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思惑
五十八.支援の久太郎
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天正十年六月十九日 巳の刻
「久太郎っ、待っておったぞぉっ。入れっ、入れぇ。」
土山城はかつて滝川一益によって落とされた城であるが、今は俄かではあるものの、修復の手が加えられている。城といっても堀と柵と土塁を複雑に配置した山の中に、小屋というか木造蔵というか、とにかく見栄えの良くない建屋が点々としている軍事要塞である。堀久太郎秀政は坂本城攻めの始末の後、秀吉に信雄の支援を命じられ、この城に兵二千を引き連れて訪れた。城門前の秀政らを、首を長くして待ち焦がれた織田信雄自らが櫓の上から招き入れる。二人は信雄が普段政務を執っている屋敷に入る。
「待ちかねたぞぉ、久太郎っ。これでようやく安心して眠れるわぃ。」
久しぶりに対面した信雄はやけに明るい。秀政は少々躊躇うが、信雄が厄介な伊賀者相手に、かつ少ない手勢で防戦一方の重苦しい日々を過ごしてきたことを思うと、安堵感が一気に解放されるのも無理はないと感じ取る。
「援軍が遅くなり申し訳ございません。筑前殿もようやく安土に入って近江の現状を把握できるようになりまして、これでも急ぎ馳せ参じた次第であります。」
「このようなことになるとは誰も考えつかなかったんじゃ。致し方あるまい。それにしても大殿が身罷られた後の伊賀者は真に鬱陶しかったぞぃ。昼夜を問わず、ちょこまかと門や櫓に火をつけて、わしらを揺さぶりまくっとったわぃ。大方は成敗したが、兵が少ないもんで残党狩りまで徹底できなんだわぁ。」
「真に御苦労様でございました。この上はわれらの兵でもって後始末を致しますので、どうぞ御一息おつきくださいませ。」
信雄の安堵の笑みが絶えない。
「辱いっ・・・。ところで其方の山崎での活躍は聞き及んでおる。坂本の城も其方が落としたそうではないか。わしも参陣したかったが、この状況では到底身動き取れなんだ。勝手ながら其方らがわしに代わって仇討を果たしてくれたものと思うておる。」
「有難き御言葉、痛みいりまする。」
「それに筑前がこれほど素早い動きをするとは・・・、わしは感服したわぃ。筑前にもよろしゅう伝えてくれ。」
秀政はかつて信雄とともに伊賀攻めに参じていたことがあり、信雄の秀政に対する信頼もそのとき生まれた。その頃の若い信雄は、養嗣子として入った名門・伊勢北畠家の影響もあってか、秀吉や光秀のいないところでは彼らをまさに虫けらのように罵り、実際にも穢らわしいとか何とかいって面と向かうのを避けていた。あの刺々しい信雄を知る秀政にとっては、信雄の秀吉への感謝の言葉は意外である。そして信雄がやけに口達者になっているのも意外である。
「筑前殿に信雄様の御褒めの言葉を確かにお伝え申し上げまする。」
信雄は優しいというべきか、申し訳ないというべきか、力の抜けた眼で語り続ける。
「大殿が亡くなった後でわしの身を案じた文を寄越してきたのは筑前だけじゃった。最初は情けない思いもしたが、今では筑前に心を支えてもろうたと感謝しとる。」
秀政は信雄の豹変ぶりに、聞かずにはいられなくなる。
「畏れながら、昔の信雄様を知るわたくしめには今の信雄様の御言葉が意外でございまする。昔は筑前殿を褒めるどころか、信雄様の口から『筑前』の『ち』の字も出て参りませんでした。まるで筑前殿の名を口にするのも穢らわしいと云わんばかりに・・・。御目にかかからぬ間に、信雄様には何か心の変化でもございましたでしょうか。」
「心の変化というよりも、わしが歳をとって物分かりがよくなってきたからじゃないかのぉ・・・。確かに北畠に入ってきた頃のわしは家柄を笠に着て、筑前のような百姓上がりを下賤扱いする嫌な奴じゃったろう。しかしあれから刻が経つ中で、わしは北畠の家臣どもに次々と裏切られ、命が危うくなったことも二度三度とあった。その度に大殿には、わしが家臣を信用しすぎて逆に操られておると、よぉ叱責されたもんじゃぁ。それでもまだ『青い』わしは、人を信じぬ大殿のにようにはなれんと心中で大殿に抗っとったぁ。」
秀政は、自分のことをそう分析する信雄に成長ぶりを感じる一方、口達者になったのは信長の重圧から放たれた安堵感の表れではないかと推し量る。
「じゃがな、久太郎。さらに年月が経つとまたより深いところが分かってくるもんじゃ。多くの北畠の家臣にとっては、わしよりも『北畠家』の方が大事じゃということをなっ。それが分かると、わしは大殿の御言葉を『家臣を疑ってかかり、その中から忠臣を見極め、その者を側に置け』と解するようになったわぃ。」
「それは上に立つ者として、大層立派な御心掛けと存じます。」
「久太郎もそう思うかぁ。とにかく上の者としての心得を散々考えさせられてきたわしが、此度の戦で筑前こそ真の織田の忠臣と思えたのは、筑前があっという間に備中から摂津まで兵を返したと聞いたときじゃ。考えてもみよ、日頃から筑前が家臣どもへ織田への忠誠を浸透させていなければ、如何にして斯様な大事が成せようか・・・。いろんなことを眠らず考えたが、結局わしにはそれしか答えが出てこん。」
「筑前殿が居られないところで、そのように見極められいたとは畏れ入りまする。然れば、今からでも筑前殿に信雄様から直に一言お声をかけるのがは如何でしょう。」
「んっ、一言とは・・・。」
「わたくしは信雄様の御言葉を訊いて、大変感激いたしました。いやっ、今の御言葉には天の大殿も殿も大いに喜んでおられるとわたくしは信じまする。然ればこそ、今の信雄様の胸の内を直に筑前殿に御示しなされては如何でしょうか。」
秀政は少し言い過ぎたかと思いつつ、信雄が自分を信頼していることに懸けてみる。信雄は腕を組んで考え込み始めたので、秀政はさらに踏み込む。
「失礼ながら、筑前殿は今もなお信雄様に毛嫌いされていると思うております。実際に此度の戦での信孝様の筑前殿への接し方は見るに耐え難いものでした。それに他にも・・・、わたくしは姫路にて秀勝様の飛ばす檄を聴いて参りました。秀勝様の御言葉は家臣たちの気を一にされる魅力がございますが、その御言葉には信雄様や信孝様をどこかしら蔑んでいるようにも御見受けしました。ですが秀勝様が御存知なのは先の『青い』信雄様でしょうから、今のうちに御二人との蟠りを失くされるべきかと存じます。」
信雄はさらに考え込んだ後、優しい面持ちで返す。
「其方の云う通りじゃなっ。やはり久太郎は頼りになるのぉ。今後も宜しゅう頼む。早速筑前と秀勝に文を認めるとしよう。ところで筑前はしばらく安土におるのか。」
「はいっ。近江の混乱が鎮まるまでとのことでしたが、それも早かろうと・・・。」
「そうかっ、筑前が安土を抑えたので、近江衆だけじゃのぉて、伊賀者もしばらく大人しくするじゃろう。そうじゃっ、筑前が安土に居る今のうちに、わしも安土へ参って、今後のことを話しておこうかのぉ。」
せっかく乗り気になった信雄だが、秀政は拒む。
「畏れながら、それには及ばないと存じます。」
「久太郎っ、待っておったぞぉっ。入れっ、入れぇ。」
土山城はかつて滝川一益によって落とされた城であるが、今は俄かではあるものの、修復の手が加えられている。城といっても堀と柵と土塁を複雑に配置した山の中に、小屋というか木造蔵というか、とにかく見栄えの良くない建屋が点々としている軍事要塞である。堀久太郎秀政は坂本城攻めの始末の後、秀吉に信雄の支援を命じられ、この城に兵二千を引き連れて訪れた。城門前の秀政らを、首を長くして待ち焦がれた織田信雄自らが櫓の上から招き入れる。二人は信雄が普段政務を執っている屋敷に入る。
「待ちかねたぞぉ、久太郎っ。これでようやく安心して眠れるわぃ。」
久しぶりに対面した信雄はやけに明るい。秀政は少々躊躇うが、信雄が厄介な伊賀者相手に、かつ少ない手勢で防戦一方の重苦しい日々を過ごしてきたことを思うと、安堵感が一気に解放されるのも無理はないと感じ取る。
「援軍が遅くなり申し訳ございません。筑前殿もようやく安土に入って近江の現状を把握できるようになりまして、これでも急ぎ馳せ参じた次第であります。」
「このようなことになるとは誰も考えつかなかったんじゃ。致し方あるまい。それにしても大殿が身罷られた後の伊賀者は真に鬱陶しかったぞぃ。昼夜を問わず、ちょこまかと門や櫓に火をつけて、わしらを揺さぶりまくっとったわぃ。大方は成敗したが、兵が少ないもんで残党狩りまで徹底できなんだわぁ。」
「真に御苦労様でございました。この上はわれらの兵でもって後始末を致しますので、どうぞ御一息おつきくださいませ。」
信雄の安堵の笑みが絶えない。
「辱いっ・・・。ところで其方の山崎での活躍は聞き及んでおる。坂本の城も其方が落としたそうではないか。わしも参陣したかったが、この状況では到底身動き取れなんだ。勝手ながら其方らがわしに代わって仇討を果たしてくれたものと思うておる。」
「有難き御言葉、痛みいりまする。」
「それに筑前がこれほど素早い動きをするとは・・・、わしは感服したわぃ。筑前にもよろしゅう伝えてくれ。」
