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第二章 ボクと彼女と××××!?
4、ボクと彼女と魔王の森4 お酒で歓待ドラゴン退治
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エルフの城の中には入る前に、ボクはショタエルフに注文を出しておいた。
「取りあえず、どこか休める所へ案内して欲しいな。
三時間以上も歩かされるとは思ってもいなかったよ。明日香も疲れただろ?」
「うん、そうだね。ちょっと寛ぎたいかな」
「……あの、まず国王に、あっていただく手配になっているのですが」
ショタエルフは生意気にも、ボク達の行動を管理するつもりらしい。こちらはお願いされて、来ている身なのだが?
「まあ、客人として丁寧に歓迎する気がないのなら、森に道を作ってパジェロで出て行けばいいさ」
「はい! すぐに用意させます」
「あっ。部屋は、やっぱりいいや」
「えっ……」
うん、興味はあるが、現代人の自分達に快適なわけが無い。それならトレーラーハウスで、まったり時間を過ごした方が良い。
それに人に会うなら、自分達のホームグラウンドで会うほうがリラックスして交渉できるというものだ……。こちらに、呼びつけてやろう。
いきなり、ショタエルフが土下座を始めた。ガタガタと震えながら声を上げる。
「な、な、生意気な事を申し上げました! 申し訳ありませんでした!」
周囲が一瞬ざわつき、顔を引きつらせたエルフ達がそっと姿を遠ざけていく。ちょっと、何をやっているんだ、このショタエルフは!
「ちょっ、何やってるんだ? ボク達の評判を落とすつもりなのか!」
「ひ~っ、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい……」
もう、狙ってやってるとしか思えない宣伝効果だ。しばらくは怖がって、誰もボク達に近づかないだろう。
「あ~っ、美形エルフに逃げられた~!」
彼女が嘆いている。よし、ショタエルフ。今回の事は許してやろう。
ボクはショタエルフに、昨日のトレーラーハウスの出せる広い場所を用意するように言いつける。
ボクと彼女がトレーラーハウスで寛いでいると、エルフの王様が尋ねてきた。
外は暗くなりかけているのだが、部屋の中はLEDライトで明るく照らされている。エルフの王は、トレーラーハウスの中の文明の利器に落ち着かない様子だ。
エルフの王は、見た目70歳くらいのお爺さんだった。ショタエルフに聞いた所によると、エルフの寿命は人間の2倍くらいあるという。
実年齢は140歳くらいなのだろうか。
ボク達に助けて欲しいと言うエルフの国の問題は、北の山に住むドラゴンにあった。
ある日宴会の席に現れたドラゴンが、エルフの酒を飲んだ。酒の肴はエルフである。字義通りの意味で、見て楽しんだ訳ではない。
そして、味を占めた。
酒の肴よりは、酒の方に酔いしれた。
ドラゴンはエルフを食べるのを止めたが、酒を要求するようになった。
拒否をするなら、森を燃やしエルフを殺しつくすと言う。
それから20年が経ち、要求が増えていった。
そして、ついには不可能な量の酒を要求してきたのだ。
「どうか、ドラゴンを倒して欲しい。お願いする」
エルフの王とショタエルフが頭を下げた。ドラゴンか……ファンタジー定番の最強生物じゃないか。どうにかできるのか?
「やってみる! でも、話し合いが先だよ。ねっ、拓真?」
「……そうだね。できるだけ戦いたくないからね」
違う意味で……彼女は知的生命体だから、ボクは敵の強さが分からないからだ。彼女は優しすぎる人だ。困ってる人を見るとほっておけないタイプなんだ。
ドラゴンと話が出来るのは、分かっている。物分りの良いドラゴンだと良いのだが……。
ホッとした顔で、エルフの王がボク達を誘う。
「歓迎の宴に、ご招待したいのですが」
「楽しそうだね。拓真、いこうか?」
ボクは彼女にだけ聞こえるように、そっと言う。
「食事をするなら、鑑定したあとだよ」
ドラゴンに集られている、エルフの食卓は貧しかった。
数日後、ドラゴンがやってくるという場所にボクと彼女は立っていた。
付いて来なくても良かったのだが、ショタエルフも同行している。交渉は、ボク達に完全に任せてもらった。
その場所には、10樽のエルフの酒が用意してあった。エルフとしては、ドラゴンに今月はコレでお終いにして貰わなくてはならない。
遠く、北の空にドラゴンの影が見えた。
◇============================◇
応援よろしくお願いします。
「取りあえず、どこか休める所へ案内して欲しいな。
三時間以上も歩かされるとは思ってもいなかったよ。明日香も疲れただろ?」
「うん、そうだね。ちょっと寛ぎたいかな」
「……あの、まず国王に、あっていただく手配になっているのですが」
ショタエルフは生意気にも、ボク達の行動を管理するつもりらしい。こちらはお願いされて、来ている身なのだが?
