20 / 42
ルナの探索者日誌① ルナと雛鳥達のカルテット
20
しおりを挟む
昨夜、ルナはセシリアから自身の部屋に案内され、シャワーを済ませた後直ぐに寝てしまった。
翌朝朝食の席についたルナにセシリアは微笑んだ。
「おはよう、昨日はよく眠れたようだね」
「お...おはよ...身体が......痛い」
ルナは全身をリビングまで歩くのすら辛い筋肉痛に襲われた。
「ははは。これを飲むと良い。少しは痛みも引くだろう」
セシリアから受け取ったのは鎮痛薬だ。
ルナはグイっと一息に飲み干すと苦みが口いっぱいに広がる。
「うげぇ」と舌を出すが効果はてき面で、直ぐに筋肉痛の痛みが治まる。
「何本か持っていくといい。これは成分がララキノコで出来ているから飲み過ぎても身体には害はないが、連続で飲むと効果が薄れるから注意が必要だ」
「わぁ。有難う!」
和気あいあいと食卓に着席したルナの顔は引き攣る。
「わあぁ...おっいしそう~」
「口に合うといいんだがね。これでも早起きして作ったんだ。久しぶりに料理をしたが中々に上手くできたと自負している」
ルナはベーコンの形をした黒い物体と、食パンの形をした黒い物体、固く焦げた黄色い黄身と周りのカピカピになった焦げた何か。
「さぁ食べようか」
その後一悶着あったがセシリアの為に割愛する。
冷蔵の魔道具にあった惣菜を食べ、支度が整いコーヒーを飲みながら昨夜は寝てしまい出来なかった訓練の話をした。
「ってわけだったんだよ。今日も頑張るね!」
「努力はいつか必ず自身に返って来るからね。そういえばレームと同じく剣を使うと思っていたんだがコミュを見て意外だったよ」
セシリアの言葉にルナはニヤりと口角を上げ耳元で囁いた。
「ほぉ。面白い事を考えるな。それでは君にこれを託そう。私の推測でしかないが試してみて欲しい」
出勤の時間が来たセシリアはルナに合鍵を渡し「何かあればコミュを飛ばしてくれ」と伝え出掛けて行く。
その後、トライデントと待ち合わせをしていたルナも早々に出発した。
「お待たせー!」
片手を振って合図するルナが見たのは杖や刀によりかかる三人だ。
「なんでお前そんなに元気なだよ」
「朝ごはんたべれなかったでござる」
「ちょっルナ! 痛いから触らないでぇ!」
朝のルナと全く同じ状態の三人にルナは魔法鞄からセシリアから貰った鎮痛剤を三本取り出し渡す。
「助かった。有難うな」
苦味に顔を顰めながらも動けるようになった三人は、ルナに礼を言い徐々に元気を取り戻した。
「流石ギルマスね。鎮痛剤なんてそんなに安くないのに。でも本当に助かったわ。正直今日は訓練は休んで座学だけ受けれたら受けようと思ってたくらいよ」
そうこうして三人はギルドに辿り着き、白の受付に並ぶが今日もミナではなく違う嬢が座っていた。
裏庭に出るとすでに幾人かの探索者が来ていた。
「おいおい、よく今日も来れたな。俺だったら笑われにくるなんて耐えられねぇけどな」
ギルとグルートが嘲笑う。
「なあ君達もさ俺らのパーティーに入らないか? あんなちんちくりんと組むよりはよっぽどいいぜ?」
ギルは馴れ馴れしくミネアの肩に手を置くと、ミネアは不快な表情を隠さずに手を払う。
「汚い手で触んないでくれる」
「なんだとガキ」睨みつけてくるギルにリオーネが「あんた達止めなさいよ」と止めた。
「おーい。始めるぞ。予想はしていたが随分減ったな」
アランドロが手を叩き注目を集めると教官陣が並んでいた。
その日パタス班は三人しかおらず、ルナとミネア、リオーネは一時間ひたすら走り、人数の減っていないアランドロ班は模擬戦を開始する。
「お前ら頭を使えよ。一度戦った相手だ。当然終わってからの分析も対策を練る時間も十分にあったと思う。今日は少しでも進歩したお前らを見れる事を期待している」
ヒュンヒュンと両手でナイフを回しギルは構えた。
「どう見てもなにも変わってねぇだろ。てめぇはがら空きなんだよ」
ギルが一瞬で間合いに入るとリガルは迫るナイフに備える。が、リガルに刃が届かず視界が斜めに傾いた。
足払いで態勢を崩されたリガルは傾いた身体で片手剣を払うがそこにギルはいなかった。
