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天の川鉄道物語 リメンバー・ミー ~君がいる星~

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 作・文 石川倉吉

うっ。ここはどこだ?

周りでサイレンも聞こえるぞ。

ーそれは、2023年1月のことであった。

大阪の港にクジラが迷い込んで、死んだと言う。

その後のクジラの物語である。

うっつ…

ここどこ?

天の川国際ステーションよ。

メモリアル・スターを目指すわ。

私は、そのきれいなイルカに見とれてしまった。

私は気が付いた。尾びれが丸い。

普通はこんな形していないのに。

(ああこれ? 私は、とある水族館で暮らしていたんだけど、病気になっちゃって。で、尾びれを切り落としたんだ…)

間もなく、メモリアル・スター 行きの列車がまいります。 黄色い線の内側でお待ちください。

(間もなく列車が来るよ。 地球に最後の別れを言って。)

地球さん、私を育ててくれてありがとうございました。…さようなら地球。

電車の中でー

(私はフジ。あなたと一緒に暮らす事になるから、よろしくね。)

ヨドです。よろしくお願いします。

(こちらこそ、よろしくお願いします。)

間もなく、メモリアル・スターでございます。お忘れ物なさいませんよう注意してください。まずは、入国管理センターへ向かうわよ。

僕は、入国管理センターで、住民票をもらった。

**************次の朝****************

僕は、アパートのベランダにいた。

そして、泣いていた。

フジさんが、部屋から出てきて。ガーーン…今、冬だから風邪ひくよ!?

(……太平洋から見た朝日が忘れられなくて。)

あら、そう…

   ***********その日の朝食の時間*********

フジさんは、机の上のパソコンに向かって作業していた。

(フジさん、大変大変、グリルの使い方が分からなくって魚焦がしたー。)

ハーイ今行く。

まぁ、こんなに真っ黒焦げにしちゃって…

(………)

(すみません…)

ま、いいのよ、最初はみんな初心者なんだから…

~♪ あっつ、電話だ。ハーイ今出ま~す。

(国際電話:ヨウちゃん)

(ヨウちゃん:久しぶりー元気?)

元気にしてるよ。で、新しい居候が、来たんだ。

ヨドちゃんって言うんだ。

(フーン…)

で、そっちは?

(テレビが、壊れちゃって…今、ハシナガさんが業者に問い合わせしてるとこ。)

あらら。今度、遊びに行っていい?

(いいよ。それまでにテレビどうにかしとくから…)

んじゃ、またね。ピッ!

(だれから?)

友達。

(ふーん…)

あっ。そうだ。今日は銭湯の日だ。

まだ早いか…

夕方になったら行こうね。

(はーい。)

****************数時間後**************

3時か…銭湯に行こう。

ー銭湯へは、徒歩で10分ほどである。

(海水風呂 太平湯)着いたよ。

僕たちは、お金を払って、浴室に向かった。

浴室に入ると…

(懐かしいなぁ。この塩の香り。)

僕は、体を洗うと、浴槽に入った。

(あぁ。気持ちいい。太平洋と同じだ。)

そのころ待合室では…

イライライラ… どんだけ待たせんのよ!?

もうすぐで30分経つんだけどなぁ…

お待たせ…ヘックシュン!!

だから…もう…だから…

帰りのコンビニで…

僕は、つみれ入り中華まんを買い、体を温めた。この中華まん

超おいしいー。

(ヨドさん、風邪ひいたかと思った。

大大丈なら、よかった。)

家に帰ると…

えっ?家のテレビも電源入らないんだけど…

はぁ…家のテレビもついにガタか…

とりあえず、何もかかってないのも寂しいから、物置部屋に、古いラジカセがあっはず…

ガラガラガシャン!!

いってー…っておっ?

古いアルバムが出てきた。

(地球の卒業アルバム ~メモリアル・スターの君へ~)

私の地球の卒業アルバムだ。

開いてみる。でもその前に、(ヨドさーんちょっと来てー。)

な?

(私の地球の卒業アルバムだよ。)

僕のは??

そのうち届くと思うよ。

(とりあえず見て。)

これが、尾びれの除去手術の様子かぁ。

なんだか、痛そうだね。

(うん…痛かったよ。もちろん。)

(ちょっとベランダに行ってくる。)

洗濯物?? (…うん)

しばらくして、ベランダを見に行くと…

フジさんが、たそがれていた。

大丈夫?

(うん。…地球が、恋しくなっちゃって。)

そうなんだ…

……そうだ。居酒屋行かない?

市報で美味しそうな、居酒屋見つけたから…

(フーン… 気分転換に行こうかなぁ?)

ー居酒屋は、少し離れた所にあるらしい。

コミュニティ・バスで、15分くらい。

(着いた。)着いたねぇ。

この、ビルの地下か…

ずいぶん薄汚いビルだね…

(居酒屋 海洋堂)って言うんだ…

ー二人は、不安を抱きつつ、階段を下って行った。

カランコロン♪

(いらっしゃいませー。 何匹様ですか?)

