20 / 42
ルナの探索者日誌① ルナと雛鳥達のカルテット
20
しおりを挟む
昨夜、ルナはセシリアから自身の部屋に案内され、シャワーを済ませた後直ぐに寝てしまった。
翌朝朝食の席についたルナにセシリアは微笑んだ。
「おはよう、昨日はよく眠れたようだね」
「お...おはよ...身体が......痛い」
ルナは全身をリビングまで歩くのすら辛い筋肉痛に襲われた。
「ははは。これを飲むと良い。少しは痛みも引くだろう」
セシリアから受け取ったのは鎮痛薬だ。
ルナはグイっと一息に飲み干すと苦みが口いっぱいに広がる。
「うげぇ」と舌を出すが効果はてき面で、直ぐに筋肉痛の痛みが治まる。
「何本か持っていくといい。これは成分がララキノコで出来ているから飲み過ぎても身体には害はないが、連続で飲むと効果が薄れるから注意が必要だ」
「わぁ。有難う!」
和気あいあいと食卓に着席したルナの顔は引き攣る。
「わあぁ...おっいしそう~」
「口に合うといいんだがね。これでも早起きして作ったんだ。久しぶりに料理をしたが中々に上手くできたと自負している」
ルナはベーコンの形をした黒い物体と、食パンの形をした黒い物体、固く焦げた黄色い黄身と周りのカピカピになった焦げた何か。
「さぁ食べようか」
その後一悶着あったがセシリアの為に割愛する。
冷蔵の魔道具にあった惣菜を食べ、支度が整いコーヒーを飲みながら昨夜は寝てしまい出来なかった訓練の話をした。
「ってわけだったんだよ。今日も頑張るね!」
「努力はいつか必ず自身に返って来るからね。そういえばレームと同じく剣を使うと思っていたんだがコミュを見て意外だったよ」
セシリアの言葉にルナはニヤりと口角を上げ耳元で囁いた。
「ほぉ。面白い事を考えるな。それでは君にこれを託そう。私の推測でしかないが試してみて欲しい」
出勤の時間が来たセシリアはルナに合鍵を渡し「何かあればコミュを飛ばしてくれ」と伝え出掛けて行く。
その後、トライデントと待ち合わせをしていたルナも早々に出発した。
「お待たせー!」
片手を振って合図するルナが見たのは杖や刀によりかかる三人だ。
「なんでお前そんなに元気なだよ」
「朝ごはんたべれなかったでござる」
「ちょっルナ! 痛いから触らないでぇ!」
朝のルナと全く同じ状態の三人にルナは魔法鞄からセシリアから貰った鎮痛剤を三本取り出し渡す。
「助かった。有難うな」
苦味に顔を顰めながらも動けるようになった三人は、ルナに礼を言い徐々に元気を取り戻した。
「流石ギルマスね。鎮痛剤なんてそんなに安くないのに。でも本当に助かったわ。正直今日は訓練は休んで座学だけ受けれたら受けようと思ってたくらいよ」
そうこうして三人はギルドに辿り着き、白の受付に並ぶが今日もミナではなく違う嬢が座っていた。
裏庭に出るとすでに幾人かの探索者が来ていた。
「おいおい、よく今日も来れたな。俺だったら笑われにくるなんて耐えられねぇけどな」
ギルとグルートが嘲笑う。
「なあ君達もさ俺らのパーティーに入らないか? あんなちんちくりんと組むよりはよっぽどいいぜ?」
ギルは馴れ馴れしくミネアの肩に手を置くと、ミネアは不快な表情を隠さずに手を払う。
「汚い手で触んないでくれる」
「なんだとガキ」睨みつけてくるギルにリオーネが「あんた達止めなさいよ」と止めた。
「おーい。始めるぞ。予想はしていたが随分減ったな」
アランドロが手を叩き注目を集めると教官陣が並んでいた。
その日パタス班は三人しかおらず、ルナとミネア、リオーネは一時間ひたすら走り、人数の減っていないアランドロ班は模擬戦を開始する。
「お前ら頭を使えよ。一度戦った相手だ。当然終わってからの分析も対策を練る時間も十分にあったと思う。今日は少しでも進歩したお前らを見れる事を期待している」
