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第二章 ボクと彼女と××××!?
11、ボクと彼女と新王国5 命名やまもと王国
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現在、謁見の間は恐怖で支配されている。
取りあえずとは言えど、恐怖政治をひくつもりはない。
生活魔法のウィンド、風の魔法で空気を震わせて隅々まで声が届くように調整して話す。
「……先日、ボクの所に天使が現れ、あるものを託しました」
ボクはアイテムボックスから、王笏を取り出すと掲げてみせる。
「これは王位の証であり本来は、天使様の承認を得て王位を継承するモノであると聞きました」
おそらく権謀術策で生きてきた者達は、王笏の盗難と王家の争いの真犯人として、ボクを思い浮かべているだろう。
正解だけど、それは史実としては残らないよ。
「天使セリアスよ。我が求めに応じ、御出でください」
ボクの言葉に、王笏が光に包まれる。掲げられた王笏から、光がまとまるり出て行く。光度と大きさを増しながら、広間の天井に埋もれて止る。
その光の中から、天使セリアスが光臨してきた。
どよめきの声の後、言葉を失くし呆然とする。
やがて天使セリアスの輝きに、人々が自然と頭を垂れていった。
『天使セリアスの名にかけて、この地にやまもと王国、その王ヤマモトカイトを承認します』
セリアスの声が頭の中に響く。王国の民すべてに伝わっていく……。
この場に居るのと居ないのとでは、そのインパクトに差が出るが、この場に居る者たちからの伝聞で、その差を多少縮められるだろう。
ボク達に対する恐怖は、畏敬の念に変わっていた。
ここに、やまもと王国が誕生した。
この日のことは後に伝説となって残るんじゃないのかな……?
ボク達は戦い終わって、トレーラーハウスの中で打ち上げパーティーを開いていた。
「海斗、上手く芝居できてたかな?」
「うん、勇者っぽくって、とても良かったよ」
公演が上手くいったご褒美に、各種スイーツを取り寄せてある。
「天使様もど~ぞ」
彼女がスイーツをセリアスに勧める。
ん……? 天使って、地上の食物を食べること出来るのか?
「セリアスって、食べられるのか?」
『はい、大丈夫ですよ。栄養とか関係ないので、食事は趣味みたいなものですが』
そういって、ショートケーキをナイフで切り分けるとフォークに刺してパクリ……。
パクリ、パクリ、パクリ。パクリパクリ……。
皿の上のケーキが無くなるまで無言だった。
『……何なんですか、これ!』
「ただのショートケーキだけど、こっちの世界にはない?」
『はい! ないです……』
そう言うとギラつく目で、テーブルにあるスイーツを物色し始める。ちょっと目が異常だ。
スイーツに食いつく天使を見ながら、ボクは思った。
こいつ本格的に、堕天するかもしれない……。
そう言えば、すでに堕ちている天使ルイジアナは、スイーツやジャンクフードを食べたことあるのかなと思うと、ついつい悪い笑みが浮かび上がる。
あのダメ天使はアニメやネトゲで、存在は知っている筈だ……。
セリアスに、そろそろ二人になりたいので帰るようにと合図すると、ショックを受けたようにテーブルに残るスイーツを見ている。
そこで気になっていたので、聞いてみることにした。
『……自分で取り寄せとか出来ないの?』
『天使による他の世界への干渉は、禁止事項です。バレたら大変なことになります』
『えっ、ボクは?』
『貴方は、人間ですから問題ありません。
天使は管轄する世界が、それぞれあってお互いに干渉は禁止されてるんです』
『それって、ナワバリ……?』
『まあ、そんな感じです』
『……スイーツとかお持ち帰りにする?』
『はい!』
タッパーを取り寄せてあげると、鼻歌交じりに詰めていく……。
このあとセリアスは、来るたびにタッパーを持参するようになる。
そして、上目遣いでのおねだりを覚えた。
気が付けば、見た目12歳の食いしん坊系ダメ天使が誕生していた。
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取りあえずとは言えど、恐怖政治をひくつもりはない。
生活魔法のウィンド、風の魔法で空気を震わせて隅々まで声が届くように調整して話す。
「……先日、ボクの所に天使が現れ、あるものを託しました」
ボクはアイテムボックスから、王笏を取り出すと掲げてみせる。
「これは王位の証であり本来は、天使様の承認を得て王位を継承するモノであると聞きました」
おそらく権謀術策で生きてきた者達は、王笏の盗難と王家の争いの真犯人として、ボクを思い浮かべているだろう。
正解だけど、それは史実としては残らないよ。
「天使セリアスよ。我が求めに応じ、御出でください」
ボクの言葉に、王笏が光に包まれる。掲げられた王笏から、光がまとまるり出て行く。光度と大きさを増しながら、広間の天井に埋もれて止る。
その光の中から、天使セリアスが光臨してきた。
どよめきの声の後、言葉を失くし呆然とする。
やがて天使セリアスの輝きに、人々が自然と頭を垂れていった。
『天使セリアスの名にかけて、この地にやまもと王国、その王ヤマモトカイトを承認します』
セリアスの声が頭の中に響く。王国の民すべてに伝わっていく……。
この場に居るのと居ないのとでは、そのインパクトに差が出るが、この場に居る者たちからの伝聞で、その差を多少縮められるだろう。
ボク達に対する恐怖は、畏敬の念に変わっていた。
ここに、やまもと王国が誕生した。
この日のことは後に伝説となって残るんじゃないのかな……?
ボク達は戦い終わって、トレーラーハウスの中で打ち上げパーティーを開いていた。
「海斗、上手く芝居できてたかな?」
「うん、勇者っぽくって、とても良かったよ」
公演が上手くいったご褒美に、各種スイーツを取り寄せてある。
「天使様もど~ぞ」
彼女がスイーツをセリアスに勧める。
ん……? 天使って、地上の食物を食べること出来るのか?
「セリアスって、食べられるのか?」
『はい、大丈夫ですよ。栄養とか関係ないので、食事は趣味みたいなものですが』
そういって、ショートケーキをナイフで切り分けるとフォークに刺してパクリ……。
パクリ、パクリ、パクリ。パクリパクリ……。
皿の上のケーキが無くなるまで無言だった。
『……何なんですか、これ!』
「ただのショートケーキだけど、こっちの世界にはない?」
『はい! ないです……』
そう言うとギラつく目で、テーブルにあるスイーツを物色し始める。ちょっと目が異常だ。
スイーツに食いつく天使を見ながら、ボクは思った。
こいつ本格的に、堕天するかもしれない……。
そう言えば、すでに堕ちている天使ルイジアナは、スイーツやジャンクフードを食べたことあるのかなと思うと、ついつい悪い笑みが浮かび上がる。
あのダメ天使はアニメやネトゲで、存在は知っている筈だ……。
セリアスに、そろそろ二人になりたいので帰るようにと合図すると、ショックを受けたようにテーブルに残るスイーツを見ている。
そこで気になっていたので、聞いてみることにした。
『……自分で取り寄せとか出来ないの?』
『天使による他の世界への干渉は、禁止事項です。バレたら大変なことになります』
『えっ、ボクは?』
『貴方は、人間ですから問題ありません。
天使は管轄する世界が、それぞれあってお互いに干渉は禁止されてるんです』
『それって、ナワバリ……?』
『まあ、そんな感じです』
『……スイーツとかお持ち帰りにする?』
『はい!』
タッパーを取り寄せてあげると、鼻歌交じりに詰めていく……。
このあとセリアスは、来るたびにタッパーを持参するようになる。
そして、上目遣いでのおねだりを覚えた。
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