二頭です。 (では、こちらの席へどうぞ。)

で、なに頼む?

まずは、これいくか。

「イワシの串焼き」いくか。

そうだね。

(すみませーん イワシの串焼き、あと泡盛ください。)

かしこまりました。

数分後…

お待たせしました。お先に泡盛でございます。

ごゆっくりどうぞ。

(来たね。)

うん。

そして数分後…

お待たせしました。イワシの串焼きでございます。

(おっ、きたね。)

美味しそうだね。

(泡盛おかわりお願いします。)

私もー。

ー居酒屋で、時が経つのを忘れて飲んでいると…

(まもなく、飲み放題サービスのラストオーダーですが、いかがなさいますか?)…これ以上飲んだら、帰れなくなるね。 (そうだね。)

んじゃ、会計お願いします。

店を出ると、雪が降っていた。

(どうりで寒いと、思った。)

…それにしてもキレイだね。

(……なんか、飲みすぎたね。)

あっ!! あそこにゲーセンあるよ。

行っていい?

(いいけど、私そんな持ってないぞ。)

ー二人はゲーセンのユーフォー・キャッチャーで、熱くなり、

最終的には、何も取れず、二人は帰りのバスの中で無言だった。

ー次の日は雨だった。

(雨だねぇ。)

降ってるね。

(どこにも出れないね、これじゃあ…)

そうだ。この間の、フライデーナイト・劇場で、劇場版:天の川鉄道物語~二人~が、やってたから、録画したけど見る?

(そうだね。…暇だしね。)

僕は、ビデオデッキの電源を入れた。

あっ!そうだ。ちょっと待ってね。

ーフジさんは、台所に走った。

あったコレだ。

フジさんは、魚肉ソーセージを持ってきた。

(映画見るならコレでしょ?)

あぁそうだね。

ー二人は、魚肉ソーセージを食べながら映画を見て

数時間が経った。

映画が終わる頃には、空にはキレイな

虹がかかっていた。

(キレイな虹だねぇ。)

立派だねぇ。

その、感動も束の間…

あっ!!

(貯蔵庫が、空っぽだったんだ…

買い出しに行かなきゃ…)

あー…

そうだね。

雨もやんだしね。

二人は近くのスーパーに向かった。

…なんか、

大事なものを忘れてる気がする。

あっ! エコバック…

(私、取ってくる。 家の鍵、貸して。)

あっ、どうぞ。

仕切り直して、スーパーに向かう事にした。

(魚肉ソーセージと、イワシと、エビと…くらいでいいかなぁ?)

いいんじゃない。

スーパーに入ると…

まず、鮮魚コーナーに向かった。

イワシと、エビと…

なに?なに!?

ヨドさんソワソワしないでよ。

(…この間雑誌でみた、お菓子売ってた。)

もう…子供じゃないんだから…

そうだね…

魚肉ソーセージの売り場に行こう

うん。

ー二人は、魚肉ソーセージコーナーに向かった。

あっ…

いつもの銘柄が無い。

しょうがない。

別のにしよう。

ー会計をして外に出ると、また雨が降っていた。

あっ…また降ってきた。

(今度は本降りだ。)

傘、持って来て無いぞ。

(どうしよう…)

家まで競争だー

ヨドさん…えー…ちょ… 先行かないでよー

ー先に着いたのは、フジの方でした。

ゼェゼェハァハァ、…家の鍵は?

ちょっと待ってね…

カバンの奥底だから。

あった。ってこれ自転車のキーじゃん。

しかも、僕の方…

(…なんで、君が持ってるの? それが逆に疑問だよ。)

今度こそあったよ。

ギィー…やっと空いた。

(…バスタオルどこ?

ずぶ濡れなんだけど…)

僕もだよ!!

(…なんか、機嫌悪いでしょ…? さっき負けたから??)

…ちょっとコンビニに行って来る。

酒買って来る。

ギィーバタン!!

あーあ、行っちゃったよ…

数十分後…

(ただいまー)

って、ラム酒じゃん… しかも、強いヤツ…

ひっ繰り返らないでよ…

(分かってるよ!?)

ーその後、ヨドは、自分の部屋で、ラム酒を数時間かけて、

半分以上を飲み布団で、寝込んでしまったのである。

**************次の日*****************

ー二人の家には、不穏な空気が流れていた。

(アイタタタ……頭痛い…)

まったく…二日酔いだよ。絶対に…

あんだけ飲めばそうなるよ。

昨日、夜中に部屋に入ったら、瓶抱えて寝てたもん…

とりあえず、薬買って来るから、寝てて。

お・や・す・み!!