「こいつと同じ白級なんて悲しくなるぜ」
ギルは横に倒れたリガルの首に手をかけナイフを振り下ろすところで「そこまで」と声が掛かった。
走り終えたパタス班の三人は昨日と同じく立つ事もままならない。
「なぁパタスさん。ウチの班今日だぁれも来てへんねん。ウチその子が気に入っとるんにゃけど貸してくれへん?」
「これは困りましたね。当然本人次第ですが...ヤナさん弓をお使いでしたか?」
「武器なら一通り使えるで? 伊達に黒級上位やあらへんからにゃ。なぁにゃあ、あんたウチの子にならへんか?」
地面に座り肩で息を吐くルナに手を差し延べるヤナ。
ルナは困惑したようにパタスを見る。
「この方は私と違い現役の探索者ですからその分生きたアドバイスが期待できるかもしれませんね。ルナさんの好きにして頂けたらと」
ルナにとっては前日助けてもらった恩もあるが「ごめんなさい! パタス先生がいいですぅ」と若干涙目になる。
「まぁまぁそんな事いわんと」
ヤナはルナの胴体に尻尾を巻きつけてそのまま引きづって「あーれ~」と叫ぶルナを連れて行った。
「さぁて子猫ちゃん、全てを曝け出してもらおうかにゃ」
びくびくするルナにヤナは悪そうな笑顔を浮かべる。
数分後
渡された用紙に記載し全身の筋肉を触られたルナは「もう......お嫁にいけない」と地面に突っ伏した。
しくしくと泣くルナに「何を大袈裟にゃ」と呟き、汚い字で書かれた紙面を眺めるヤナ。
~~~
ルナ
パーティーメンバー レーム
パーティー名 なし
スキル フェイカー
歴 最近なったばかり
探索した迷宮 鼠さんの森
学びたい項目 弓
~~~
「ルナってあんた探索者になったばかりなんやな。ふむ。パタスさんちょっとこの子借りてくにゃ」
「えっちょっ!?」と驚くルナの事を気にもせず尻尾で建物の中に引っ張って行くのをミネア達は呆気に取られて見送った。
二人が来たのはギルドの個室だ。
「ふっふっふ~。このウチに隠し事はでけへんで? あんたまだなんか隠しとるやろ? 正直スキルも意味分からへんし。全てを教えてもらおうかにゃ?」
「ぴぃ」と鳴くルナは全てを洗いざらい白状したのだった。
「はぁぁぁ。なんで使った事もない弓なんかな? 思うとったけどそれなら納得にゃ。無理に聞いたウチも悪いけどあんたこれレームはんとギルマスの言うとおり誰にも言われへんで? しかし益々おもろいなぁ。あんたウチの弟子にならへんか? 確実に強くしたるさかい。にゃ?」
「あのぉ、弟子ってどういう事するんですか?」
少し怯えた様子のルナ。
「ちゃんとしたギルドの制度や。教習とは別に黒級探索者が未熟な白級探索者に指導係として個別に面倒を見るにゃ。パーティー単位で面倒を見る探索者もいるけどウチはいっぱいは無理にゃ」
説明を聞いてルナは考える。
「あのぉ。なんで私なんですか?」
「ん~強いて言えば元弟子に似ていたからや。どこか危なっかしいところもそっくりだにゃ」
ルナは悲し気な表情のヤナが嘘をついているようには見えなかった為師事してもいいかなと思えた。
「最後に一個だけ聞かせて、強くなってレームの隣に立てますか?」
最後の質問はルナにとっての最重要項目だ。
「そこは任しときんさい!」
こうしてルナは今後探索者として長い付き合いになる師匠との出会いを果たしたのである。
「それではお返しします」
白級の受付嬢からギルドカードが返却さると、表面にレーラーの表記の横にヤナと記載された。
「これはウチのIDや。今日は一旦教習戻って残りの時間をボーガンの練習。明日明後日は教習が休みやから明日朝一で迷宮いこか?」
「はい! 宜しくお願いします! ヤナ師匠!」
「あぁ今日も疲れたぁ。もう身体動かないわ。鎮痛剤っていくらするのかしら?」
ロビーで腰を降ろす一行。
「ね、ねぇミネア。あの二人はどうしたの?」
ルナはテーブルに突っ伏した少年二人を指さす。
「放っておきなさい。情けないったらありゃしない。今日もあの嫌なやつらに負けっぱなしでずーっと腕立て伏せしてたんだから」
プリプリ怒るミネアに苦笑するルナ。
「ところでルナは大丈夫だったの? あの獣人に何かされなかった?」