ヒュンヒュンと両手でナイフを回しギルは構えた。
「どう見てもなにも変わってねぇだろ。てめぇはがら空きなんだよ」
ギルが一瞬で間合いに入るとリガルは迫るナイフに備える。が、リガルに刃が届かず視界が斜めに傾いた。
足払いで態勢を崩されたリガルは傾いた身体で片手剣を払うがそこにギルはいなかった。
「こいつと同じ白級なんて悲しくなるぜ」
ギルは横に倒れたリガルの首に手をかけナイフを振り下ろすところで「そこまで」と声が掛かった。
走り終えたパタス班の三人は昨日と同じく立つ事もままならない。
「なぁパタスさん。ウチの班今日だぁれも来てへんねん。ウチその子が気に入っとるんにゃけど貸してくれへん?」
「これは困りましたね。当然本人次第ですが...ヤナさん弓をお使いでしたか?」
「武器なら一通り使えるで? 伊達に黒級上位やあらへんからにゃ。なぁにゃあ、あんたウチの子にならへんか?」
地面に座り肩で息を吐くルナに手を差し延べるヤナ。
ルナは困惑したようにパタスを見る。
「この方は私と違い現役の探索者ですからその分生きたアドバイスが期待できるかもしれませんね。ルナさんの好きにして頂けたらと」
ルナにとっては前日助けてもらった恩もあるが「ごめんなさい! パタス先生がいいですぅ」と若干涙目になる。
「まぁまぁそんな事いわんと」
ヤナはルナの胴体に尻尾を巻きつけてそのまま引きづって「あーれ~」と叫ぶルナを連れて行った。
「さぁて子猫ちゃん、全てを曝け出してもらおうかにゃ」
びくびくするルナにヤナは悪そうな笑顔を浮かべる。
数分後
渡された用紙に記載し全身の筋肉を触られたルナは「もう......お嫁にいけない」と地面に突っ伏した。
しくしくと泣くルナに「何を大袈裟にゃ」と呟き、汚い字で書かれた紙面を眺めるヤナ。
~~~
ルナ
パーティーメンバー レーム
パーティー名 なし
スキル フェイカー
歴 最近なったばかり
探索した迷宮 鼠さんの森
学びたい項目 弓
~~~
「ルナってあんた探索者になったばかりなんやな。ふむ。パタスさんちょっとこの子借りてくにゃ」
「えっちょっ!?」と驚くルナの事を気にもせず尻尾で建物の中に引っ張って行くのをミネア達は呆気に取られて見送った。
二人が来たのはギルドの個室だ。
「ふっふっふ~。このウチに隠し事はでけへんで? あんたまだなんか隠しとるやろ? 正直スキルも意味分からへんし。全てを教えてもらおうかにゃ?」
「ぴぃ」と鳴くルナは全てを洗いざらい白状したのだった。
「はぁぁぁ。なんで使った事もない弓なんかな? 思うとったけどそれなら納得にゃ。無理に聞いたウチも悪いけどあんたこれレームはんとギルマスの言うとおり誰にも言われへんで? しかし益々おもろいなぁ。あんたウチの弟子にならへんか? 確実に強くしたるさかい。にゃ?」
「あのぉ、弟子ってどういう事するんですか?」
少し怯えた様子のルナ。
「ちゃんとしたギルドの制度や。教習とは別に黒級探索者が未熟な白級探索者に指導係として個別に面倒を見るにゃ。パーティー単位で面倒を見る探索者もいるけどウチはいっぱいは無理にゃ」
説明を聞いてルナは考える。
「あのぉ。なんで私なんですか?」
「ん~強いて言えば元弟子に似ていたからや。どこか危なっかしいところもそっくりだにゃ」
ルナは悲し気な表情のヤナが嘘をついているようには見えなかった為師事してもいいかなと思えた。
「最後に一個だけ聞かせて、強くなってレームの隣に立てますか?」
最後の質問はルナにとっての最重要項目だ。
「そこは任しときんさい!」
こうしてルナは今後探索者として長い付き合いになる師匠との出会いを果たしたのである。
「それではお返しします」
白級の受付嬢からギルドカードが返却さると、表面にレーラーの表記の横にヤナと記載された。