「まあ、客人として丁寧に歓迎する気がないのなら、森に道を作ってパジェロで出て行けばいいさ」
「はい! すぐに用意させます」
「あっ。部屋は、やっぱりいいや」
「えっ……」
うん、興味はあるが、現代人の自分達に快適なわけが無い。それならトレーラーハウスで、まったり時間を過ごした方が良い。
それに人に会うなら、自分達のホームグラウンドで会うほうがリラックスして交渉できるというものだ……。こちらに、呼びつけてやろう。
いきなり、ショタエルフが土下座を始めた。ガタガタと震えながら声を上げる。
「な、な、生意気な事を申し上げました! 申し訳ありませんでした!」
周囲が一瞬ざわつき、顔を引きつらせたエルフ達がそっと姿を遠ざけていく。ちょっと、何をやっているんだ、このショタエルフは!
「ちょっ、何やってるんだ? ボク達の評判を落とすつもりなのか!」
「ひ~っ、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい……」
もう、狙ってやってるとしか思えない宣伝効果だ。しばらくは怖がって、誰もボク達に近づかないだろう。
「あ~っ、美形エルフに逃げられた~!」
彼女が嘆いている。よし、ショタエルフ。今回の事は許してやろう。
ボクはショタエルフに、昨日のトレーラーハウスの出せる広い場所を用意するように言いつける。
ボクと彼女がトレーラーハウスで寛いでいると、エルフの王様が尋ねてきた。
外は暗くなりかけているのだが、部屋の中はLEDライトで明るく照らされている。エルフの王は、トレーラーハウスの中の文明の利器に落ち着かない様子だ。
エルフの王は、見た目70歳くらいのお爺さんだった。ショタエルフに聞いた所によると、エルフの寿命は人間の2倍くらいあるという。
実年齢は140歳くらいなのだろうか。
ボク達に助けて欲しいと言うエルフの国の問題は、北の山に住むドラゴンにあった。
ある日宴会の席に現れたドラゴンが、エルフの酒を飲んだ。酒の肴はエルフである。字義通りの意味で、見て楽しんだ訳ではない。
そして、味を占めた。
酒の肴よりは、酒の方に酔いしれた。
ドラゴンはエルフを食べるのを止めたが、酒を要求するようになった。
拒否をするなら、森を燃やしエルフを殺しつくすと言う。
それから20年が経ち、要求が増えていった。
そして、ついには不可能な量の酒を要求してきたのだ。
「どうか、ドラゴンを倒して欲しい。お願いする」
エルフの王とショタエルフが頭を下げた。ドラゴンか……ファンタジー定番の最強生物じゃないか。どうにかできるのか?
「やってみる! でも、話し合いが先だよ。ねっ、拓真?」
「……そうだね。できるだけ戦いたくないからね」
違う意味で……彼女は知的生命体だから、ボクは敵の強さが分からないからだ。彼女は優しすぎる人だ。困ってる人を見るとほっておけないタイプなんだ。
ドラゴンと話が出来るのは、分かっている。物分りの良いドラゴンだと良いのだが……。
ホッとした顔で、エルフの王がボク達を誘う。
「歓迎の宴に、ご招待したいのですが」
「楽しそうだね。拓真、いこうか?」
ボクは彼女にだけ聞こえるように、そっと言う。
「食事をするなら、鑑定したあとだよ」
ドラゴンに集られている、エルフの食卓は貧しかった。
数日後、ドラゴンがやってくるという場所にボクと彼女は立っていた。
付いて来なくても良かったのだが、ショタエルフも同行している。交渉は、ボク達に完全に任せてもらった。
その場所には、10樽のエルフの酒が用意してあった。エルフとしては、ドラゴンに今月はコレでお終いにして貰わなくてはならない。
遠く、北の空にドラゴンの影が見えた。
◇============================◇
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