ルナは経緯を説明するとミネアは驚いたようだ
「やったじゃないの。師弟制度は聞いた事があるけどこの街って黒級探索者が少ないから、なってくれる探索者ってもう弟子がいたりそもそも受け付けてなかったりするのよねえ。羨ましいかも。あっそうそう。ルナって今日は迷宮行くんだっけ? どうせなら私達とクエスト受けない?」
「行く行く!」と二つ返事で了承し、少女二人は掲示板と呼ばれるクエスト板の前に来る。
大半は朝一番で実りの良いクエストは取られてしまう為、昼前とはいえ数枚しか張り出されていなかった。
「私達でもできそうなのはっと。やっぱ微妙なのしかないわね」
「これは!?」
ルナが手に持って来たのは、
【支援依頼:孤児院の屋根のペンキ塗り:教会テレジ司祭】
【支援依頼:教会の清掃:教会修道婦ハナ】
「どっちも教会で三百ダリーかぁ。でも我儘言える立場じゃないし。あんた達もいいわよね?」
沈んでいた少年二人の無言の頷きにより、ルナとトライデントの初めての支援依頼が決まった。
翌朝朝食の席についたルナにセシリアは微笑んだ。
「おはよう、昨日はよく眠れたようだね」
「お...おはよ...身体が......痛い」
ルナは全身をリビングまで歩くのすら辛い筋肉痛に襲われた。
「ははは。これを飲むと良い。少しは痛みも引くだろう」
セシリアから受け取ったのは鎮痛薬だ。
ルナはグイっと一息に飲み干すと苦みが口いっぱいに広がる。
「うげぇ」と舌を出すが効果はてき面で、直ぐに筋肉痛の痛みが治まる。
「何本か持っていくといい。これは成分がララキノコで出来ているから飲み過ぎても身体には害はないが、連続で飲むと効果が薄れるから注意が必要だ」
「わぁ。有難う!」
和気あいあいと食卓に着席したルナの顔は引き攣る。
「わあぁ...おっいしそう~」
「口に合うといいんだがね。これでも早起きして作ったんだ。久しぶりに料理をしたが中々に上手くできたと自負している」
ルナはベーコンの形をした黒い物体と、食パンの形をした黒い物体、固く焦げた黄色い黄身と周りのカピカピになった焦げた何か。
「さぁ食べようか」
その後一悶着あったがセシリアの為に割愛する。
冷蔵の魔道具にあった惣菜を食べ、支度が整いコーヒーを飲みながら昨夜は寝てしまい出来なかった訓練の話をした。
「ってわけだったんだよ。今日も頑張るね!」
「努力はいつか必ず自身に返って来るからね。そういえばレームと同じく剣を使うと思っていたんだがコミュを見て意外だったよ」
セシリアの言葉にルナはニヤりと口角を上げ耳元で囁いた。
「ほぉ。面白い事を考えるな。それでは君にこれを託そう。私の推測でしかないが試してみて欲しい」
出勤の時間が来たセシリアはルナに合鍵を渡し「何かあればコミュを飛ばしてくれ」と伝え出掛けて行く。
その後、トライデントと待ち合わせをしていたルナも早々に出発した。
「お待たせー!」
片手を振って合図するルナが見たのは杖や刀によりかかる三人だ。
「なんでお前そんなに元気なだよ」
「朝ごはんたべれなかったでござる」
「ちょっルナ! 痛いから触らないでぇ!」
朝のルナと全く同じ状態の三人にルナは魔法鞄からセシリアから貰った鎮痛剤を三本取り出し渡す。
「助かった。有難うな」
苦味に顔を顰めながらも動けるようになった三人は、ルナに礼を言い徐々に元気を取り戻した。
「流石ギルマスね。鎮痛剤なんてそんなに安くないのに。でも本当に助かったわ。正直今日は訓練は休んで座学だけ受けれたら受けようと思ってたくらいよ」
そうこうして三人はギルドに辿り着き、白の受付に並ぶが今日もミナではなく違う嬢が座っていた。
裏庭に出るとすでに幾人かの探索者が来ていた。
「おいおい、よく今日も来れたな。俺だったら笑われにくるなんて耐えられねぇけどな」
ギルとグルートが嘲笑う。
「なあ君達もさ俺らのパーティーに入らないか? あんなちんちくりんと組むよりはよっぽどいいぜ?」
ギルは馴れ馴れしくミネアの肩に手を置くと、ミネアは不快な表情を隠さずに手を払う。
「汚い手で触んないでくれる」