「これはウチのIDや。今日は一旦教習戻って残りの時間をボーガンの練習。明日明後日は教習が休みやから明日朝一で迷宮いこか?」
「はい! 宜しくお願いします! ヤナ師匠!」
「あぁ今日も疲れたぁ。もう身体動かないわ。鎮痛剤っていくらするのかしら?」
ロビーで腰を降ろす一行。
「ね、ねぇミネア。あの二人はどうしたの?」
ルナはテーブルに突っ伏した少年二人を指さす。
「放っておきなさい。情けないったらありゃしない。今日もあの嫌なやつらに負けっぱなしでずーっと腕立て伏せしてたんだから」
プリプリ怒るミネアに苦笑するルナ。
「ところでルナは大丈夫だったの? あの獣人に何かされなかった?」
ルナは経緯を説明するとミネアは驚いたようだ
「やったじゃないの。師弟制度は聞いた事があるけどこの街って黒級探索者が少ないから、なってくれる探索者ってもう弟子がいたりそもそも受け付けてなかったりするのよねえ。羨ましいかも。あっそうそう。ルナって今日は迷宮行くんだっけ? どうせなら私達とクエスト受けない?」
「行く行く!」と二つ返事で了承し、少女二人は掲示板と呼ばれるクエスト板の前に来る。
大半は朝一番で実りの良いクエストは取られてしまう為、昼前とはいえ数枚しか張り出されていなかった。
「私達でもできそうなのはっと。やっぱ微妙なのしかないわね」
「これは!?」
ルナが手に持って来たのは、
【支援依頼:孤児院の屋根のペンキ塗り:教会テレジ司祭】
【支援依頼:教会の清掃:教会修道婦ハナ】
「どっちも教会で三百ダリーかぁ。でも我儘言える立場じゃないし。あんた達もいいわよね?」
沈んでいた少年二人の無言の頷きにより、ルナとトライデントの初めての支援依頼が決まった。
翌朝朝食の席についたルナにセシリアは微笑んだ。
「おはよう、昨日はよく眠れたようだね」
「お...おはよ...身体が......痛い」
ルナは全身をリビングまで歩くのすら辛い筋肉痛に襲われた。
「ははは。これを飲むと良い。少しは痛みも引くだろう」
セシリアから受け取ったのは鎮痛薬だ。
ルナはグイっと一息に飲み干すと苦みが口いっぱいに広がる。
「うげぇ」と舌を出すが効果はてき面で、直ぐに筋肉痛の痛みが治まる。
「何本か持っていくといい。これは成分がララキノコで出来ているから飲み過ぎても身体には害はないが、連続で飲むと効果が薄れるから注意が必要だ」
「わぁ。有難う!」
和気あいあいと食卓に着席したルナの顔は引き攣る。
「わあぁ...おっいしそう~」
「口に合うといいんだがね。これでも早起きして作ったんだ。久しぶりに料理をしたが中々に上手くできたと自負している」
ルナはベーコンの形をした黒い物体と、食パンの形をした黒い物体、固く焦げた黄色い黄身と周りのカピカピになった焦げた何か。
「さぁ食べようか」
その後一悶着あったがセシリアの為に割愛する。
冷蔵の魔道具にあった惣菜を食べ、支度が整いコーヒーを飲みながら昨夜は寝てしまい出来なかった訓練の話をした。
「ってわけだったんだよ。今日も頑張るね!」
「努力はいつか必ず自身に返って来るからね。そういえばレームと同じく剣を使うと思っていたんだがコミュを見て意外だったよ」
セシリアの言葉にルナはニヤりと口角を上げ耳元で囁いた。
「ほぉ。面白い事を考えるな。それでは君にこれを託そう。私の推測でしかないが試してみて欲しい」
出勤の時間が来たセシリアはルナに合鍵を渡し「何かあればコミュを飛ばしてくれ」と伝え出掛けて行く。
その後、トライデントと待ち合わせをしていたルナも早々に出発した。
「お待たせー!」
片手を振って合図するルナが見たのは杖や刀によりかかる三人だ。
「なんでお前そんなに元気なだよ」
「朝ごはんたべれなかったでござる」
「ちょっルナ! 痛いから触らないでぇ!」
朝のルナと全く同じ状態の三人にルナは魔法鞄からセシリアから貰った鎮痛剤を三本取り出し渡す。
