一緒に異世界転移したチート彼女が逆ハーレムを狙っている様なんだが、戦闘チートなしのボクはどうしたら良いのだろう?

亜々流

文字の大きさ
上 下
27 / 37
第二章 ボクと彼女と××××!?

9、ボクと彼女と新王国3 亡国のカタストロ

しおりを挟む
「王制だと、王によって国の浮き沈みが決まってしまうよね」

『……それを避けるために天使の承認が、ゴニョゴニョゴニョ』

「候補がみんなハズレとか、アリアリだよね、拓真」

「うん、ちゃんとセリアスが仕事をするとしても、すでに腐ってるところが多いだろうね」

『……優秀な人間に継がせれば良いのでは? 血統は、別に問題にしていないですよ』

「天使様、可愛い我が子がいるのに他所の子はないと思うよ」

「ボク達の世界のとある国では文化○革命という大虐殺で、権力の維持の為に優秀な人間から狙って殺してるね。……4000万人以上が死んだと言われているよ」

『4000万人……』

「セリアスが、優秀な人間に継がせると公言すると、選ばれそうな人は予め殺されてしまうかも知れないね」

『ひっ、私のせいでまた……』

「天使様、危なかったね。でも、拓真に任せれば大丈夫だよ」

「うん、だから王制も独裁者を生みやすい共産主義もなしだ。
 選挙制度を作って、三権分立の民主主義を目指す。セリアスも協力をお願いするよ」


 天使セリアスには、呼び出したら直ぐに来る様に言いつけて、帰ってもらった。

「……説明する必要あったの?」

「自分が何のために働いているのか知るのは大切だよ」

「やさしいね、拓真」

「……確かめてみる?」

 ボクは彼女の額に、自分の額をつけて腕を回しながら尋ねた。ボクの優しさが彼女の為にあることを彼女に思い知らせてあげよう……。

 少しだけ休息が長引いてしまい、そのまま夜を過ごした。


 次の日、ボクと彼女は旧カタストロ王国の領地に入った。
 辺境の村ではまだ情報が交錯している様で、エルフの情報の方がましだった。

 そのまま旧王都へ乗り込むことにする。 
 ボク達の武器は、彼女の勇者としての活動による名声と天使セリアスと竜の亡骸。

 そして、圧倒的な武力……。竜の亡骸は、それを証明する。脅しとして充分な筈だ。
 不必要に血を流すつもりはない。

 町の門は開いているが、門番はいなかった。
 パジェロでそのまま乗り入れ、町の中心へ向かった。通り抜けると、流石に何人か気付くが悲鳴を上げて逃げていく。

 城に向かい城門の前まで来る。まだ城には、兵がいるようだ。

「ば、化け物め、ここをカタストロ城としっての狼藉か!」 

 八人ほどの兵士が集まってくる。ちらほらと弓矢が飛んできた。

 彼女が魔法で、空気を震わせて一喝した。

「そちらこそ、こちらを勇者の乗り物と知っての狼藉か!
 勇者明日香と海斗の帰還である。そちらは、何者であるか!」

 何人かには、明らかな恐怖が走った。そして隊長と思われる者が名乗りをあげた。

「わ、わたしは次に、この国の王となるパーペット・カタストロである」

 その男が名乗るうちにも奥から兵士が現れたのだが……。

「パーペット! 何があった?」

 ヨロイについている紋章が、エルフに聞いたところのオクトーバ王国のモノだった。
 しかし他国の兵士に使い走りにされている次期国王って、何なんだろうね。

「は、はい。勇者様です。しばらく前に、行方知れずになっていた勇者様が戻って参られました」

 旧カタストロ王国は、オクトーバ王国の属国として蘇ろうとしていた。属国の民の暮らしは、さぞ苦しく悲惨なものになるだろう。

「占領政策の一つかな……。
 この国の民の心を、徹底的に打ち砕く気だね」

「……ん?」

「民は、あの下っぱ王より更に身分が低いんだよ。夢も希望もなくない?」



◇============================◇

恋愛小説大賞にエントリー中です。
できれば、投票お願いします。
(ありがとうございます。73位まで上がりました)
しおりを挟む
感想 17

あなたにおすすめの小説

囚われの姫〜異世界でヴァンパイアたちに溺愛されて〜

月嶋ゆのん
恋愛