「なんだとガキ」睨みつけてくるギルにリオーネが「あんた達止めなさいよ」と止めた。
「おーい。始めるぞ。予想はしていたが随分減ったな」
アランドロが手を叩き注目を集めると教官陣が並んでいた。
その日パタス班は三人しかおらず、ルナとミネア、リオーネは一時間ひたすら走り、人数の減っていないアランドロ班は模擬戦を開始する。
「お前ら頭を使えよ。一度戦った相手だ。当然終わってからの分析も対策を練る時間も十分にあったと思う。今日は少しでも進歩したお前らを見れる事を期待している」
ヒュンヒュンと両手でナイフを回しギルは構えた。
「どう見てもなにも変わってねぇだろ。てめぇはがら空きなんだよ」
ギルが一瞬で間合いに入るとリガルは迫るナイフに備える。が、リガルに刃が届かず視界が斜めに傾いた。
足払いで態勢を崩されたリガルは傾いた身体で片手剣を払うがそこにギルはいなかった。
「こいつと同じ白級なんて悲しくなるぜ」
ギルは横に倒れたリガルの首に手をかけナイフを振り下ろすところで「そこまで」と声が掛かった。
走り終えたパタス班の三人は昨日と同じく立つ事もままならない。
「なぁパタスさん。ウチの班今日だぁれも来てへんねん。ウチその子が気に入っとるんにゃけど貸してくれへん?」
「これは困りましたね。当然本人次第ですが...ヤナさん弓をお使いでしたか?」
「武器なら一通り使えるで? 伊達に黒級上位やあらへんからにゃ。なぁにゃあ、あんたウチの子にならへんか?」
地面に座り肩で息を吐くルナに手を差し延べるヤナ。
ルナは困惑したようにパタスを見る。
「この方は私と違い現役の探索者ですからその分生きたアドバイスが期待できるかもしれませんね。ルナさんの好きにして頂けたらと」
ルナにとっては前日助けてもらった恩もあるが「ごめんなさい! パタス先生がいいですぅ」と若干涙目になる。
「まぁまぁそんな事いわんと」
ヤナはルナの胴体に尻尾を巻きつけてそのまま引きづって「あーれ~」と叫ぶルナを連れて行った。
「さぁて子猫ちゃん、全てを曝け出してもらおうかにゃ」
びくびくするルナにヤナは悪そうな笑顔を浮かべる。
数分後
渡された用紙に記載し全身の筋肉を触られたルナは「もう......お嫁にいけない」と地面に突っ伏した。
しくしくと泣くルナに「何を大袈裟にゃ」と呟き、汚い字で書かれた紙面を眺めるヤナ。
~~~
ルナ
パーティーメンバー レーム
パーティー名 なし
スキル フェイカー
歴 最近なったばかり
探索した迷宮 鼠さんの森
学びたい項目 弓
~~~
「ルナってあんた探索者になったばかりなんやな。ふむ。パタスさんちょっとこの子借りてくにゃ」
「えっちょっ!?」と驚くルナの事を気にもせず尻尾で建物の中に引っ張って行くのをミネア達は呆気に取られて見送った。
二人が来たのはギルドの個室だ。
「ふっふっふ~。このウチに隠し事はでけへんで? あんたまだなんか隠しとるやろ? 正直スキルも意味分からへんし。全てを教えてもらおうかにゃ?」
「ぴぃ」と鳴くルナは全てを洗いざらい白状したのだった。
「はぁぁぁ。なんで使った事もない弓なんかな? 思うとったけどそれなら納得にゃ。無理に聞いたウチも悪いけどあんたこれレームはんとギルマスの言うとおり誰にも言われへんで? しかし益々おもろいなぁ。あんたウチの弟子にならへんか? 確実に強くしたるさかい。にゃ?」
「あのぉ、弟子ってどういう事するんですか?」
少し怯えた様子のルナ。
「ちゃんとしたギルドの制度や。教習とは別に黒級探索者が未熟な白級探索者に指導係として個別に面倒を見るにゃ。パーティー単位で面倒を見る探索者もいるけどウチはいっぱいは無理にゃ」
説明を聞いてルナは考える。
「あのぉ。なんで私なんですか?」
「ん~強いて言えば元弟子に似ていたからや。どこか危なっかしいところもそっくりだにゃ」
ルナは悲し気な表情のヤナが嘘をついているようには見えなかった為師事してもいいかなと思えた。
「最後に一個だけ聞かせて、強くなってレームの隣に立てますか?」
最後の質問はルナにとっての最重要項目だ。
「そこは任しときんさい!」
こうしてルナは今後探索者として長い付き合いになる師匠との出会いを果たしたのである。