「助かった。有難うな」
苦味に顔を顰めながらも動けるようになった三人は、ルナに礼を言い徐々に元気を取り戻した。
「流石ギルマスね。鎮痛剤なんてそんなに安くないのに。でも本当に助かったわ。正直今日は訓練は休んで座学だけ受けれたら受けようと思ってたくらいよ」
そうこうして三人はギルドに辿り着き、白の受付に並ぶが今日もミナではなく違う嬢が座っていた。
裏庭に出るとすでに幾人かの探索者が来ていた。
「おいおい、よく今日も来れたな。俺だったら笑われにくるなんて耐えられねぇけどな」
ギルとグルートが嘲笑う。
「なあ君達もさ俺らのパーティーに入らないか? あんなちんちくりんと組むよりはよっぽどいいぜ?」
ギルは馴れ馴れしくミネアの肩に手を置くと、ミネアは不快な表情を隠さずに手を払う。
「汚い手で触んないでくれる」
「なんだとガキ」睨みつけてくるギルにリオーネが「あんた達止めなさいよ」と止めた。
「おーい。始めるぞ。予想はしていたが随分減ったな」
アランドロが手を叩き注目を集めると教官陣が並んでいた。
その日パタス班は三人しかおらず、ルナとミネア、リオーネは一時間ひたすら走り、人数の減っていないアランドロ班は模擬戦を開始する。
「お前ら頭を使えよ。一度戦った相手だ。当然終わってからの分析も対策を練る時間も十分にあったと思う。今日は少しでも進歩したお前らを見れる事を期待している」
ヒュンヒュンと両手でナイフを回しギルは構えた。
「どう見てもなにも変わってねぇだろ。てめぇはがら空きなんだよ」
ギルが一瞬で間合いに入るとリガルは迫るナイフに備える。が、リガルに刃が届かず視界が斜めに傾いた。
足払いで態勢を崩されたリガルは傾いた身体で片手剣を払うがそこにギルはいなかった。
「こいつと同じ白級なんて悲しくなるぜ」
ギルは横に倒れたリガルの首に手をかけナイフを振り下ろすところで「そこまで」と声が掛かった。
走り終えたパタス班の三人は昨日と同じく立つ事もままならない。
「なぁパタスさん。ウチの班今日だぁれも来てへんねん。ウチその子が気に入っとるんにゃけど貸してくれへん?」
「これは困りましたね。当然本人次第ですが...ヤナさん弓をお使いでしたか?」
「武器なら一通り使えるで? 伊達に黒級上位やあらへんからにゃ。なぁにゃあ、あんたウチの子にならへんか?」
地面に座り肩で息を吐くルナに手を差し延べるヤナ。
ルナは困惑したようにパタスを見る。
「この方は私と違い現役の探索者ですからその分生きたアドバイスが期待できるかもしれませんね。ルナさんの好きにして頂けたらと」
ルナにとっては前日助けてもらった恩もあるが「ごめんなさい! パタス先生がいいですぅ」と若干涙目になる。
「まぁまぁそんな事いわんと」
ヤナはルナの胴体に尻尾を巻きつけてそのまま引きづって「あーれ~」と叫ぶルナを連れて行った。
「さぁて子猫ちゃん、全てを曝け出してもらおうかにゃ」
びくびくするルナにヤナは悪そうな笑顔を浮かべる。
数分後
渡された用紙に記載し全身の筋肉を触られたルナは「もう......お嫁にいけない」と地面に突っ伏した。
しくしくと泣くルナに「何を大袈裟にゃ」と呟き、汚い字で書かれた紙面を眺めるヤナ。
~~~
ルナ
パーティーメンバー レーム
パーティー名 なし
スキル フェイカー
歴 最近なったばかり
探索した迷宮 鼠さんの森
学びたい項目 弓
~~~
「ルナってあんた探索者になったばかりなんやな。ふむ。パタスさんちょっとこの子借りてくにゃ」
「えっちょっ!?」と驚くルナの事を気にもせず尻尾で建物の中に引っ張って行くのをミネア達は呆気に取られて見送った。
二人が来たのはギルドの個室だ。
