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第三章 遺跡トラップを乗り越えろ⁉
6.トラップ作動し、地かたまる?
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それにしても、あのトラップにはしてやられた。
遺跡の出口へと向かいながら、わたしはさっき起きたことをふりかえっていた。
岩を【飛ビ超エ】たら終わり? ざんねーん! じつは落とし穴も【飛ビ超エ】るんでしたー! ……みたいなことでしょ?
あのトラップを考えたひと、遊び心がありすぎるか、性格が悪いかの二択だよ!
「おい、また心の声が漏れてるぞ」
「あ、ヤバっ。つい」
「まさか、トラップが二段構えでくるとはな」
出口が近づき緊張がほぐれたのか、いつもより友弥くんがよくしゃべる……、ような気がする。
「友弥くんでも、トラップにひっかかったりするんだね」
「全部を見破れるわけじゃないからな。……それにしても、あのおまえの馬鹿力……」
くくく、とまた思い出し笑いをしている友弥くんのかかとを、わたしはうしろから軽く蹴飛ばした。
このひと、じつはクールキャラなんかじゃ、ないのでは⁉
「もう、しつこい! ……いや、ごめんね」
「べつに謝らなくていい。おまえの腕力でケガするほど、ヤワじゃない」
「そっちじゃなくて! ……居間にあった、写真のこと」
わたしが頭を下げると、友弥くんが一瞬たじろいだ。
「……ああ、そのことは、もういい。それより、あれ」
「えっ」
友弥くんが指さす方を見ると、金銀にきらめく立方体の結晶が、いくつも重なり合っているのが見えた。
「パイライトだ! すっご! 立派! え、ちょっと待ってて、採取するから!」
「……ふっ、早くしろよ」
うーん、なんだかタイミングよくごまかされた気がするなあ。
相変わらず説明不足だし、基本的に愛想はないし、なに考えてるのかよくわからないけれど。
いつか、友弥くんが、自分のことをいろいろ話してくれる日が来るといいな。
ハンマーを振るいながら、桜の木の下でお母さんと手をつないで笑う、小さなころの友弥くんの顔を、ぼんやり思い浮かべた。
ぽろり、とパイライトの結晶が、母岩からはずれる。
右手の甲に刻まれた赤い印が、じわりと熱を帯びたような気がした。
遺跡の出口へと向かいながら、わたしはさっき起きたことをふりかえっていた。
岩を【飛ビ超エ】たら終わり? ざんねーん! じつは落とし穴も【飛ビ超エ】るんでしたー! ……みたいなことでしょ?
あのトラップを考えたひと、遊び心がありすぎるか、性格が悪いかの二択だよ!
「おい、また心の声が漏れてるぞ」
「あ、ヤバっ。つい」
「まさか、トラップが二段構えでくるとはな」
出口が近づき緊張がほぐれたのか、いつもより友弥くんがよくしゃべる……、ような気がする。
「友弥くんでも、トラップにひっかかったりするんだね」
「全部を見破れるわけじゃないからな。……それにしても、あのおまえの馬鹿力……」
くくく、とまた思い出し笑いをしている友弥くんのかかとを、わたしはうしろから軽く蹴飛ばした。
このひと、じつはクールキャラなんかじゃ、ないのでは⁉
「もう、しつこい! ……いや、ごめんね」
「べつに謝らなくていい。おまえの腕力でケガするほど、ヤワじゃない」
「そっちじゃなくて! ……居間にあった、写真のこと」
わたしが頭を下げると、友弥くんが一瞬たじろいだ。
「……ああ、そのことは、もういい。それより、あれ」
「えっ」
友弥くんが指さす方を見ると、金銀にきらめく立方体の結晶が、いくつも重なり合っているのが見えた。
「パイライトだ! すっご! 立派! え、ちょっと待ってて、採取するから!」
「……ふっ、早くしろよ」
うーん、なんだかタイミングよくごまかされた気がするなあ。
相変わらず説明不足だし、基本的に愛想はないし、なに考えてるのかよくわからないけれど。
いつか、友弥くんが、自分のことをいろいろ話してくれる日が来るといいな。
ハンマーを振るいながら、桜の木の下でお母さんと手をつないで笑う、小さなころの友弥くんの顔を、ぼんやり思い浮かべた。
ぽろり、とパイライトの結晶が、母岩からはずれる。
右手の甲に刻まれた赤い印が、じわりと熱を帯びたような気がした。
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