ギィバタン…

あーあー、怒らせちゃったよ…

数十分後…

ただいまー 探し回っちゃったよ。

どこにもなくて…3件くらい薬局をハシゴしちゃったよ。

(なんか、ごめんね…)

あっ!今、水持ってくるから、待ってて。

数秒後…

持ってきたよ。 はい、薬。

(ありがとう。)

今日のところは安静にしてて。

家事は、私が何とかするから。

(分かった。ありがとう。)

どういたしまして。

すると、~♪ あっ、また電話だ。ハーイ今出ま~す。

(国際電話:ハシナガさん)

もしもし?

(テレビ、直ったから近いうちに遊びに来ない?)

いいけど、今日はダメよ。

横で、二日酔いで寝てる生き物がいるから…

とりあえず、明日以降行くか検討する。

(分かった。ありがとう。) 

んじゃ、また…バリーン!!!

やっちゃった…ピッ!

(…ちょっと、手土産買いにデパート行ってくるわ。)

……いってらっしゃーい。

デパートは、首都部にある。

デパートは、コミュニティバスの終着駅にある。

(つぎは、終点 銅座、銅座で、ございます。 お忘れ物なさいませんよう

注意してください。)

えーと…

三足は、この辺だったよなぁ…?

ここを曲がれば…

あっ。あった。

銅座:三足

(とりあえず、衣料品売り場に行くか…)

(今回は、マフラーが欲しいから…)

ーフジはエスカレーターで4階の衣料品売り場に向かった。

えーと…コレとか?

やっぱり、赤いマフラーかなぁ…

(見知らぬ犬のおじいさん:やっぱり赤じゃないかなぁ…)

…ありがとう(あの、おじいさん、何者!?)

ーその後、おじいさんが手袋代を払ってくれた。

(まだ見ぬ友は、未来の親友だろ?)

あぁ…そうですね。

(とりあえず、上の階のカフェテリアお茶しませんか?)

ごめんなさい。家に待たせている生き物がいるので、

その誘いは、また後日。お礼のテレフォンカードに

電話番号書いて置くから…

ー私は、帰りのコミュニティバスの中で泣いていた。

帰宅するやいなや、自分の部屋に引きこもってしまった。

開けるよ。ギィ…(ちょっと後にして…)

バタン!!……フジさん、どうしたんだろう…?

***************次の日****************リリリリ…

もう朝!?

7時か…起こすか…

フジ~フジさ~ん起きて~

おはよ~ いい天気だね。

ー昨日とは比べられないくらいの晴天でした。

(今日は、友達の家に遊びに行くんでしょ?)

(…なんで君が、そんな事知ってるの? それこそ謎だよ。)

あぁ、そう言えばそうだったね。

(あっ…切符買って来るの忘れた。)

切符? 切符で、どこに行くの?

(まだ、ヨドさんには、話して無かったな。)

(天の川国際鉄道に乗って隣の国へ行くんだ。

もちろん、鉄道だから切符がいる。

つまりは、そういう事。

あと、住民票も必要だ。

住民票を、改札係の方に見せて改札を開けてもらう、そういうことだ。)

そうなんだ。

二人は、コミュニティバスに乗りメモリアル・スターの玄関口、

リメンバー・ステーションに向かった。

改札を通って雷鳥に乗った。

(この列車は、直通:天の川共和国行きでございます。

間もなく発車いたします。)

…久しぶりに会うなぁ。ヨウちゃんと、ハシナガさん。

(ヨウちゃんとハシナガさんって、どんな生き物なの?)

ヨウちゃんは、ヨウスコウカワイルカって言うイルカなんだけど、僕たちと違って地球に子孫がいないつまりは絶滅したイルカなんだ…

ハシナガさんも同じで、絶滅してるの。

種族は、ハシナガチョウザメだよ。

(おっ。列車が動き出したよ。)

数十分後…

(次は終点:天の川共和国、天の川共和国でございます。)

着いたー。

(久しぶりに来たな。)

住所は、聞いてるから迷う事は無かった

ピーンポーン♪

(ごめんくださ~い)

ガララ…

久しぶりー

どうも、遠いところをご苦労様。

(いいえ、特急で一本ですから。)

そうですかぁ…

(お土産、持ってきたよ。)

ありがとう。

開けて見ると…

かわいい~ 赤いマフラーじゃない。

こう言う物が欲しかったの。…ありがとう。

(そう言えば、ハシナガさんは?)

友達から借りていた、レコードをあやまって、落下させて割って、

慌てて、中古レコード屋に自転車で出て行ったよ。

…しかも、電話しながら持ってたからそりゃ、落っことしてもしょうがないよなぁ。ワハハハ…

ーこの宇宙は、果てしなく広い。

このように、地球から姿を消した生き物も

宇宙のどこかで、幸せに暮らしているかもしれません。

今日もこの星空のどこかで、天の川鉄道は走り続けます。

そう、動物たちの思い出を乗せてー

***********完**********














  























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