「ふっふっふ~。このウチに隠し事はでけへんで? あんたまだなんか隠しとるやろ? 正直スキルも意味分からへんし。全てを教えてもらおうかにゃ?」
「ぴぃ」と鳴くルナは全てを洗いざらい白状したのだった。
「はぁぁぁ。なんで使った事もない弓なんかな? 思うとったけどそれなら納得にゃ。無理に聞いたウチも悪いけどあんたこれレームはんとギルマスの言うとおり誰にも言われへんで? しかし益々おもろいなぁ。あんたウチの弟子にならへんか? 確実に強くしたるさかい。にゃ?」
「あのぉ、弟子ってどういう事するんですか?」
少し怯えた様子のルナ。
「ちゃんとしたギルドの制度や。教習とは別に黒級探索者が未熟な白級探索者に指導係として個別に面倒を見るにゃ。パーティー単位で面倒を見る探索者もいるけどウチはいっぱいは無理にゃ」
説明を聞いてルナは考える。
「あのぉ。なんで私なんですか?」
「ん~強いて言えば元弟子に似ていたからや。どこか危なっかしいところもそっくりだにゃ」
ルナは悲し気な表情のヤナが嘘をついているようには見えなかった為師事してもいいかなと思えた。
「最後に一個だけ聞かせて、強くなってレームの隣に立てますか?」
最後の質問はルナにとっての最重要項目だ。
「そこは任しときんさい!」
こうしてルナは今後探索者として長い付き合いになる師匠との出会いを果たしたのである。
「それではお返しします」
白級の受付嬢からギルドカードが返却さると、表面にレーラーの表記の横にヤナと記載された。
「これはウチのIDや。今日は一旦教習戻って残りの時間をボーガンの練習。明日明後日は教習が休みやから明日朝一で迷宮いこか?」
「はい! 宜しくお願いします! ヤナ師匠!」
「あぁ今日も疲れたぁ。もう身体動かないわ。鎮痛剤っていくらするのかしら?」
ロビーで腰を降ろす一行。
「ね、ねぇミネア。あの二人はどうしたの?」
ルナはテーブルに突っ伏した少年二人を指さす。
「放っておきなさい。情けないったらありゃしない。今日もあの嫌なやつらに負けっぱなしでずーっと腕立て伏せしてたんだから」
プリプリ怒るミネアに苦笑するルナ。
「ところでルナは大丈夫だったの? あの獣人に何かされなかった?」
ルナは経緯を説明するとミネアは驚いたようだ
「やったじゃないの。師弟制度は聞いた事があるけどこの街って黒級探索者が少ないから、なってくれる探索者ってもう弟子がいたりそもそも受け付けてなかったりするのよねえ。羨ましいかも。あっそうそう。ルナって今日は迷宮行くんだっけ? どうせなら私達とクエスト受けない?」
「行く行く!」と二つ返事で了承し、少女二人は掲示板と呼ばれるクエスト板の前に来る。
大半は朝一番で実りの良いクエストは取られてしまう為、昼前とはいえ数枚しか張り出されていなかった。
「私達でもできそうなのはっと。やっぱ微妙なのしかないわね」
「これは!?」
ルナが手に持って来たのは、
【支援依頼:孤児院の屋根のペンキ塗り:教会テレジ司祭】
【支援依頼:教会の清掃:教会修道婦ハナ】
「どっちも教会で三百ダリーかぁ。でも我儘言える立場じゃないし。あんた達もいいわよね?」
沈んでいた少年二人の無言の頷きにより、ルナとトライデントの初めての支援依頼が決まった。
51
お気に入りに追加
43
あなたにおすすめの小説

おっさんなのに異世界召喚されたらしいので適当に生きてみることにした
高鉢 健太
ファンタジー
ふと気づけば見知らぬ石造りの建物の中に居た。どうやら召喚によって異世界転移させられたらしかった。
ラノベでよくある展開に、俺は呆れたね。
もし、あと20年早ければ喜んだかもしれん。だが、アラフォーだぞ?こんなおっさんを召喚させて何をやらせる気だ。
とは思ったが、召喚した連中は俺に生贄の美少女を差し出してくれるらしいじゃないか、その役得を存分に味わいながら異世界の冒険を楽しんでやろう!