志木 茉莉愛(しき まりあ)は図書館で司書として働いている二十七歳。 ある日の帰り道、見慣れない建物を見かけた茉莉愛は導かれるように店内へ。 そこは雑貨屋のようで、様々な雑貨が所狭しと並んでいる中、見つけた小さいオルゴールが気になり、音色を聞こうとゼンマイを回し音を鳴らすと、突然強い揺れが起き、驚いた茉莉愛は手にしていたオルゴールを落としてしまう。 すると、辺り一面白い光に包まれ、眩しさで目を瞑った茉莉愛はそのまま意識を失った。 茉莉愛が目覚めると森の中で、酷く困惑する。 そこへ現れたのは三人の青年だった。 行くあてのない茉莉愛は彼らに促されるまま森を抜け彼らの住む屋敷へやって来て詳しい話を聞くと、ここは自分が住んでいた世界とは別世界だという事を知る事になる。 そして、暫く屋敷で世話になる事になった茉莉愛だが、そこでさらなる事実を知る事になる。 ――助けてくれた青年たちは皆、人間ではなくヴァンパイアだったのだ。

明智さんちの旦那さんたちR

明智 颯茄
恋愛
 あの小高い丘の上に建つ大きなお屋敷には、一風変わった夫婦が住んでいる。それは、妻一人に夫十人のいわゆる逆ハーレム婚だ。  奥さんは何かと大変かと思いきやそうではないらしい。旦那さんたちは全員神がかりな美しさを持つイケメンで、奥さんはニヤケ放題らしい。  ほのぼのとしながらも、複数婚が巻き起こすおかしな日常が満載。  *BL描写あり  毎週月曜日と隔週の日曜日お休みします。

セクスカリバーをヌキました!

ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。 国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。 ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……

ざまぁから始まるモブの成り上がり!〜現実とゲームは違うのだよ!〜

KeyBow
ファンタジー
カクヨムで異世界もの週間ランク70位! VRMMORゲームの大会のネタ副賞の異世界転生は本物だった!しかもモブスタート!? 副賞は異世界転移権。ネタ特典だと思ったが、何故かリアル異世界に転移した。これは無双の予感?いえ一般人のモブとしてスタートでした!! ある女神の妨害工作により本来出会える仲間は冒頭で死亡・・・ ゲームとリアルの違いに戸惑いつつも、メインヒロインとの出会いがあるのか?あるよね?と主人公は思うのだが・・・ しかし主人公はそんな妨害をゲーム知識で切り抜け、無双していく!

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

勇者一行から追放された二刀流使い~仲間から捜索願いを出されるが、もう遅い!~新たな仲間と共に魔王を討伐ス

R666
ファンタジー
アマチュアニートの【二龍隆史】こと36歳のおっさんは、ある日を境に実の両親達の手によって包丁で腹部を何度も刺されて地獄のような痛みを味わい死亡。 そして彼の魂はそのまま天界へ向かう筈であったが女神を自称する危ない女に呼び止められると、ギフトと呼ばれる最強の特典を一つだけ選んで、異世界で勇者達が魔王を討伐できるように手助けをして欲しいと頼み込まれた。 最初こそ余り乗り気ではない隆史ではあったが第二の人生を始めるのも悪くないとして、ギフトを一つ選び女神に言われた通りに勇者一行の手助けをするべく異世界へと乗り込む。 そして異世界にて真面目に勇者達の手助けをしていたらチキン野郎の役立たずという烙印を押されてしまい隆史は勇者一行から追放されてしまう。 ※これは勇者一行から追放された最凶の二刀流使いの隆史が新たな仲間を自ら探して、自分達が新たな勇者一行となり魔王を討伐するまでの物語である※

異世界で穴掘ってます!

KeyBow
ファンタジー
修学旅行中のバスにいた筈が、異世界召喚にバスの全員が突如されてしまう。主人公の聡太が得たスキルは穴掘り。外れスキルとされ、屑の外れ者として抹殺されそうになるもしぶとく生き残り、救ってくれた少女と成り上がって行く。不遇といわれるギフトを駆使して日の目を見ようとする物語

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

処理中です...