秀政はかつて信雄とともに伊賀攻めに参じていたことがあり、信雄の秀政に対する信頼もそのとき生まれた。その頃の若い信雄は、養嗣子として入った名門・伊勢北畠家の影響もあってか、秀吉や光秀のいないところでは彼らをまさに虫けらのように罵り、実際にも穢らわしいとか何とかいって面と向かうのを避けていた。あの刺々しい信雄を知る秀政にとっては、信雄の秀吉への感謝の言葉は意外である。そして信雄がやけに口達者になっているのも意外である。
「筑前殿に信雄様の御褒めの言葉を確かにお伝え申し上げまする。」
信雄は優しいというべきか、申し訳ないというべきか、力の抜けた眼で語り続ける。
「大殿が亡くなった後でわしの身を案じた文を寄越してきたのは筑前だけじゃった。最初は情けない思いもしたが、今では筑前に心を支えてもろうたと感謝しとる。」
秀政は信雄の豹変ぶりに、聞かずにはいられなくなる。
「畏れながら、昔の信雄様を知るわたくしめには今の信雄様の御言葉が意外でございまする。昔は筑前殿を褒めるどころか、信雄様の口から『筑前』の『ち』の字も出て参りませんでした。まるで筑前殿の名を口にするのも穢らわしいと云わんばかりに・・・。御目にかかからぬ間に、信雄様には何か心の変化でもございましたでしょうか。」
「心の変化というよりも、わしが歳をとって物分かりがよくなってきたからじゃないかのぉ・・・。確かに北畠に入ってきた頃のわしは家柄を笠に着て、筑前のような百姓上がりを下賤扱いする嫌な奴じゃったろう。しかしあれから刻が経つ中で、わしは北畠の家臣どもに次々と裏切られ、命が危うくなったことも二度三度とあった。その度に大殿には、わしが家臣を信用しすぎて逆に操られておると、よぉ叱責されたもんじゃぁ。それでもまだ『青い』わしは、人を信じぬ大殿のにようにはなれんと心中で大殿に抗っとったぁ。」
秀政は、自分のことをそう分析する信雄に成長ぶりを感じる一方、口達者になったのは信長の重圧から放たれた安堵感の表れではないかと推し量る。
「じゃがな、久太郎。さらに年月が経つとまたより深いところが分かってくるもんじゃ。多くの北畠の家臣にとっては、わしよりも『北畠家』の方が大事じゃということをなっ。それが分かると、わしは大殿の御言葉を『家臣を疑ってかかり、その中から忠臣を見極め、その者を側に置け』と解するようになったわぃ。」
「それは上に立つ者として、大層立派な御心掛けと存じます。」
「久太郎もそう思うかぁ。とにかく上の者としての心得を散々考えさせられてきたわしが、此度の戦で筑前こそ真の織田の忠臣と思えたのは、筑前があっという間に備中から摂津まで兵を返したと聞いたときじゃ。考えてもみよ、日頃から筑前が家臣どもへ織田への忠誠を浸透させていなければ、如何にして斯様な大事が成せようか・・・。いろんなことを眠らず考えたが、結局わしにはそれしか答えが出てこん。」
「筑前殿が居られないところで、そのように見極められいたとは畏れ入りまする。然れば、今からでも筑前殿に信雄様から直に一言お声をかけるのがは如何でしょう。」
「んっ、一言とは・・・。」
「わたくしは信雄様の御言葉を訊いて、大変感激いたしました。いやっ、今の御言葉には天の大殿も殿も大いに喜んでおられるとわたくしは信じまする。然ればこそ、今の信雄様の胸の内を直に筑前殿に御示しなされては如何でしょうか。」
秀政は少し言い過ぎたかと思いつつ、信雄が自分を信頼していることに懸けてみる。信雄は腕を組んで考え込み始めたので、秀政はさらに踏み込む。
「失礼ながら、筑前殿は今もなお信雄様に毛嫌いされていると思うております。実際に此度の戦での信孝様の筑前殿への接し方は見るに耐え難いものでした。それに他にも・・・、わたくしは姫路にて秀勝様の飛ばす檄を聴いて参りました。秀勝様の御言葉は家臣たちの気を一にされる魅力がございますが、その御言葉には信雄様や信孝様をどこかしら蔑んでいるようにも御見受けしました。ですが秀勝様が御存知なのは先の『青い』信雄様でしょうから、今のうちに御二人との蟠りを失くされるべきかと存じます。」
信雄はさらに考え込んだ後、優しい面持ちで返す。
「其方の云う通りじゃなっ。やはり久太郎は頼りになるのぉ。今後も宜しゅう頼む。早速筑前と秀勝に文を認めるとしよう。ところで筑前はしばらく安土におるのか。」
「はいっ。近江の混乱が鎮まるまでとのことでしたが、それも早かろうと・・・。」
「そうかっ、筑前が安土を抑えたので、近江衆だけじゃのぉて、伊賀者もしばらく大人しくするじゃろう。そうじゃっ、筑前が安土に居る今のうちに、わしも安土へ参って、今後のことを話しておこうかのぉ。」
せっかく乗り気になった信雄だが、秀政は拒む。
「畏れながら、それには及ばないと存じます。」
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