日本列島、時震により転移す!
黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。

闇属性転移者の冒険録
三日月新
ファンタジー
異世界に召喚された影山武(タケル)は、素敵な冒険が始まる予感がしていた。ところが、闇属性だからと草原へ強制転移されてしまう。
頼れる者がいない異世界で、タケルは元冒険者に助けられる。生き方と戦い方を教わると、ついに彼の冒険がスタートした。
強力な魔物や敵国と死闘を繰り広げながら、タケルはSランク冒険者を目指していく。
※週に三話ほど投稿していきます。
(再確認や編集作業で一旦投稿を中断することもあります)
※一話3,000字〜4,000字となっています。

S級冒険者の子どもが進む道
干支猫
ファンタジー
【12/26完結】
とある小さな村、元冒険者の両親の下に生まれた子、ヨハン。
父親譲りの剣の才能に母親譲りの魔法の才能は両親の想定の遥か上をいく。
そうして王都の冒険者学校に入学を決め、出会った仲間と様々な学生生活を送っていった。
その中で魔族の存在にエルフの歴史を知る。そして魔王の復活を聞いた。
魔王とはいったい?
※感想に盛大なネタバレがあるので閲覧の際はご注意ください。
ダンジョン美食倶楽部
双葉 鳴|◉〻◉)
ファンタジー
長年レストランの下働きとして働いてきた本宝治洋一(30)は突如として現れた新オーナーの物言いにより、職を失った。
身寄りのない洋一は、飲み仲間の藤本要から「一緒にダンチューバーとして組まないか?」と誘われ、配信チャンネル【ダンジョン美食倶楽部】の料理担当兼荷物持ちを任される。
配信で明るみになる、洋一の隠された技能。
素材こそ低級モンスター、調味料も安物なのにその卓越した技術は見る者を虜にし、出来上がった料理はなんとも空腹感を促した。偶然居合わせた探索者に振る舞ったりしていくうちに【ダンジョン美食倶楽部】の名前は徐々に売れていく。
一方で洋一を追放したレストランは、SSSSランク探索者の轟美玲から「味が落ちた」と一蹴され、徐々に落ちぶれていった。
※カクヨム様で先行公開中!
※2024年3月21で第一部完!
『自重』を忘れた者は色々な異世界で無双するそうです。
もみクロ
ファンタジー
主人公はチートです!イケメンです!
そんなイケメンの主人公が竜神王になって7帝竜と呼ばれる竜達や、
精霊に妖精と楽しくしたり、テンプレ入れたりと色々です!
更新は不定期(笑)です!戦闘シーンは苦手ですが頑張ります!
主人公の種族が変わったもしります。
他の方の作品をパクったり真似したり等はしていないので
そういう事に関する批判は感想に書かないで下さい。
面白さや文章の良さに等について気になる方は
第3幕『世界軍事教育高等学校』から読んでください。


俺しか使えない『アイテムボックス』がバグってる
十本スイ
ファンタジー
俗にいう神様転生とやらを経験することになった主人公――札月沖長。ただしよくあるような最強でチートな能力をもらい、異世界ではしゃぐつもりなど到底なかった沖長は、丈夫な身体と便利なアイテムボックスだけを望んだ。しかしこの二つ、神がどういう解釈をしていたのか、特にアイテムボックスについてはバグっているのではと思うほどの能力を有していた。これはこれで便利に使えばいいかと思っていたが、どうも自分だけが転生者ではなく、一緒に同世界へ転生した者たちがいるようで……。しかもそいつらは自分が主人公で、沖長をイレギュラーだの踏み台だなどと言ってくる。これは異世界ではなく現代ファンタジーの世界に転生することになった男が、その世界の真実を知りながらもマイペースに生きる物語である。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる