小学生のゲーム攻略相談にのっていたつもりだったのに、小学生じゃなく異世界の王子さま(イケメン)でした(涙)

九重

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こんにちは、異世界

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フワフワとした夢かうつつ現かわからないような、そんな感覚を味わった経験を誰しも持っているんじゃないだろうか?

少なくとも俺には、結構ある。

(修論とか、いっつもぎりぎりの精神状態でやっているもんな)

まともにベッドで眠れずに、頭が朦朧とすることなんざ日常茶飯事だった。
いや、威張れることじゃないけどな。


で、今の俺の状況は、はっきり言ってそれと同じだと言えた。

頭がぼんやりして上手く働かない。
自分がベッドか何かの柔らかなものの中で寝ているのはわかるが、目は開いているのかいないのかすらわからない状況だった。

周囲は薄暗く、でも何故か自分の近くだけはうっすらと明るく見える。



その明るさの中で、枕元にもの凄い美少女が居る事がわかった。

ホント、滅多にお目にかかれないような極上美少女だ。
やわらかそうな綿菓子みたいな白銀の髪に、赤ちゃんみたいな白い肌。
唇は赤くて、こぼれおちそうなくらい大きな青い目が心配そうに俺を見詰めていた。


(うん、間違いなく夢だ)


俺は確信する。

こんな可愛い美少女が、俺なんかを心配そうに見てくるなんて現実があるはずがない。
どう見ても彼女は看護師には見えないし、急に具合が悪くなった自分が病院に運ばれたって感じでもなさそうだった。

俺は真上にあるベッドの天蓋と思われる装飾豊かな芸術品をぼんやり見上げる。
木製の彫刻付きで、花鳥風月の絵の描かれた豪華絢爛なそれが病院の備品でないことだけは確かだと思えた。



――夢なら夢で良い。

こんな幸せな夢は、いつだってウェルカムに決まっている。

そうだ。

どうせ夢ならば。



そう思った俺は、恐る恐る自分の手をそっと美少女の方に伸ばしてみた。

(なるべく寝ぼけて意識がない感じで――――)

病人が無意識に何かを求める風を装って手を上げる。

ハッとした美少女は、俺の想い描いた通りに俺の手をとりギュッと握り締めてくれた。


「お気がつかれましたか? 大丈夫ですか?」


(っ!!)

―――美少女、すげぇっ。
声まで可憐ってどういうことだ?


(あぁ。本当に正真正銘夢だわ)


悲しいくらい確信する。
こんな美少女が手を握って俺を心配してくれるなんて、絶対有り得ない。

例えその手がリアルみたいに柔らかくてほんわかあったかくても。

(100パーないな)

夢みたいに幸せな夢? に満足した俺は、再び意識を手放したのだった。
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