「それではお返しします」
白級の受付嬢からギルドカードが返却さると、表面にレーラーの表記の横にヤナと記載された。
「これはウチのIDや。今日は一旦教習戻って残りの時間をボーガンの練習。明日明後日は教習が休みやから明日朝一で迷宮いこか?」
「はい! 宜しくお願いします! ヤナ師匠!」
「あぁ今日も疲れたぁ。もう身体動かないわ。鎮痛剤っていくらするのかしら?」
ロビーで腰を降ろす一行。
「ね、ねぇミネア。あの二人はどうしたの?」
ルナはテーブルに突っ伏した少年二人を指さす。
「放っておきなさい。情けないったらありゃしない。今日もあの嫌なやつらに負けっぱなしでずーっと腕立て伏せしてたんだから」
プリプリ怒るミネアに苦笑するルナ。
「ところでルナは大丈夫だったの? あの獣人に何かされなかった?」
ルナは経緯を説明するとミネアは驚いたようだ
「やったじゃないの。師弟制度は聞いた事があるけどこの街って黒級探索者が少ないから、なってくれる探索者ってもう弟子がいたりそもそも受け付けてなかったりするのよねえ。羨ましいかも。あっそうそう。ルナって今日は迷宮行くんだっけ? どうせなら私達とクエスト受けない?」
「行く行く!」と二つ返事で了承し、少女二人は掲示板と呼ばれるクエスト板の前に来る。
大半は朝一番で実りの良いクエストは取られてしまう為、昼前とはいえ数枚しか張り出されていなかった。
「私達でもできそうなのはっと。やっぱ微妙なのしかないわね」
「これは!?」
ルナが手に持って来たのは、
【支援依頼:孤児院の屋根のペンキ塗り:教会テレジ司祭】
【支援依頼:教会の清掃:教会修道婦ハナ】
「どっちも教会で三百ダリーかぁ。でも我儘言える立場じゃないし。あんた達もいいわよね?」
沈んでいた少年二人の無言の頷きにより、ルナとトライデントの初めての支援依頼が決まった。
51
お気に入りに追加
39
あなたにおすすめの小説
最弱の職業【弱体術師】となった俺は弱いと言う理由でクラスメイトに裏切られ大多数から笑われてしまったのでこの力を使いクラスメイトを見返します!
ルシェ(Twitter名はカイトGT)
ファンタジー
俺は高坂和希。
普通の高校生だ。
ある日ひょんなことから異世界に繋がるゲートが出来て俺はその中に巻き込まれてしまった。
そこで覚醒し得た職業がなんと【弱体術師】とかいう雑魚職だった。
それを見ていた当たり職業を引いた連中にボコボコにされた俺はダンジョンに置いていかれてしまう。
クラスメイト達も全員その当たり職業を引いた連中について行ってしまったので俺は1人で出口を探索するしかなくなった。
しかもその最中にゴブリンに襲われてしまい足を滑らせて地下の奥深くへと落ちてしまうのだった。
俺だけ展開できる聖域《ワークショップ》~ガチャで手に入れたスキルで美少女達を救う配信がバズってしまい、追放した奴らへざまあして人生大逆転~
椿紅颯
ファンタジー
鍛誠 一心(たんせい いっしん)は、生ける伝説に憧憬の念を抱く駆け出しの鍛冶師である。
探索者となり、同時期に新米探索者になったメンバーとパーティを組んで2カ月が経過したそんなある日、追放宣言を言い放たれてしまった。
このことからショックを受けてしまうも、生活するために受付嬢の幼馴染に相談すると「自らの価値を高めるためにはスキルガチャを回してみるのはどうか」、という提案を受け、更にはそのスキルが希少性のあるものであれば"配信者"として活動するのもいいのではと助言をされた。
自身の戦闘力が低いことからパーティを追放されてしまったことから、一か八かで全て実行に移す。
ガチャを回した結果、【聖域】という性能はそこそこであったが見た目は派手な方のスキルを手に入れる。
しかし、スキルの使い方は自分で模索するしかなかった。
その後、試行錯誤している時にダンジョンで少女達を助けることになるのだが……その少女達は、まさかの配信者であり芸能人であることを後々から知ることに。
まだまだ驚愕的な事実があり、なんとその少女達は自身の配信チャンネルで配信をしていた!
