一緒に異世界転移したチート彼女が逆ハーレムを狙っている様なんだが、戦闘チートなしのボクはどうしたら良いのだろう?

亜々流

文字の大きさ
上 下
23 / 37
第二章 ボクと彼女と××××!?

5、ボクと彼女と魔王の森5 時は流れて国ほろび

しおりを挟む
 20年前に自らが焼き払ったと言う森の一角へ、北の山のドラゴンが降りてきた。瘴気を含む炎で、未だに草一本すら生えていない。

 こちらに見向きもせずに、いきなりエルフの酒の入った樽へ向かう。……でかい。顔の部分だけで、人の2倍近くの大きさだ。

 酒樽を口にくわえると、上を向き噛み砕いくと、そのままゴクリと喉へ流し込んでいる。飲み終わると、頭を振り壊れた酒樽を吐き出す。
 そこで、やっとこちらに気が付いたのか、頭の中に声が聞こえてきた。

『うん? お前ら、少し毛色の変わったエルフだな。何か用か?』

「こんにちは、ボク達二人は人間ですよ」

『はあ? エルフの森にいる人間は、エルフだろ!』

 こちらが普通に喋っても言葉は通じるようだ。しかし、随分と偉そうな態度のドラゴンである。

「ボク達は、お酒について交渉するために来ました」

『やはり、エルフではないか。言っておくがエルフの都合など知らぬ。こちらの言うとおりの酒を用意すれば良い』

「それが出来ないと、エルフは言っています」

 ぞわり、怒気に体を膨らませドラゴンがこちらを睨みつける。

『出来ないわけがあるか! 他の仕事をやめて酒を造れば良いだけのことだ!』

 分業体制という事か? 食料を他国に頼りすぎるのは危険なのだが、日本も食料の自給率は50%以下だった筈だ。

「……では、エルフの食料その他生活に必要な物。もしくは、それを購う金品を頂ける、という事ですか?」
 
『はあ~っ! そんなものは、我々ドラゴンの知った事ではないわ!』

 そう言うと、ドラゴンはコチラをまったく意に介さないかのように、酒樽を口に咥え噛み砕いて酒を飲み始める。

 ああ、中世にヨーロッパの国々に植民地にされ、サトウキビを強制的に作らされ収奪された東南アジアのことを思い出した。
 その植民地政策で、飢餓で人口を十分の一にまで減らした国もある。

 言葉は通じるが、話が通じない相手だった……。
 うん、ダメだこりゃ。

 ボクは彼女の方を見て聞いてみる。すでに彼女はドラゴンを鑑定しているだろう。

「どうかな?」

「大丈夫みたい。……大したことないかな」

「……じゃあ、ボクがやってみるけど、
 こっちに向かって来ちゃったら失敗だから、あとは任せる」

 自分がやるつもりだった彼女は少し驚き、少し考えると了解した。おそらくは、ボクのステータス数値ではドラゴンに敵わないのだろう。
 それは想定内なので、ボクは直接ドラゴンと殴りあうつもりは無かった。


 酒を飲んでいたドラゴンは、自分におきている異変に気付くのが遅れた。気が付くと、振り向いてこちらを見る。
 
『エルフめ、酒に毒を盛ったな! だが、そんなものは効かぬぞ!』

 こちらを睨み、解毒の魔法だろうか? 
 自分に魔法を掛けている……。

 そして、息絶えて体を地面に沈めた。

 息を長く止められる人でも、いきなりでは、そう長く止めてはいられない。
 ドラゴンは息を止めていた訳ではないのだが、その空気の中に酸素は入っていなかった。

 ボクは物品引き寄せで、ドラゴンの周りの酸素だけを引き寄せ続けていたのだ。
 どんなに強くても呼吸が出来なければ、ドラゴンも死ぬようだ。

 よく見ると、側にいるショタエルフが少しちびっている。
 
 ボクは今、さりげなく彼女にも気付かせて、ショタエルフの好感度をさげる方法を考えている。それは、ドラゴンを倒すより少し難しいかもしれない。


 ボクと彼女は、ドラゴンの亡骸とエルフの酒をアイテムボックスに入れて、エルフの城に帰った。
 
 ドラゴン退治をしている間に、周辺の国で大きな変化があったらしい。
 カタストロ王国が滅びたという。

「カタストロ王国? 知ってる?」

 ボクが聞くと、ショタエルフが信じられないと言う顔をする。
 彼女がそっと呟く。

「……拓真だねぇ」


◇============================◇

応援よろしくお願いします。

前話のエルフ王のロリコンエロじじいの部分を消しました。
主人公の性格が悪くなりすぎ&エルフの成長と年齢的に整合性にかけてくる。
などの理由によります。m(_ _)mスマン
しおりを挟む
感想 17

