一緒に異世界転移したチート彼女が逆ハーレムを狙っている様なんだが、戦闘チートなしのボクはどうしたら良いのだろう?

亜々流

文字の大きさ
上 下
29 / 37
第二章 ボクと彼女と××××!?

11、ボクと彼女と新王国5 命名やまもと王国

しおりを挟む
 現在、謁見の間は恐怖で支配されている。
 取りあえずとは言えど、恐怖政治をひくつもりはない。

 生活魔法のウィンド、風の魔法で空気を震わせて隅々まで声が届くように調整して話す。

「……先日、ボクの所に天使が現れ、あるものを託しました」

 ボクはアイテムボックスから、王笏おうしゃくを取り出すと掲げてみせる。

「これは王位の証であり本来は、天使様の承認を得て王位を継承するモノであると聞きました」

 おそらく権謀術策で生きてきた者達は、王笏の盗難と王家の争いの真犯人として、ボクを思い浮かべているだろう。
 正解だけど、それは史実としては残らないよ。

「天使セリアスよ。我が求めに応じ、御出でください」

 ボクの言葉に、王笏が光に包まれる。掲げられた王笏から、光がまとまるり出て行く。光度と大きさを増しながら、広間の天井に埋もれて止る。

 その光の中から、天使セリアスが光臨してきた。

 どよめきの声の後、言葉を失くし呆然とする。
 やがて天使セリアスの輝きに、人々が自然とこうべれていった。

『天使セリアスの名にかけて、この地にやまもと王国、その王ヤマモトカイトを承認します』

 セリアスの声が頭の中に響く。王国の民すべてに伝わっていく……。
 この場に居るのと居ないのとでは、そのインパクトに差が出るが、この場に居る者たちからの伝聞で、その差を多少縮められるだろう。

 ボク達に対する恐怖は、畏敬の念に変わっていた。

 ここに、やまもと王国が誕生した。
 この日のことは後に伝説となって残るんじゃないのかな……?
 



 ボク達は戦い終わって、トレーラーハウスの中で打ち上げパーティーを開いていた。

「海斗、上手く芝居できてたかな?」

「うん、勇者っぽくって、とても良かったよ」

 公演が上手くいったご褒美に、各種スイーツを取り寄せてある。

「天使様もど~ぞ」

 彼女がスイーツをセリアスに勧める。
 ん……? 天使って、地上の食物を食べること出来るのか? 

「セリアスって、食べられるのか?」

『はい、大丈夫ですよ。栄養とか関係ないので、食事は趣味みたいなものですが』

 そういって、ショートケーキをナイフで切り分けるとフォークに刺してパクリ……。
 パクリ、パクリ、パクリ。パクリパクリ……。
 皿の上のケーキが無くなるまで無言だった。

『……何なんですか、これ!』

「ただのショートケーキだけど、こっちの世界にはない?」

『はい! ないです……』

 そう言うとギラつく目で、テーブルにあるスイーツを物色し始める。ちょっと目が異常だ。
 スイーツに食いつく天使を見ながら、ボクは思った。

 こいつ本格的に、堕天するかもしれない……。

 そう言えば、すでに堕ちている天使ルイジアナは、スイーツやジャンクフードを食べたことあるのかなと思うと、ついつい悪い笑みが浮かび上がる。
 あのダメ天使はアニメやネトゲで、存在は知っている筈だ……。


 セリアスに、そろそろ二人になりたいので帰るようにと合図すると、ショックを受けたようにテーブルに残るスイーツを見ている。
 そこで気になっていたので、聞いてみることにした。

『……自分で取り寄せとか出来ないの?』

『天使による他の世界への干渉は、禁止事項です。バレたら大変なことになります』

『えっ、ボクは?』

『貴方は、人間ですから問題ありません。
 天使は管轄する世界が、それぞれあってお互いに干渉は禁止されてるんです』

『それって、ナワバリ……?』

『まあ、そんな感じです』


『……スイーツとかお持ち帰りにする?』

『はい!』

 タッパーを取り寄せてあげると、鼻歌交じりに詰めていく……。

 このあとセリアスは、来るたびにタッパーを持参するようになる。
 そして、上目遣いでのおねだりを覚えた。

 気が付けば、見た目12歳の食いしん坊系ダメ天使が誕生していた。
 


◇============================◇

恋愛小説大賞にエントリー中です。
できれば、投票お願いします。
しおりを挟む
感想 17

あなたにおすすめの小説

セクスカリバーをヌキました!

ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。 国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。 ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……

明智さんちの旦那さんたちR

明智 颯茄
恋愛
 あの小高い丘の上に建つ大きなお屋敷には、一風変わった夫婦が住んでいる。それは、妻一人に夫十人のいわゆる逆ハーレム婚だ。  奥さんは何かと大変かと思いきやそうではないらしい。旦那さんたちは全員神がかりな美しさを持つイケメンで、奥さんはニヤケ放題らしい。  ほのぼのとしながらも、複数婚が巻き起こすおかしな日常が満載。  *BL描写あり  毎週月曜日と隔週の日曜日お休みします。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

貞操観念逆転世界におけるニートの日常

猫丸
恋愛
男女比1:100。 女性の価値が著しく低下した世界へやってきた【大鳥奏】という一人の少年。 夢のような世界で彼が望んだのは、ラブコメでも、ハーレムでもなく、男の希少性を利用した引き籠り生活だった。 ネトゲは楽しいし、一人は気楽だし、学校行かなくてもいいとか最高だし。 しかし、男女の比率が大きく偏った逆転世界は、そんな彼を放っておくはずもなく…… 『カナデさんってもしかして男なんじゃ……?』 『ないでしょw』 『ないと思うけど……え、マジ?』 これは貞操観念逆転世界にやってきた大鳥奏という少年が世界との関わりを断ち自宅からほとんど出ない物語。 貞操観念逆転世界のハーレム主人公を拒んだ一人のネットゲーマーの引き籠り譚である。

異世界複利! 【1000万PV突破感謝致します】 ~日利1%で始める追放生活~

蒼き流星ボトムズ
ファンタジー
クラス転移で異世界に飛ばされた遠市厘(といち りん)が入手したスキルは【複利(日利1%)】だった。 中世レベルの文明度しかない異世界ナーロッパ人からはこのスキルの価値が理解されず、また県内屈指の低偏差値校からの転移であることも幸いして級友にもスキルの正体がバレずに済んでしまう。 役立たずとして追放された厘は、この最強スキルを駆使して異世界無双を開始する。

💚催眠ハーレムとの日常 - マインドコントロールされた女性たちとの日常生活

XD
恋愛
誰からも拒絶される内気で不細工な少年エドクは、人の心を操り、催眠術と精神支配下に置く不思議な能力を手に入れる。彼はこの力を使って、夢の中でずっと欲しかったもの、彼がずっと愛してきた美しい女性たちのHAREMを作り上げる。

男女比の狂った世界で愛を振りまく

キョウキョウ
恋愛
男女比が1:10という、男性の数が少ない世界に転生した主人公の七沢直人(ななさわなおと)。 その世界の男性は無気力な人が多くて、異性その恋愛にも消極的。逆に、女性たちは恋愛に飢え続けていた。どうにかして男性と仲良くなりたい。イチャイチャしたい。 直人は他の男性たちと違って、欲求を強く感じていた。女性とイチャイチャしたいし、楽しく過ごしたい。 生まれた瞬間から愛され続けてきた七沢直人は、その愛を周りの女性に返そうと思った。 デートしたり、手料理を振る舞ったり、一緒に趣味を楽しんだりする。その他にも、色々と。 本作品は、男女比の異なる世界の女性たちと積極的に触れ合っていく様子を描く物語です。 ※カクヨムにも掲載中の作品です。

ざまぁから始まるモブの成り上がり!〜現実とゲームは違うのだよ!〜

KeyBow
ファンタジー
カクヨムで異世界もの週間ランク70位! VRMMORゲームの大会のネタ副賞の異世界転生は本物だった!しかもモブスタート!? 副賞は異世界転移権。ネタ特典だと思ったが、何故かリアル異世界に転移した。これは無双の予感?いえ一般人のモブとしてスタートでした!! ある女神の妨害工作により本来出会える仲間は冒頭で死亡・・・ ゲームとリアルの違いに戸惑いつつも、メインヒロインとの出会いがあるのか?あるよね?と主人公は思うのだが・・・ しかし主人公はそんな妨害をゲーム知識で切り抜け、無双していく!

処理中です...