そして、その美少女達とパーティを組むことにも!
パーティを追放され、戦闘力もほとんどない鍛冶師がひょんなことから有名になり、間接的に元パーティメンバーをざまあしつつ躍進を繰り広げていく!
泥臭く努力もしつつ、実はチート級なスキルを是非ご覧ください!
劣等生のハイランカー
双葉 鳴|◉〻◉)
ファンタジー
ダンジョンが当たり前に存在する世界で、貧乏学生である【海斗】は一攫千金を夢見て探索者の仮免許がもらえる周王学園への入学を目指す!
無事内定をもらえたのも束の間。案内されたクラスはどいつもこいつも金欲しさで集まった探索者不適合者たち。通称【Fクラス】。
カーストの最下位を指し示すと同時、そこは生徒からサンドバッグ扱いをされる掃き溜めのようなクラスだった。
唯一生き残れる道は【才能】の覚醒のみ。
学園側に【将来性】を示せねば、一方的に搾取される未来が待ち受けていた。
クラスメイトは全員ライバル!
卒業するまで、一瞬たりとも油断できない生活の幕開けである!
そんな中【海斗】の覚醒した【才能】はダンジョンの中でしか発現せず、ダンジョンの外に出れば一般人になり変わる超絶ピーキーな代物だった。
それでも【海斗】は大金を得るためダンジョンに潜り続ける。
難病で眠り続ける、余命いくばくかの妹の命を救うために。
かくして、人知れず大量のTP(トレジャーポイント)を荒稼ぎする【海斗】の前に不審に思った人物が現れる。
「おかしいですね、一学期でこの成績。学年主席の私よりも高ポイント。この人は一体誰でしょうか?」
学年主席であり【氷姫】の二つ名を冠する御堂凛華から注目を浴びる。
「おいおいおい、このポイントを叩き出した【MNO】って一体誰だ? プロでもここまで出せるやつはいねーぞ?」
時を同じくゲームセンターでハイスコアを叩き出した生徒が現れた。
制服から察するに、近隣の周王学園生であることは割ている。
そんな噂は瞬く間に【学園にヤバい奴がいる】と掲示板に載せられ存在しない生徒【ゴースト】の噂が囁かれた。
(各20話編成)
1章:ダンジョン学園【完結】
2章:ダンジョンチルドレン【完結】
3章:大罪の権能【完結】
4章:暴食の力【完結】
5章:暗躍する嫉妬【完結】
6章:奇妙な共闘【完結】
7章:最弱種族の下剋上【完結】
ダンジョン菌にまみれた、様々なクエストが提示されるこの現実世界で、【クエスト簡略化】スキルを手にした俺は最強のスレイヤーを目指す
名無し
ファンタジー
ダンジョン菌が人間や物をダンジョン化させてしまう世界。ワクチンを打てば誰もがスレイヤーになる権利を与えられ、強化用のクエストを受けられるようになる。
しかし、ワクチン接種で稀に発生する、最初から能力の高いエリート種でなければクエストの攻略は難しく、一般人の佐嶋康介はスレイヤーになることを諦めていたが、仕事の帰りにコンビニエンスストアに立ち寄ったことで運命が変わることになる。
前世で八十年。今世で二十年。合わせて百年分の人生経験を基に二週目の人生を頑張ります
京衛武百十
ファンタジー
俺の名前は阿久津安斗仁王(あくつあんとにお)。いわゆるキラキラした名前のおかげで散々苦労もしたが、それでも人並みに幸せな家庭を築こうと仕事に精を出して精を出して精を出して頑張ってまあそんなに経済的に困るようなことはなかったはずだった。なのに、女房も娘も俺のことなんかちっとも敬ってくれなくて、俺が出張中に娘は結婚式を上げるわ、定年を迎えたら離婚を切り出されれるわで、一人寂しく老後を過ごし、2086年4月、俺は施設で職員だけに看取られながら人生を終えた。本当に空しい人生だった。
なのに俺は、気付いたら五歳の子供になっていた。いや、正確に言うと、五歳の時に危うく死に掛けて、その弾みで思い出したんだ。<前世の記憶>ってやつを。