あなたにおすすめの小説

明智さんちの旦那さんたちR

明智 颯茄
恋愛
 あの小高い丘の上に建つ大きなお屋敷には、一風変わった夫婦が住んでいる。それは、妻一人に夫十人のいわゆる逆ハーレム婚だ。  奥さんは何かと大変かと思いきやそうではないらしい。旦那さんたちは全員神がかりな美しさを持つイケメンで、奥さんはニヤケ放題らしい。  ほのぼのとしながらも、複数婚が巻き起こすおかしな日常が満載。  *BL描写あり  毎週月曜日と隔週の日曜日お休みします。

ざまぁから始まるモブの成り上がり!〜現実とゲームは違うのだよ!〜

KeyBow
ファンタジー
カクヨムで異世界もの週間ランク70位! VRMMORゲームの大会のネタ副賞の異世界転生は本物だった!しかもモブスタート!? 副賞は異世界転移権。ネタ特典だと思ったが、何故かリアル異世界に転移した。これは無双の予感?いえ一般人のモブとしてスタートでした!! ある女神の妨害工作により本来出会える仲間は冒頭で死亡・・・ ゲームとリアルの違いに戸惑いつつも、メインヒロインとの出会いがあるのか?あるよね?と主人公は思うのだが・・・ しかし主人公はそんな妨害をゲーム知識で切り抜け、無双していく!

セクスカリバーをヌキました!

ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。 国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。 ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

勇者一行から追放された二刀流使い~仲間から捜索願いを出されるが、もう遅い!~新たな仲間と共に魔王を討伐ス

R666
ファンタジー
アマチュアニートの【二龍隆史】こと36歳のおっさんは、ある日を境に実の両親達の手によって包丁で腹部を何度も刺されて地獄のような痛みを味わい死亡。 そして彼の魂はそのまま天界へ向かう筈であったが女神を自称する危ない女に呼び止められると、ギフトと呼ばれる最強の特典を一つだけ選んで、異世界で勇者達が魔王を討伐できるように手助けをして欲しいと頼み込まれた。 最初こそ余り乗り気ではない隆史ではあったが第二の人生を始めるのも悪くないとして、ギフトを一つ選び女神に言われた通りに勇者一行の手助けをするべく異世界へと乗り込む。 そして異世界にて真面目に勇者達の手助けをしていたらチキン野郎の役立たずという烙印を押されてしまい隆史は勇者一行から追放されてしまう。 ※これは勇者一行から追放された最凶の二刀流使いの隆史が新たな仲間を自ら探して、自分達が新たな勇者一行となり魔王を討伐するまでの物語である※

異世界で穴掘ってます!

KeyBow
ファンタジー
修学旅行中のバスにいた筈が、異世界召喚にバスの全員が突如されてしまう。主人公の聡太が得たスキルは穴掘り。外れスキルとされ、屑の外れ者として抹殺されそうになるもしぶとく生き残り、救ってくれた少女と成り上がって行く。不遇といわれるギフトを駆使して日の目を見ようとする物語

旦那様が多すぎて困っています!? 〜逆ハー異世界ラブコメ〜

ことりとりとん
恋愛
男女比8:1の逆ハーレム異世界に転移してしまった女子大生・大森泉 転移早々旦那さんが6人もできて、しかも魔力無限チートがあると教えられて!? のんびりまったり暮らしたいのにいつの間にか国を救うハメになりました…… イケメン山盛りの逆ハーです 前半はラブラブまったりの予定。後半で主人公が頑張ります 小説家になろう、カクヨムに転載しています

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

処理中です...