように透雨は顔つきを変える。そこにはバカップルだった面影はなく、どこかを仕切っていたような風格がある。
「瀬田先生には少し悪いことしたし、できる限りサポートするか」
「そうだね」
二人は不宮の後ろ姿を見つめる。
「ま、今はデートだから僕のこと見て欲しいけど」
「海斗くんは黙ってて」
「ひどいっ」
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