今世の名前も<アントニオ>だったものの、幸い、そこは中世ヨーロッパ風の世界だったこともあって、アントニオという名もそんなに突拍子もないものじゃなかったことで、俺は今度こそ<普通の幸せ>を掴もうと心に決めたんだ。
しかし、二週目の人生も取り敢えず平穏無事に二十歳になるまで過ごせたものの、何の因果か俺の暮らしていた村が戦争に巻き込まれて家族とは離れ離れ。俺は難民として流浪の身に。しかも、俺と同じ難民として戦火を逃れてきた八歳の女の子<リーネ>と行動を共にすることに。
今世では結婚はまだだったものの、一応、前世では結婚もして子供もいたから何とかなるかと思ったら、俺は育児を女房に任せっきりでほとんど何も知らなかったことに愕然とする。
とは言え、前世で八十年。今世で二十年。合わせて百年分の人生経験を基に、何とかしようと思ったのだった。
これダメなクラス召喚だわ!物を掌握するチートスキルで自由気ままな異世界旅
聖斗煉
ファンタジー
クラス全体で異世界に呼び出された高校生の主人公が魔王軍と戦うように懇願される。しかし、主人公にはしょっぱい能力しか与えられなかった。ところがである。実は能力は騙されて弱いものと思い込まされていた。ダンジョンに閉じ込められて死にかけたときに、本当は物を掌握するスキルだったことを知るーー。
成り上がり覚醒者は断れない〜魔王から得た力で自分を虐げてきた人類を救っていく〜
酒井 曳野
ファンタジー
ここはモンスターが湧き出る『ダンジョン』という試練、それらを攻略する『覚醒者』という武器、モンスターとダンジョンから採取できる『魔法石』による恩恵で成り立つ世界。
主人公レイン・エタニアは覚醒者でありながらランクが最も低いFランクの中でも最底辺だった。家族を守る為に活動したが、周りから見向きもされず虐げられ苦しい毎日を過ごした挙句に騙され死の淵を彷徨う事となる。
しかし死の先で出会ったかつての大戦で生き残った魔王に才能を認められ徹底的に鍛えられた。
人類には到達不可能な領域に達したレインはこれまで虐げてきた者たちに復讐をーーとはならず慕う者には慈悲を、敵には容赦しない元来の性格(無自覚)が影響して助けを求める声に手を差し伸べる。
それはやがて世界を巻き込む大いなる災いの最前線へと向かっていく。
これは魔王に認められ力を得た覚醒者が人類を助ける救世主となる物語。
目覚めたら猫耳⁉ ~神隠しで別宇宙のアイドル級猫耳メイド魔法使い⁉に大変身!~
INASAKU6
ファンタジー
自称、猫好き陽キャ系オタク女子高生 稲垣 梨々香 は、アニメとダンスと猫をこよなく愛する17歳!ある日バイト先で保護猫チャチャと一緒に神隠しに遭い、別宇宙の小惑星に飛ばされてしまう。目覚めると猫耳が生えたメイド姿で別宇宙の小惑星ラテスにいた。そこは猫と魔法と剣が支配するファンタジーの星。猫の国エルフェリア王国で、リリカは「猫耳メイド魔法使い」という特殊な職業に就かされ、さらに人々からアイドルのように崇められる存在に。最初は戸惑いながらも、リリカはエルフェリア王国での新しい生活に順応していく。
リリカの前に現れるのは、頼れる騎士見習いで護衛のレオン、そして意地悪だけどどこか憎めないライバルアイドルのステラ。マネージャー兼世話役の魔法使いメルヴィルに導かれながら、リリカはアイドル活動を通じて魔法を学び、次第に成長していく。しかし、表舞台の華やかさとは裏腹に、暗い陰謀が渦巻いていた。謎の魔導師ゼイガスの存在が、リリカたちの平和を脅かそうとする。
果たして、リリカは自分のアイドル活動を成功させるだけでなく、この世界を救うことができるのか?友情とライバル関係の中で揺れ動くリリカの心、そして自分の力を信じて前に進む彼女の成長が描かれる、アイドル級猫耳メイド魔法使いの奮闘記!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる